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Hightail — クラウド上での創造的なコラボレーションを支援

Hightail (旧社名: YouSendIt) は、世界各地の 5,000 万人以上の専門家が優れたコンテンツをユーザーに提供できるよう支援することで、創造的な作業の確認、改善、承認方法を合理化しています。Hightail は、ファイル共有会社として 2004 年に設立されて以来、付加価値のある創造的なコラボレーションサービスの提供へと戦略的方向を転換し、著名な顧客を数多く獲得しています。

本日のゲスト投稿では、Hightail の技術担当上級副社長である Shiva Paranandi 氏が、同社が実施したオンプレミスからクラウドへのペタバイト単位のデータ移行について語ります。クラウドベンダーの評価プロセスと、すべてを AWS に移行した理由が述べられています。


Hightail はユーザーが大きなファイルを簡単に共有して保存できる方法を提供するために設立されましたが、それ以降、創造的なコラボレーションツールへと進化してきました。当社は、ユーザーがデジタル資産を管理、共有するだけの場所ではなく、創造的なチームを作り、顧客とつながり、創造的なワークフローを開発して、最初から最後までプロジェクトを管理できる場所になりました。現在では、LionsgateJimmy Kimmel Live! といった有名ブランドのコラボレーションサービスの原動力となっています。当社は、国内外の顧客が増える中で、製品開発とユーザーへのサービスに対して社内的により傾注する必要がありました。独自のデータセンターの運営には、予定していたよりも多くの時間、費用、人材が必要になることがわかりました。

より迅速に反復して顧客のニーズを満たし、市場までの時間を大幅に改善する手法が必要でした。データセンターのコストを削減し、世界各地の特定のリージョンで迅速にスケールアップする柔軟性が必要だったのです。新しい場所でのデータセンターの設営には長い時間がかかり、当社が達成できる成長ペースの妨げとなっていました。さらに、使用することもないストレージキャパシティーを所有することになる、ニーズに先回りした購入にはうんざりしていました。頻繁に使用しないデータを非アクティブなストレージに保持する一方で、顧客のリクエストに応じてそのデータを迅速に取り出せることでコストを削減する、階層型で非常にスケーラブルなストレージソリューションが必要でした。当社の主な推進力は俊敏性と革新であり、クラウドはそれらを強力に可能にしてくれます。それを踏まえて、ストレージとコンピューティングインフラストラクチャの管理にリソースを投入するのではなく、ビジネスを差別化する構想に時間とコストを費やすことができる、クラウドファーストのポリシーを採用することに決定しました。

AWS とクラウド競合他社の比較

移行の開始にあたって、まず AWS、Google、IBM、Microsoft を含むさまざまなクラウドベンダーの評価を行いました。当社にとっては明らかに AWS が抜きん出た選択肢でした。ある時点では、ニーズを満たすために複数のクラウドプロバイダーからのサービスを組み合わせることを検討しましたが、最適なルートは AWS を単独で使用することであると判断しました。トレーニング、同期、サポート、システムの可用性、それに他の移行や管理の要素を考慮すると、複数のクラウドを使用する手法は実用的ではありませんでした。最善のコスト削減と、ほかに例を見ないパートナーソリューションのエコシステムにより、他のベンダーは必要なく、すべてを AWS に移行することを選択しました。

AWS に移行することで、ギガバイトあたりの最低料金、リッチなエコシステムへのアクセス、社内の迅速な人材開発、SOC II コンプライアンスの維持が可能になりました。エコシステムは特に当社にとって重要で、非常に多くのパートナーを持つ AWS は競合他社とは一線を画していました。実際に、イメージのプレビュー、ビデオのエンコード、プレゼンテーションの提供などのサービスについて当社が依存しているすべてのベンダーは既にこのネットワークに参加しているため、既存の投資や専門知識を簡単に利用することができました。別のプロバイダーを選択していれば、既に正しく稼働しているプラットフォームからの移行が必要になりますが、これは当社にとって望ましい結果ではありませんでした。また、AWS のテクノロジーについて社内で開発できる人材の数も驚くべきものでした。AWS の使用に関する内部チームのトレーニングは、AWS カンファランス、トレーニング教材、サポートなどの利用可能なツールを使用した簡単なプロセスです。

ペタバイト単位のデータの移行

AWS を選択したことで、作業が簡単になりました。多くの場合、社内で使用していたよりも優れた機能が提供されました。オンプレミスストレージから AWS に数ペタバイトのデータを簡単に移行できました。AWS の Direct Connect により高速に処理を進めることができたため、3 か月ほどですべてのデータをプッシュできました。それによるユーザーへの影響はありませんでした。AWS Key Management Service を採用してデータを安全に保ち、それにより移行の際の安心感が得られました。顧客への影響が低いことを確認するため、当社データセンターと AWS にプッシュされたデータ間のチェックサムなどの方法を使用して、事前に広範な QA テストを実行しました。

AWS 上の新しいプラットフォームにより、ユーザーエクスペリエンスが大きく改善しました。信頼性、パフォーマンス、稼働時間において大きな改善が見られました。これらは当社の業務においてすべて非常に重要です。現在では、以前のデータセンターよりも最大 17 倍高速なアップロードおよびダウンロード速度を達成することができ、稼働時間も桁違いに向上しています。また、新しいリージョンへのサービスのデプロイにかかる時間も、90% 以上削減できました。以前は、新しいリージョンをオンラインにするには少なくとも 6 か月かかっていましたが、現在では、3 週間以内でリージョンを立ち上げることができます。AWS では、災害対策の目的で、リージョン間でデータをバケットレベルでレプリケートすることもできます。

コストを削減するため、ストレージインフラストラクチャを、アクセス頻度が高いデータと低いデータに分類することができました。Amazon S3 の階層化ストレージは大きな利点であり、これによりストレージコストを最適化することができ、製品開発へのより多くの投資が可能になっています。現在では、顧客のニーズを満たすために非アクティブ階層からアクティブ階層にデータを瞬時に移動でき、ストレージインフラストラクチャを過剰プロビジョニングする必要がなくなりました。ピーク負荷の時間中にサービスが自動的に拡張または縮小するのを見て、必要な分だけの支払いで済んでいることを知るのは爽快です。

全体として、当社はインフラストラクチャではなく開発により多く集中するという主要な戦略目標を達成しました。当社の移行はシームレスに感じられ、ここでお伝えできる進歩こそが、ワークロードを AWS で実行するのがいかに簡単であるかの真の証です。移行の成功要因の一部として、AWS チームから提供された専用サポートが挙げられます。サポートは本当に素晴らしいものでした。何人かの技術者は 24 時間 365 日チャットに対応してくれましたが、これは大規模な移行では不可欠なものでした。

-Shiva Paranandi 氏、Hightail 技術担当上級副社長

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Amazon S3 によるコスト効率の高い階層型データストレージの詳細について参照するか、AWS パートナーエコシステムで、お客様のニーズに最適なソリューションをお探しください。