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Amazon ECS の 10 周年を祝う: 10 年間にわたるコンテナ化イノベーションの推進

10 月 28 日、私たちは Amazon Elastic Container Service (ECS) の 10 周年と、クラウドで可能なことの限界を押し広げてきたそのすばらしいジャーニーをお祝いしたいと思います! Amazon Web Services (AWS) で Docker コンテナの実行を効率化するソリューションとして始まったものが、シームレスなコンテナオーケストレーションを実現する AWS Fargate を使用したサーバーレスオプションなど、優れたパフォーマンスと運用のシンプルさの両方を提供する基盤テクノロジーへと進化しました。

過去 10 年間で、Amazon ECS は数え切れないほどの組織にとって信頼できるソリューションとなり、インフラストラクチャの課題に悩まされることなく運用を強化するために SmugMug などのお客様が頼りにする信頼性とパフォーマンスを提供してきました。SmugMug の Principal Engineer である Andrew Shieh 氏は、Amazon ECS が、AWS にシームレスに移行したり、PB 規模の写真を Amazon Simple Storage Service (Amazon S3) に移行するなど、膨大なデータの操作を効率的に処理したりする際に「縁の下の力持ち」として役立ってくれたと述べています。「コンテナのスピンアップが驚くほど速いため、お客様にすばらしいエクスペリエンスを提供できます」と同氏は付け加えます。このような信頼できるサポートのおかげで、Amazon ECS はデベロッパーやプラットフォームチームに好まれ、長年にわたってソリューションのスケールとイノベーションに役立っています。

2010 年代初頭、Docker などのコンテナ化されたサービスが普及するにつれて、デベロッパーは、この新しいパラダイムでアプリケーションを管理およびスケールする効率的な方法を探し始めました。従来のインフラストラクチャは扱いにくく、コンテナの大規模な管理は困難でした。Amazon ECS は 2014 年に登場しました。これはまさに、デベロッパーがコンテナの大規模な導入を検討していた時期でした。Amazon ECS は、AWS でのコンテナオーケストレーションを合理化する、信頼性の高いフルマネージドソリューションを提供しました。チームは、クラスターや複雑なインフラストラクチャの管理のオーバーヘッドなしでアプリケーションの構築とデプロイに注力でき、クラウドネイティブ開発の新しい時代を切り拓きました。

Amazon ECS チームがサービスの構築に着手したとき、そのビジョンは明確でした。Amazon ECS を立ち上げた Product Manager であり、現在は VP of Next Generation Developer Experience を務める Deepak Singh は当時、「当社のお客様は、AWS と深く統合され、大規模に機能し、成長に合わせて拡張できるソリューションを求めていました」と述べていました。 Amazon ECS は、スケーラビリティ、可用性、回復力、セキュリティなど、AWS が提供する最高の機能を使用して、お客様が安心して本番環境でアプリケーションを実行できるように設計されました。

進化
Amazon ECS は、過去 10 年間、お客様のために一貫してイノベーションを続けてきました。これは AWS におけるコンテナイノベーションジャーニーの始まりであり、企業がアプリケーションを構築および管理する方法を変革した、コンテナ関連サービスのより広範なエコシステムへの道を開きました。

Smartsheet は、Amazon ECS、特に AWS Fargate がこれまでに同社のビジネスにもたらした大きな影響を誇らしげに称賛します。「当社のチームは、より頻繁にデプロイし、スループットを増大させ、デプロイにかかるエンジニアリング時間を数時間から数分に短縮できます。週 1 回だったデプロイは、1 日に複数回行われるようになりました。また、以前は少なくとも 2 人のエンジニアを要し、何時間もかかっていた作業が、数分にまで短縮されました」と Smartsheet の Distinguished Engineer である Skylar Graika 氏は述べています。 「この 1 年で、キャパシティを 50 倍にスケールアウトできたほか、AWS サービス間の緊密な統合を活用することで、効率性を高め、セキュリティとコンプライアンスのプロセスを簡素化できました。さらに、Fargate デプロイで AWS Graviton を採用することで、コストを 20% 削減できました」。

Amazon ECS は、AWS における 10 年間のコンテナ進化の出発点として極めて重要な役割を果たしました。そして今日でも、極めてスケーラブルで信頼性の高いコンテナオーケストレーションソリューションの 1 つとして、Amazon が 7,724 万もの ECS タスクを立ち上げた Prime Day 2024、Amazon ECS をコアアーキテクチャの一部として使用する、生成 AI を利用したショッピングアシスタントエクスペリエンスである Rufus など、大規模な運用を支えています。

Instrumental の ML Engineering Manager であり、AWS Machine Learning Hero でもある Rustem Feyzkhanov 氏は、このサービスを導入することで得られる効率性の向上をすぐに認識しました。「Amazon ECS は、私たちの仕事に欠かせないツールとなりました」と Rastem 氏は述べています。「過去数年にわたって、コンテナ管理とサービスのスケーリングが簡素化され、インフラストラクチャではなく開発に注力できるようになりました。このサービスにより、アプリケーションコードチームがインフラストラクチャを共同所有できるようになり、開発プロセスがスピードアップします」。

タイムライン
ECS の進化を形作った重要なマイルストーンのいくつかを見てみましょう。これらは、お客様が AWS でコンテナの力を活用する方法を変えた重要な瞬間です。

2014 年Amazon EC2 Container Service をリリースしました! – ECS のプレビューモードでのリリースを記念した、懐かしいブログ記事をご覧ください。この記事を読むと、サービスの提供開始時からいかに多くの機能が提供され、最初から大きな影響をもたらしているのかがわかります。 お客様は既に、組み込みのリソース管理とタスクスケジューリングを使用して、Amazon Elastic Compute Cloud (EC2) インスタンスのクラスターで Docker コンテナを実行、停止、管理することができました。2015 年 4 月 9 日に一般提供が開始されました。

2015 年Amazon ECS 自動スケーリング – より多くの Amazon CloudWatch メトリクスのサポートが追加され、お客様は、クラスター内の CPU とメモリの使用状況をモニタリングして自動スケーリングのしきい値を設定することで、クラスターを自動的にスケールインおよびスケールアウトできるようになりました。これは、一見控えめなリリースが、お客様に大きな影響をもたらし得ることを示すすばらしい例だと思います。もう 1 つのインパクトのあるリリースは、コンテナのストレージとデプロイを効率化するフルマネージドコンテナレジストリである Amazon ECR の提供開始です。

2016 年ECS 向け Application Load Balancer (ALB) – ECS 向け ALB の提供開始により、コンテナ化されたアプリケーションのために高度なルーティング機能が提供されました。ALB により、マイクロサービス間の負荷分散がより効率的になり、ECS ワークロードのトラフィック管理とスケーラビリティが改善されました。また、この年には、いくつかの AMI による Windows Server 2016 のサポートの追加や、Windows Server Containers のベータサポートなど、Windows ユーザーはさまざまなリリースの恩恵を享受しました。

2017 年AWS Fargate の提供を開始しました! – Fargate は、基盤となるインフラストラクチャを管理せずにコンテナを実行できるという大きな前進となり、お客様の運用が大幅に効率化されました。デベロッパーは、コンテナが実行される EC2 インスタンスのプロビジョニング、スケール、またはメンテナンスについて心配する必要がなくなり、アプリケーションロジックに完全に注力し、その他を AWS に任せることができるようになりました。これは、デベロッパーがより迅速にスケールしてより自由にイノベーションを行うのに役立ち、クラウド中心のジャーニーが加速され、コンテナ化されたアプリケーションに対するアプローチが変革されました。

2018 年AWS Auto Scaling – このリリースにより、チームは Amazon ECS タスクのスケーリングプランを簡単に構築できるようになりました。また、この年には、Amazon ECR を Amazon ECS コンソール外の独自のコンソールエクスペリエンスに移行するAmazon ECS と AWS Cloud Map を統合するなど、多くの改善もリリースされました。さらに、AWS Fargate の採用は世界中のリージョンで拡大し続けました。

2019 年Amazon ECS で使用可能な Arm ベースの Graviton2 インスタンス – AWS Graviton2 は、多くの企業が持続可能性の目標の優先順位付けの見直しに目を向けていた時期にリリースされました。Graviton2 を搭載し、パフォーマンスの改善と電力使用量の削減に重点を置いた EC2 インスタンスは、リリース初日から Amazon ECS でサポートされました。お客様は、クラウド向けに特別に構築されたこの画期的なカスタムチップセットを最大限に活用できました。この年のもう 1 つの大きなハイライトは、AWS Fargate Spot のリリースです。これは、お客様が大幅なコスト削減を実現するのに役立ちました。

2020 年Bottlerocket – コンテナの実行に最適化されたオープンソースの Linux ベースのオペレーティングシステム。セキュリティの強化と更新の簡素化を目的として設計された Bottlerocket は、Amazon ECS ユーザーがコンテナ化されたワークロードの管理において、より高い効率性と安定性を実現するのに役立ちました。

2021 年ECS Exec – Amazon ECS は 2021 年 3 月に ECS Exec の提供を開始しました。これにより、お客様は、Amazon EC2 または AWS Fargate で実行中のコンテナ内で直接コマンドを実行できるようになりました。この機能は、コンテナの変更や再デプロイを必要とせずに、強化されたトラブルシューティングとデバッグ機能を提供し、運用ワークフローが合理化されました。また、この年には、Amazon ECS Windows コンテナがリリースされ、クラスターでコンテナを実行しているユーザーのオペレーションが合理化されました。

2022 年Amazon ECS が Service Connect の提供を開始 – ECS Service Connect のリリースは、サービス間ネットワークに伴う複雑さの多くを抽象化したため、Amazon ECS でマイクロサービスアーキテクチャを実行している組織にとって極めて重要な瞬間となりました。これにより、サービス間の通信の管理が大幅に効率化されました。ネイティブのサービス検出とサービスメッシュ機能により、デベロッパーは、サービスがシームレスにインタラクションする方法を定義および管理できるようになり、カスタムネットワークやロードバランサーを管理することなく、オブザーバビリティや回復力を高め、セキュリティを強化できました。

2023 年Amazon GuardDuty ECS ランタイムモニタリング – 昨年、Amazon GuardDuty は AWS Fargate 向けの ECS ランタイムモニタリングの提供を開始し、実行中のコンテナ内の潜在的な脅威を検出することでセキュリティを強化しました。この機能により、コンテナワークロードの継続的な可視性が提供され、追加のパフォーマンスオーバーヘッドなしでセキュリティ体制が強化されます。

2024 年Amazon ECS Fargate と EBS の統合 – 今年 1 月、Amazon ECS と AWS Fargate は Amazon EBS ボリュームのサポートを追加し、コンテナの永続ストレージを実現しました。この統合により、ユーザーは EBS ボリュームを Fargate タスクにアタッチできるため、ストレージのデプロイや大量のデータを取り扱うアプリケーションのサポートがはるかに簡単になります。

現状
Amazon ECS は現在、イノベーションを続けながら新規および既存のお客様の両方に大きな価値を提供することを可能にする成熟度に達しており、エキサイティングな状況にあります。今年はサービスに多くの改善が加えられ、ますます安全でコスト効率が高く、使いやすくなっています。

これには、Service Connect での TLS を使用した自動トラフィック暗号化のサポートタスクの停止エラーメッセージの強化 (タスクの起動失敗のトラブルシューティングが簡単になります)、タスクを再起動せずにコンテナを再起動する機能などのリリースが含まれます。AWS Fargate Spot を使用した Graviton2 ベースのインスタンスの提供開始は、お客様にとって、コスト削減額を倍増させる絶好の機会となります。

AWS ではいつものことですが、Amazon ECS チームはお客様の満足に非常に力を入れています。「Amazon ECS と AWS Fargate を使用すると、AWS が提供する強力なすべてのコンピューティングを、管理することなく活用しながら、差別化されたビジネスロジックに注力することが非常に簡単になります」と Director of Product and Science, Serverless Compute である Nick Coult は述べています。「これらのサービスについての当社のビジョンは、インフラストラクチャ管理を最小限に抑え、作成するコードを減らし、拡張性を考慮して設計して、高いパフォーマンス、回復力、セキュリティを推進できるようにすることでした。そして、それは現在でも変わっていません。また、当社はこの目標を念頭に置いて、過去 10 年間、これらの領域で継続的にイノベーションを起こしてきました。Amazon ECS では、セキュリティを損なうことなく俊敏性を提供し、デベロッパーに優れたエクスペリエンスを提供するとともに、より幅広くシンプルな統合を実現して、生成 AI などの新しいワークロードの新たな可能性を生み出すというコミットメントを堅持しています」。

まとめ
その歴史を振り返ると、ECS はお客様のニーズから逆算する AWS のアプローチの証であることは明らかです。コンテナオーケストレーションの合理化に取り組んでいた初期の頃から、Fargate と Service Connect の革新的な提供開始まで、ECS はデベロッパーと企業の両方の障壁を取り除くために一貫して進化してきました。

将来を見据えると、ECS は限界を押し広げ続け、さらに革新的でスケーラブルなソリューションを実現していくと思います。ECS が提供するものを引き続き探求し、新しい構築方法を発見して、プラットフォームの可能性を最大限に引き出すことを、あらゆるお客様にお勧めします。今後もさらに多くのことが予定されており、このジャーニーが私たちをどこへ連れて行ってくれるのか楽しみにしています。

学習リソース
Amazon ECS を初めてご利用になる場合は、包括的でわかりやすい「Amazon ECS の開始方法」ガイドを読むことをお勧めします。

いくつかの実践的な無料トレーニングでスキルを磨く準備ができたら、この記事で言及した機能の多くを含む、サービスの多くの側面をカバーするこのセルフペースの Amazon ECS ワークショップを試すことをお勧めします。

Amazon ECS に感謝します。また、このサービスを使用し、引き続きサービスの改善にご協力くださるすべての皆様にも感謝します。コンテナイノベーションの次の 10 年もすばらしいものとなりますように! 🥂

原文はこちらです。