Amazon Web Services ブログ
AWS で Virtual Live Remote Production を実現するメディア向け Partner Acceleration イニシアチブのご紹介
はじめに
メディア＆エンターテインメント（M&E）業界は、エンドツーエンドでのライブリモートプロダクションのワークロードを実現するため、クラウドへの移行が加速している状況を目の当たりにしてきました。この動向は、リモートワークが新しい生活様式となったことや、制作コストを削減する必要が増し、新たな収益源を開拓したいという願望によって促進されています。Amazon Web Services (AWS) は、クラウドでのライブプロダクションを実現すべく、お客様やパートナージャーニーを円滑に進められるよう支援するため、Virtual Live Remote Production (vLRP) Partner Acceleration イニシアチブを立ち上げました。
このイニシアチブは、テクノロジーギャップを埋め、放送ソリューションポートフォリオを拡大することを目的としたターゲットを絞ったフレームワークであり、その結果、現在および将来のパートナーと M&E コミュニティの双方にワークロードの成果をタイムリーにもたらします。 vLRP イニシアチブに参加している AWS パートナーは、Well-Architected Framework (WAF) に基づいて AWS でソリューションを開発し、AWS のベストプラクティスを一貫して採用しています。これにより、さまざまな製品にわたってベスト・プラクティスをスケールできるようになり、その結果、顧客が利用できるソリューションの規模を加速させることができます。
参画するパートナーは、このイニシアチブに対する感想として、次のように述べています。
「クラウドでのライブコンテンツの制作を希望しているお客様の苦悩や摩擦を軽減する最善の方法は、ベンダーが一丸となって革新、教育、コラボレーションを行うことです。Virtual Remote Live Production (vLRP) イニシアチブは、この分野における多くのリーダーたちと共にクラウドでの制作の未来を築く、素晴らしい機会を提供してくれます。」— Ulrich Voigt — VIZRT GROUP, Global Head of Product Management
「Diversified は、vLRP プログラムによって、前例のないクラウドでの相互運用性、システムの柔軟性、スピード、および展開規模が実現できると考えています。当社が Amazon のグローバルシステムインテグレーターに選ばれたことを光栄に思っています。次世代のベストオブブリードのクラウドエンゲージメントを簡素化しながら実現していきます。」— Tom Carlisle — Diversified, Emerging Technology & Solutions, Media Cloud Solutions Leader
「Telos Alliance はここ数年、クラウドインターコム (インカム) とクラウドミキシングのソリューションを開発してきましたが、AWS と共に協業するベンダーから成るコミュニティの一員として加わり、vLRP イニシアチブでリアルタイムプロダクションの実現を目の当たりにできることを嬉しく思います。」— John Schur — Telos Alliance, solutions group, president
「Matrox Video は、この新たなクラウドベースのイニシアチブで AWS と協業できることを嬉しく思っています。なぜならば、このイニシアチブは、放送局がクラウドで一流のコンテンツ制作を配信するうえで、重要な一歩となるからです。当社の歴史を通じて、私たちはベストオブブリードのオンプレミス放送ワークフローを実現するために、基盤となるテクノロジーをソリューションプロバイダーに提供してきました。業界がクラウドに着目する中、私たちは妥協することなく、当社の経験と知見を活かし、破壊的革新をもたらすメディア開発フレームワークで、クラウドの非同期性を利用する態勢を整えています。」— Francesco Scartozzi, Matrox Video, Sales & Business Development, Vice President
「AWS virtual live production accelerator (vLRP) イニシアチブに参画できることを大変嬉しく思います。Chyron PRIME や LIVE プラットフォームは、その高度なグラフィックとライブプロダクションの機能により、vLRP エコシステムに多くの価値をもたらすと信じています。このエコシステムには、AWS 上で稼働している各分野の大手ベンダーの最先端のプラットフォームが含まれているので、世界中のコンテンツクリエーターは、現在および将来の最も要求の厳しいライブプロダクションのニーズに応えるため、ベストオブブリードの制作環境をオンデマンドで構築することができます。」— Mathieu Yerle- Senior Vice President, Strategy & Product
「私たちは、この vLRP イニシアチブを通じて AWS をはじめとする業界のリーダーたちと連携が図れることを誇りに思います。」とソニー株式会社メディアソリューションビジネス、シニア・ゼネラルマネージャーの村田 雅和氏は語っています。「ソニーは、クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たすことを存在意義として掲げています。当社のソリューションにより、お客様は、オンプレミスであろうとクラウドであろうと、リソースの最適な組み合わせを使用して、どこからでも、あらゆる規模で高品質のコンテンツを制作できます。 AWS のリーダーシップと私たちの総合的な専門知識によって、新たなレベルでのクリエイティビティと生産性を解き放つことができ、お客様に利益をもたらすと確信しています。」
vLRP イニシアチブでは、複数のパートナーとの連携とソリューションの最適化を加速するために、「 The Global Control API Interoperability 」と呼ばれるサブストリームを導入しました。これは、ソリューション同士が軽量かつ依存しない方法で通信することを促し、統合の障壁を減らことで、製品やソリューションの構築、テスト、統合、および市場投入を加速させることを目的としています。また、Advanced Media Workflow Association (AMWA) が開発した NMOS IS-12 specification を使用して、明確に定義された制御プロトコル内でマルチベンダーとの連携によってもたらされる、集合的かつ累積的な機能を活用することも目指しています。
参画している AWS パートナーは、AWS のベストプラクティスへと導くためのビジネスおよび技術的な専門知識のサポートを受けることができるほか、イノベーションのための資金提供も受けられます。さらに、このイニシアチブには、最小限の機能のみを備えた製品の MVP マイルストーンの域を超えて、パートナーをサポートする「Feature-Up」の要素が導入されているため、パートナーは新しい AWS の製品や機能を自社製品に迅速に統合できるようになります。vLRP イニシアチブは、パートナーがソリューションを開発およびスケールするための包括的フレームワークを提供し、お客様や業界全体のニーズを満たすことを可能にします。
効果
vLRPイニシアチブは、AWSのお客様とテクノロジーベンダーの双方にさまざまなメリットをもたらします。お客様にとってのメリットは、ワークフローにおけるアジリティの向上、マルチベンダーソリューションによるイノベーション、業界のテクノロジーベンダーが提供するさまざまなソリューションや製品へのアクセス、容易なデプロイ、統合、モニタリング/オブザーバービリティが挙げられます。
AWS パートナーには、特定されたワークロードを AWS のベストプラクティスを用いて変革するために、AWS がパートナーと協力することに焦点を当てたアプローチがこのイニシアチブで提供されます。このコラボレーションの一環として、関連する AWS のイニシアチブが一元的なビューに統合されるため、パートナーは個々の進行やプロセスを理解するために必要となる労力を削減することができます。さらに、パートナーには、さまざまな製品にわたってクラウドジャーニーを加速させるための、反復可能なプロセスが備わっており、その結果、変革を加速させ、効率を改善できます。
次の図は、イニシアチブのステージを示しています。
図 1 : イニシアチブのステージ
イニシアチブのインプットには、Amazon Partner Network (APN) ジャーニーにおいてパートナーがどのステージにいるかに応じて、ビジネス要件と技術要件を特定すること、また、目標を絞った deep dive を通じて、パートナーの技術的およびビジネス上のビジョンに対応するためのコラボレーションワークショップも含まれています。
イニシアチブのアウトプットには、明確なマイルストーンや共有される責任を定義したコラボレーション計画の策定、および定義されたマイルストーンに向けた進捗状況の監視と微調整のメカニズムが含まれています。マイルストーンの例としては、アプリケーションのモダナイゼーション、AWS へのソリューションの移行、Well-Architected フレームワークのベストプラクティスを用いた既存製品の改善等に向けた道のりが含まれることがあります。
イニシアチブの成果物には、MVP の実現や、パートナーと合意した目標に沿って市場投入を目指す、AWS Marketplace への自社製品の掲載、SaaS ソリューションの構築などが含まれます。
パートナーエネーブルメント:イニシアチブを介して、トレーニング、認定、カスタムエネーブルメントが、パートナージャーニーを通して提供されます。
フォーカスエリア
vLRP イニシアチブの最初のイテレーションでは、ライブリモートプロダクションのワークロードにおいて以下の重点項目を対象としています：ビジョンミキシング、オーディオミキシング、インターコム (インカム)、マルチビューア、カメラコントロール、ルーティング、ニュースルームコントロールシステム、プロダクショングラフィックス、リプレイ、およびマルチベンダーとの連携を合理的に行うためのシステム統合。
参画企業
現在 8 社の AWS パートナーが vLRP Partner Accelerator イニシアチブに参画しており、今後さらなるパートナーの加入を予定しています。
4 月 16 日から 19 日まで、ラスベガスコンベンションセンターで開催されるた NAB2023 の AWS ブースでは、ベンダーが提供するさまざまな製品やデモをご紹介しました。
参考リンク
AWS Media Services
AWS Media & Entertainment Blog (日本語)
AWS Media & Entertainment Blog (英語)
AWS のメディアチームの問い合わせ先: awsmedia@amazon.co.jp
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翻訳は BD 山口、SA 石井が担当しました。原文はこちらをご覧ください。