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誰でも簡単に生成 AI を活用! AWS Japan メンバーが作った PartyRock アプリ集
はじめに
昨今、生成 AI の進化が目覚ましく、さまざまなコンテンツを生成できるようになってきました。このような生成 AI の活用シーンを、誰でも簡単にアプリケーション化して共有できるようになったのが、AWS の新しいツール「PartyRock」です。PartyRock では、自然言語による画面操作だけで生成 AI を組み込んだアプリを作成し、URL を共有するだけで誰とでも利用できます。そして PartyRock は 2024 年 6 月 13 日現在、AWS アカウントやクレジットカード登録が一切不要で、誰でも無料で利用することができます。エンジニアだけでなく、プログラミング未経験の方でも気軽に生成 AI を活用できます。PartyRock のより詳細な説明は「PartyRock : 誰でも生成系 AI のアプリケーションを作成し共有できるサービス」からご確認ください。
本記事では、PartyRock のサンプルアプリをご紹介し、誰でも簡単に生成 AI アプリを作成できることをお伝えします。アプリ紹介の中では、アプリを作った AWS Japan メンバーへのインタビューも掲載しています!PartyRock で作成したアプリは URL を用いて共有することができ、本記事で紹介するサンプルアプリも後述の URL から簡単に試すことができます。楽しく直感的に生成 AI アプリを作ることができる PartyRock をぜひ試してみてください!
AWS Summit Japan PartyRock ブースの紹介
日本最大の “AWS を学ぶイベント” AWS Summit Japan が 2024年 6月 20 日 (木)、21 日 (金) の二日間に渡り幕張メッセで開催されます。クラウドコンピューティングコミュニティが一堂に会して、アマゾン ウェブ サービス (AWS) に関して学習し、ベストプラクティスの共有や情報交換ができる、クラウドでイノベーションを起こすことに興味がある全ての皆様のためのイベントです。基調講演・150 を超えるセッション、250 を超える EXPO コンテンツがあり、その中には PartyRock のブースもあります。AWS アカウント不要の生成 AI プレイグラウンド PartyRock を体験しませんか?専門知識がなくても大丈夫!あなたのアイディアをその場でアプリ化してみましょう!
場所:AWS Village・生成 AI コーナー
ブース名:あなたのアイディアをその場でアプリ化!生成 AI プレイグラウンド PartyRock
AWS Summit Japan は下記からご登録できます。PartyRock のブース以外にも数多くのブース・セッションがあります。皆様のご登録・ご来場をお待ちしています!
https://aws.amazon.com/jp/summits/japan/
サンプルアプリ
ビデオ書き起こし要約アプリ
作成者:Shintaro Okamoto
ソリューションアーキテクト
アプリ説明
このアプリでは、ビデオの書き起こし文を入力すると、要約文の自動生成および内容に関する質問回答を行なってくれます。PartyRock を用いるとこのような実用的なアプリも簡単に素早く作成することができます。
このアプリは「Video Transcript」「Video Summary」「Ask About Video」の 3 つのウィジェットから構成されています。「Video Transcript」にビデオの書き起こし文をアップロードすると、「Video Summary」にビデオの内容の要約が生成されます。もしビデオの内容について何かわからないことがある場合は、「Ask About Video」で生成 AI にビデオの内容を聞くこともできます。
「Ask About Video」で会話できる生成 AI は「Video Transcript」と「Video Summary」の内容を知った上で会話してくれるのがポイントです。「Ask About Video」の右上の設定アイコンからプロンプト (生成 AI に与えられる入力) を見てみると、「Video Transcript」と「Video Summary」を参照しているのがわかります。
PartyRock ではどのようなアプリを作りたいかをテキストで入力するだけでアプリが作成されますが、作成された後に編集を行うこともできます。ウィジェットの出力が英語でされてしまう場合は、このプロンプトの最後のように「日本語で出力して」と付け足すだけで、日本語で出力してくれるようになることがあります。
書き起こし文ファイルのアップロードは 2024 年 5 月に追加された Document ウィジェットで行っています。Document ウィジェットを用いると、PDF や DOCX などの一般的なファイルやドキュメントのテキストコンテンツを PartyRock アプリに直接統合することができます。以前までの PartyRock では、このようなユースケースではファイルからテキストを手作業で抽出する必要がありましたが、Document ウィジェットの活用により、より効率的に作業を行うことができるようになりました。今回は書き起こし文としてテキストファイルをアップロードしています。
作成者へのインタビュー
著者 > Okamotoさん、普段は AWS でどんな仕事をされているんですか?
Okamoto > AWS を利用している・これから利用されるお客様に対し技術支援を行っています。
著者 > PartyRock を使ってみた感想を教えてください。
Okamoto > 生成 AI といえばチャットボットを思い浮かべる方が多いと思いますが、実際にはチャット以外の多様なユースケースに活用できる技術です。PartyRock は様々なデータ処理に生成 AI を利用できることをすぐに実感できるプレイグラウンドだと感じました。特に、IT の知識不要ですぐにアイディアを形にできるところが優れていると思います。
著者 > 確かにチャット以外の活用例を見られるのは参考になりますね。普段開発される際と比べると PartyRock はどうでしょうか?
Okamoto > 私は普段お客様とお話する際に、お客様が取り組みたい生成 AI 活用テーマをその場でデモすることがしばしばあります。PartyRock は事前準備なしで、ご要望に合わせて様々なデモをその場で行いながら、お客様のイメージを形にしていくツールとして使い勝手がよいものだと考えています。
著者 > なるほど、目に見えるものがその場ですぐにできるのは非常に便利ですね。ありがとうございました!
PartyRock は自然言語で作りたいアプリケーションアイデアを入力するだけで、ビデオ書き起こし要約アプリのような実用的なツールを簡単に素早く作成することが可能です。 Document ウィジェットが利用できるようになり、ますます PartyRock を活用できる幅が広がっています。
生成 AI モデル 比べるくん
作成者:Ritaro Kasai
営業担当
アプリ説明
このアプリでは、Amazon Bedrock で使える複数の生成 AI モデルの出力を見比べることができます。PartyRock を使うと手軽に Amazon Bedrock のモデルを試すことができます。
上記のスクリーンショットには 4 つのウィジェットが写っており、左上のウィジェットにアプリ説明、左下に生成 AI への入力、右側の 2 つに生成 AI の出力が表示されています。実際のアプリではもっと多くの生成 AI モデルの出力を見ることができます。
左下の「入力欄:生成 AI への質問を入れてみよう」に生成 AI に与えたいプロンプトを入れると、その内容に対する生成 AI の回答が右側出力用ウィジェットに表示されます。右側のそれぞれのウィジェットにはそれぞれ異なる生成 AI モデルが設定されています。例えば「Claude 3 Sonnet モデルによる出力」の設定を見てみると、Claude 3 Sonnet がモデルとして指定されていることがわかります。
プロンプトを見てみると、ユーザーの入力がそのまま右側のウィジェットに渡されるという構成になっていることも確認できます。
作成者へのインタビュー
著者 > Kasai さん、普段は AWS でどんな仕事をされているんですか?
Kasai > 私は「手触り感」のある生成 AI の可能性をお客様に説いて回る仕事をしています。人材不足と高齢化が差し迫る日本で、おもてなし感のある温かいサービスを 10 年後も維持するには、生成 AI が機械とヒトとの接点を担う部分が激増すると信じているんです。しかし、どこまで使えるのか具体的に考え抜けている人がマーケットには少ないので、その伝道師活動が日本のための使命だと感じています。
著者 > なるほど、生成 AI の実用化に向けて大切な役割を担われているんですね。どうして比べるくんをお作りになられたのですか?
Kasai > 生成 AI モデルが数多くあるよと言われても、その違いがわかりにくかったからです。だから同じお題に対して、違うモデルが一気に回答する「比べるくん」を作ってみました。すると Claude 3 最軽量モデルの Claude 3 Haiku がより高精度なモデルの Claude 3 Sonnet よりも本当に返答が早いことや、難しい文脈を扱わないものなら十分だな、とか直感的に見えてきて、私も勉強になりました。
著者 > PartyRock の魅力はなんでしょうか?
Kasai > AI や IT のエンジニアではない私でもの人でも作れるアプリ!自由度と簡単さのバランスが良かったです。直感的に、プログラミング不要で、PC でもスマホでもアプリが作れたことに感動しました。「ちょっとしたアイデア」があるときに考えるより先に作って、周りの人の感想を聞いてから具体的に考えられる。そんなパラダイム・チェンジが起こせる存在だと思いました。
著者 > 確かに、アイデアを形にしてからブラッシュアップできるのは大きなメリットですね。ありがとうございました!
PartyRock は AI や IT の専門知識をお持ちでない方にとっても、自然言語で作りたいアプリケーションアイデアを入力するだけで、このように形にしやすい点はお客様から評価いただけるポイントです。また、PartyRock では複数の基盤モデルを使用でき、用途に合わせて最適なモデルを選べることが評価される点です。生成 AI モデル 比べるくんのようなモデルの違いを可視化できるようなアプリケーションを、生成 AI の検討段階に使ってみてはいかがでしょうか。
気分に合わせて格言をお届けします
作成者:Yuri Kinoshita
営業担当
アプリ説明
このアプリでは、今の気持ちを入力するとそれに合わせた格言を生成 AI が考えてくれます。自分では思ってもみなかった視点を生成 AI が与えてくれるかもしれません。PartyRock ではこのように人生を豊かにしてくれるようなちょっとしたツールが簡単に作れます。
「今日のあなたに贈る格言!」に今日の気分を入力すると、その内容に合わせた格言と画像が「どうなるかな…」と「イメージ」にそれぞれ表示されます。「イメージ」のプロンプトを見ると、「今日のあなたに贈る格言!」の内容から画像を生成していることがわかります。
PartyRock では、このように Image Generation ウィジェットを用いることで画像生成を行うこともできます。
「どうなるかな…」のプロンプトを見てみると、実際の格言の例がプロンプトに入っていることがわかります。
(中略)
このようなカスタマイズを試すことにより思い通りの出力に近づけられることもあります。プロンプトをカスタマイズしたい場合には、Amazon Bedrock のプロンプトエンジニアリングガイドラインをご参照ください。PartyRock で使われている生成 AI モデルは Amazon Bedrock により提供されています。
作成者へのインタビュー
著者 > Kinoshita さん、普段は AWS でどんな仕事をされているんですか?
Kinoshita > 私は首都圏を中心としたお客様に対して AWS の導入・活用支援を行っております。
著者 > このアプリを思いついたきっかけを教えてください。
Kinoshita > 実際に生成 AI に触ってもらう際に誰でもわかりやすいアウトプットは何だろうと考えた時、占い的な要素があるととっつきやすいのではと思ったんです。普段お客様と会話する際に生成 AI を活用したいが自社にはまだ早すぎる、と仰る方々も多いので、まずは気兼ねなく触ってもらえる遊びの要素を取り入れたアプリを作りました。実際自分たちならどう活用できるかな? とアイデアにつなげる第一歩として使ってもらえると嬉しいです!
著者 > なるほど、生成 AI に親しんでもらうきっかけ作りですね。PartyRock を使ってみてどうでしたか?
Kinoshita > エンジニア経験はない私が、10 分ほどでアプリを作れたので簡単さに感動しました!サンプルとして、実際の格言データをいくつか入れているのですが、自社のデータに置き換えてまずは試してみる、がすぐにできるのが PartyRock の醍醐味だと感じました。
著者 > 確かに、無料で気軽にアレンジを試せるのが魅力ですよね。ありがとうございました!
PartyRock は遊びの要素も持ち合わせることから、誰でも生成 AI を気軽に体験できるツールとして利用でき、生成 AI に親しむきっかけになりそうです。 各アプリのタイトルをクリックすると、アプリをご自身でお試しいただけます。 気分に合わせて格言をお届けしますのような簡単に遊べるツールを体験して Party に参加してみませんか。PartyRock の Remix 機能を使って既存のアプリをカスタマイズしたり、独自に作成したりすることも可能です。
まとめ
PartyRock を使えば、機械学習やプログラミングの経験がなくても生成 AI を搭載したアプリを手軽に作ることができます。
サンプルアプリと作成者の生の声から、 PartyRock で生成 AI の幅広い活用方法を見つけられる可能性を感じていただけましたでしょうか。生成 AI に興味がある方は、ぜひ PartyRock で気軽にアプリ作りに挑戦してみてください。
本ブログは、ソリューションアーキテクトの石岡とプロフェッショナルサービスの若田が執筆し、ソリューションアーキテクトの松本が監修しました。