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AWS Machine Learning コンピテンシーパートナーをご紹介
クラウドに駆られたイノベーションの中でも、特に人工知能 (AI) と Machine Learning (ML) はおそらく最もエキサイティングなものでしょう。たとえば IDC は、2020 年までに AI システムの市場価値が 460 億 USD になるだろうと予測しています。これは 2017 年の 125 億ドル (USD) からの上昇、そして複合年間成長率 (CAGR) は 54.4% の成長となります。さらに、AngelList によると AI に焦点を絞っているスタートアップ企業は 3000 社を超えているといいます。
ユーザーを詐欺から守ったり、簡単にエンターテイメントを見つけられるようにしたり、カスタマーエクスペリエンスの改善、産業機器が必要とするメンテナンスの時期を予測するなど、AI/ML は想像できる限りのあらゆるユースケースで応用されています。何よりも重要なのは、コンピュータビジョンアルゴリズムが放射線による診断を自動化したり、より正確に患者の健康状態を予測するために臨床上のデータを使用、そして精密医療が各患者の治療を個人別に調整するなど、医療業界においてこうした技術が応用されていることです。ML が次の救命薬を発見する可能性さえあるのです。
AI の成長予測は大胆ではありますが、研究といった枠を超えて実際のビジネス価値を生み出す方向に動いていることに懐疑的な声もあります。とは言っても、数多くのユーザーが AWS に加え、すでに AI/ML を大規模に適用し、あらゆる部分で様々な問題を解決しています。
Arterys のような AWS ユーザーは、医用画像診断にコンピュータビジョンを適用しています。Stitch Fix はファッションアドバイスに、Expedia は旅の情報収集、Redfin は不動産査定、Zendesk はカスタマーサポートに、そして 9fin は金融書類の分析、Signal Media はビジネスインテリジェンスといったように、他のユーザーも様々な方法に AI/ML を利用しています。さらに、ディープラーニング (DL) ベースの認知アルゴリズムを使用して、自動運転プラットフォームを構築している企業もいます。ML は法律文書を綿密にチェックする場合にも使われているほどです。
自分の好みをベースにしたお勧めの動画を提供したり、自動的に写真をタグ付けしたり、最新ニュースをストリーミングするなど、あなたのお気に入りのモバイルアプリは、すべて AI/ML 機能を使用しています。
こうした素晴らしいエクスペリエンスが可能であっても、まだチャレンジは残っています。たとえば、重要データを抱える顧客が ML モデルが使用できるような形式でそのデータを準備またはアノテーションしていることが少ないといった残念なケースもまだ頻繁に見られます。また、データを予測モデルにできるデータサイエンティストや ML ユーザーが不足していることも現状です。そして、エンタープライズにおいては ML をオペレーション可能にして生産規模に持っていくというチャレンジもあります。
AWS Machine Learning コンピテンシーとは?
市場の今後をサポートし、こうしたチャレンジに取り組んでいくため、AWS は本日 ML テクノロジーパートナー専用の AWS パートナーネットワーク (APN) コンピテンシーを新たに公開しました。また、2018 年にリリース予定のシステムインテグレータとコンサルティングカテゴリについても発表しました。それぞれの分野を率いるリーダー達が、AWS ユーザーが大規模に ML を適用できるようにサポートするため、AWS の顧客を重視した取り組みに参加して下さることを嬉しく思っています。
ML テクノロジーコンピテンシーパートナー
AWS ML コンピテンシーは、データサービス、プラットフォームソリューション、SaaS/API ソリューションなどを含む様々なユースケースに対し、実績ある技術と (または) 導入機能の提供を実現し業界をリードする AWS パートナーを紹介します。
データサービス
データサイエンティストは約 80% の時間をデータ分析の準備や管理に費やしています。これには準備、クリーニング、解析、アノテーション、データの全般管理などが含まれます。このカテゴリのパートナーは、予測モデルの最終トレーニングに使用するエンタープライズデータをデータサイエンティストや Machine Learning ユーザーが準備したりアノテーションを行うことをサポートします。たとえば、自動運転プラットフォームを構築している 10 社中 9 社が CrowdFlower プラットフォームを使用しています。そして、EBay や Autodesk といった世界中でも大規模な企業からも利用されています。
CrowdFlower もこのカテゴリのパートナーです。こうしたパートナー達はユーザーのデータにおけるチャレンジを解決するには適任であると AWS は考えています。
プラットフォームソリューション
データサイエンティストや ML ユーザーが不足しているため、その有効性を効率的なプラットフォームで最大限に引き出しながら、タスクを自動化することで時間を節約することが重要です。次世代プラットフォームは、データサイエンティストがデータを使用して予測モデルをトレーニングしたり、新しいデータを予測できる環境を提供します。数回のクリックでモデルをデプロイしたり、エッジ予測を行うために IoT デバイスにロードすることができます。たとえば、Databricks や C3 IoT はホスティングされているプラットフォームを提供します。Viacom や Caterpillar といったプラットフォームはユーザーに代わって手間の掛かるデータサイエンスに対処します。
次世代プラットフォームを提供する、C3 IoT を含むローンチパートナーは次の通りです。AWS では、こうしたパートナーが次の世代のデータサイエンティストや ML ユーザーの進み具合を加速させるだろうと考えています。
SaaS/API ソリューション
AWS のお客様の大半がデータサイエンスチームを用意していない状況にあります。または ML アルゴリズム開発にゼロから着手せずに、最も目的に適ったソリューションを探しているというケースが大方です。リソース制約、動機を製品化するまでに要する時間、または容易に入手可能なソリューションを魅力的に見せるための機会費用といったことがその理由に挙げられます。アプリケーションへ瞬時にインテリジェンスを提供できるパートナーの例には Luminoso (自然言語処理)、Anodot (時系列異常検出)、SigOpt (ML モデルの最適化) などがあります。
Anodot、Luminoso、SigOpt の他に、簡単なアプリケーションワークフロー統合のインテリジェントソリューションを提供しているパートナーのリストについては、次をご覧ください。
Machine Learning において AWS のパートナーになるという意味は?
AWS は、パートナーが独自の本番稼働用 ML を開発するには最高の場所を提供できると考えています。顧客チャンネルを介してパートナーが市場に出たり、AWS から離れることなく直接ソリューションを収益化することもできます。
Amazon AI で開発: リサーチサイエンティスト、データサイエンティストまたはアプリケーション開発者に、Amazon AI は手間の掛かる作業を排除するツールやサービスを提供し、ユーザーがより素早くマシンインテリジェンスを作成できるようにサポートします。APN パートナーは Amazon Lex や Amazon Polly といった AI サービスと統合したり、素早くプロトタイプを作成するために AWS のディープラーニング Amazon マシンイメージ (AMI) を使用してすぐ作業を開始することができます。
APN を使用して市場に: AWS パートナーネットワーク (APN) は AWS のグローバルパートナープログラムです。このプログラムはビジネス、技術、マーケティング、市場展開におけるサポートを提供することで、パートナーが AWS ベースのビジネスやソリューションを上手く構築できるようにサポートします。ビジネス成長そしてより良いサポートを顧客に提供できるようにするため、APN パートナーにはビジネス、技術、販売、マーケティングリソースが提供されます。
AWS Marketplace で収益化: Amazon AI サービスを開発に使用するほか、APN を販売チャンネルとして利用することができます。AWS では、AWS Marketplace が APN パートナーに独自の便利なチャンネルを提供することで、顧客がパートナーソリューションを検索、サブスクライブ、デプロイすることができると考えています。パートナーは AWS Marketplace を信頼できるチャンネルとして使用することができ、ディストリビューション、消費量、請求などのシステムを構築せず、直に顧客にアピールすることができます。
コンピテンシーパートナーとは?
AWS コンピテンシープログラムはグローバル APN パートナープログラムです。このプログラムは、お客様や販売者に最適の候補となる APN テクノロジーやコンサルティングパートナーについてアドバイスします。こうしたパートナーは、ビッグデータ DevOps や IoT など特定のソリューション分野において、豊富な経験や実証された顧客との成功を備えています。医療やライフサイエンス、金融サービス、デジタルメディアなどのバーティカルマーケット、そして Microsoft ワークロードや SAP を含むエンタープライズビジネスアプリケーションが対象となります。AWS コンピテンシーは APN ネットワークに参加している何万社という数の中から検索対象を素早く絞ることで、顧客の特定なビジネスニーズに適した専門知識を提供する APN パートナー探しをお手伝いします。
次のステップとリソース
- re:Invent 2017 で開催された次のセッションをご覧ください。
- GPSBUS201 – GPS: 人工知能、Machine Learning、ディープラーニング: 誇大宣伝の内側を見る (GPSBUS201 – GPS: Artificial Intelligence, Machine Learning, Deep Learning: Cutting through the Hype)
- GPSBUS203 – GPS: AWS パートナーネットワーク 2018 年とその先: 利益率が高く成功するAWS プラクティスとソリューションの構築 (GPSBUS203 – GPS: AWS Partner Network 2018 and Beyond: Building Successful and Profitable AWS Practices and Solutions)
- GPSCT401 – GPS: AI でアプリをさらに賢く (GPSCT401 – GPS: It’s Alive! Making Our Apps Smarter with AI)
- GPSTEC305 – GPS: 資本市場の Machine Learning (GPSTEC305 – GPS: Machine Learning in Capital Markets)
- GPSTEC311 – GPS: AWS で AI/ML を使用して顧客のセキュリティを強化 (GPSTEC311 – GPS: Enhancing Customer Security Using AI/ML on AWS)、GPSTEC326 – GPS: Industry 4.0: AI と将来の製造について (GPSTEC326 – GPS: Industry 4.0: AI and the Future of Manufacturing)
- Amazon AI サービスとツールを使用して開発を始めよう
- APN に申し込み ML コンピテンシーに参加 (現在はテクノロジー APN パートナーのみ)
- AWS Marketplace でご自分のソリューションを紹介してみませんか?
今回のブログの投稿者について
Joseph Spisak 氏は、人工知能と機械学習に主眼を置いた AWS のパートナーエコシステムチームのリーダーです。17 年以上にわたり、Amazon、Intel、Motorola などの企業で主に動画や機械学習、AI を扱い、ディープテックの経験を積んできました。休日にはアイスホッケーをしたり、SF 小説を読むのが楽しみとのこと。