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【開催報告 & 資料公開】AWS 秋の Cost Optimization 祭り2024
みなさん、こんにちは。2024 年 10 月 18 日に、AWS Japan 主催のコスト最適化関連イベントとなる、「 AWS 秋の Cost Optimization 祭り 2024 」を開催いたしました。本ブログでは、イベント内容概要の紹介と、イベントの中で各登壇者が発表した資料を公開いたします。
アジェンダ
イベント当日は、90名以上のお客様にご参加いただき、約2時間にわたるイベントとなりました。オープニングに続き、AWS のカスタマーソリューションマネージャー 青木とテクニカルアカウントマネージャー 石王によるコスト関連セッションを実施。その後、日産自動車株式会社 吉澤様、株式会社ポーラ・オルビスホールディングス 北川様、株式会社 MIXI 木村様から、それぞれコスト最適化に関する貴重な事例をご紹介いただきました。最後に、ソリューションアーキテクト 柳のセッションを経てイベントを締めくくりました。各セッションの概要と発表資料は以下をご覧ください。
セッションの紹介
CFM フレームワーク概要
発表資料:AWS_秋のCost_Optimization祭り_2024_CSM青木_CFMフレームワークの概要
まずは、カスタマーソリューションマネージャーの青木より、「CFM フレームワーク概要」を紹介しました。Cloud Financial Management (CFM) とは、「可視化」、「最適化」、「計画・予測」と「FinOps」の 3 + 1 の柱から構成される、コスト最適化のためのフレームワークになります。セッションの中では、それぞれの柱の中でどのようなアクションを実施すべきかを説明しました。また、アクションの中で活用できる AWS サービスとして、AWS Cost Usage and Reports (CUR), Amazon QuickSight, Cost Optimization Hub の使用方法も紹介しました。セッションの最後には、FinOps のアクションとして、IT 部門と財務部門が一体となることがクラウドのコスト最適化において重要であることをお伝えしました。
クイックウィン最適化
発表資料:AWS_秋のCost_Optimization祭り2024_TAM石王クイックウィン最適化
テクニカルアカウントマネージャーの石王より、「クイックウィン最適化」として、Cost Optimization Hub を使ったクイックウィン最適化の始め方を紹介しました。Cost Optimization Hubとは、AWS アカウントと AWS リージョン全体でコスト最適化に役立てることのできる、コスト管理機能になります。セッションの中では、Cost Optimization Hub の開始方法から始まり、AWS リソースのコスト削減余地や推奨アクションを確認するための一連の操作方法を説明しました。また、実際のマネジメントコンソールの画面をみながらデモンストレーションしたため、会場にご参加の皆様には具体的な操作イメージが伝わったのではないかと思います。
コスト最適化施策の歩みと壁(日産自動車株式会社様)
日産自動車株式会社様では、多くの業務システムを AWS 上で稼働させており、Cloud Center of Excellence (CCoE) を中心に組織的なコスト管理を行っています。コスト最適化の歩みとして、多くの削減余地に対してコスト削減施策が実行できていないこと、AWS Savings Plans/Reserved Instance カバレッジ率の低下、RDS Reserved Instance 購入時負荷増大、各アプリのコスト削減推進不足という4つの課題それぞれに対する取り組みをご紹介いただきました。課題それぞれのお困りごとや、取り組みにより達成した成果を具体的にご説明いただきましたので、同様のお悩みを抱えておられるお客様には参考になる点も多いと思われます。今後は、コスト可視化ダッシュボードの刷新や AWS トレーニングの強化を通じて、さらなる最適化を目指すとのことでした。
複数OrganizationsのAWSコストをまとめて可視化してみた(株式会社 ポーラ・オルビスホールディングス様)
発表資料:AWS_秋のCost_Optimization祭り2024ポーラオルビスホールディングス様_複数OrganizationsのAWSコストをまとめて可視化してみた
株式会社ポーラ・オルビスホールディングス様では、コスト最適化を図るためのステップとして「可視化」「分析」「検討」「削減」の4 ステップを定義し、これらのステップを途切れず繰り返し行う「コストコントロールループ」をゴールと定められました。本セッションでは、コストの可視化についてご紹介いただきました。複数のリセラーからアカウントを調達していることから、複数の AWS Organizations コストの可視化を実現する、AWS Cost Explorer API を使った独自のダッシュボードを作成されました。ダッシュボード作成により、各部署が好きなタイミングでコストを確認でき、また、コスト最適化を行うための月次ミーティングを実施することで、担当一人一人がコストコントロールの意識を持つことができるようになったとのことです。これらのコントロールループを実現するための具体的な課題と解決策をご紹介いただきました。
長期運用を支えるみてねの継続的なコスト最適化の取り組み(株式会社MIXI様)
発表資料:AWS_秋のCost_Optimization祭り2024_MIXI様⻑期運用を支えるみてねの継続的なコスト最適化の取り組み
株式会社 MIXI 様は、子供の写真や動画を家族と共有しコミュニケーションして楽しむ「みてね」というサービスを提供しています。本セッションでは、みてね SRE チームのコスト最適化への取り組みについてお話いただきました。Grafana を使ったコストの可視化やリソースのモニタリング、コスト最適化施策を実施する際のコスト削減効果と難易度のマトリックスのお話など、普段コスト最適化について意識されている点を具体的にご紹介いただきました。コスト最適化施策があるが実施するべきか悩まれている方には参考になるセッションだと思われます。
アーキテクチャ最適化
![](https://d2908q01vomqb2.cloudfront.net/b3f0c7f6bb763af1be91d9e74eabfeb199dc1f1f/2024/11/21/Architecture.jpg)
発表資料:AWS_秋のCost_Optimization祭り2024_SA柳_CFMフレームワークの概要アーキテクチャ最適化-Architect with cost in mind-
最後に、ソリューションアーキテクトの柳から、コスト最適化を考慮したアーキテクチャ最適化についてお話ししました。
このテーマに対するアプローチはベストプラクティスというものは無く、機能/非機能要件とのトレードオフで決定していくものであるという前置きのもと、データ取り込み、Amazon CloudWatch、Machine Learning を題材にケーススタディしました。データの取り込みでは、軽視されがちな Amazon S3 における API コストの考え方を、ストレージクラスごとに分類しご紹介しました。CloudWatch のコスト取り込みでは、ログの役割に応じて転送先を分けることで、よりコストを削減する構成について説明しています。そして最後に、生成 AI を活用することによって、コスト要因であったモデル作成・学習のプロセスそのものが変革されるのではないかと、提起しました。そして、総括として今までのやり方に捉われないことで根本的にコスト構造が変わりうると結んでいます。
まとめ
本イベントでは、コスト最適化にフォーカスして、AWS からの情報だけでなくお客様事例も交えて様々なトピックを紹介しました。
クラウドでは、コスト最適化に終わりはなく継続して実施することが重要です。本イベントから少しでもコスト最適化のヒントを持ち帰り、実践頂ければ幸いです。今後もこのようなイベントを通じて、お客様からの知見共有と AWS からコスト最適化の情報発信が出来ればと考えています。
本ブログは、Sr. Customer Solutions Manager の山下、Sr. Technical Account Manager の岡本により執筆いたしました。