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株式会社LIXIL

デジタル化に向けた組織改革と IT リーダーの役割

ウォーターフォールからアジャイル・スクラム開発へシフト

2021

デジタル変革に挑む IT 部門の組織改革と、社会課題の解決に向けて自ら考え行動する IT 人材の育成に臨むリーダーの役割。

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CTO には責任も伴うものの、自分がこれまで培ってきた経験をもとに、やりたいことを経営陣に訴えることができます。
デジタルの切り口で提案し、IT 部門のメンバーをまとめながら製品やサービス作りに貢献できることが最大の魅力です

安井 卓 氏
株式会社LIXIL
常務役員 Marketing部門 リーダー

社内 SNS でコミュニケーションを活性化

アントレプレナーシップの醸成へ

「いつもを、幸せに。」をブランドメッセージに、トイレ、お風呂、キッチンなどの水まわり製品と、窓、ドア、インテリア、エクステリアなどの建材製品を開発・提供する LIXIL。安井氏は Tech 系スタートアップや e コマース企業を経て、2017 年 4 月に同社に入社しました。当初はマーケティング部門内でデジタルサービスを開発するリーダーを務め、2018 年の組織変更でデジタル推進部隊を IT 部門に移設したことを契機に、CTO 的な立場で全社のデジタル改革を手がけました。安井氏が入社後最初に取り組んだのは、社内 SNS を全社に導入して、従業員同士が情報を自由にやりとりできるようにすることでした。

「LIXIL は 5 社の事業会社の合併によって誕生した歴史もあり、横の連携を強化する必要があると感じていました。このままでは瀬戸(瀬戸 欣哉社長兼 CEO)が目指すアントレプレナーシップ(起業家精神)の醸成は難しいと判断し、社内コミュニケーションを活性化させることを考えました」(安井氏)

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社内 SNS 導入後、全社で利用を促進するためトップからのメッセージを発信することはもちろんのこと、現場に“チャンピオン”と呼ぶアンバサダー的な役割の社員を登用し、チャンピオンを中心に伝播させていく仕組みを作りました。

「大きかったのは  2018  年 3 月の新体制発表時に、社内 SNS を通してライブ配信を実施したことです。多くのグループ社員が、上司からの伝達でなく、トップの考えを直接聞くことで“自分ごと”として捉えるようになりました。現在、社内 SNS は欠かせない存在となり、風通しのよい組織へと変化しています」(安井氏)

アジャイル・スクラム開発への移行によって

エンジニアの“ハピネス”指数が向上

IT 部門の改革として次に安井氏が取り組んだのは、アマゾン ウェブ サービス(AWS)を含めたクラウドサービスの活用と、アジャイル・スクラム開発への移行です。ビジネス環境の変化が早い時代、要件を固めてから工程を進める伝統的なウォーターフォール型では柔軟に対応ができず、リリースした時点で顧客ニーズとかけ離れてしまう懸念があります。加えて、開発ベンダーと事業会社との間には、システム開発のゴールのギャップがあります。開発ベンダーはシステムを納品するのがゴールですが、事業会社はシステムを活用して利益を上げるのがゴールです。そこでエンジニア自身で手を動かして開発しながら、ビジネス面でも自らが関与できるようにアジャイル・スクラム開発に移行し、デジタル時代にマッチした人材育成を進めることとしました。

「LIXIL は前身のトステム時代から、IT 基盤をいち早く整え、ユーザーとのコミュニケーションを通して成長してきた会社です。ところが、事業規模の拡大や合併とともに、IT 部門はベンダー管理に割く時間が増え、自ら手を動かす機会が減っていました。幸い、IT 部門の人材は豊富に揃っていましたので、意識を変えることで自ら考えて行動に移すことができると考え、信念を持って社内改革に踏み切りました」(安井氏)

とはいえ、アジャイル・スクラム開発への移行にあたり、現場にも戸惑いがあったといいます。そこで専門のフレームワーク(Scrum@Scale)とスクラムコーチを採用して、現場に寄り添いながら開発を実施し、徐々に浸透させていきました。スクラム開発に移行した部署は、3 ヶ月ほどで業務が順調に回り始めたといいます。

「以前と比べて打ち合わせやコミュニケーションが濃密になり、システム品質の向上や手戻りの削減が進みました。同時にエンジニアは自分の仕事がビジネスに対してどのような貢献をしていることがわかるようになりました。週次で実施しているエンジニアへのアンケート調査で満足度を質問していますが、個人の幸せ度を示す“ハピネス”の数値は向上あるいは維持が継続しており、楽しみながら仕事ができているようです」(安井氏)

IT 人材の採用・育成で重視する

社会課題を解決する「ビジネスへの共感」

社内コミュニケーションの活性化、IT 部門のアジャイル・スクラム型開発への移行と並行して、LIXIL は 2019 年 11 月より国内事業を活性化するための人事プログラム「変わらないと、LIXIL」をスタート。IT 部門では人事評価に認定制のエキスパート制度を新たに導入し、通常の昇進制度とは別に技術を極めるためのキャリアを用意しました。これによりエンジニアは実力が発揮しやすくなり、給与・待遇面での向上も期待が持てるようになりました。しかし、製造業が外資系企業並みの給与を用意することが難しいといえます。そこで安井氏は、LIXIL でデジタル変革に挑む人材の採用・育成方針として「ビジネスへの共感」を重視したと語ります。

「LIXIL の商品は、世の中の人を幸せにするためにあるものです。例えば、コロナ禍では“おうち時間”を快適にすることを考えて製品を提案し、海外ビジネスでは開発途上地域に向けて簡易式トイレ“SATO” を提供しています。このように LIXIL で働くデジタル人材にとって最大の魅力は、社会的価値の大きな仕事に関わり、世の中を変えることができることです。エンジニアには社会課題を解決することの面白さややりがいを訴えています」

AWS を導入した 2017 年以降、エンジニアが自発的に CCoE を立ち上げ、クラウドを一から学びながら運用ルールを整備して、社内でエキスパート認定された事例があります。

LIXIL の複数のオンラインサービスの認証基盤を統合するプロジェクトを立ち上げた際には、キャリア 5 年目の若手エンジニアがリーダーシップを発揮し、 ID 基盤の勉強をしながらクラウドサービスの選定からシステムへの組み込みまでをリードして、一部サービスのリリースを成し遂げたといいます。

経営陣とビジネスについて考え

議論できることが CTO の醍醐味

安井氏はこれまでの経歴を踏まえて、CTO の醍醐味は社長や経営陣と対等にビジネスについて考え、議論できることにあると強調します。

「CTO には責任は伴うものの、自分がこれまで培ってきた経験をもとに、やりたいことを経営陣に訴えることができます。デジタルの切り口で提案し、IT 部門のメンバーをまとめながら製品やサービス作りに貢献できることが、私が考える CTO の魅力です」

2021 年 4 月の部門再編で IT 部門から離れ、再びマーケティング部門においてマーケティング全般を指揮することになった安井氏。今後もデジタル化、IoT 化を前提に製品開発や企画に関わり、IT 部門と企画段階から連携しながら独自性の高い製品・サービスを提供していく予定です。

最後に安井氏は、日本の経営者および CTOを目指すエンジニアに対して、次のようなメッセージを送ってくれました。

「経営者はエンジニアや IT に関する知見を持ち、話ができる存在になって欲しいと思います。そのパートナーになるのが CTO です。経営者と CTO の二人三脚で進むことで会社は変わるはずです。これから CTO を目指す人はビジネス要素や社会に対する価値を知り、経営に対してコミットしていくことを勉強してみてはいかがでしょうか」


カスタマープロフィール:株式会社LIXIL

● 取締役 代表執行役社長 兼 Chief Executive Officer (CEO) 瀬戸 欣哉 氏
● 設立 1949 年 9 月 19 日
● 資本金 684億1,800 万円
● 連結従業員数 59,360 人(2020 年 11 月現在)
●事業内容 ウォーターテクノロジー事業、ハウジングテクノロジー事業、ビルディングテクノロジー事業、住宅・サービス事業等
 

実施施策

● 社内 SNS の全社導入
● AWS を含めたクラウドサービスの活用
● アジャイル・スクラム開発への移行
● キャリアプランの選択肢として認定制のエキスパート制度を導入

ご利用の主なサービス

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