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AWS Summit Japan 2026 ブース紹介 ソフトウェア定義型ファクトリー
こんにちは、ソリューションアーキテクトのシャルノ ミカエルです。
本記事では、2026 年 6 月 25 日(木)と 26 日(金)の 2 日間、幕張メッセで開催される AWS Summit Japan 2026 のブース予告をお届けします。製造業に関する展示は AWS Expo 内の AWS for Industries です。このブログでは、その中から「ソフトウェア定義型ファクトリー」と題して、ソフトウェア PLC とコーディングエージェントで工場制御の開発を変革するテーマについてご紹介します。
製造業関連の全ブース紹介は こちらのブログ記事 をご覧ください。
このブースで体験できること
工場の設備を動かしているのは PLC (Programmable Logic Controller) です。ロボット、コンベア、バルブなど、あらゆる設備が PLC の制御ロジックに従って動作しています。PLC はリアルタイム制御と安定性に優れる一方で、ロジックの変更には特殊なスキルセットを持つ技術者が必要であり、変更のリードタイムは長く、コストも多大です。
さらに深刻なのは、検証を本番設備でしか行えないという制約です。変更のために生産ラインを長時間停止するか、小さな変更を小分けにして少しずつ適用するしかなく、結果としてビジネスニーズの変化に追従できない・・・これが多くの製造現場の実情です。
このブースでは、物理 PLC をソフトウェア PLC に置き換え、AI コーディングエージェントとシミュレーション環境を組み合わせることで、工場制御の「開発体験」を根本から変える取り組みの成果をご紹介します。実際のミニチュアファクトリーとシステム構成を展示し、どのようなプロセスで制御ロジックの変更を実現したかをご覧いただけます。

物理工場 (左) と仮装工場 (右)
このブースの注目ポイント
- ソフトウェア PLC と Structured Text (ST) コードによるソフトウェア開発ライフサイクル(SDLC)の実現 : 制御ロジックをラダーロジックから構成管理しやすい ST コード化し、バージョン管理・ロールバックを可能にします。これにより、ソースコード、デプロイメント、セキュリティを AWS で一元管理できます。
- AI コーディングエージェントによる制御ロジックの自動生成 : 開発者が自然言語でやりたいことを伝えると、コーディングエージェントが既存のソースコードを解析し、修正案を提案・適用します。これにより、従来は熟練者が数時間〜数日かけていた制御変更を、対話だけで実現します。
- シミュレーション環境での事前検証 : クラウド上に PLC プログラムと工場設備を動かす仮想シミュレーション環境を構築し、本番適用前にリスクなく検証します。これにより、IaC(Infrastructure as Code)でオンデマンドに立ち上げ、コストを抑制します
- CADデータ活用による学習レス外観検査 : Amazon Nova を活用し、事前学習なしで外観検査を実現。これにより、CADデータから生成した形状をリファレンスモデルとして使用し、実物との差異を検出
展示の概要
本ブースでは、ミニチュアファクトリーと実際のシステム構成を展示し、以下の一連のプロセスをご紹介します。
ステップ 1:課題の発見
「生産ラインの未来」ブースでは、需要増による生産性向上の要求に応えるために AI エージェントが設備から収集されたデータの分析を行い、生産ラインのボトルネックを解消する改善案を導き出します。本ブースでは、その改善案を実際に制御ロジックへ実装する後続のプロセスをご紹介します。
ステップ 2:コーディングエージェントによる制御ロジックの実装
改善案(例:商品によって倉庫に入れるのではなく、直接加工ラインに流す分岐を追加する)を、コーディングエージェントで実装します。
- 開発者が自然言語で意図を伝えます
- ソフトウェア PLC プログラムの開発環境である CODESYS の MCP サーバー機能経由でプロジェクトのソースコードを解析
- ソースコードの修正を提案し、承認後に適用できます
ステップ 3:シミュレーション環境での検証
修正されたプログラムをいきなり本番に適用するのではなく、クラウド上の NVIDIA Isaac Sim によるシミュレーション環境で動作を検証します。
Isaac Sim 内のファクトリーモデルは、実際のソフトウェア PLC から本番と同じ Modbus/TCP で制御されています。PLC 上では本番と同一のプログラムが動作しており、シミュレーション環境側の動作プログラム(PLC との Modbus 通信連携部分)は Python で AWS に AI コーディングエージェントである Kiro を使って実装しました。なお、クラウドとのシミュレーション連携のために TCP ベースのプロトコルを選定しています。
実環境の物理現象を完全に再現することは非常に難しく、シミュレーションは一定の再現性にとどめています。それでも、制御ロジックの大部分の問題を本番適用前に発見できるため、開発サイクルの大幅な短縮につながります。
ステップ 4:フィードバックとイテレーション
コーディングエージェントの出力は、最初から完璧とは限りません。シミュレーション検証で不具合が見つかった場合は、ステップ 2 に戻り追加の指示を出します。たとえば今回の開発では、「奥のオーブンにパーツを持っていっても扉が開かない」「青と判定される前に自動倉庫が入荷モードに動いてしまい、キャンセル処理が漏れる」といった問題がシミュレーションで発覚し、エージェントに追加修正を依頼して解消しました。このように、エージェントとの対話を繰り返しながら素早くイテレーションできるのが、ソフトウェア定義型ファクトリーの大きな利点です。
ステップ 5:本番環境での検証と適用
この工場環境は本番環境もソフトウェアPLCを採用しているため、そのまま、シミュレーションで十分に検証を重ねたプログラムを、物理環境のソフトウェア PLC にダウンロードし、本番環境での最終検証を行います。事前に仮想環境で多くの問題を解消しているため、本番環境での検証は短期間で完了でき、従来よりも質の高いオートメーションの変更を迅速に提供できます。
物理構成
- ソフトウェア PLC: WAGO 社製 Industrial PC 上で CODESYS 社のソフトウェア PLC が動作
- 通信プロトコル: Modbus/TCP で WAGO 社製リモート IO と連携
- リモート IO: WAGO 社製リモート IO がモーター・バルブ・センサーを制御
- ミニチュアファクトリー: Fischertechnik 社製の学習用ファクトリーモデルを使用
使用している AWS サービス
- Amazon Bedrock: コーディングエージェントの推論基盤(LLM バックエンド)
- Amazon Nova: CADデータを活用した学習レス外観検査
- Amazon EC2: ソフトウェア PLC および CODESYS 開発環境の実行基盤
- Amazon ECS: NVIDIA Isaac Sim の実行基盤(GPU を活用したコンテナベースのシミュレーション環境)
- AWS IoT Greengrass: エッジデバイスとクラウドの接続
AWS を活用するメリット
- シミュレーション環境の柔軟な提供: IaC でオンデマンドに立ち上げ、必要な時だけ利用しコストを抑制
- 最新 GPU の提供: シミュレーションに必要な最新 GPU インスタンスをすぐに利用可能
- 豊富な LLM の選択肢: Amazon Bedrock を通じて工場の制御開発に適した LLM を選択可能
- ソフトウェア開発のベストプラクティスを工場に適用: バージョン管理、CI/CD、ロールバックなど、ソフトウェア開発で培われた手法を工場の制御開発にも展開
まとめ
「ソフトウェア定義型ファクトリー」ブースでは、工場の制御をソフトウェアとして扱うという新しいパラダイムの成果をご覧いただけます。ソフトウェア PLC × AI コーディングエージェント × クラウドシミュレーションの組み合わせにより、従来数時間〜数日を要していた制御変更のサイクルを劇的に短縮し、工場を安全かつ継続的に進化させることができます。
AWS Summit Japan 2026 の AWS for Industries ブースにて、ぜひ実物のミニチュアファクトリーとシステム構成をご覧ください。皆さまのご来場をお待ちしております!