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「NVIDIA Robotics Solutions 勉強会」を開催しました
2026 年 4 月 14 日、アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社(以下、AWS ジャパン)は、「フィジカル AI 開発支援プログラム by AWS ジャパン」の採択企業向け勉強会を東京の AWS 目黒オフィスにて開催しました。勉強会では、 NVIDIA 加瀬 敬唯氏より、NVIDIA Robotics Solutions をご紹介いただきました。AWS からは、Physical AI 開発 「データ生成」 フェーズにおける AWS の活用方法と Remote AWS Develop Station のご紹介を行いました。本プログラムについては、過去のブログも参照してください。
「フィジカル AI 開発支援プログラム by AWS ジャパン」の応募受付を開始
「フィジカル AI 開発支援プログラム by AWS ジャパン」キックオフイベントを開催しました
「Physical AI on AWS 勉強会 #1」を開催しました
NVIDIA Robotics Solutions のご紹介
Physical AI が今注目される背景と、NVIDIA のシミュレーション技術、そして、世界モデル Cosmos とヒューマノイド向け基盤モデル GR00T について、NVIDIA Robotics Solution Architect の 加瀬 敬唯氏よりご紹介いただきました。
Agentic AI の次のステップとして注目されているのが Physical AI です。Physical AI という言葉は、ヒューマノイドだけでなく、監視カメラ・自動運転・ドローン・工場ロボット等、物理世界を理解し行動する AI 全般を指します。従来の産業ロボットはルールベースで柵の中でしか動けませんが、Physical AI は経験から学習し非構造化環境で動作します。最大の課題はデータ不足で、実ロボットから取得できるデータには物理的限界があるため、シミュレーションによる大規模データ生成が鍵となっています。
Physical AI における最大の課題、データ不足に対して、NVIDIA は実世界におけるロボットの動きを再現しデータを取得できる、さまざまなシミュレーション技術を開発し、提供しています。オープンソースのロボットシミュレーター Isaac Sim を中核に、実環境を iPhone 撮影から 3D Gaussian Splatting で再構築する NeuDex、柔軟物シミュレーションに対応する次世代物理エンジン Newton を提供しています。学習フレームワーク Isaac Lab では強化学習・模倣学習に加え、VR デバイスによるシミュレーション内テレオペレーション(Isaac Teleop)も可能です。
Physical AI のモデル開発においては、シミュレーションによるデータ収集に加え、データの前処理・拡張(Augmentation)・品質評価といった一連のデータパイプラインの整備が不可欠です。NVIDIA からは、この工程を実行するツールやモデルとして、Cosmos Curator(動画キュレーション)、Cosmos Transfer(背景変換)、Cosmos Reason(Physical AI 特化 VLM)を提供しています。
シミュレーションやデータパイプラインに加え、NVIDIA が開発・公開しているモデルやデプロイ向けツールの紹介もありました。Cosmos v2 は、3500 万時間の動画データで学習された世界モデルで、入力映像の続きを予測・生成することでロボットの検証やベンチマークに活用できます。ヒューマノイド向け基盤モデル GR00T N は VLM(System 2)と 120Hz 制御の Diffusion Transformer(System 1)の 2 層構造です。デプロイ向けには GPU 最適化 ROS パッケージ群 Isaac ROS や、異種 GPU リソースを統合管理する OSMO も提供されています。
Physical AI 開発 「データ生成」 フェーズにおける AWS 活用
Physical AI の開発では 「データ生成・収集 → モデル学習 → モデル配信・推論」 の 3 ステップを繰り返します。この各ステップにおける、AWS から提供される NVIDIA GPU の選択肢と、データ生成フェーズにおける AWS の活用方法について、Solutions Architect の杉山より紹介しました。
Physical AI 開発の各フェーズに最適なインスタンスをその理由とともにご紹介しました。データ前処理において、 GPU が不要な場合は、Amazon EC2 C8/M8 等のコンピュート最適化インスタンス、シミュレーションにはレイトレーシングに特化した RT コアと大容量 VRAM を備えリアルタイムレンダリングが可能な Amazon EC2 G6e/G7e (NVIDIA L40S Tensor Core GPU / RTX PRO 6000 Blackwell Server Edition 搭載) インスタンスを推奨しています。学習フェーズでは、VRAM 消費が比較的軽い LoRA ファインチューニングにはAmazon EC2 G6e、大容量 VRAM が必須となるフルファインチューニングには Amazon EC2 P5 (NVIDIA H100 Tensor Core GPU 搭載)インスタンスが適しています。さらに事前学習から取り組む場合は、大規模な分散学習に対応した Amazon EC2 P5en/P6-B200 (NVIDIA H200 / B200 Tensor Core GPU 搭載) インスタンスがおすすめです。
Physical AI モデル開発に利用するデータ生成目的のシミュレーションは、Amazon EC2 上にインストールされた Issac Sim で実行します。そして、生成されたデータは、スケーラブルでコスト効率に優れたオブジェクトストレージである Amazon S3 への保存するのが一般的です。AWS の東京リージョンでは、Issac Sim のリモートデスクトップによるグラフィック操作を快適に行える Amazon EC2 G6e/G7e インスタンスがご利用いただけます。さらに、高性能リモートデスクトッププロトコルである Amazon DCV を利用することで、より快適なシミュレーション環境を実現できます。EC2 間の DCV 接続は無料です。
また、Kubernetes ベースのワークフローオーケストレーターである NVIDIA OSMO もご紹介しました。NVIDIA OSMO は、Physical AI の開発パイプラインである、 「データ生成・収集 → モデル学習 → モデル配信・推論」 を Kubernetes 上で定義・自動実行するオーケストレーターで、各ステージに最適な GPU リソースを自動で割り当てる点が特徴です。NVIDIA OSMO は AWS 上でも利用でき、G 系・P 系インスタンスの選択が自動最適化されるため、インスタンス選定の手間が軽減されます。
Remote AWS Develop Station (RADS)
Physical AI 開発に便利な Amazon EC2 ベースの開発環境を簡単に起動/接続/管理できるサンプル 「Remote AWS Develop Station (RADS)」 を Solutions Architect の原田より、ご紹介しました。
RADS は Amazon EC2 ベースの開発環境を Web ポータル経由で提供するサンプルソリューションです。Isaac Sim や ROS を使ったシミュレーションワークロードを AWS 上で手軽に始められることを特徴としており、ユーザー自身の AWS 環境にデプロイして使うセルフマネージド環境です。接続方式は Amazon DCV(Web / ネイティブクライアント)、code-server(ブラウザ IDE)、SSH(Systems Manager 経由)の 3 種をサポートしています。Web ポータルからインスタンスタイプ・AMI・EBS サイズを選ぶだけで環境が立ち上がり、チームメンバーごとに独立した環境をセルフサービスで作成・停止・削除できます。
ゴールデンイメージには NVIDIA ドライバー・ROS・Isaac Sim に加え、Amazon Bedrock 連携の AI コーディングエージェント(Claude Code 等)もセットアップ済みで、約 5 分で開発を開始できます。
Physical AI 開発におけるユースケースとしては 2 つあります。1 つ目は Issac Sim などを用いたシミュレーションで、DCV 接続まで含めたセットアップ済み環境により、初めての方でもすぐに始められます。2 つ目は AI 駆動開発です。ローカルから分離されたサンドボックス環境として開発環境が起動するため、ローカルに保存された機密データの AI エージェントによる漏洩や改変を心配することなく、長時間エージェントを稼働させたり、大量のエージェントを並列で実行することができます。
利用開始方法もシンプルです。インフラは全て AWS Cloud Development Kit (AWS CDK, コードでクラウドインフラを定義・プロビジョニングするフレームワーク) で定義されており、2 つのコマンドを実行するだけで約 30 分〜 1 時間でデプロイが完了します。現在オープンソース公開に向けて準備中です。
今後のスケジュール
| 時期 | 内容 |
| 2026 年 5 月中旬 | ロボット勉強会: AI 開発者がロボット業界に入っていく上で知っておくべき知識の共有(内容・日程調整中) |
| 2026 年 6 月 1 日 | Community Meetup #1 – 登録ページはこちら |
| 2026 年 6 月 25-26 日 | Demo Day(中間報告会)at AWS Summit Tokyo 2026(幕張メッセ) |
| 2026 年 7 月中旬 | Community Meetup #2 |
| 2026 年 7 月下旬 | 最終成果報告会(AWS 麻布台ヒルズ オフィス 予定) |
おわりに
本勉強会では、NVIDIA の Robotics Solutions に加え、Physical AI 開発の各フェーズに最適な Amazon EC2 GPU インスタンスの選び方、そしてシミュレーション環境を手軽に構築できるサンプルソリューション RADS をご紹介し、AWS 環境でシミュレーションを実行するための実践的な知識を共有することができました。参加された企業の皆様が、既存の環境と合わせて活用いただくことで、より開発を加速させることができるよう、AWS ジャパンとしても引き続き支援をさせていただきます。
AWS ジャパンは、本プログラムを通じて日本のフィジカル AI の発展に貢献してまいります。採択企業の皆さまの挑戦と、成果発表会をどうぞご期待ください。
関連リンク:
– フィジカル AI 開発支援プログラム by AWS ジャパン(発表ブログ)






