投稿日: Dec 13, 2021

AWS はファイザーと連携し、より迅速なイノベーションを支援
臨床製造の効率化を図り、未来の治療法開発をサポート

※本プレスリリースは、2021 年 12 月 2 日に米国で発表されたプレスリリースの抄訳版です。

(シアトル - 2021 年 12 月 2 日発表) Amazon.com, Inc. の関連会社である Amazon Web Services, Inc. は本日、ファイザーと連携し、臨床試験を実施するための新薬の開発・製造・配送のプロセスを改善する可能性のある、画期的なクラウドベースのソリューションを開発していることを発表しました。両社は新たに創設した Pfizer Amazon Collaboration Team(PACT)イニシアチブを通じて、このソリューション開発を進め、ファイザーの研究所、臨床製造、臨床サプライチェーンの過程に、アナリティクス、機械学習、コンピューティング、ストレージ、セキュリティ、クラウドのデータウェアハウスなどの AWS のサービス・機能を応用していきます。例えば、ファイザーの臨床製造の連続生産プロセスでは、Amazon Lookout for Equipment(センサーから得られたデータを分析して、異常な機器の動作を検出するサービス)などの AWS の機械学習サービスで構築した予知保全機能を導入しています。これにより、ファイザーは医薬品の臨床製造に利用する遠心分離機、撹拌機、粉砕機、コーティング装置、空気処理システムといった機器の稼働時間を最大化することが可能です。このように、今回のコラボレーションは、ファイザーが、新薬の製造と患者の健康への有用性の評価を、より早くより高い信頼性をもって実施できることに主眼を置いています。
(※)抄訳版注釈:連続生産とは原料を連続的に製造工程に投入し、完成した製品を連続的に取り出す生産方法。各工程が独立したバッチ生産に対し、製造工程を継続して稼働させることで、望ましい品質を有する最終製品を、必要な量、必要な時期に、少ない人手で製造できる

Amazon Web Services, Inc. ビジネス開発およびインダストリー担当 バイスプレジデント Kathrin Renz(キャスリン・レンツ)は、次のように述べています。「AWS を利用するライフサイエンス業界のお客様は、以前にも増して、医薬品開発と臨床試験にかかる時間とコストの削減に向けて、専門知識や洞察力を向上し、適切な情報に適切なタイミングでセキュアにアクセスできる機会を必要としています。AWS の幅広く奥深いサービスと機能は、医薬品開発と臨床製造プロセスの最適化に努めるファイザーのチームを、安全かつ最新の研究メソッドによって支えています。過去 2 年間、多くの人々の命が危険にさらされた状況で、研究、開発、臨床製造の一連のサイクルのあらゆる段階でスピードと俊敏性が重要であることが、世界中で再認識されました。AWS は、ファイザーとの協働のもと、当社の深い専門知識を提供し、患者の生活を大幅に改善できるソリューションの開発を支援できることを誇りに思います」

ファイザーの薬学、研究、開発、メディカル部門のバイスプレジデントである Andrew McKillop(アンドリュー・マキロップ)氏は、次のように述べています。「ファイザーが AWS との連携を通じて目指すのは、新薬の研究開発のプロセスをスピードアップし、患者体験を根本から改善する、新たな治療法を市場に提供することです。機械学習と分析を専門とする AWS のエキスパートチームとの緊密な協働により、患者の生活を大きく変えるような医療の飛躍的進歩に不可欠なインサイトを、当社の科学者と研究者に提供することを目指しています」

AWS はファイザーとの協働により、固形経口投与剤を対象とした臨床開発の連続生産プラットフォームで異常なデータポイントを検出するプロトタイプソリューションの開発を進めています。このプロトタイプソリューションでは、Amazon SageMaker(クラウドやエッジで機械学習モデルを迅速に構築、トレーニング、デプロイできるようにするサービス)、Amazon Lookout for Equipment、Amazon Lookout for Metrics(メトリクスの異常を自動的に検出し、その根本原因を特定するサービス)、Amazon QuickSight(クラウド向けスケーラブルな機械学習ベースのビジネスインテリジェンスサービス)を活用しています。プロトタイプに実装された機械学習モデルは、誤検出を最小限に抑えながら早期警告アラームを発信し、ユーザーに関連性の高いシグナルをユーザーに知らせることができました。その結果、ファイザーは可搬で連続生産が可能な小型でモジュール型(PCMM)の製造装置や装置内センサーからのデータを処理し、異常発生の検知やメンテナンスの必要性の予測を通じて、潜在的な機器のダウンタイム削減を可能にします。

ファイザーの科学者は今後、AWS のヘルスケア・ライフサイエンス分野の専門チームと連携し、AWS のアナリティクスおよび機械学習サービスを活用し、ファイザーの Pharmaceutical Sciences Small Molecules チームに所属する研究者が、古いドキュメントからの情報抽出を可能にする手法を探っていく計画です。ファイザーはさまざまな医薬品開発プロセスに関する貴重なデータも含む、広範囲にわたる膨大なドキュメントを保有しています。ドキュメントには、化学合成のルート、レシピ、分析試験、メソッドの開発、製剤成分、臨床製造の期間生産、バッチレコード、技術移転や、その他の多くのプロセスに関連するデータが含まれています。これらのドキュメントから、ファイザーの研究者が新薬の開発や既存薬剤の適応拡大に向けて取り組む際の強力なインサイトを得られる可能性がありますが、それも研究者が効率よく適切な情報を特定して関連付けられなければ、役立てることはできません。適切な情報に最適なタイミングで素早くセキュアにアクセスするため、Pharmaceutical Sciences Small Molecules チームは AWS との協働で、文書からデータを自動で抽出、取り込み、処理可能なプロトタイプシステムを開発し、研究室での実験の設計に活用しようとしています。このプロトタイプシステムは Amazon Comprehend Medical(構造化されていない医療テキストから正確かつ迅速に情報を抽出する HIPAA 対応の自然言語処理サービス)と Amazon SageMaker を、ユーザーのセキュアなアクセス制御には Amazon Cognito を利用しています。