Amazon Web Services ブログ
週刊AWS – 2025/9/15週
みなさん、こんにちは。ソリューションアーキテクトの戸塚です。今週も 週刊AWS をお届けします。
つい先週、趣味のパデルで、右手を骨折してしまいました。スポーツや仕事がしにくく、こういう時は大人しく過ごそうということで、最近出版された「AWS 生成 AI アプリ構築実践ガイド」を購入して読み始めました。Amazon Bedrock Agents/Amazon Bedrock AgentCore についても記載され、内容も充実しており、参考になる一冊です。読書の秋にじっくり AWS を学んでみるのはいかがでしょうか。
それでは、先週の主なアップデートについて振り返っていきましょう。
2025年9月15日週の主要なアップデート
- 9/15(月)
- AWS Organizations がメンバーアカウントのアカウント状態情報を提供開始
AWS Organizations で新しい State フィールドが追加され、メンバーアカウントの状態をより詳細に把握できるようになりました。従来の Status フィールドでは分からなかった「AWS による強制停止 (SUSPENDED)」「クローズ処理中 (PENDING_CLOSURE)」「クローズ済み (CLOSED)」などの細かい状態が確認可能です。複数のアカウントを管理する組織では、各アカウントの正確な状況を把握することで適切な対応が取れるようになります。詳細はこちらの Blog 記事をご参照ください。 - Amazon Bedrock でカスタム Meta Llama モデルのオンデマンドデプロイメントを発表
Amazon Bedrock で、カスタマイズした Meta Llama 3.3 モデルのオンデマンドデプロイメントが可能になりました。従来は常時稼働するサーバーが必要でしたが、今回のアップデートにより使用時のみリソースを起動し、利用分だけの支払いでコストを大幅削減できます。AI チャットボットや文書生成システムなど、利用頻度が不定期なアプリケーションに最適です。詳細はこちらのドキュメントをご参照ください。 - Amazon SageMaker HyperPod が Slurm クラスターのヘルスモニタリングエージェントサポートを発表
Amazon SageMaker HyperPod の Slurm クラスターでヘルスモニタリングエージェント機能が利用可能になりました。この機能は GPU や Trainium ノードの状態を常時監視し、ハードウェア障害を検出すると自動的にノードを交換します。従来は訓練中に障害が発生すると手動対応が必要でしたが、今回のアップデートにより自動レジューム機能と連携してチェックポイントから訓練を継続できるようになりました。大規模言語モデルなど数週間かかる訓練でも中断リスクを大幅に軽減し、コストと時間のロスを削減できます。詳細はこちらのドキュメントをご参照ください。
- AWS Organizations がメンバーアカウントのアカウント状態情報を提供開始
- 9/16(火)
- Amazon OpenSearch Service が Star-Tree Index を発表
Amazon OpenSearch Service で Star-Tree Index という新機能が利用開始となりました。この機能により、大量データの集計処理が大幅に高速化され、従来時間がかかっていた複雑な分析クエリもサブ秒で応答できるようになります。データを事前に集計して保存するため、リアルタイムダッシュボードや監視システム、パーソナライゼーション機能などで威力を発揮します。詳細はこちらのドキュメントをご参照ください。 - Amazon S3 が汎用バケットで条件付き削除をサポート開始
Amazon S3 の汎用バケットで条件付き削除機能が追加されました。HTTP if-match ヘッダーと ETag を使用し、オブジェクトが変更されていない場合のみ削除を実行できます。複数のユーザーが同時にファイルを操作する環境で、誤ってファイルを削除してしまうリスクを大幅に軽減できます。従来は削除前にオブジェクトの状態を確認する仕組みがなく、競合状態での誤削除が課題でした。全リージョンで追加コストなしで利用可能です。詳細はこちらのドキュメントをご参照ください。 - Amazon Lex が 8 つの新しい言語で生成 AI ベースの強化された自然言語理解を提供
Amazon Lex が大規模言語モデル (LLM) を活用した自然言語理解機能を日本語を含む 8 つの新言語で提供開始しました。これまでチャットボットが理解しにくかった複雑な発話や、スペルミスがある入力でも正確に処理できるようになります。例えば「妻と子供 2 人と私でフライト予約したい」と話すと、4 人分の予約として正しく理解してくれます。東京リージョンなど 10 の商用リージョンで利用可能です。詳細はこちらのドキュメントをご参照ください。
- Amazon OpenSearch Service が Star-Tree Index を発表
- 9/17(水)
- AWS Network Firewall がコンソール、モニタリング、セキュリティ機能を強化
AWS Network Firewall で監視機能とセキュリティ機能が強化されました。監視ダッシュボードでは Amazon S3 や DynamoDB などの AWS サービスへのトラフィック状況を詳細に可視化でき、IP アドレス別やプロトコル別の分析も可能になります。また新しい TLS Inspection のセッションホールディング機能により、悪意のある接続先への通信をより確実にブロックできるようになりました。詳細はこちらのドキュメントをご参照ください。 - AWS Budgets でカスタム期間がサポートされるようになりました
AWS Budgets でカスタム期間の予算設定が可能になりました。従来の月次や四半期などの固定期間ではなく、任意の開始日と終了日を指定できます。月の途中から始まる 3 ヶ月プロジェクトなども一つの予算で管理でき、複数月に分けて計算する手間が不要になりました。詳細はこちらのドキュメントをご参照ください。
- AWS Network Firewall がコンソール、モニタリング、セキュリティ機能を強化
- 9/18(木)
- Qwen3 モデルが Amazon Bedrock で完全マネージド型として利用可能になりました
Amazon Bedrock に Qwen3 モデル 4 種類が追加されました。コーディング特化の Coder モデルや汎用推論用モデルなど、用途に応じて選択できます。インフラ管理が不要なフルマネージドサービスとして提供されるため、AI アプリケーション開発に集中できます。東京リージョンを含む複数リージョンで利用可能です。詳細はこちらの Blog 記事をご参照ください。 - OpenAI オープンウェイトモデルが AWS Bedrock で新しいリージョンに拡張
AWS Bedrock で OpenAI のオープンウェイトモデルが 8 つの新リージョンに拡大しました。東京、ロンドン、ムンバイなど世界各地で利用可能となり、これまでオレゴンリージョンのみだった制限が解消されます。ユーザーに近いリージョンでの実行により、レイテンシが大幅に改善され、AI アプリケーションの応答速度が向上します。また、データ所在地の要件に対応でき、コンプライアンスを重視する企業でも安心して活用できます。詳細はこちらの Blog 記事をご参照ください。 - DeepSeek-V3.1 モデルが Amazon Bedrock でフルマネージドサービスとして利用可能に
Amazon Bedrock で DeepSeek-V3.1 モデルが利用可能になりました。このモデルは詳細分析用の thinking モードと高速応答用の non-thinking モードを切り替えできるのが特徴です。従来モデルと比較してハルシネーション (誤った情報生成) が減少し、精度が向上しています。ソフトウェア開発や数学的推論、データ分析などの業務で活用でき、 AI エージェント構築やプロセス自動化にも最適です。オレゴン、東京、ムンバイ、ロンドン、ストックホルムリージョンで提供開始されています。詳細はこちらの Blog 記事をご参照ください。 - Stability AI Image Services が Amazon Bedrock で利用可能に
Amazon Bedrock で Stability AI Image Services が利用開始となりました。背景除去やオブジェクト消去など 9 つの画像編集ツールが使えるようになり、API 経由で高度な画像加工が可能です。従来は専用ソフトが必要だった画像編集作業を、クラウドサービスで簡単に自動化できるため、EC サイトの商品画像作成やマーケティング素材の制作が効率化されます。オレゴン、バージニア北部、オハイオリージョンで提供中です。 - Amazon Q Developer CLI がリモート MCP サーバーのサポートを発表
Amazon Q Developer CLI がリモート MCP サーバーのサポートを開始しました。従来はローカルでの MCP サーバー利用が中心でしたが、今回のアップデートによりリモートサーバーを活用できるようになり、計算リソースの削減とセキュリティ管理が向上します。Atlassian や GitHub などの外部サービスとの統合も可能で、OAuth 認証による安全な接続を実現します。詳細はこちらのドキュメントをご参照ください。
- Qwen3 モデルが Amazon Bedrock で完全マネージド型として利用可能になりました
- 9/19(金)
- AWS が簡素化されたモデリングのための SiteWise MCP Server を発表
AWS が AWS IoT SiteWise 向けの MCP (Model Context Protocol) サーバーをオープンソースで公開しました。このサーバーは産業データのモデリング作業を大幅に簡素化し、従来必要だった複雑な API 知識がなくても会話型インターフェースで直感的に操作できるようになります。産業分野の専門知識が内蔵されており、適切な単位やデータ型を自動で適用するため、手作業での調整や修正作業が不要になり開発時間を大幅に短縮できます。詳細はこちらの GitHub リポジトリをご参照ください。 - AWS Neuron SDK 2.26.0 の発表
AWS Neuron SDK 2.26.0 が一般提供開始となりました。この SDK は Inferentia や Trainium インスタンスで機械学習モデルを効率的に実行するためのツールです。今回のアップデートでは PyTorch 2.8 や JAX 0.6.2 といった最新フレームワークに対応し、画像生成モデル FLUX.1-dev や大規模言語モデル Llama 4 の新バリアントを Trn2 インスタンス上で実行できるようになりました。特に注目すべきは Expert parallelism サポート (beta) により、複雑な MoE モデルを複数の NeuronCore に分散して効率的に処理できる点です。詳細はこちらのドキュメントをご参照ください。
- AWS が簡素化されたモデリングのための SiteWise MCP Server を発表
最後にイベントのお知らせです。2025年10月9日(木)19:00-「10 周年を迎えた AWS IoT Core – 過去を振り返り、未来を見据えて」というテーマで、目黒セントラルスクエア現地のみのイベントを開催いたします。詳細、お申し込みはこちら。AWS が 2015 年の re:Invent で IoT 向けのサービスを発表してから 10 年が経ちました。この記念すべき節目を迎え、IoT を取り巻く環境の劇的な変化を振り返るとともに、未来への展望を共有する特別なイベントとなります。お客様セッションやネットワーキングもご用意がございます。私も参加いたしますので、ぜひお声掛けください。
それでは、また来週お会いしましょう!