Amazon Web Services ブログ
週刊AWS – 2025/3/3週
みなさん、こんにちは。ソリューションアーキテクトの戸塚です。今週も 週刊AWS をお届けします。
私は最近、データ分析系の課題を持たれるお客様のご支援に入ることが多いです。その中でも AWS とパートナー様が共同でワークショップを通して課題を解決していくことで、課題が非常にクリアになり、ダッシュボードの構築がうまくいっているのを感じます。このデータ活用ワークショップというプログラムでは、Amazon 流のモノづくりのプロセスを体験しながら進めることができるようになってるのも魅力だと感じています。ぜひ、データ分析にお悩みでご興味がある方はお近くの AWS 社員にお声かけいただければと思います。
それでは、先週の主なアップデートについて振り返っていきましょう。
2025年3月3日週の主要なアップデート
- 3/3(月)
- AWS IoT Device Management のマネージド統合機能を発表 (プレビュー)
AWS IoT Device Management で、マネージド統合機能のプレビューが発表されました。この機能により、複数のメーカーや接続プロトコルにまたがる多様なデバイスの制御と管理が簡素化されます。IoT デバイスのクラウドへの導入がスムーズになり、自社管理のデバイスとサードパーティのデバイス (クラウドベースのデバイスを含む) を単一のアプリケーションから制御できるようになります。これは特に、異なるメーカーの IoT デバイスを多数扱う企業にとって大きなメリットとなります。従来は個別に管理する必要があった異なる種類のデバイスを、統一されたインターフェースで一元管理できるようになるため、運用効率が大幅に向上します。 - 高スループット、ネットワーク集約型ワークロード向け AWS Outposts ラックを発表 (プレビュー)
新しい AWS Outposts ラックのプレビューを発表しました。これは、オンプレミス環境で高スループットやネットワーク集約型のワークロードに特化して設計されたものです。通信事業者 (テレコム) は、この新しい Outposts ラックを使用することで、AWS のインフラストラクチャとサービスを自社の通信施設に拡張できるようになります。これにより、低レイテンシー、高スループット、リアルタイム性能が求められるオンプレミスのネットワーク機能を展開することが可能になります。新しい Outposts ラックには、第 4 世代 Intel Xeon スケーラブルプロセッサ (Sapphire Rapids) をベースとした Amazon EC2 ベアメタルインスタンスと、高性能なベアメタルネットワークファブリックが搭載されています。このアーキテクチャにより、要求の厳しい 5G ワークロードに必要な低レイテンシーと高スループットを実現します。 - AWS Amplify がサーバーレンダリングの Next.js アプリケーションで HttpOnly クッキー をサポート
AWS Amplify にて、サーバーサイドレンダリングを行う Next.js アプリケーションで、Amazon Cognito のマネージドログイン機能を使用する際に、HttpOnly クッキーのサポートが追加されました。これは既存のサーバーレンダリングサイトにおけるクッキー機能を拡張するもので、HttpOnly 属性を有効にすることで、クライアントサイドの JavaScript からクッキーの内容へのアクセスをブロックし、アプリケーションのセキュリティを強化します。HttpOnly クッキーを使用することで、クロスサイトスクリプティング (XSS) 攻撃に対する追加の保護層が得られます。これにより、機密情報の安全性が確保され、ブラウザとサーバー間でのみデータが送信されるようになります。この機能は特に、Web アプリケーションで認証トークンを扱う場合に重要です。HttpOnly 属性を持つクッキーの内容はサーバーでのみ読み取ることができ、他のサービスにリクエストを送信する前に、必ずサーバーを経由する必要があります。このアップデートにより、開発者はより安全な Web アプリケーションを構築できるようになりました。
- AWS IoT Device Management のマネージド統合機能を発表 (プレビュー)
- 3/4(火)
- AWS Lambda が VS Code IDE で Amazon CloudWatch Logs のライブテール機能をサポート
AWS Lambda が Visual Studio Code (VS Code) で CloudWatch Logs のライブテール機能をサポートするようになりました。この機能追加により、開発者は VS Code の AWS Toolkit を通じてリアルタイムでログを監視できるようになります。以前は Lambda コンソールでのみ利用可能だったライブテール機能ですが、今回 VS Code での対応が実現したことで、開発者は開発環境を離れることなくログの分析が可能になりました。これは Lambda 関数の開発やトラブルシューティングにおいて大きな利点となります。開発者はコードの記述とログの確認を同一の画面で行えるため、複数のインターフェース間を行き来する必要がなくなります。 - SageMaker Hyperpod フレキシブルトレーニングプランが即時開始
2025 年 2 月 14 日より、SageMakerのフレキシブルトレーニングプラン (FTP) において、最短 30 分後に開始が可能になりました。SageMaker の柔軟なトレーニングプランは、お客様が機械学習ワークロードを実行するために必要な GPU リソースを簡単に確保できるサービスです。このプランを利用することで、お客様は必要な時に必要な分だけ GPU リソースを予約でき、機械学習の開発サイクルを確実に計画することができます。特に長期的な契約は必要なく、実際に使用したGPU時間分のみのお支払いで、必要な時に必要なだけリソースを確保できる柔軟性があります。これにより、お客様は機械学習プロジェクトの開発スケジュールを より確実に立てることができ、必要な GPU リソースを効率的に活用することが可能になります。 - Amazon Q Business が音声およびビデオデータからのインサイトに対応
Amazon Q Business に、音声データと動画データからインサイトを得られる機能が追加されました。Amazon Q Business は AWS が提供する AI アシスタントサービスですが、これまでテキストデータのみを扱っていました。今回のアップデートにより、音声ファイルや動画ファイルの内容も検索対象となり、それらのメディアに含まれる情報について質問することが可能になりました。例えば、録画された会議の内容、トレーニング動画、ポッドキャストなどの音声・動画コンテンツから必要な情報を簡単に見つけ出すことができます。これにより、企業内の情報活用の幅が大きく広がり、マルチメディアコンテンツからも従来のテキストドキュメントと同様に情報を引き出せるようになります。
- AWS Lambda が VS Code IDE で Amazon CloudWatch Logs のライブテール機能をサポート
- 3/5(水)
- Amazon Bedrock の Amazon Nova Pro ファンデーションモデルにおける低レイテンシー最適化推論機能の提供開始
Amazon Bedrock で利用可能な Amazon Nova Pro 基盤モデルに、レイテンシー最適化推論機能がプレビューとして追加されました。この機能により、生成系 AI アプリケーションのレスポンス時間が短縮され、応答性が向上します。レイテンシーに敏感なアプリケーションにおいて、エンドユーザーの体験を改善し、開発者がユースケースに応じてパフォーマンスを最適化できる柔軟性を提供します。この新機能は追加のセットアップやモデルの微調整を必要とせず、既存のアプリケーションをすぐに高速化できます。Amazon Nova Proは Amazon Bedrock で提供される基盤モデルの 1 つで、この最適化により開発者は迅速なレスポンスが求められるアプリケーションを容易に構築できるようになります。特に対話型アプリケーションやリアルタイム処理が必要なシステムにおいて、このアップデートは大きな価値をもたらします。 - Amazon FSx for NetApp ONTAP の SnapLock ライセンス料金が無料に
Amazon FSx for NetApp ONTAPにおいて、2025 年 3 月 5 日から SnapLock のライセンス料金が無料になるというアップデートのお知らせです。SnapLock は、データを指定した保持期間中に変更や削除できないようにする「Write Once, Read Many (WORM)」という保護機能を提供する機能です。この機能により、お客様はランサムウェアや不正な削除、悪意のある改ざんからビジネスの重要なデータを保護することができます。これまで SnapLock を有効にしたボリュームには追加のライセンス料金が発生していましたが、この変更により料金が不要となります。既存の SnapLock ボリュームと新規作成するボリュームの両方に自動的に適用され、お客様のアプリケーションに変更を加える必要はありません。このアップデートにより、コンプライアンス要件を満たしながら、より費用対効果の高いデータ保護が実現できるようになります。 - Amazon Connect で単一のルーティングステップで複数のエージェントスキルをターゲットにすることが可能に
Amazon Connect のルーティング機能が改善され、1 つのルーティングステップで最大 4 つの異なるエージェントのスキル組み合わせを対象にできるようになりました。これは、コンタクトセンターでの顧客対応をより効率的にする重要なアップデートです。従来は 1 つのルーティングステップで 1 つのスキルセットしか指定できませんでしたが、今回のアップデートでは OR 条件を最大 3 つまで使用することで、4 つの異なるタイプのエージェントに同時にマッチングを試みることができます。具体例として、銀行業務における専門的なスキルのバックアップとして、口座管理、登録手続き、税務に関する研修を受けたエージェントがいる場合、最初に残高紹介のエージェントを検索した後、これら 4 つのスキルを持つエージェント全てに対して一度に照合を試みることができます。これにより、適切なエージェントを見つける可能性が大幅に向上し、顧客の待ち時間を短縮することができます。このアップデートは、特に複雑なスキル要件を持つコンタクトセンターの運営効率を向上させる重要な機能強化となっています。 - Amazon Connect、Amazon WorkSpaces、Amazon AppStream 2.0 が Chrome Enterprise 推奨製品に認定
Amazon Connect、Amazon WorkSpaces、Amazon AppStream 2.0 が Chrome Enterprise Recommended (CER) 認証を取得したことをお知らせします。この認証は、これらのサービスが ChromeOS、ChromeOS Flex、Chrome ブラウザ環境で最適化されていることを示す重要な証明となります。これにより、Chrome デバイスを使用する企業は、より円滑にこれらのサービスを利用できるようになりました。具体的には、Amazon Connect でブラウザベースのコンタクトセンター機能へのアクセス、Amazon WorkSpaces で Windows や Linux の仮想デスクトップの利用、そして Amazon AppStream 2.0 でアプリケーションの改修なしでのストリーミング配信が可能になります。
- Amazon Bedrock の Amazon Nova Pro ファンデーションモデルにおける低レイテンシー最適化推論機能の提供開始
- 3/6(木)
- AWS CodeConnections で接続の共有が利用可能に
AWS CodeConnections の新機能として、AWS アカウント間での接続共有が可能になりました。この機能により、GitHub や GitLab、Bitbucket などのソースコード管理サービスへの接続をより効率的に管理できるようになります。これまでは、ソースコードにアクセスが必要な AWS アカウントごとに、AWS コネクタアプリをインストールして接続を作成する必要がありました。今回のアップデートでは、AWS Resource Access Manager (AWS RAM) を使用することで、1つのアカウントで作成した接続を他の AWS アカウントと安全に共有できるようになりました。これにより、複数のアカウントで個別に接続を作成する手間が省け、運用の負担を大幅に軽減できます。また、AWS RAM を活用することで、接続の共有を自動化することも可能になり、マルチアカウント展開戦略をより効率的にサポートできます。さらに、接続が共有された AWS アカウント側では、IAM ポリシーを使用して、各 IAM ロールが実行できる操作を細かく制御することができます。これにより、セキュリティを維持しながら、より柔軟な接続管理が実現できるようになりました。 - AWS IoT SiteWise の MQTT 対応 SiteWise Edge ゲートウェイを発表
AWS IoT SiteWiseの新機能として、MQTT 対応の SiteWise Edge ゲートウェイが一般提供開始しました。AWS IoT SiteWise は、産業機器からのデータを大規模に収集、保存、整理、分析することを容易にするマネージドサービスです。今回のアップデートにより、新しく作成されるゲートウェイには MQTTv5 ブローカーコンポーネントが含まれ、SiteWise Edge とお客様が構築したエッジコンポーネント間の接続が一元化されます。このアップデートにより、MQTT プロトコルを使用して、お客様独自のエッジコンポーネントと AWS IoT SiteWise Edge 間の通信を、パブリッシュ・サブスクライブ型のトポロジーで統合することが可能になりました。これにより、エッジコンポーネント間のポイントツーポイント接続を構築する必要がなくなり、エッジデータフローのカスタムロジック統合が簡素化されます。また、データのコンテキスト化のためにエッジでコンポーネントを構築することができます。 - Amazon Q Developer がコマンドライン内に新しい CLI エージェントを発表
Amazon Q Developer の CLI (コマンドラインインターフェース) エージェントが新しくアップデートされ、より柔軟な対話が可能になりました。このアップデートにより、Amazon Q Developer は CLI 環境内の情報を活用して、ローカルファイルの読み書き、AWS リソースの照会、コードの作成などを支援できるようになります。具体的には、コードの作成やテスト、デバッグのサポートを行い、ユーザーのフィードバックや承認に基づいて段階的に調整を加えることができます。これにより、ターミナルから離れることなく開発プロセスを効率的に進められるようになりました。
- AWS CodeConnections で接続の共有が利用可能に
- 3/7(金)
- Amazon Bedrock Knowledge Bases の GraphRAG が一般提供開始
Amazon Bedrock Knowledge Bases の新機能である GraphRAG が一般提供開始となりました。GraphRAG は、データ間の関連性を活用して、生成AIアプリケーションの情報検索と合成能力を向上させる機能です。この機能により、より包括的で関連性の高い、説明可能な応答を実現します。プレビュー期間中、多くのお客様がこのマネージド型の GraphRAG 機能を活用し、エンドユーザーからの問い合わせに対してより良い回答を得ることができました。GraphRAG は自動的にベクトル埋め込みを生成し、Amazon Neptune Analytics に保存すると同時に、エンティティ間の関係をグラフとして表現します。ベクトル類似性検索とグラフ探索を組み合わせることで、相互に関連しているものの異なるデータソースからの情報検索の精度を向上させることができます。 - Application Load Balancer が Amazon VPC IPAM との統合を発表
Application Load Balancer (ALB) が Amazon VPC IPAM との統合機能を発表しました。この機能により、ロードバランサーのノードに割り当てる IPv4 アドレスのプールを、お客様が自由に設定できるようになりました。このプールには、お客様が所有する独自の IP アドレス (BYOIP) や、Amazon が提供する連続した IPv4 アドレスブロックを使用することができます。この新機能の主なメリットは 2 つあります。1 つ目は、お客様が所有する IP アドレス (BYOIP) をパブリック IPAM プールで使用することで、パブリック IPv4 のコストを最適化できる点です。2 つ目は、Amazon が提供する連続した IPv4 ブロックをパブリック IPAM プールで使用することで、企業のアクセス許可リストの管理や運用を簡素化できる点です。また、ALB の IP アドレスは IPAM プールから割り当てられ、そのプールが枯渇した場合は自動的に AWS が管理する IP アドレスに切り替わります。
- Amazon Bedrock Knowledge Bases の GraphRAG が一般提供開始
それでは、また来週お会いしましょう!