Amazon Web Services ブログ
あなたのクラウドキャリアの始め方:Blog #2 – 面接に向けた自分の強みの整理
このブログは 2021 年 6 月 1 日に Shefali Emmanuel (Associate Solutions Architect) と Carole Suarez (Startup Solutions Architect) によって執筆された内容を日本語化したものです。原文はこちらを参照してください。
著者コメント:この記事は、AWS のクラウド技術職への応募に興味を持っている大学生、大学院生、第二新卒の方々に向けて書かれたものです。特に AWS のアソシエイトソリューションアーキテクト、アソシエイトテクニカルトレーナー、アソシエイトテクニカルアカウントマネージャー、アソシエイトカスタマーソリューションマネージャー、アソシエイトプロフェッショナルサービスコンサルタントのポジションに興味を持つ人に最適な記事です。
前回のブログでは、AWS における技術的なポジションと、それぞれに求められるスキルセットについて紹介しました。この第二弾の記事では、あなたの志望するクラウド技術職に就くために知っておくべき技術トピックや、面接に向けた準備方法について説明します。具体的には、あなたが持っている技術スキルの評価、Amazon の中心的な文化・原則である Our Leadership Principles (OLP)、面接であなたの経験やエピソードを面接で効果的に伝えるための STAR フォーマットについて解説します。
クラウドキャリアを歩み始める方が理解しておくべき基礎的な技術領域
現時点においても、もしかしたらあなたは AWS のサービスについてよくご存知かもしれません。ただし、AWS が提供している 200 を超えるサービスや、関連する多様な技術領域のそれぞれの使い方について精通するのは、大変なことだと感じられるかもしれません。ここで重要なのは、特にキャリアの最初のうちにおいては、データベースや機械学習などの特定分野に特化していない可能性があるということです。特定の領域に特化していない職種、いわゆるジェネラリストとしての仕事は、プロになるための第一歩として一般的であり、そして、様々な分野の知識を吸収するために最適な方法です。ジェネラリストとして働く経験を通して、特に興味のある領域を見つけ、自分の専門分野として選ぶこともできます。つまり、私たちがここで伝えたいのは、今の段階において、あなたが様々な領域に精通している必要はないということです。
前回のブログで紹介した技術職のほとんどは、以下に示すような特定の技術分野の知識を必要とします。あなたがそれぞれの分野についてしっかり理解できているかを確かめるためには、自分自身に向けて、「もし私が、誰かに以下のトピックの基礎的な内容を教えるとしたら、どんなことを伝えるだろうか?」と問いかけてみてください。
そして、これらの質問に対して、声に出して解答する練習をしてみましょう。特定の領域について、自信がなかったとしても大丈夫です。AWS Training and Certification には、基礎から応用まで 500 以上の無料のデジタルコース があり、これらの全てのトピックについて学ぶことが可能です。
ネットワーク
- ビット列を介して、エンドユーザーへどのように情報を送信しているのでしょうか?
- インターネットはどのように動いていますか?(ヒント:基盤となるハードウェア / ソフトウェアは何か?)
- コンピューター同士は、どのようにメッセージをやりとりしているのでしょうか?
ストレージ
- ストレージにはどのような種類がありますか? それらはどのような点で異なりますか?
- それぞれのストレージの種類は、どのように使い分けられるでしょうか?
- どのストレージに、どのような種類のデータを保存するのでしょうか?
データベースとデータ分析
- データベースはどのような要素から構成されているでしょうか?
- データベースにはどのような種類がありますか? それらはどのような点で異なりますか?
- それぞれのデータベースの種類は、どのように使い分けられるでしょうか?
- 分析用のデータを用意する場合、どのように準備するとよいでしょうか?
- データを分析するための方法として、どのようなものがありますか?
セキュリティ
- 典型的なセキュリティ上の脅威としては、どのようなものが挙げられますか?
- サイバー攻撃の例として、どのようなものが挙げられますか?
- 伝統的なセキュリティ対策としては、どのようなものが挙げられますか?
- どうすれば、セキュリティ上の脅威の発生を防いだり、緩和することができますか?
オペレーティングシステム(OS)
- オペレーティングシステムの目的は何ですか?
- オペレーティングシステムを構成する基本要素は何でしょうか?
- オペレーティングシステムにはどのような種類があり、それぞれどのように動作しますか?
- オペレーティングシステムの効率を向上させるには、どうすれば良いでしょうか?
インフラストラクチャ / Web / OS / アプリケーションの設計・開発
- Web アプリケーションの 3 層アーキテクチャとして、どのようなものが挙げられますか?
- これまでにアプリケーションを開発した経験はありますか?
- あなたが開発したアプリケーションには、どのような要素が含まれますか?
- そのアプリケーションの開発時には、どのような困難や苦労がありましたか?
プログラミングスキル
- あなたが最も得意で慣れ親しんでいるプログラミング言語は何ですか?
- その言語の基礎となっている概念として、どのようなものが挙げられますか?
- 他のプログラミング言語と比べて、その言語はどのような点で異なっていますか?
- どのような場合に、そのプログラミング言語を使いますか?
- 時間計算量と空間計算量の違いはなんでしょうか?
- ソートアルゴリズムとして、どのようなものが挙げられますか? その計算量は?
技術や経験に関する質問にうまく答えるための準備方法
技術的な知識に自信が持てたら、次は AWS の面接対策について考え始めましょう。まず、過去の仕事やプロジェクトの記憶を掘り起こし、これまでのすべての経験を網羅的に思い出してみてください。それらの経験の中には、これまで取り組んできた研究、インターンシップ、アルバイト、グループワーク、プロジェクト、ハッカソンなどが含まれるかもしれません。たとえ、その経験が、あなたが応募した職種に適用できるかどうかわからなくても、まずは書き出してみましょう。
次に、ここで書き出した経験を、Amazon の Leadership Principles の文脈と合わせて、見てみましょう。これらの Leadership Principles は、すべての Amazon 従業員が日々の業務の中で実現している原理・原則になります。あなたのこれまでの経験を Leadership Principles のどれかと関連づけ、その経験の中で、あなたがどのように行動したかを、STAR フォーマット(訳注:面接における話し方のテクニックのひとつで、エピソードを状況 (Situation)、タスク (Task)、行動 (Action)、結果 (Result) という流れで整理する)を基にうまく説明できるように練習しましょう。あなたが語る経験談は、始まり(状況やタスクの説明)、中間(実際に取った行動)、終わり(結果)という構成になるようにしましょう。このやり方は、Amazon の面接プロセスの中で、あなたの経験を面接官にうまく伝えるための推奨アプローチとなっています。Leadership Principles の各項目について、それぞれ2つずつエピソードを用意できれば理想的です。
下記の質問を参考にしながら、あなたの経験をできるだけ詳しく書き出してみてください。
- その経験を通して、何を学びましたか?(ソフトスキル、テクニカルスキル)
- どのような人たちと一緒に働きましたか?(チーム、外部顧客、請負業者など)
- 様々な人たち共に活動した中で直面した課題は何でしょうか? そして、それをどのように乗り越えましたか?
- どのような技術やツールを使いましたか?
- どのように課題を解決し、成果を上げましたか?
- その経験を通して得られた最も大きな成果はどのようなものでしたか?
- そのプロジェクトは成功しましたか? 成功したかどうかをどうやって把握しましたか?
- そのプロジェクトの中であなたは何を成し遂げましたか? そのプロジェクトの成功をどのように計測しますか?
- その経験を最初からやり直せるとしたら、あなたはどこを改善・変化させますか?
例:AnyCompany におけるインターンシップ
- 私は倉庫の在庫と仕入れの管理を効率化するためのアプリケーションを開発しました。
- プロダクトマネージャー、UX デザイナー、インターン生から構成される小さなチームと一緒に働きました。
- この経験を通して、GitHub のレポジトリとしての使い方や、CI/CD のベストプラクティスを学びました。
- プロジェクトの中では、PostgreSQL と Amazon DynamoDB を使いました。
- アプリケーションのリリース時には、その使い勝手と耐久性に好評価をいただきました。また、同社の複数の倉庫で使用するため規模拡大をしているところです。
- もしやり直せるとしたら、もっと早くからプロジェクトのスコープを定め、進捗確認のための定例ミーティングを設定するようにしたいです。また、セキュリティに関する問題でプロジェクトがしばらく停滞してしまったので、もっと早くからセキュリティエンジニアと話し、セキュリティを最優先事項の1つとしておくべきでした。
いくつものあなたの経験に対して、この演習を実施するのはすこし過剰だと思われるかもしれません。ただ、このような準備を徹底的に行うことはとても重要なことです。こういった演習を通して、自分の経験や技術力を問う様々な質問に対応する能力が高まります。それぞれのエピソードで、自分の役割と成果を説明する練習をしてください。特に技術知識とプレゼンテーション能力に自信が持てるよう、自らの経験談やエピソードを分かりやすく伝える練習を何度も繰り返してみてください。
次回のブログでは、技術者 / 非技術者の面接官に向けて、面接の中でうまく自分をアピールするためのやり方と練習方法について解説します。次回のブログもお楽しみに!
その他のリソース
この記事の翻訳は、プロフェッショナルサービス本部の幾谷吉晴が担当しました。