Amazon Web Services ブログ
週刊AWS – 2026/10/26週
みなさん、こんにちは。ソリューションアーキテクトの杉山です。今週も 週刊AWS をお届けします。
11 月 18 日 (水) に、Amazon Quick をデータ活用の観点から紹介するイベント「Amazon Quick で進めるデータ活用の次の一手 — 活用企業・パートナー・AWS社員による事例紹介」を開催します。最新アップデートの紹介に加えて、国分グループ本社様、LINEヤフー様、タキヒヨー様に活用事例を、シーイーシー様、電通デジタル様、ジェーエムエーシステムズ様に導入支援の事例をご紹介いただきます。AWS ジャパン社内の財務部門と法務部門での活用例もお話しします。会場は東京・麻布台ヒルズで、オンラインでも参加できます (配信はスライドと音声のみ)。11 月 20 日 (金) には大阪会場でも同じ内容で開催します。定員がありますので、気になる方はお早めにお申し込みください。
それでは、先週の主なアップデートについて振り返っていきましょう。
2026年10月26日週の主要なアップデート
- 10/26(月)
- AWS Glue Data Catalog が Apache Iceberg REST Catalog API で OAuth をサポート
AWS Glue Data Catalog の Apache Iceberg REST Catalog (IRC) エンドポイントが、従来の AWS Signature Version 4 (SigV4) に加えて、AWS Sign-In を利用した OAuth 2.0 ベアラートークン認証に対応しました。OAuth 2.0 Token Exchange (RFC 8693) により、パートナーのエンドユーザーの OIDC トークンを有効期限 1 時間以内の Glue スコープのアクセストークンに交換し、IRC リクエストに使用できます。AWS 認証情報を外部に配布することなく、サードパーティの分析プラットフォームや外部クエリエンジンに Iceberg テーブルへのフェデレーテッドアクセスを許可できます。アクセス制御は引き続き AWS IAM と AWS Lake Formation の権限で統制されます。AWS Glue と Lake Formation が利用可能なすべてのリージョンで利用できます。 - AWS Key Management Service がポスト量子鍵カプセル化の ML-KEM をサポート
AWS KMS が、NIST FIPS 203 で標準化されたポスト量子暗号の鍵カプセル化メカニズム ML-KEM に対応しました。ML_KEM_512、ML_KEM_768、ML_KEM_1024 の 3 つのキースペックで KMS キーを作成し、新 API の Encapsulate / Decapsulate で 32 バイトの共有シークレットを確立できます。秘密鍵は FIPS 140-3 Level 3 認定の HSM 内で保護されます。従来の RSA 鍵配送や DH / ECDH 鍵合意が量子計算機で破られる「harvest now, decrypt later」脅威への対策として、アプリケーション層の鍵確立を耐量子化できます。UAE リージョン、バーレーンリージョン、中国リージョンを除く KMS 提供の全リージョンで利用できます。 - AWS IAM Identity Center がクロスリージョンの trusted identity propagation をサポート
AWS IAM Identity Center の trusted identity propagation (信頼されたアイデンティティ伝播) が、複数の AWS リージョンをまたいだ ID コンテキストの伝播に対応しました。従来は、ユーザーの ID 情報を利用するすべての AWS サービスが同一リージョンに存在する必要がありましたが、今回の対応により、別リージョンのサービスに対してもユーザー個人とグループ所属に基づくアクセス制御と監査ができるようになりました。利用にはマルチリージョン構成の IAM Identity Center インスタンスとマルチリージョンのカスタマーマネージド KMS キーが必要です。追加料金はなく、IAM Identity Center が利用可能なすべてのリージョンで利用できます。 - OpenAI GPT-6.1 Terra が Amazon Bedrock で一般提供開始
OpenAI の GPT-6.1 Terra が Amazon Bedrock で一般提供を開始しました。GPT-6.1 Terra は GPT-6 ファミリーの Terra ライン (バランス型) の最新モデルで、視覚推論、コンピュータ操作、事実性と文章品質の改善が特徴です。OpenAI の Agents’ Last Exam 評価では GPT-5.6 Terra を 15 ポイント上回って GPT-6 Astra と同等のスコアを記録し、タスクの完了は GPT-6 Astra や GPT-6.1 Sol の 3 倍以上速くなっています。トークン価格は GPT-6.1 Sol および GPT-5.6 Terra と比べて入出力ともに 50% 以上低く設定されており、日常的なワークロードに向けて性能・速度・コストのバランスを取ったモデルです。コンテキストウィンドウは最大 100 万入力トークンで、テキストと画像の入力に対応します。Amazon Bedrock API からの直接呼び出しに加え、ChatGPT Work や Codex のバックエンドとして Bedrock 上の本モデルを指定できます。
- AWS Glue Data Catalog が Apache Iceberg REST Catalog API で OAuth をサポート
- 10/27(火)
- Amazon ECS が NVIDIA Multi-Process Service (MPS) による GPU 共有をサポート
Amazon ECS が NVIDIA Multi-Process Service (MPS) による GPU 共有に対応し、1 つの NVIDIA GPU 上で複数の ECS タスクを同時に実行できるようになりました。タスク定義のコンテナ定義でコンテナごとの GPU メモリ量 (必須) と GPU コンピュート使用率の上限 (任意) を指定するだけで、ECS が空きメモリのある GPU にタスクを配置し、MPS デーモンの起動・管理も ECS が行います。アプリケーションコードの変更は不要です。ECS Managed Instances と ECS on EC2 の両方で利用でき、Managed Instances では MPS デーモンの障害を検知すると自動でインスタンスを置き換えます。小規模モデル推論やマルチモデルサービングなど GPU を使い切らないワークロードで、GPU 利用率の向上とインフラコストの削減につながります。すべての AWS 商用リージョンと AWS GovCloud (US) リージョンで利用できます。
- Amazon ECS が NVIDIA Multi-Process Service (MPS) による GPU 共有をサポート
- 10/28(水)
- AWS Backup の restore testing が Amazon Redshift をサポート
AWS Backup の restore testing (復元テスト) 機能が Amazon Redshift に対応しました。restore testing は、バックアップからの復元テストをスケジュールに沿って自動実行し、復元が成功するかの確認と復元所要時間の計測を行う機能です。これまで EC2、EBS、RDS、Aurora、S3 などが対象でしたが、今回 Amazon Redshift のプロビジョンドクラスターを復元テスト計画に含められるようになりました。復元ジョブの完了時間を RTO (目標復旧時間) と突き合わせて評価できるため、データウェアハウスの災害対策や事業継続に関する規制・コンプライアンス要件への対応に使えます。 - Amazon EKS Auto Mode が Kubernetes Gateway API をサポート
Amazon EKS Auto Mode が Kubernetes Gateway API に対応しました。Gateway と HTTPRoute などの標準リソースを定義するだけで、EKS Auto Mode が ALB (L7) または NLB (L4) を自動的にプロビジョニング・管理します。これまで必要だった AWS Load Balancer Controller のインストールや運用は不要です。HTTP/gRPC ルーティング、名前空間をまたぐルーティング、重み付けトラフィック分割、ヘッダーベースルーティング、ACM による TLS 証明書の自動検出に対応します。既存の Ingress や Service type LoadBalancer はそのまま併用でき、追加料金なしで EKS Auto Mode に含まれます (ALB/NLB 自体の標準料金は別途発生します)。 - Amazon ECS Managed Instances がインスタンス間統合と Spot 統合を追加
Amazon ECS Managed Instances のインフラ最適化に、cross-instance consolidation (インスタンス間統合) と Spot consolidation (Spot 統合) の 2 つの機能が追加されました。従来は各インスタンスを単独で評価して置き換えていましたが、今回から複数の低使用率インスタンスにまたがるタスクを同時に評価し、より少ない台数に再配置できます。AWS のテストでは 19 台のフリートが 13 台に減り、CPU 使用率は 42% から 91% に、メモリ使用率は 41% から 88% に上がりました。追加料金はなく、全リージョンの既存および新規の capacity provider に自動で適用されます。 - Quick がエージェントアクションのスマート承認に対応
Amazon Quick に、エージェントが提案するアクションを審査するレイヤーであるスマート承認 (smart approvals) が追加されました。classifier と呼ばれる独立した審査モデルが、各アクションをユーザーの依頼内容と照合し、定型的なアクションは自動承認し、影響の大きいアクションはユーザーの確認に回します。既存の権限設定が常に優先され、スマート承認が新しいアクセス権を付与することはありません。全ユーザーでデフォルト有効となっており、管理者はカスタム権限プロファイルで利用可否を制御できます。自動承認と設定変更はすべて AWS CloudTrail に記録されます。 - 次世代 Amazon OpenSearch Serverless の時系列コレクションを発表
次世代 (NextGen) Amazon OpenSearch Serverless で time series collections (時系列コレクション) が利用可能になりました。クラスターの管理なしでログ、メトリクス、トレース、イベントデータを取り込み・保存・分析できます。従来の hot ストレージに加えて低コストの warm ストレージ階層が追加され、hot に置く期間 (1 日〜10 年) を指定するだけで古いデータが自動的に warm へ移行します。1 コレクションあたり最大 100 TB の hot ストレージに対応し、Classic コレクションでは未対応だったアラートと異常検知も使えるようになりました。OpenSearch Serverless が利用可能なすべてのリージョンで提供されています。 - AWS Lambda が Lambda Managed Instances で Seekable OCI (SOCI) による遅延読み込みをサポート
AWS Lambda は、Lambda Managed Instances 上で動作する OCI コンテナイメージ形式の Event Functions に対して、Seekable OCI (SOCI) による遅延読み込みをサポートしました。イメージ全体を事前ダウンロードする代わりに、実行環境の起動段階ごとに必要なファイルだけをオンデマンドで取得するため、コンテナ起動時間を最大 70% 短縮できます。数 GB 規模のイメージを使うデータ処理パイプラインや ML フレームワーク同梱アプリケーションで、スケールアウト時やバージョン公開時の起動遅延を抑えられます。利用方法は、イメージの SOCI インデックスを作成して Amazon ECR にプッシュし、関数のイメージ URI を SOCI インデックス付きタグに向けるだけで、追加の設定は不要です。Lambda Managed Instances が利用可能なすべての AWS 商用リージョンで利用できます。
- AWS Backup の restore testing が Amazon Redshift をサポート
- 10/29(木)
- Amazon Redshift が手動操作不要の自動クロスリージョンバックアップを発表
Amazon Redshift に自動クロスリージョンスナップショットコピー機能が追加されました。プロビジョンドクラスターおよび Serverless ワークグループの最新スナップショットを、指定した宛先リージョンへ継続的かつ増分的に自動コピーします。従来のクロスリージョンスナップショットコピーと異なり、ソース側のスナップショットスケジュールに依存せず、常にシステム上の最新スナップショットがコピー対象になります。これにより、リージョン障害などの予期しない停止が発生した際に、手動でコピーを開始する必要がなくなります。AWS 商用リージョンおよび GovCloud (US) の全リージョンで利用できます。 - Amazon Aurora がポスト量子 TLS 鍵交換をサポート
Amazon Aurora PostgreSQL 互換エディションが、ポスト量子 TLS (PQ-TLS) 鍵交換に対応しました。Aurora PostgreSQL 18 以降で ssl_groups クラスターパラメータを変更できるようになり、NIST FIPS 203 で標準化された ML-KEM-768 と古典暗号を組み合わせたハイブリッド鍵交換グループ (X25519MLKEM768、SecP256r1MLKEM768) を選択できます。これにより、暗号化通信を今記録しておき将来の量子コンピュータで復号する Harvest Now, Decrypt Later 攻撃から、転送中のデータを保護できます。パラメータは動的に適用され、再起動は不要です。 - Amazon RDS for Oracle および SQL Server が追加ストレージボリュームでのストレージオートスケーリングをサポート
Amazon RDS for Oracle と Amazon RDS for SQL Server の追加ストレージボリューム (additional storage volumes) で、RDS ストレージオートスケーリングが利用できるようになりました。追加ストレージボリュームは最大 3 つまで追加でき、プライマリボリュームと合わせて 1 インスタンスあたり 256 TiB まで拡張できる機能です。これまではプライマリボリュームのみオートスケーリングに対応しており、追加ボリュームは需要を見込んで手動でプロビジョニングする必要がありました。今回のアップデートにより、ボリュームごとに最大ストレージしきい値を設定するだけで、RDS が使用量を監視して自動で容量を拡張します。追加料金はなく、ダウンタイムも発生しません。全ての商用リージョンと AWS GovCloud (US) リージョンで利用できます。
- Amazon Redshift が手動操作不要の自動クロスリージョンバックアップを発表
- 10/30(金)
- Amazon SageMaker AI 推論がリアルタイムエンドポイントで GPU パーティショニングをサポート
Amazon SageMaker AI のリアルタイム推論が、NVIDIA Multi-Instance GPU (MIG) 技術による GPU パーティショニングに対応しました。1 つの GPU を最大 7 個の独立したパーティションに分割し、それぞれに別のモデルを配置できます。各パーティションは専用のコンピュートスライスと GPU メモリを持つため、同居するモデル同士が性能に干渉しません。これまで GPU 全体を占有していた埋め込みモデルや分類器などの小〜中規模モデルを 1 つの GPU に集約でき、インスタンスコストを削減できます。P4d、P5、G7、G7e インスタンスで利用でき、東京リージョンを含む 7 リージョンで提供されます。 - AWS WAF が Amazon CloudFront ディストリビューション向けの自動 SDK 統合を発表
AWS WAF は、CloudFront ディストリビューション向けに AWS WAF JavaScript SDK の自動統合 (automatic SDK integration) を発表しました。この機能を有効にすると、CloudFront がエッジで配信する HTML に SDK のスクリプトタグを自動挿入するため、アプリケーションコード、ビルドプロセス、デプロイの変更が不要になります。対象は Bot Control (targeted 検査レベル)、Fraud Control ATP、Fraud Control ACFP の 3 つのマネージドルールグループで、これらが必要とするクライアントサイドシグナルの収集を自動化します。追加料金はありません。従来は全ページへのスクリプトタグの手動追加と維持が必要で、タグの入れ忘れによる誤検知が起きやすい構成でしたが、この作業が不要になります。
- Amazon SageMaker AI 推論がリアルタイムエンドポイントで GPU パーティショニングをサポート
それでは、また来週お会いしましょう!