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AWSにおける、マイクロソフトワークロードのモダナイゼーション

本投稿はBeatriz Maeireizo Tokeshiによる記事¿En qué consiste Modernizar Cargas de Microsoft a AWS?を翻訳したものです。翻訳はソリューションアーキテクト 小杉 真一郎が担当しました。

IDCは、アジア太平洋地域において2025年までに75% の組織がクラウドベースのインフラストラクチャを使用すると予測しています。日本はこの地域で2番目に大きく、最も成熟したクラウド市場です。 また、2040年までに60%のアプリケーションがモダナイズされ、クラウド上で実行されると予想されています。 その理由は何でしょうか。また、モダナイズとは何でしょうか。

2008 年以降、AWS は ExpediaPearsonXeroSeatGeekDraftKings などの数千もの組織の、アプリケーションのモダナイズをサポートしてきました。 この間、私たちは豊富な専門知識を習得し、マイクロソフトワークロードの変革に役立つプログラム、サービス、ツールを開発してきました。 この投稿では、マイクロソフトワークロードに焦点を当て、モダナイゼーションのコンセプトやそのメリット、どう推進すべきか、という点を解説します。

モダナイゼーションとは?

「モダナイゼーション」とは何でしょうか、という質問に対しての回答は、おそらく人により異なる物になるでしょう。  この投稿では、モダナイゼーションとは、既存のアプリケーションとインフラストラクチャをより価値の高いクラウドネイティブサービスに段階的に変革することにより、お客様にとっての新しいビジネス機能を実現し、イノベーションを加速し、レガシーな環境を維持することによる技術的負債を削減 するプロセス、と定義します。一言で言えば、テクノロジーアーキテクチャを最終的にクラウドネイティブサービスに変え、クラウドがもつ機能を最大限に活用すること、と言えるでしょう。

お客様によると、多くの企業が総所有コスト(TCO)の削減、商用ソフトウェアライセンスへの依存度の低下、イノベーションの促進などを優先事項として検討されています。 IDCによると、ラテンアメリカの組織では、利益の50%がデジタルエクスペリエンスから得ており、今後3年以内にアプリケーションのモダナイズが組織における優先事項となる、と予測されています。「AWS で マイクロソフトワークロードをモダナイズするメリットとは?」セクションで後述するように、テクノロジーアーキテクチャをモダナイズすることで、コストを削減し、イノベーションを生み出す開発を加速することができます。

マイクロソフトワークロードのモダナイゼーションでは、Windows ServerまたはSQL Serverをアーキテクチャから取り除き、オープンソースまたはAWSクラウドネイティブテクノロジーに置き換える、という手法が一般的です。2つのケースを紹介します。

  1. アプリケーションのモダナイゼーション: Windows Server上で実行されているアプリケーションや、.NET を使用しているアプリケーションを、Linux に移行するケースです。 たとえば、Windows Server上で実行されている.NET アプリケーションを.NET Core に移行し、Linux上で実行するケースです。
  2. データベースのモダナイゼーション:Microsoft SQL Serverのデータベースをクラウドネイティブサービスに変更するケースです。 たとえば、Microsfot SQL Serverから Amazon Aurora PostgresSQL に移行するケースです。

また、これらのレガシーアプリケーションやデータベースをモダナイズする際には、主に以下3つの手法が考えられます。

  1. リホスト:アプリケーションのコードは変更せず、既存のアプリケーションとデータベースを既存のサーバーからクラウド上のサーバーインスタンスに移行する手法です。ユーザーは移行後、クラウド上のサーバーインスタンスとソフトウェアイメージの構成を管理することになります。
  2. リプラットフォーム:アプリケーションの場合は、仮想マシンからコンテナへの移行、 データベースの場合は、お客様が運用されているデータベースサーバーから、 RDSなどのマネージドデータベースサービスに移行することを意味します。これによりお客様はプロビジョニング、パッチ適用、バックアップの作成などの作業から解放され、より付加価値の高い活動にリソースを集中させることが可能になります。
  3. リファクタリング:アプリケーションとデータベースの商用ソフトウェアからオープンソースに移行する手法です。これによりライセンスコストを削減し、パフォーマンスを向上させ、最新のイノベーションの恩恵を得ることが出来ます。

これら3つの手法は、段階的に実施することも、同時に実施することもできます。

AWS で マイクロソフトワークロードをモダナイズするメリットとは?

品質と実績 AWS は 2008 年からマイクロソフトのワークロードをクラウド上で稼働させており、また何千ものお客様のモダナイゼーションプロセスをサポートしてきました。その中で私たちは様々な洞察と経験を得て、お客様からのフィードバックに基づきマイクロソフトワークロードのトランスフォーメーションを簡素化するプログラム、サービス、ツールを開発しました。それに加え、AWSは11,000 を超えるパートナーと共にお客様のイノベーションをサポートしています。 AWS Migration Hub Strategy Recommendation, AWS Porting Assistant for .NET, AWS App2Container, AWS Microservices Extractor for .NET, AWS Babelfish for Aurora PostgresSQLといったツール群は、マイクロソフトワークロードのモダナイゼーションを容易にするために開発されたツールのほんの一部です。 次回投稿する記事では、これらの詳細を説明します。

自由度とコスト優位性 組織はより高い効率性、良いサービスを提供するための迅速な革新、より少ないリソースでより多くのこと実現することを求められています。モダナイゼーションにより、企業はソフトウェアライセンスコストの縛りから解放され、コアビジネス、戦略的プロジェクト、または製品やサービスの革新や品質向上への投資を増やすことが出来ます。例えば、プラットフォームをLinuxに移行することで、ライセンスコストを約35%削減できます。 さらに、GravitonでEC2 Linuxを使用すると、コスト削減効果は45%に増加します。 これに加え、組織はサポート期限のあるソフトウェアへの依存を減らし、ソフトウェアのライフサイクル管理から解放されます。

信頼性、敏捷性、効率性 アプリケーションを SQL Server から Aurora にリファクタリングするお客様は、回復性とパフォーマンスが約 40% 向上します。また アプリケーションのモダナイゼーションにより、アプリケーションがコンテナを利用してパッケージ化された場合、複雑なアプリケーションがセグメント化され、アプリケーションの開発、保守、デプロイが迅速になるだけでなく、主体的かつ自律的な文化が促進されます。

環境持続可能性 組織が持つワークロードを AWS に移行すると、データセンターのスケールメリットにより二酸化炭素排出量は約88% 削減されます。 また、利用するサーバー台数は 77% 少なくなり、消費エネルギーは 84% 削減され、太陽光や風力などのクリーンな再生可能エネルギーが28% 多く使用されることになります。 さらにGravitonインスタンスを使用してモダナイズされたLinuxワークロードは、40%優れたコストパフォーマンスを提供し、消費電力を最大 60% 削減します。 また、Customer Carbon Footprint ツールを使用することで、お客様は AWS を使用する際の二酸化炭素排出量への影響を可視化できます。

組織が AWS でモダナイズによって変革を推進

モダナイゼーションプロセスはそれぞれの組織に固有のものです。 また意思決定は、各組織が実際に直面する様々な状況に依存します。 お客様は変革プロセスの様々な時点で、問題の解決 (ライセンスコスト、サポート終了、セキュリティの脆弱性、拡張性の不足など)、改善の検討 (アプリケーションやインフラストラクチャの管理を簡素化など)、戦略的ポジションの向上 (イノベーションの加速、製品およびサービスの立ち上げ、品質の向上など)といった要素に直面することでしょう。 これらは、同時に発生することも、それぞれ随時発生することもありますが、AWSでモダナイズすることで目標を達成できる、という共通点があります。そのため様々な業界の組織において、 AWS でアプリケーションとデータベースをモダナイズするケースがますます増えています。次回投稿する記事では、特にお客様による様々なユースケース、成功事例、ツールについて詳しく説明します。

まとめ

IDCによると2025年までにアジア太平洋地域において、コスト、セキュリティ、イノベーション、俊敏性、環境持続可能性の面で最大限のメリットを享受できることから、75%の組織がクラウドベースのインフラストラクチャを使用すると予測しています。日本はこの地域で2番目に大きく、最も成熟したクラウド市場です。

AWSは2008年より、数千のお客様のモダナイゼーションプロセスをサポートして来ました。またこれらの経験からマイクロソフトワークロードの変革についての豊富な専門知識を得て、変革を簡素化するためのプログラム、サービス、ツールを開発してきました。

AWS は、お客様がどのようにすればクラウドをビジネスに最大限に活用いただけるかについての検討をご支援いたします。次回投稿する記事では、一般的なユースケースとツールについて詳しく説明します。

本投稿はBeatriz Maeireizo Tokeshiによる記事を翻訳したものです。翻訳はソリューションアーキテクト 小杉 真一郎が担当しました。

元の記事:¿En qué consiste Modernizar Cargas de Microsoft a AWS?

投稿者について

Beatriz Maeireizo Tokeshiは、17 年以上の経験を持つ AWS のモダナイゼーションを専門とするグローバルゴートゥマーケットのリーダーです。 ベアトリスは、ラテンアメリカ、米国、日本、ヨーロッパでの多様な専門技術とビジネス経験を活かして、組織が AWS サービスでクラウドを最大限に活用できるよう支援しています。