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【動画公開 & 開催報告】クラウドマイグレーションの意外なつまづきポイントを解説!AWS移行セミナー~組織や人材、ガバナンスなど非技術的な領域の課題と対策~
はじめに
みなさん、こんにちは。マイグレーションスペシャリストの富松です。 2022年7月28日に「クラウドマイグレーションの意外なつまづきポイントを解説!AWS移行セミナー」を開催しました。
このブログでは、当日参加できなかった方や、参加したけれども内容を振り返りたい方に向けて、ご自身の取り組みの参考としていただくために当日のセッション内容のまとめを紹介します。
セッション内容の紹介
クラウドジャーニーを支える組織(CCoE)の、ビジネスに貢献する本質的な行動特性とは
– 山泉 亘、アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 カスタマーソリューションマネージメント統括本部 カスタマーソリューションズマネージャー(CSM)
本セッションでは、先行事例から代表的な貢献領域を示すとともに、それらに共通するCCoEの本質的な行動特性を紹介しました。大きく2部、CCoEの行動特性を抽出する前半と、自らのCCoEの役割を定義する後半に分かれています。
前半の冒頭、昨今CCoEの立上げが珍しいものではなくなったこと、一方で先行事例を手本にCCoEを立ち上げることに難しさがあることを述べました。これに対し、AWS Summit Tokyo 2022で発表されたCCoEの先行事例を4件紹介し、それらに共通する「行動原理」と「利他的行動」を抽出しました。すなわち先行事例をスタディする際は、結果ではなくプロセス(行動特性)に注目することが肝要であることを示しました。
後半は、CCoEの役割と関係部門との役割分担を探るための方法論を紹介しました。クラウド活用推進(≠CCoE)の基本テーマを8つ指定し、これらと行動特性を重ねることで具体的なタスクと関係部門を抽出する方法です。最後に、(デジタルとクラウドと同様に)CCoEは手段であって、目的は組織の成長であることをお伝えしました。CCoEはCoEの一種であり、クラウドにフォーカスしているものです。組織の成長を考えたとき、CCoEのその先(Beyond the CCoE)を見据えて組織開発を進めることを将来課題として提示しました。
内製化に向けた人材育成に関する市場動向と成功のポイント
– 冨田 賢、アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 トレーニンサービス本部 事業開発部長
本セッションでは、最近のクラウド人材育成に関する市場動向を紐解くと共に、AWS Summit Tokyo 2022の事例を中心に各社の内製化ノウハウを紹介しました。経済産業省のレポートにもあるように、今後のITマーケットは人材の量と質の両面で課題に直面しており、「リスキリング」がキーワードとなっています。市場全体の傾向としては、ユーザー企業がSIer依存から脱却し内製化を進める流れが加速していますが、人材育成に関しては各社ごとに状況も異なり一律の正解というものはないため、どの会社も試行錯誤している状況です。そこでAWSとしては、取っ掛かりとして自社に似た状況の先行事例を参照することを推奨しています。AWS Summit Tokyo 2022の人材育成事例としてご紹介した4社から敢えて共通項を抜き出すと、
- 人材育成は目的ではなく手段と割り切り、育成した人材がどんなビジネス成果を作るのかを強く意識している点
- エグゼクティブ層が人材育成に関して関心を持ち、予算取得や関係者のアサインメントに積極的に動いている点
の2つが抽出できます。AWSとしてはお客様のエグゼクティブ層向けにこの2点を啓蒙するセッションを用意しています。また、実際に人材育成を進める際には、AWSから担当者をアサインして人材育成計画の立案から無償支援することも可能です。これら支援メニューを紹介してセッションを終えました。
組織の壁を越え、迅速な意思決定を行う働き方を経験しながらクラウドジャーニーを加速するExperience-Based Acceleration(ワークショップ)のご紹介
– 米田 英央、アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 マイグレーション&モダナイゼーション事業開発本部 シニア事業開発マネージャー
本セッションでは、企業のIT部門がデジタルトランスフォーメーションを進めて行くために必要な働き方の変革、コラボレーションを行うことを経験しながらAWSへのマイグレーション、モダナイゼーションを進めて行くための方法論 “Experience-Based Acceleration(EBA)” について解説しました。
複雑なマイグレーションを進めて行くためには様々な組織のステークホルダーの意見や優先度を集約し、プロジェクトのガバナンスを確立すること、および、プロジェクトがビジネスに貢献することを証明することが必要です。そのためには、1つの成果を短い期間で出し続ける組織やサービスへの変化が重要になります。Amazonではこのチームを2 pizza teamと呼び、自主的、自律的にサービスを提供・改善し成果を出し続ける役割を持ちます。
EBAではこの働き方を経験しながら、約1.5ヶ月という短い期間で小さな範囲(3~5個のアプリケーションや機能)でマイグレーションという成果を出していくことを繰り返す経験を積むワークショップに参加することで、「加速」する力をお客様チームにつけていただきます。セッションでは、なぜこの小さな組織が必要なのか、なぜ小さな成果を出し続けることができるのか、ということも解説することにより、EBAによる経験の必要性を理解できるようにしました。加えてワークショップの準備方法や3日間のワークショープでどのようなことを経験するのかという説明や、EBAを経験したお客様の成果や声などを紹介して、EBAの概要を理解できるように構成しました。
“モノ×コト”の実現へ向けたパイオニアのエンジニア組織戦略
– 磯野 仁 氏、 パイオニア株式会社 SaaSテクノロジーセンター SaaSテクノロジー統括グループ 統括部長
本セッションでは、モノ作りの強さを活かしつつ、モビリティデータを活用したソリューションサービス企業への変革を進めているパイオニアの磯野 氏から、“モノ×コト“の実現へ向けたエンジニア組織戦略とモダナイゼーションの取組みをご紹介いただきました。
パイオニアでは、描いた戦略の実現に向けた様々なハードルをクリアし、事業を迅速に成長させていく組織として、SaaS Technology Center (STC)を設立。その後、変革へ向けた課題として、ものづくりベースの制度・文化を起因とした、文化的課題と技術的課題を時間をかけて抽出し、これらの課題感からSTCの当面の戦略に、サービス開発文化の醸成、開発体制変革・強化、人材の強化を掲げました。しかしながら、スピードを持った変革実践にあたっては、現場のエンジニアの経験・体感が不足しているという課題がありました。そのような状況の中、AWSから、Application Modernization Assessment (AMA)/Experience-Based Acceleration (EBA)の提案があり、アマゾンのイノベーションを支える4つの仕組み(カルチャー、メカニズム、アーキテクチャ、組織)いずれもが、STCで掲げている変革の姿に近く、非常に共感できる内容だった事から、エンジニアにそれを経験、体感してもらいたいと思い、AWSからの提案を受けて一緒にAMA/EBAに取り組みました。
パイオニアはAMA/EBAを通して、既存サービスのコアアセットをサービスの垣根を越えて利用できるようにし、新しい開発手法を実践し発信する自律した開発チームを目指すという当初の目標を達成し、さらに顧客視点の再認識や、アジャイル な働き方の 「型」を経験 することで、開発に対する新しいやり方、仕組み、考え方などを取り入れることができ、変革に必要なマインドの醸成に期待以上の成果があったといいます。
パイオニアでは今後の取り組みとして、新規プロジェクトにアジャイル的なアプローチを実践し、AMA/EBAで体験した小さな成功の継続を始めています。具体的には、基盤刷新プロジェクトにおいて、最も必要な要件から小さく開発しパターン化する事で、反復的に範囲を拡大 して構築していく形で進めています。モノリシックなシステムにおいて優先順位をつけて実施していきますが、AMA/EBAでの経験を生かしていると発表いただきました。
脱炭素社会のクラウド移行トータル支援プログラム – ITトランスフォーメーションパッケージ2.0
– 足立 慎也 、アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 マイグレーション&モダナイゼーション事業開発本部 シニアマイグレーションスペシャリスト
本セッションでは、 2021年にリリースした、AWSへの大規模なシステムの移行をサポートする「AWS ITトランスフォーメーションパッケージ(ITX)」を、お客様からの声を元に強化・拡大し、新たに リリースした「ITトランスフォーメーションパッケージ2.0 (ITXパッケージ2.0)」をご紹介しました。 ITXパッケージ2.0では、マイグレーションプロジェクトを評価(Assess)フェーズ、準備(Mobilize)フェーズ、マイグレーション&モダナイゼーション(Migrate & Modernize)フェーズに分け、各フェーズでお客様を支援するサービスを提供しますが、各種支援サービスの内容とそれにより期待される効果をご紹介しました。また、ITXパッケージ2.0を活用して、脱炭素化に貢献しつつ、コストを下げながらマイグレーションを加速可能で、クラウドマイグレーションで終わりでなく、その先、Cloud Financial Management (CFM)による更なるコスト最適化、Experience-Based Acceleration (EBA)によるモダナイゼーション移行の体験を通して、クラウドネイティブ化への準備も視野に入れることを述べました。
おわりに
AWSへの大規模なシステムの移行をサポートするITXパッケージ2.0は、AWSによるアセスメントを受けて頂くことから始まります。ご利用に向けての入り口は3つあり、どこからでも結構です。
1)Webから簡易アセスメントをお受け頂きAWSからの連絡をお待ち頂く、2)Webフォームからのお問い合わせ、3)担当営業までご連絡ください。
クラウドへのマイグレーションをお考えの際はAWSへの移行のページもご確認ください。AWSへの移行に必要な情報が網羅されています。また、ITXパッケージ2.0にご興味をお持ちのお客様は、是非上記3つのいずれかよりAWSへのコンタクトをお待ちしております。
事業開発統括本部 マイグレーション&モダナイゼーション事業開発本部
マイグレーションスペシャリスト 富松卓郎