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週刊AWS – 2026/10/19週

みなさん、こんにちは。ソリューションアーキテクトの戸塚です。今週も 週刊AWS をお届けします。

めっきり日が短くなり、気づけば今年も残すところ 2 か月あまりとなりました。今週は Amazon Bedrock 上の Claude モデルでの Structured Outputs 対応や、Amazon Connect の脅威検出、AWS Trainium 向けネイティブ PyTorch「TorchNeuron」のベータなど、開発・運用の現場をじわりと支えるアップデートが揃いました。そして年末といえば、いよいよ 11/30(月)〜 12/4(金) に米国ラスベガスで AWS 最大のカンファレンス AWS re:Invent 2026 が開催されます。新サービスがステージで発表され、その日のうちにライブデモや技術セッションで深掘りできる 1 年で最もアツい 5 日間です。現地参加はもちろん、基調講演はオンラインでも視聴できますので、ぜひ予定に入れておいてください。

それでは、先週の主なアップデートについて振り返っていきましょう。

2026年10月19日週の主要なアップデート

  • 10/19(月)
    • Amazon GuardDuty が Runtime Monitoring 向けのオプション脅威検出ルールを追加
      Amazon GuardDuty の Runtime Monitoring に、オプトインで有効化できる脅威検出ルール (Custom Detection Rules) が追加されました。sudoers ファイルの変更や監査ログの無効化のように、ある環境では正常でも別の環境では侵害の兆候となるプロセス・ファイル・ネットワークアクティビティを、環境ごとに選択して検出できます。ルールは AWS が構築・保守するプリビルトで 55 個あり、MITRE ATT&CK のタクティクスに対応した 13 の finding types を生成します。dry-run mode で検出量を事前評価してから live mode に切り替えられます。すべての AWS 商用リージョンと AWS GovCloud (US) リージョンで利用できます。
    • EC2 Image Builder が ASG と統合しイメージビルドを高速化
      EC2 Image Builder が、Auto Scaling Group (ASG) で稼働中の既存 EC2 インスタンスをビルドに使用できるようになりました。従来はビルドのたびに新規インスタンスの起動と初期化を待つ必要がありましたが、この時間を省略できます。インフラストラクチャ設定で ASG を指定すると、Image Builder はその ASG から稼働中のインスタンスを 1 台取り出してビルドコンポーネントを適用し、イメージを作成します。ASG は希望容量の維持によりインスタンスを自動補充するため、次回以降のパイプライン実行にもインスタンスを利用できます。本機能はオプトイン方式で、既存パイプラインへの影響はなく、全リージョンで追加料金なしで利用できます。
    • Amazon CloudWatch Omni が追加の AWS リージョンで利用可能に
      Amazon CloudWatch Omni が新たに 8 リージョンに拡大し、東京リージョンを含む合計 11 リージョンで利用できるようになりました。CloudWatch Omni は AWS マネジメントコンソールの外 (SSO 対応の専用 Web UI または IDE 拡張) で提供される AI を活用した可観測性のためのインターフェースで、アプリケーションと AI エージェントのテレメトリを 1 か所で確認できます。OpenTelemetry を基盤とし、既存の CloudWatch テレメトリは再設定なしでそのまま表示されます。今回の拡大により、日本の組織は東京リージョンにスペースを作成し、IAM Identity Center と組み合わせた SSO 構成をリージョン内で完結できます。
  • 10/20(火)
    • AWS IAM Identity Center が Active Directory からのアイデンティティソース変更を簡素化
      AWS IAM Identity Center は、アイデンティティソースを Active Directory から外部 IdP (Okta、Microsoft Entra ID など) または Identity Center ディレクトリに変更する際、ユーザー、グループ、グループメンバーシップ、許可セット割り当て、アプリケーション割り当てを保持するようになりました。従来はこの変更で全データが削除され、再作成が必要でした。既存の identity store が維持されるため、ユーザー ID・グループ ID・Identity Store ID は変わらず、これらの ID を参照するポリシーも引き続き動作します。本機能は組織インスタンスを対象に、IAM Identity Center が利用可能な全リージョンで追加料金なしで利用できます。なお、逆方向 (Active Directory への変更) は従来どおり全データが削除されます。
    • Amazon Bedrock Guardrails が contextual grounding checks の Standard tier をサポート
      Amazon Bedrock Guardrails のハルシネーション検出機能である contextual grounding checks に Standard tier が追加されました。従来の Classic tier は要約・言い換え・質問応答向けの厳密なグラウンディング評価のみに対応していましたが、Standard tier では推論過程や会話調の内容を含む応答も評価できます。対応言語は英語・フランス語・スペイン語の 3 言語から日本語を含む 80 以上の言語に拡大され、日本語は「最適化およびサポート済み」の位置付けです。料金は Classic tier と同じ 1,000 テキストユニットあたり 0.10 USD です。利用にはガードレールプロファイルによる cross-Region inference の有効化が必要で、東京リージョンを含む 11 リージョンで利用できます。
    • AWS Clean Rooms が Databricks をデータソースとしてサポート
      AWS Clean Rooms が Databricks をデータソースとしてサポートしました。コラボレーションのメンバーは、Delta Sharing で共有された Databricks のテーブルを、S3 へエクスポートや複製をせずにコラボレーション内で直接クエリできます。これまで Databricks にデータを持つメンバーは S3 へのエクスポートパイプラインの構築と、コピーされたデータの追加のガバナンスが必要でした。認証には IAM のアウトバウンド ID フェデレーションによる JWT 交換を使うため、長期シークレットの保管は不要です。サポートされるデータソースは AWS Glue (S3)、Amazon Athena、Snowflake に Databricks が加わり 4 種類になりました。
    • Amazon Bedrock 上の Claude モデルで Structured Outputs が利用可能に
      Amazon Bedrock が、Anthropic Claude の全モデルで Structured Outputs を一般提供しました。ユーザーが定義した JSON Schema に必ず準拠した JSON レスポンスを受け取れるため、独自のパース処理、リトライロジック、事後検証コードが不要になります。bedrock-runtime エンドポイント (Converse API / InvokeModel API) と bedrock-mantle エンドポイント (Anthropic Messages API) の両方に対応します。レスポンス全体を構造化する「JSON Schema output format」と、ツール呼び出しの入力を検証する「strict tool use」の 2 つの機構があり、併用もできます。Claude モデルが利用可能なすべてのリージョンで使えます。
  • 10/21(水)
    • AWS Transform が新規ネットワークの構築とセキュリティグループの最新化に対応
      AWS Transform for migrations のネットワーク移行機能が拡張され、ネットワークを AWS に持ち込む方法が 3 つになりました。従来の「ソースネットワークを新規 VPC にマッピングする移行」に加え、ソース設定ファイルを使わずにゼロから AWS ベストプラクティスに沿った新規ネットワークを設計・構築する方式と、オンプレミスのファイアウォールルールをセキュリティグループに変換して既存 VPC へデプロイする方式を選択できます。セキュリティグループ変換では、実トラフィックデータに基づく未使用ルールの検出や、CIDR ベースのルールからセキュリティグループ参照への変換などの最新化を行います。AWS Transform 自体の利用は無料で、すべての AWS 商用リージョンおよび GovCloud リージョンへの移行に対応します。
    • AWS Neuron 2.33 がネイティブ PyTorch サポート、Neuron Observer などの新機能を追加

      AWS Neuron 2.33 がリリースされました。最大の変更点は、AWS Trainium 向けのネイティブ PyTorch バックエンドである TorchNeuron のパブリックベータ提供です。torch-xla を経由せず、.to(“neuron”) と指定するだけで標準の PyTorch コードを Trn2 / Trn3 インスタンス上で eager mode または torch.compile で実行できます。あわせて、Trainium の稼働状態の異常を 1 秒未満で検知する Neuron Observer、vLLM 0.29.0 対応、Wan2.2 動画生成向け vLLM Omni Neuron plugin、NKI Library への 25 個の実験的カーネル追加が含まれます。また、Neuron 2.34 で Trn2 / Trn3 の Torch/XLA 推論パスと NxD Inference がサポート終了になる予告が出ており、ネイティブ PyTorch パスへの移行計画が必要です。

    • AWS Transform が Amazon S3、EBS、EFS、FSx 向けのストレージ移行評価を追加
      AWS Transform の移行評価 (migration assessment) 機能が、オンプレミスストレージの評価に対応しました。NetApp Digital Advisor エクスポートや RVTools ファイルなどのストレージインベントリをアップロードすると、NAS 共有、SAN LUN、直接接続ディスク、バックアップリポジトリの各ワークロードを Amazon S3、Amazon EBS、Amazon EFS、Amazon FSx (NetApp ONTAP、Windows File Server、OpenZFS、Lustre) に自動でマッピングし、サイジングとコスト予測を含む TCO ビジネスケースを生成します。Single-AZ と Multi-AZ、コスト最適化とパフォーマンス最適化といった What-if シナリオを比較でき、結果についてチャットで追加質問もできます。評価機能は無料で、AWS Transform が利用可能なすべてのリージョンで提供されます。
  • 10/22(木)
    • Amazon SageMaker AI が Muse Glimmer、Qwen 3.8、Ministral 3 モデルのサーバーレスモデルカスタマイズをサポート
      Amazon SageMaker AI のサーバーレスモデルカスタマイズに、Meta の Muse Glimmer 30B、Alibaba の Qwen 3.8 27B、Mistral AI の Ministral 3 (3B / 8B / 14B) が追加されました。これらのモデルに対して、SFT (教師ありファインチューニング)、DPO (直接選好最適化)、RFT (強化ファインチューニング) の 3 手法を、LoRA またはフルファインチューニングで実行できます。インフラのプロビジョニングとトレーニングのオーケストレーションは SageMaker AI が管理するため、GPU クラスタの運用なしに従量課金でモデルを適応できます。利用可能なリージョンはバージニア北部リージョン、オレゴンリージョン、東京リージョン、アイルランドリージョンの 4 つです。
    • AgentCore Gateway が Bedrock InvokeModel API とモデルフォールバックに対応
      Amazon Bedrock AgentCore Gateway の推論エンドポイントが、Amazon Bedrock の InvokeModel および InvokeModelWithResponseStream API に対応しました。既存の Bedrock SDK (boto3 の bedrock-runtime クライアントなど) は endpoint_url をゲートウェイに向けるだけで、OpenAI や Anthropic を含む複数のモデルプロバイダーに 1 つの統制されたエンドポイント経由でアクセスできます。あわせてモデルフォールバックルーティングが追加され、プライマリの宛先がスロットリング、容量不足、到達不能のときに、ゲートウェイがルールで定義した代替の宛先へ自動で切り替えます。サーキットブレーカーが組み込まれており、障害中の宛先をスキップして無駄な試行による遅延を抑えます。中国リージョンを除く、AgentCore Gateway が利用できるすべてのリージョンで利用できます。
    • AWS Interconnect – last mile の Megaport とのプレビュー提供を発表
      AWS は、ブランチオフィス、データセンター、リモート拠点を AWS にプライベート接続するマネージドサービス AWS Interconnect – last mile について、Megaport をパートナーとするプレビュー提供を発表しました。AWS マネジメントコンソールからリージョン、帯域幅、Direct Connect Gateway ID、パートナーのサブスクライバー ID を指定するだけで接続を作成でき、BGP ピアリング、VLAN、ASN の設定は自動化されます。2 つの物理サイトにまたがる 4 本の冗長接続が自動的にプロビジョニングされ、99.99% の SLA が提供されます。プレビューはサンノゼと北バージニアの 2 メトロで利用でき、北カリフォルニアリージョンとバージニア北部リージョンに接続できます。
    • AWS Continuum for code vulnerabilities が一般提供開始
      AWS は、コード脆弱性の発見・検証・優先順位付け・修復を自動化する AWS Continuum for code vulnerabilities の一般提供を開始しました。AWS 環境からリソーストポロジー、IAM の関係、ネットワーク到達性を含むコンテキストグラフを構築し、検出した脆弱性を隔離サンドボックスで実際にテストして悪用可能かを確認します。悪用可能性の証拠とブラストラディウス評価を添えた修正パッチを、GitHub の Pull Request または Amazon S3 へのパッチファイルとして届けます。料金はコード 100 万行あたり月額 200 USD からの段階制コンテキスト料金と、1 推論ユニットあたり 10 USD の従量料金の 2 軸です。Amazon GuardDuty や AWS Security Hub など既存のセキュリティサービスと併用する前提で設計されています。

今週は GuardDuty や AWS Continuum for code vulnerabilities といったセキュリティ強化から、AWS Transform によるネットワーク・ストレージ移行支援、SageMaker のモデルカスタマイズまで、守りと攻めの両面でアップデートが広がった印象です。re:Invent を目前に控え、各サービスが着々と足場を固めているのを感じますね。来週はどんな発表が飛び出すでしょうか。それでは、また来週お会いしましょう!

著者について

Tomoya Tozuka

戸塚 智哉(Tomoya Tozuka) / @tottu22

飲食やフィットネス、ホテル業界全般のお客様をご支援しているソリューション アーキテクトで、AI/ML、IoT を得意としています。最近では AWS を活用したサステナビリティについてお客様に訴求することが多いです。
趣味は、パデルというスペイン発祥のスポーツで、休日は仲間とよく大会に出ています。