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デジタル庁Head of Government Cloud梅谷晃宏氏、登壇。講演内容 掲載記事のサマリーをお届けします。

今回のブログでは、2022年5月25日(水)・26日(木) に開催された「AWS Summit Online 2022」における、梅谷晃宏様(以下、「梅谷氏」。デジタル庁 Head of Government Cloud)による講演を詳報した掲載記事のサマリーをお届けします。

2022年8月にITmedia ビジネスオンラインに掲載された「クラウドは10年前と別物」――ガバメントクラウドトップが語るクラウドの“誤解”と目指すべき姿──の記事全文は こちら よりご覧ください。
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「クラウドに関する共通認識獲得を」

講演の冒頭、梅谷氏は「パブリックセクターを広範に巻き込んだガバメントクラウドの活用推進に向け、まずは“クラウド”という言葉に対する関係者全員の共通認識の獲得が絶対条件になります」──と強調します。

AWS Summit Online のオンデマンド配信特設サイトより、登壇の模様)

曰く、クラウド活用の論点は現状、各組織が置かれた状況ごとに、「セキュリティ」や「開発手法」、あるいは「その上で稼働する業務システム」などいくつも存在しており、必然的にクラウドを巡る議論の参加者ごとに異なる考えを持ちやすくなってしまうものです。また、クラウドサービスそのものについても基礎的なITの知識や経験によって認識の齟齬があるという。そのまま議論、あるいは現場での利用を進めては齟齬が積み上がりかねず、クラウドの真価が発揮されないとの危機意識が根底にある。──このように指摘します。

「クラウドは10年前と別物」

では、「劇的な進化」を経た、「10年前とは別物」のクラウドとは、どのようなものでしょうか?ここでも、梅谷氏は次のような明確な対照を聴衆に向け展開してくれました:

  • 10年代初頭、クラウドのメリットは従来型のオンプレミスとの対比で語られた。いわく、「ITインフラをサービスとして時間課金で利用する仕組みにより、イニシャルコストや調達期間を格段に抑えられ、ハードウェアを持たないため物理運用管理の手間も不要になりトータルコストが安くなる」というものだ。
  • それから10年ほどが経過した今、クラウドはグローバルなクラウドサービスプロバイダー(CSP)間のサービス競争とユーザー企業からのフィードバックによる好循環を背景に、「オンプレミスの代替」の範ちゅうをとうに超えるまで進化を遂げている。事実、アプリケーション開発やリスクコントロール、監査情報の取得など、ビジネスプロセスを進化させるノウハウやプロセス自体さえもがサービスとしてクラウドサービスそのものに取り込まれ、例えば、CI/CD(Continuous Integration/Continuous Delivery:継続的インティグレーション/継続的デリバリー)などの開発・運用を効率化する手法を安価に取り入れやすくなっている現状がある。

4象限でクラウドの成熟度を図式化

さらに、講演のハイライトの1つは、新旧クラウドの利用法の違いをオリジナルに概念化いただいた、「ガバナンス・統制実装度合い」と「クラウドネイティブ度合い」を2軸とする“クラウド活用の成熟度モデル“です。詳しくはぜひ記事本体をご参照いただければと思いますが、以下、4つのカテゴリーへと整理されています:

  • 出発点となるのは、使いたい人のみ勝手に利用し、管理や統制が一切存在しない「カオス・タクティカル」。
  • 上記の状況の中、各種リスクや非効率性によるルールの必要性が認識されることで、使い方は標準化による全体最適を目指す「手動型ストラテジック」にシフトする。ただし、マニュアルなどで規定された各種作業の実施は、この段階ではまだ人手=手動型に依存している。「ここまでが、10年代で見られたクラウド活用の状況です。大きな問題は、人手による作業でのミスのリスクを絶対に避けられないことです」(梅谷氏)
  • リスク排除に向け部分的な、あるいは個別最適による標準化、自動化が進んだ状況が「モダンクラウド型ストラテジック」。部門やチーム単位などの限定された範囲でクラウド利用のノウハウ蓄積と共有が進み、標準化を通じてコスト効率と開発効率も向上する。ただし、コンプライアンスやリスクコントロールなどへの対応は個別実施にとどまる。
  • 上記モデルでの全体最適と自動化をさらに推し進めることで到達するのが「モダンクラウド型トランスフォーメイショナル」である。20年代のクラウド利用は、このモダンクラウド型ストラテジックからモダンクラウド型トランスフォーメイショナルに移る過程にある。
    • 「最終的に到達するのが、あらゆる統制の自動化です。全社共通のガバナンスの要求項目や、組織全体として実装したい標準プロセス、コンプライアンスやセキュリティ、開発手法などが人手を介さずに実装され、自動的に構成され、定められた標準から外れることが逆に不可能になることで人手によるリスクが一掃されます」(梅谷氏)
    • こうした環境を活用していくことで「あらゆる面でクラウドサービス活用のメリットが大きくなります。また、ビジネスそのものに直結する業務、アプリケーション、データにリソースを集中することが可能となります」と梅谷氏。ガバメントクラウドが目指すのも当然、この「モダンクラウド型トランスフォーメイショナル」である 

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