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事例から学ぶAWS Educateの授業での活用法
AWS Educateは14歳以上の学生がクラウドについて学習するためのオンライン教材と実習のためのAWS利用クレジットを提供する無償のプログラムです。
AWS Educateを活用し、世界中で数十万人の学生がクラウド技術を学んでいます。学生が自習するだけではなく授業やハッカソンなどのイベントでもAWS Educateが活用されています。
具体的にAWS Educateを使った授業を行うためにどのような準備をすればよいのか、一例をご紹介したいと思います。
まず授業を行うには大きく分けて二つの方法があります。
【方法1】教員がAWS Educateのメンバーになり教員ポータルの機能を使い学生を招待したり、クラス専用のクレジットを配ったりする(※クラス専用クレジットは機関加盟している教育機関の教員メンバーだけが使える機能です。)。
【方法2】教員ポータルの機能は使わずに独自にクラス運営を行い、AWS Educateが提供する利用クレジットを実習のために使わせる。
どちらでも自由に選んでいただけます。最初にAWS Educateを使った授業をされる場合、後者の教員ポータル機能を使わずに授業を行われている(方法2)場合が日本では多いです。理由はクラス作成リクエストなどの教員ポータル内での作業が発生せず簡単に授業の準備が行えるためです。
教員ポータルのクラス管理機能を使わずに簡単に授業を行う場合の流れをご紹介します。
1.教員が学生にAWS Educateのメンバー登録するようにメールで申し込みフォームのURLを案内する。学生の申し込みフォーム:https://www.awseducate.com/registration#INFO-Student
2.学生は各自でWebの申し込みフォーム(リンク)に必要事項を入力し、申し込みを行う。(原則として学校から提供されるメールアドレスでのお申し込みが必要です。学校から提供されたメールアドレスが無い場合は他の方法がありますので後述します。)
3.申し込んだ学生に申し込みに使ったメールアドレス宛に確認メールが届くので本文内の確認リンクをクリックする。確認が行われないと審査に進めず申し込みが承認されないままになります。
4.メールアドレス確認後、申込内容に不備が無ければ翌日中には審査が完了し、学生にWelcomeメールが届く。
5.学生はWelcomeメール内のリンクよりパスワード設定を行い、ポータルにログインする。
6.初回ログイン後、初期画面右に表示されているセクション内でスターターアカウントを使うかご自身のAWSアカウントIDを使うかを選択してください。スターターアカウントはクレジットカードの登録が不要な学習用コンソールです。(スターターアカウントで使用できるサービスリスト)
以上で実習を行う準備が完了します。
申し込み時の入力画面(6月より新しくなり、入力項目が減り簡単になりました。)
- 教育機関名:英語表記で。加盟校であれば途中まで入力いただくとリストアップされますので該当の校名を選択してください。
- 国・地域:日本・Japanを選択してください。
- 名と姓:ローマ字表記または外国人の方は英語表記で記入してください。
- Eメール:学校から提供されているメールアドレスが原則です。無い場合は任意で構いませんが学生証などの証明のデータの提出を後からお願いする連絡が送られます。
- 卒業、誕生年月:資格確認をしますので正確に入力してください。
- プロモーションコード:オプションですので受け取っている場合だけご記入ください。
申し込み時の入力事項の誤りなどが原因で、申し込みの承認が完了するまでに3日程度を要する場合があります。(誕生年月の誤記で14歳未満と判断されてしまう、卒業年月の誤記ですでに卒業したと判断される、メールアドレスの誤記で確認が完了しないままになるといったことが多いです。)余裕を持って授業で実習をされる日の一週間前には学生の方が申し込みを行うよう指示をしてだくことをお勧めします。
なお学校が学生にメールアドレスを提供していない場合は以下の方法があります。教員メンバーが教員ポータルから学生を招待する方法や、必要に応じて提供されるプロモーションコードを発行する方法で学生は申し込みを行うことが可能になります。
実際にAWS Educateのスターターアカウントを使って行われた授業として、岐阜工業高等専門学校専攻科の先端融合開発専攻で行われた「構造解析学特論」をご紹介します。
この授業では先端融合開発専攻の学生がオープンソースのCAEツールである”DEXCS-WinXistr”のシステム環境をクラウド上に起動、操作する方法を専攻科1年(大学3年生に相当)の学生が学習しました。その後その解析環境を使って授業を続けていくことになっています。具体的には、演習用テキストをベースにし、アクティブラーニングとして学生自らが演習を進める形式です。この演習を実現するには、特定の演習室の利用では実現できず、「いつでも・どこでも」解析環境にアクセスできるクラウドの効果が発揮されています。
教員側はオープンソースのソフトウエア環境を学生用の端末すべてに構築する必要がなく、授業の中で学生自身に必要な環境を短時間でクラウド上のリソースに構築させることができました。さらに、クラウド上に環境が存在することで、どこからでも実習環境にアクセスすることが可能となり、自宅からでもクラウド上の高速なコンピューティングリソースを利用して、実習の続きや復習が行えるようになりました。実は以前の授業では、学生各自のPCに解析環境を構築する作業を行なっており、この時には授業時間全体の3割ぐらいが、準備作業に費やされてしまい、本来の目的である構造解析演習が十分できない反省があったそうです。
教材スライドの一例:EC2の説明
■実際の学生の様子
この授業を履修した学生はAWSスターターアカウントを事前に登録して、最初の授業に出席しました。授業の中ではクラウドコンピューティングについて概要を紹介した後、AWSのマネジメントコンソールからAmazon EC2を立ち上げて、この先の授業で使用するCAE環境を起動しました。学生は全員、AWSの操作ははじめてでしたが、30分ほどの簡単な操作レクチャーで、全員がクラウド上に授業用の環境を起動できました。(下は学生がクラウド上に構築したCAE環境のデスクトップ画面です。)
こちらは授業の様子です。クラウドに関する部分の講師はソリューションアーキテクトの小川が担当しました。
AWS Educateを授業で使用するメリットは以下のようなものが有ります。
- クレジットカード不要かつ無償で学生がAWS環境を持つことができる。
- AWSの利用枠が決まっている為、予算オーバーや費用請求の心配をせず使える。
- 学生が共通の演習環境を利用するため、互いの解析技術の情報共有が進む。
(授業で使わせる場合の注意点)
- スターターアカウントで利用できるリージョンやサービスに制約がある。
- クレジットを無駄遣いしないようインスタンスの停止を習慣づける指導が必須。
- 加盟校になることで所属する学生ならびに教員に付与されるクレジットが増えるので早めに準備を始め加盟校になっておく方がよい。
(教員の柴田先生からのコメント)
- 学生が自ら学ぶ環境として、自由度の高いクラウドは非常に効果的です。
- 高性能なインスタンスを用意することで、大規模解析にも展開できます。
- 解析システムをブラックボックスではなく、学生が仕組みを理解して利用できました。
(参加された学生からのコメント)
- 研究室のPCにソフトウエアを追加せずに、ブラウザでアクセスできるのは便利。
- 仲間と全く同じ解析環境なので、お互いの解析ノウハウを確実に共有できる。
以上です。是非AWS Educateを授業でご活用ください。
【問い合わせ】aws-jpps-qa@amazon.com パブリックセクター エデュケーションプログラム担当 澤