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Mainframe Modernizationへのアプローチ(前編)
メインフレームはビジネス成長を支えるサービスとして長く利用されていますが、複雑性、運用保守コストや人材不足が課題となっています。ベンダーの製造・販売からの撤退も衝撃をもたらしています。本ブログではMainframe Modernizationへのアプローチの前編として(1)ビジネス状況に応じたビジネスゴールの設定、(2)Mainframe Modernizationに向けた戦略立案についてご紹介します。
(1)ビジネス状況に応じたビジネスゴールの設定
メインフレームを運用しているお客様がビジネスゴールを設定するには、主要な観点を考慮した上でビジネス状況に応じた検討を行うことが重要です。
a. 財務上の成果
メインフレームの運用保守コストは他のコンピュータ資源に比べ高額であり、上昇傾向にあります。財務上の成果を達成するために、コストを削減し、運用効率を向上させる必要があります。
b. ビジネスリスクの軽減
メインフレームの技術的負債や人的リスク等のリスクを軽減し、競争力を確保するためには、最新のテクノロジーに適応させる必要があります。モダナイゼーションやクラウド移行により、目標とするビジネスゴールを設定します。
c. ワークロードの特性
メインフレームのワークロードには、ビジネスの中心で利用され今後も更改され続けるもの、現状ほとんど変更がなく維持を継続する個々のワークロードの特性があります。その特性に合わせたビジネスゴールを設定します。
d. 俊敏性とインサイトの確保
メインフレームのデータはマスタデータとして広く活用されていますが、特有のデータ構造のため俊敏性や拡張性に劣ります。最新のテクノロジーの採用とデータ利用の革新性を高め、ビジネスプロセスの改善や意思決定のサポートに役立てるビジネスゴールを設定します。
(2)Mainframe Modernizationに向けた戦略立案
メインフレームをモダナイズするには、ビジネスゴール、ワークロードの特性および移行コスト等を考慮した移行戦略を立案します。その上で、ビジネスニーズに合った最適な移行ソリューションを選定します。
a. Migration & Modernization(移行とモダナイゼーション)
対象のワークロードをクラウドに移行することで、コストの削減、アジリティの向上、技術的負債とリスクの低減を実現することができます。ビジネスゴールに従って7Rアプローチによる移行戦略を策定します。以下に戦略策定の例を示します。
- リプラットフォーム:短期間にできる限りコストを掛けずに他のプラットフォームに移行します。
- リファクタリング:モダナイゼーションと俊敏性を高めつつコストを抑えて移行します。
- リパーチェス、リライト:積極的に投資をおこない革新的な環境に作り直します。
b. Augmentation & Integration(拡張と統合)
クラウドによる俊敏性と革新性を提供することで、メインフレームのデータから最大限の価値を引き出すことができます。ここでは、データの価値を高めるための戦略を策定します。
- クラウド上でのデータ活用:メインフレームからクラウドにリアルタイムでデータを連携し、クラウド上で新しいチャネルや機能を提供し、顧客に新たな価値を提供します。
- クラウド上でのデータ分析: データをクラウド上で分析し、洞察を得て戦略的な意思決定に活用します。
- クラウドストレージを使用したバックアップとアーカイブ: データの安全なバックアップと長期保存をクラウドストレージで行うことで、データの保護と可用性を向上させます。
Mainframe Modernizationのアプローチは、ビジネスゴールを設定した上で移行戦略を策定することが重要です。その上でソリューションを選定することでビジネスニーズに沿ったアプローチが可能になります。後編では、(3)AWS Mainframe Modernizationでのソリューション選定についてご紹介します。