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コンタクトセンター運用を最適化する Amazon Connect の予測、キャパシティプランニング、スケジューリング機能
ワークフォースマネジメント (WFM) は、コンタクトセンターの成功に不可欠です。人員のレベルを通話量のパターンに合わせることで、顧客の待機時間と運用コストを削減します。効果的な WFM により、適切なスキルを持つ適切なエージェントが、顧客の問い合わせ量に対応するために常に利用可能であることを実現できます。スケジューリングへの体系的なアプローチにより、エージェントの生産性と顧客満足度を最大限に高めることができます。
Amazon Connect の機能である Amazon Connect の予測、キャパシティプランニング、スケジューリングは、顧客が運用目標を最小限の人員で達成するために、適切な数のエージェントが適切な時間にスケジュールされるよう予測、配分、検証するのに役立ちます。AI を活用した機能により、コンタクトセンターの管理者は問い合わせ量と平均処理時間を高精度に予測し、理想的な人員のレベルを決定、エージェントのスケジュールを最適化し、スケジュールの順守状況を追跡することが容易になります。この機能はクリック一つで有効化でき、カスタムアプリケーションを構築したり、高価なサードパーティソリューションをコンタクトセンターに統合したりする必要はありません。これらの機能は、内部運用の最適化、サービス目標の達成、エージェントと顧客満足度の向上に役立ちます。
これらのメリットを念頭に置いて、コンタクトセンターが人員を最適化する方法を変革する Amazon Connect のゲームチェンジングな機能を探ってみましょう。
1. シフト交換の自動化によるスケジューリング強化
Amazon Connect では、エージェント同士がシフトを交換できるようになり、サービスレベルを損なわず、より柔軟なスケジュール管理が可能になりました。シフト交換機能により、エージェントはシームレスにシフトの交換を開始できます。
この機能を使用することで、コンタクトセンターのスーパーバイザーは、重要な決定については手動での確認を維持しながら、日常的な承認を自動化し、管理業務の負荷を軽減しながらも、管理基準を維持できます。例えば、スーパーバイザーは、日常的な顧客問い合わせなどの重要度の低いタスクを処理するエージェントの承認を自動化する一方で、医療情報、金融取引、エスカレートしている顧客苦情など、より配慮が必要な問題を扱うエージェントからのリクエストは手動承認を必要とすることができます。
スーパーバイザーが自動承認を設定する可能性があるシナリオをいくつか紹介します :
- 呼量が低い期間中の、同じスキルグループ内で同等の言語習熟度を持つエージェント間でのシフト交換
- 過去に高いパフォーマンスメトリクスを維持してきた事前承認済みエージェントの自動承認
- 同様の顧客対応評価を持つ Tier-1 カスタマーサポート担当者間での横方向の交換
手動承認が必要になる可能性があるシナリオをいくつか紹介します :
- 独自の製品知識を持つ専門技術サポートエージェントが関わるチーム間でのシフト交換
- 追加のコンプライアンス審査が必要な、高リスクな金融サービス担当者のシフト交換
- 重要な国際顧客セグメントをサポートする多言語エージェントが関わるシフト交換
例として、エージェントの John が金曜日のシフトを、火曜日のシフトを交換したい Paulo と交換したいというシナリオを考えてみましょう。John は、シフト交換機能を使用して、自分でシフト交換リクエストを簡単に作成できます。
2. 休暇の事前計画
Amazon Connect を使用するエージェントは、従来の 13 か月から拡張された、最大 24 か月前までの休暇のスケジューリングが可能になりました。スーパーバイザーは、13 か月から拡張された、最大 27 か月先までスケジューリンググループのグループ許可ウィンドウをアップロードできます。これらの拡張された期間により、エージェントは個人の時間をより適切に計画でき、スーパーバイザーは将来の人員計画をより効果的に管理できます。
スクリーンショットでは、2027 年 3 月 2 日のグループ許可がすでに設定されていることを示しています。午前 8 時から午前 10 時の間は休暇スロットが利用できませんが、午前 10 時以降はスロットが空いています。エージェントは、これらの利用可能なスロット情報を使用して、それに応じて休暇を計画し、システムによってリクエストが拒否されることを避けることができます。
3. Amazon Connect 分析データレイクを使用したスケジューリングデータの分析
Amazon Connect は、分析データレイクで公開された予測とスケジュールデータを提供し、このデータからレポートとインサイトを生成することを容易にします。分析データレイクのエージェント スケジュール データから、給与計算のための有給時間と無給時間のレポート生成、特定の期間に勤務予定のエージェント数と休暇を取るエージェント数の要約ビューの生成など、主要な運用ユースケースを自動化できるようになりました。また、過去 2 年間のすべてのエージェントのすべてのスケジュールされたイベントの詳細レポートの生成など、監査とコンプライアンスのユースケースにも対応できます。これらのレポートとインサイトを生成するには、Amazon Athena と Amazon QuickSight、または選択した他のビジネスインテリジェンスツールを使用できます。
以下はサンプルレポートの一部です。
エージェントアクティビティ監査レポート
すべてのエージェントの公開されたスケジュール全体のシフト活動を統合して表示します。例えば、下記画像の囲った範囲では、エージェント user0100 の、2023年5月9日の午前 9 時から午後 5 時の間にあったアクティビティを示しています。
休暇レポート
休暇レポートには、各休暇申請の日付と時間数(実効休暇時間)、および各申請のステータスが含まれます。
これらのレポートの生成方法の例については、ワークショップのエージェントスケジューリング分析セクションを参照してください。 このデータは、Outlook や Google カレンダーと統合することもできます。また、エージェントの休暇を追跡するために、人事 (HR) ・給与システムと統合することも可能です。
4. Amazon Connect の新しい日次要員数予測によるスタッフィングの判断強化
コンタクトセンターの監督者として、正確な要員数の予測は最高の顧客体験を提供するために重要です。Amazon Connect は、現在、キャパシティプランのダウンロード機能により日次の要員数予測を提供しています。
以前は、キャパシティプランは週次および月次の要員数予測を提供していました。現在は、最大 64 週先までの日次の要員数要件にアクセスできます。このビューにより、季節的な変動を考慮し、日次レベルで異なる縮小率を適用しながら、何人のエージェントを採用するかなど、重要な要員配置と採用の判断が簡素化されます。
この拡張された可視性により、より高い精度で要員のニーズを確認できます。予想される業務量に合わせてチームを拡大または縮小するタイミングを特定し、適切な人員配置を確保するための採用、トレーニング、スケジューリングについて、十分な情報に基づいた判断を行えます。
このデータは、キャパシティプランをダウンロードした後の「Daily Metrics」シートで利用できます。
5. Amazon Connect でのエージェントの準拠率追跡のカスタマイズ
グローバルなコンタクトセンターでは、コンタクトセンターの健全性を監視するリアルタイムアナリストが、リアルタイムダッシュボードを使用して、異なるサイトや拠点が準拠性メトリクスでどのようなパフォーマンスを示しているかを一目で把握します。 1 つ以上のサイトがアラーム状態(準拠から外れているエージェントが多すぎる)にある場合、担当エリアのスーパーバイザーに通知します。同様に、異なるレベル(地域、部門、チーム)のスーパーバイザーは、リアルタイムおよび履歴の両方で、組織の準拠性メトリクスを監視します。準拠率が低い場合、問い合わせを受けるために利用可能なエージェントの減少につながり、サービスレベルの低下、放棄率の増加、平均応答速度の増加など、主要なビジネスメトリクスに直接的な影響を与えます。どのエージェントが、そして何人のエージェントが準拠から外れているかを迅速に特定し、準拠率を改善するためのアクションを取る能力は、エンドカスタマーエクスペリエンスへの影響を最小限に抑えるために重要です。
8 時間のシフトで、エージェントがスケジュールの 80% の時間を準拠している例を考えてみましょう。つまり、 96 分間準拠から外れていました。このエージェントの準拠性を 85% に改善すると、このエージェントは 24 分間多く問い合わせを受けることができるようになります。これを 1,000 人のエージェントに適用すると、追加の人員配置を必要とせずに 1 日で 24,000 分多く(平均処理時間 12 分で 2,000 件の問い合わせ)問い合わせを処理できることになります。
Amazon Connect では、エージェントのスケジュール準拠を追跡する方法をより詳細にコントロールできるカスタマー定義の準拠性追跡機能があります。エージェントがスケジュールを準拠していると見なされる状態を選択できるようになり、独自の運用ニーズにより適合させることができます。
このリリースにより、エージェントステータスとスケジュール活動の間のカスタムマッピングを定義できるようになりました。例えば、「Work」スケジュール活動は、「Available」や「Back-office work」など、複数のエージェントステータスにマッピングできます。これは、午前8時から午前10時まで「Work」がスケジュールされているエージェントが、その時間中に「Available」または「Back-office work」ステータスのいずれかにある場合、準拠していると見なされることを意味します。
さらに、リアルタイム準拠率ダッシュボードでは、単に「Productive」や「Non-productive」ではなく、スケジュールされた活動の実際の名前が表示されるようになりました。これにより、スーパーバイザーはエージェントの現在の活動とスケジュールを比較し、サービス目標を達成するためのアクションを取ることができます。
以下は、Lunch 活動にカスタムステータスを設定する方法を示す例です。準拠していると見なされるために、エージェントはスケジュールされた昼食時間中にステータスを「Lunch」に設定する必要があります。
この例では、スーパーバイザーはエージェントの準拠状況をリアルタイムで監視できます。エージェントの現在のアクティビティがスケジュールされたステータスと一致している場合(例:両方とも「Lunch」を表示)、エージェントは「準拠」とマークされます。現在のアクティビティがスケジュールと異なる場合(例:「Lunch」がスケジュールされているのに「対応可能」を表示)、「非準拠」とマークされます。
これらの新機能により、エージェントの準拠状況の監視において、より大きな柔軟性と精度が得られます。特定のビジネス要件により適合するよう準拠状況の追跡をカスタマイズできるようになり、コンタクトセンター運用に関するより正確で意味のある洞察が得られます。
アクションを起こしましょう
Amazon Connect の予測、キャパシティプランニング、スケジューリングと Amazon Connect 分析データレイク機能について詳しく学びましょう。 Amazon Connect 管理者ガイドは Amazon Connect の使用開始に役立ちます。仮想コンタクトセンターのプロビジョニング、設定、監視、スケーリングの方法を学びましょう。 Amazon Connect Learning Plans and Badges で Amazon Connect の中核概念を学び、コミュニケーションスペシャリストおよび開発者としてのバッジを獲得しましょう。 ビジネス上の問題を解決するために使用できる実践的なスキル、技術、または概念を教えたり紹介したりするように設計された Amazon Connect のワークショップで実践的に学びましょう。 RSS フィードを購読して Amazon Connect のリリースノートを受信しましょう。これからも有益でインスピレーションに満ちた Amazon Connect のブログ投稿(英語・日本語)にご期待ください。
リリースノート
- https://aws.amazon.com/about-aws/whats-new/2025/02/amazon-connect-agents-exchange-shifts/
- https://aws.amazon.com/about-aws/whats-new/2025/01/amazon-connect-agent-time-off-scheduling-24-months-future/
- https://aws.amazon.com/about-aws/whats-new/2024/12/amazon-connect-agent-schedule-analytics-data-lake/
- https://aws.amazon.com/about-aws/whats-new/2025/01/amazon-connect-headcount-projections-plan-downloads/
- https://aws.amazon.com/about-aws/whats-new/2025/02/amazon-connect-configuration-states-agent-schedule/
筆者紹介
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Vikas Prasad は、米国メリーランド州を拠点に Amazon Web Services で WWSO Applications を担当するスペシャリストソリューションアーキテクトです。余暇には旅行、サイクリング、トレッキング、読書、家族でのボードゲームを楽しんでいます。 |
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Prabhakar Rajasekar は、ドイツのアーヘンを拠点に Amazon Web Services で WWSO Applications を担当するスペシャリストソリューションアーキテクトです。お客様のデジタルトランスフォーメーションを支援する以外では、庭や森で子供たちと時間を過ごしている姿を見ることができるでしょう。 |
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Pavan Dusanapudi は、英国マンチェスターを拠点に Amazon Web Services で WWSO Applications を担当するスペシャリストソリューションアーキテクトです。カスタマーエクスペリエンスソリューションとデジタルトランスフォーメーションを通じて、お客様がビジネス成果を達成できるよう支援しています。余暇には、家族でのハイキング、CrossFit ワークアウト、そして心の平安を見つけることを楽しんでいます。 |
翻訳はテクニカルアカウントマネージャー高橋が担当しました。原文はこちらです。