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Amazon Personalizeの小売、メディア&エンターテイメント向けに最適化されたレコメンダーリリースのお知らせ

この記事は、”Amazon Personalize announces recommenders optimized for Retail and Media & Entertainment” を翻訳したものです。

2021 年 1 1月 29 日、Amazon Personalize で、小売、メディア、エンターテインメント向けに最適化されたパーソナライズされたレコメンダーのリリースを発表しました。これによりお客様の、ウェブサイト、アプリ、マーケティングキャンペーンをさらに簡単にパーソナライズできます。 今回のリリースでは、機械学習(ML)を使用して独自のパーソナライズされたユーザーエクスペリエンスを構築してきた Amazon の豊富な経験を利用して、一般的なパーソナライズのユースケースで活用できるレコメンダーを構築しました。 ユースケースに最適化されたレコメンドソリューションは、ビジネスにとって最も重要なメトリック、個々のユーザーの好み、およびユーザージャーニー内でユーザーに適切なシーンで提供されるを考慮した、パーソナライズされたエクスペリエンスをユーザーに提供します。 使いやすい API を使用して、レコメンダーを任意のアプリケーションにすばやく統合できます。

この投稿では、レコメンダーを作成し、ユーザー向けのレコメンデーションを取得するプロセスについて説明します。

新しいパーソナライズされたレコメンダー

パーソナライズの真の可能性を実現するには、企業はコンテンツをユーザージャーニーに合わせて調整する必要があります。 たとえば、e コマース Web サイトでは、過去の閲覧履歴に基づいて既存の顧客に製品を推奨し(たとえば、「あなたにお勧めの商品」のカルーセルなど)、そのユーザーの個々の興味に関連するアイテムの推奨を提供することで、エンゲージメントを高めることができます。 製品の詳細ページでは、顧客がすでに使用している製品のコンテキストを使用する「 X も表示した顧客」ウィジェットを介して製品をアップセルできます。 最後に、チェックアウトページで、小売業者は、平均注文額を増やすために、「頻繁に一緒に購入する」という推奨事項を使用して製品をクロスセルしたい場合があります。

同様に、ビデオオンデマンドビジネスでは、ホームページにウィジェットを配置して、過去 1 週間または 1 か月間に世界中で最も視聴されたコンテンツを強調するために、最も人気のある動画を表示できます。 動画を視聴した後に「この作品を視聴したお客様はこちらの作品もご視聴しています」ウィジェットを作成して、プラットフォームで費やす時間を増やす可能性を高めるコンテンツを提供することをお勧めします。

各タッチポイントには、ユーザー、ユーザーの現在のコンテキスト、および推奨事項を提供する際のユーザーのリアルタイムな関心やセッション中の好みを理解するインテリジェントなパーソナライズが必要です。 今日の企業は、パーソナライズの必要性と利点を理解していますが、レコメンデーションシステムをゼロから構築するには、ML に関する広範な専門知識に加えて、時間とリソースに多大な投資を行う必要があります。

今回のリリースにより、Amazon Personalize 内のレコメンダーのライブラリから必要なユースケースを選択するだけでこれらの最適化されたレコメンダーを利用できます。 eコマースWebサイトでは「最も閲覧された」、「ベストセラー」、「頻繁に一緒に購入された」、「 X を閲覧した顧客も閲覧した」、「おすすめ」を利用できます。メディア&エンターテイメントサイトでは「最も人気がある」、「 X を視聴したため」、「 X に似ている」、「トピックス」を利用できます。 ユースケースのレコメンダーを選択すると、Amazon Personalize は ML を使用して手間のかかる作業を行い、使いやすい API を介してアクセスできるレコメンダーを生成します。

レコメンダーは、ユーザーの過去のアクティビティとカタログ内のアイテムとのリアルタイムのやり取りを学習して、ユーザーの好みの変化に適応し、エンドユーザーとビジネスに即時の価値を提供します。 レコメンダーは、パーソナライズされたレコメンデーションソリューションを維持およびホスティングするライフサイクルを完全に管理します。 これにより、ソリューションを市場に投入するために必要な時間が短縮され、本番環境に提供するレコメンドソリューションがユーザーにとって適切なままであることが保証されます。

Amazon Personalize を使用すると、開発者は、ML の専門知識を必要とせずに、Amazon で使用されているのと同じ ML テクノロジーを使用してパーソナライズされたユーザーエクスペリエンスを構築できます。 開発者は、さまざまなパーソナライズエクスペリエンスを提供できるアプリケーションを簡単に構築できます。 Amazon Personalize のレコメンデーションの取得は、いくつかの簡単な API 呼び出し、またはAWSマネジメントコンソールのクリックを使用してすばやく開始できます。 あなたは使用したものに対してのみ費用を支払い、最低料金や前払いの必要はありません。 すべてのデータは暗号化された上でプライベートで安全に保管されており、レコメンデーションとセグメントを作成するためにのみ使用されます。

レコメンダーの作成

このセクションでは、レコメンダーを作成するプロセスについて説明します。 最初のステップは、ドメインデータセットグループを作成することです。これは、Amazon Simple Storage Service( Amazon S3 )に履歴データをロードするか、リアルタイムイベントから収集されたデータから作成できます。

各データセットグループには、ユーザー、アイテム、インタラクションの最大 3 つのデータセットを含めることができます。レコメンダーを作成するには、インタラクションデータセットが必須です。 データセットは、ドメイン関連のレコメンダーを作成するために使用されるために、ドメイン固有のスキーマに準拠している必要があります。

この投稿では、食料品の購入関連データで構成される Amazon Prime Pantry データセットを使用して、小売レコメンダーを設定します。 データセットグループ Prime-Pantry の下にインタラクションデータセットをアップロードしました。 Amazon Personalize コンソールの Prime-Pantry データセットグループのダッシュボードを介して、データアップロードのステータスを監視できます。 データが正常にインポートされたら、[Create recommenders] を選択します。

Personalize Console 1

この記事の執筆時点で、Amazon Personalize は、小売顧客向けに5つのレシピ、メディア&エンターテインメント顧客向けに 4 つのレシピを提供しています。

小売のレシピは次の通りです。

  • Customers who viewed X also viewed – 特定のアイテムを表示したときに、同じアイテムを表示した他の顧客が表示したアイテムの推奨
  • Frequently bought together – 特定のアイテムに基づいて他の顧客がよく一緒に購入するアイテムの推奨
  • Popular Items by Purchases – ユーザーが購入したアイテムに基づく人気アイテム
  • Popular Items by Views – ユーザーが閲覧したアイテムに基づく人気アイテム
  • Recommended for you – 以前に購入したアイテムがすべて除外されるようにする、特定のユーザー向けのパーソナライズされた推奨

メディア&エンターテイメントのレシピは次の通りです。

  • Most Popular – 最も人気のあるビデオ
  • Because you watched X – ユーザーが視聴した特定のビデオに類似したビデオ
  • More like X – 特定のビデオに似ているビデオ
  • Top picks for you – 指定されたユーザーのためのパーソナライズされたコンテンツの推奨

次のスクリーンショットは、ビジネスニーズに基づいてレコメンダーを選択し、レコメンダーの名前を定義する方法を示しています。 各レコメンダーの ARN を使用して、REST API にてレコメンデーションを取得します。
この例では、2 つのレコメンダーを作成します。
最初のレコメンダーは、「Frequently bought together」のユースケースであり、PP-ItemsFrequentlyBoughtTogether と呼ばれます。 また、PP-PopularItemsByPurchases と呼ばれる「Popular Items by Purchases」のユースケースのレコメンダーも作成します。

Personalize Console 2

[Use default recommender configurations] に切り替えることで、Amazon Personalize は、レコメンダーの基礎となるモデルに最適な構成を自動的に選択します。 次に、[Create recommenders] を選択して、モデル構築プロセスを開始します。

レコメンダーの作成にかかる時間は、選択したデータとユースケースによって異なります。 この間、Amazon Personalize は、選択した各ユースケースに最適なアルゴリズムを選択し、基になるデータを処理して、ユーザー向けにカスタムプライベートモデルをトレーニングします。 すべてのレコメンダーとその現在のステータスには、[Recommenders] ページからアクセスできます。

Personalize Console 3

レコメンダーのステータスが [Active] に変わったら、それを選択して、レコメンダーに関連する詳細を確認し、テストすることができます。 テストは、レコメンダーをWebサイトまたはアプリケーションに統合する前に推奨内容を確認するのに役立ちます。

Personalize Console 4

次の画像は、PPItemsFrequentlyBoughtTogetherが推奨したアイテムIDのテスト出力を示しています。

Personalize Console 5

このステップでは、レコメンダーに任意のフィルタを適用することもできます。

Amazon Personalize は、[Recommender details] セクションにレコメンダーのARNも表示します。これを使用して、Amazon Personalize REST API を介してレコメンデーションを作成できます。 次のコードは、PythonからPP-FrequentlyBoughtTogetherRecommender の API を呼び出す一例です。

get_recommendations_response = personalize_runtime.get_recommendations( 
recommenderArn = arn:aws:personalize:us-west-2:261294318658:recommender/PP-ItemsFrequentlyBoughtTogether 
itemId = str(item_id))

この API 呼び出しは、Amazon Personalize コンソールを介してレコメンダーをテストする場合と同じ結果を生成します。

これで、レコメンダーは Web サイトまたはアプリにフィードし、あなたのお客様のユーザージャーニーをパーソナライズする準備が整いました。

結論

Amazon Personalize は、Amazon の ML を使用して独自のパーソナライズされたユーザーエクスペリエンスを構築する豊富な経験をパッケージ化し、Web サイトやアプリをパーソナライズしようとしている開発者にフルマネージドサービスとして Amazon の専門知識を提供します。 ユースケースに最適化されたレコメンダーの立ち上げにより、私たちはさらに一歩進んで、各業界および個々のビジネスの固有のマーケティングニーズに合わせて学習を調整します。 レコメンダーを使用すると、特定のユースケースに最適化されたレコメンデーションに簡単かつ迅速にアクセスできます。 Amazon Personalize は、顧客とそのタッチポイントの固有のコンテキストを理解することにより、ML の力を利用して、ビジネスとユーザーにより多くの価値を引き出すことができます。

Amazon Personalize の詳細については、製品ページにアクセスしてください。


著者について

Anchit Gupta は、Amazon Personalize のシニアプロダクトマネージャーです。
彼女は、機械学習ソリューションの構築を容易にする製品の提供に注力しています。
余暇には、料理、ボード/トランプゲーム、読書を楽しんでいます。

 

Pranav Agarwal は、Amazon Personalize のシニアソフトウェア開発エンジニアであり、
ソフトウェアシステムの設計と、AI を利用したレコメンダーシステムの大規模な構築に取り組んでいます。
仕事以外では、読書やランニングを楽しんでおり、アイススケートを始めています。

Hershal Bhatia は、Amazon Personalize チームのソフトウェア開発エンジニアです。
彼は機械学習に情熱を注いでおり、大規模な顧客向けのAI駆動型ソフトウェアソリューションの構築に取り組んでいます。
余暇にはバスケットボールを楽しんでいます(Go Warriors!)。

Alex Berlingeriは、Amazon Personalize のソフトウェア開発エンジニアであり、機械学習を利用したレコメンドサービスに取り組んでいます。
余暇には、読書、エクササイズ、サッカー観戦を楽しんでいます。

翻訳は Solution Architect の Masanari Ikuta が担当しました。原文は こちらです。