Amazon Web Services ブログ
「MWC Las Vegas 2022」レポート
アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 ソリューションアーキテクトの黒田です。
通信事業者や通信業界に関わられている方々、5G などの動向にご興味のある方々を主な対象として、2022年9月28日 – 30日 (米国時間) に「MWC Las Vegas 2022」が開催されました。本記事では、Amazon Web Services, Inc. 通信業界ビジネスユニット バイスプレジデント兼ゼネラルマネージャー Adolfo Hernandez より発表した Keynote (*1) の内容を皆様にご紹介します。
1. 通信事業領域にてイノベーションを推進するトレンド
Keynote では、Adolfo Hernandez より下記 4つのトレンドを、AWS とお客様である各国通信事業者の協業事例交えて紹介しました。
- 「Trend #1 From telco to “tech-co”」: エンタープライズ向けのクラウドベースコンピュータビジョンプラットフォームの事例
- 「Trend #2 5G becomes a reality」: 低遅延を実現するエッジコンピューティングの事例
- 「Trend #3: Growing customer demand for private 5G networks」: スマートスタジアムの事例
- 「Trend #4: Sustainability moves to the top of the agenda」: 省電力効果の事例
この中で特に、環境負荷を削減する為に昨今様々な企業が関心を寄せている Trend #4 Sustainability に着目してご紹介します。
2. Trend #4: Sustainability (持続可能性)
AWS は環境に持続可能な方法で事業を運営することにコミットしています。この持続可能性の一つの指標として省電力効果が挙げられます。例えば AWS が設計した AWS Graviton2 プロセッサ (Graviton2) (*2) は、Amazon Elastic Compute Cloud (EC2) で採用する他のプロセッサと比較し、1 ワットあたりのパフォーマンスが優れています (*2) (*3)。
上記 Trend #4 では事例として、2022年3月より AWS、株式会社 NTT ドコモ (以下、ドコモ)、日本電気株式会社 (以下、NEC) と協業で取り組んでいるこの Graviton2 を活用した 5G コアネットワーク (以下、5GC) の実証実験を取り上げました。今回は持続可能性に関する検証結果として、5GC の省電力効果が発表されました。
この検証では、AWS 上の Graviton2 プロセッサで 5GC の C-plane のソフトウェアを動作させ、その省電力性を定量化しました。より具体的には、Graviton2 プロセッサベース Amazon EC2 インスタンス (以下、Graviton2 環境) と 第 5 世代 x86 ベース EC2 インスタンス (以下、x86 環境) を活用した別々のハードウェアリソースを、それぞれ実験用の 5GC C-Plane ソフトウェアで占有した形で用意しました。そして各々の環境上の 5GC に商用運用状態を模した負荷をかけた場合の消費電力を測定しました。その結果、x86環境 5GC と比較して、Graviton2 環境 5GC は同等以上の性能を達成しつつ、消費電力が約7割削減されることを確認しました (*4)(*5)。この検証結果から Graviton2 の活用によりサービス提供品質を維持しつつ、その省電力効果より環境負荷を低減できることが期待されます。
3. まとめ
本記事では MWC Las Vegas 2022 の振り返りとして、Amazon Web Services, Inc. Adolfo Hernandez から発表した Keynote の内容をご紹介しました。このブログが今後の AWS 活用の参考になりましたら幸いです。ご質問やご要望がございましたら、お問い合わせページ、もしくは担当営業までご連絡をお願いします。
注釈
(*1) 「MWC Las Vegas 2022 KEYNOTE 3: PARTNERING IN A 5G FUTURE, Keynote: Innovating with 5G: The future is here」
https://www.mwclasvegas.com/agenda/session/keynote-3-partnering-in-a-5g-future
(*2) 「AWS Graviton プロセッサ」
https://aws.amazon.com/jp/ec2/graviton/
Graviton2 は第 2 世代の Graviton を搭載したプロセッサです。
(*3) 「クラウドへの移行による、 日本企業の CO2 排出量削減効果が明らかに」
https://aws.amazon.com/jp/about-aws/whats-new/2021/08/japanese-companies-can-reduce-their-carbon-emissions-by-moving-to-aws-cloud/
(*4)「ドコモと NEC が、アマゾン ウェブ サービスを活用し Graviton2 利用による 5G コアネットワークの消費電力の7 割削減とハイブリッドクラウド環境での 5G コアネットワークの動作に成功」 (ドコモ プレスリリース)
https://www.docomo.ne.jp/binary/pdf/info/news_release/topics_220929_00.pdf
(*5) 「ドコモと NEC が、アマゾン ウェブ サービスを活用し、Graviton2利用による5Gコアネットワークの消費電力の7割削減と、ハイブリッドクラウド環境での5Gコアネットワークの動作に成功」 (NEC プレスリリース)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000188.000078149.html
このブログの著者
黒田 由民 (Yoshimi Kuroda)
技術統括本部 エンタープライズ技術本部 通信ソリューション部 ソリューションアーキテクト