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AWS の生成 AI を活用した Happy Sad アプリ、児童の心身の健康を向上

本記事は 2024/9/13 に投稿された Happy Sad app leverages AWS generative AI to improve student well-being を翻訳した記事です。パブリックセクターソリューションアーキテクトの山本が担当しました。

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新型コロナウイルスのパンデミックは、学生のメンタルヘルスと幸福度に大きな影響を与えました。実際、2021 年から 2022 年の学年度中、公立学校の 87 % が、パンデミックが学生の社会的・感情的発達に悪影響を及ぼしたと報告しています。これらの影響はパンデミック後も長く続き、学生の社会的・感情的幸福は依然として管理者、教師、そして親の主な関心事となっています。この継続的な危機に対処するため、The Happy Sad Company が設立されました。

元 Instagram のデータサイエンティストで、同社の創設者である Hannah Oldknow は下記のように述べています。「私たちは、親として、教師として、そして長年のテック起業家としての経験に基づいて、Happy Sad アプリを設計しました。」「私たちのプラットフォームの目標は、『我が子はどうしているか?』という問いに答えることです。」

Oldknow は、教師、親、そして児童が、児童の社会的・感情的幸福をより良く理解するのに役立つアプリを構想しました。

アプリの戦略的計画、スケーリング、そして立ち上げにおいて、アマゾン ウェブ サービス(AWS)との協力は明確な選択肢でした、と Oldknow は述べています。The Happy Sad Company は、Amazon GuardDutyAWS LambdaAmazon CodeGuru などの AWS の高度なツールを活用することで、アプリ開発を大幅に加速させました。そして、チームは、Metis や Gaggle などの他の教育技術(EdTech)企業と AWS が行った取り組みに感銘を受けました。

人工知能(AI)を活用して児童の利用を促進、教師をサポートする

Happy Sad アプリには 2 つの目的があります。K6(幼稚園から 6 年生)の児童がアプリにアクセスすると、雲の形をした絵文字や、児童個々にパーソナライズされたアクセサリーで彩られたゲーム化された体験に入ります。この目的は、よく知られている CASEL フレームワークに基づいた社会的・感情的戦略の適用を通じて、児童の感情的な自己認識を向上させることです。

アプリのもう 1 つの目的は、教育者に個々の児童の「メンタルヘルスレポートカード」を提供することです。これはアプリ内での児童の活動と反応に基づき生成されます。教師はこのデータを閲覧し、個々の児童や教室全体の感情状態のパターンや傾向を識別できます。データから導き出された AI の洞察は、保護者とも共有できるようエクスポートすることができます。

最終的には、創設者たちは、このアプリが児童の社会的・感情的幸福の早期通知システムとして機能し、児童の感情的健康が低下し始めた場合に、教師や保護者に警告を発することを構想しています。

「現在、私たちは独自の AI をトレーニングをしており、児童のベースラインの低下を予測できるようにしています。これにより、保護者や教師が児童の潜在的な問題に先手を打った対策を取るができるようになります。」と Oldknow は述べています。

AWS の専門知識がアプリ開発を加速

AWS からの各段階における強力なサポートにより、The Happy Sad Company はアプリ開発を迅速に進めることができました。同社は、AWS が他の EdTech 企業と持つ幅広い経験を活用し、プロトタイプ開発プロセスの指針とすることができました。

「AWS と提携した理由の一つは、特にコンプライアンスに関して、課題がどこにあるかをガイドしてくれることを知っていたからです」と Oldknow は述べています。

戦略的計画からスケーリング、そして立ち上げまで、AWS の複数部門のチームが Happy Sad のアプリ開発プロセス全体を通じて深い専門知識とサポートを提供しました。

「私たちは Happy Sad チームと多くのワークショップを開催し、アプリを構築する際にどの AWS サービスを使用するのが最も適切かを、より良く理解できるよう支援しました。」と、AWS のソリューションアーキテクトである Daniel Wells は述べています。

ソリューションアーキテクトに加えて、スタートアップ Activate チーム、アカウント管理チーム、go-to-market チーム、そしてワールドワイドパブリックセクターチームなど、様々な AWS チームが各段階で専門知識を共有しました。

AWS のガイダンスは、アプリ開発プロセスを改善するために利用可能な AI 駆動ツールをナビゲートする上で特に有益であることが証明されました。2 つの特許出願中のネイティブ AI プログラムを持つ The Happy Sad Company の経験豊富な AI チームは、AWS テクノロジーを採用する価値をすぐに認識しました。チームは、AI を使用してアプリのコードを最適化する方法を提案するツールである Amazon CodeGuru Reviewer の使用を決定し、また、セキュリティを監督し、アプリ内の悪意のある行動を監視するために Amazon GuardDuty を使用することを決めました。

コンプライアンスを優先しつつ、コストを削減

学生の幸福に対するケアは教育の中心です。教育テクノロジーの成長に伴い、そのケアは現在、児童のデータプライバシーにまで及んでいます。学生オンラインプライバシー保護法(COPPA)は、13 歳未満の子どもたちのプライバシーを保護するために、ウェブサイトやオンラインサービス(アプリを含む)に要件を課しています。これは The Happy Sad Company にも当てはまる優先事項です。

「 Happy Sad チームは、アプリを安全でコンプライアンスに準拠したものにすることに焦点を当てていました」と、AWS の教育担当チーフテクノロジストの Leo Zhadanovsky は述べています。「私たちのチームでは、必要に応じてコンプライアンス要件を満たすための詳細なガイダンスを提供しました。」

COPPA に準拠したアプリ開発を優先することで、AWS は The Happy Sad Comoany との密接なパートナーシップをさらに強化しました。

「 Leo のチームは、データプライバシーを維持するためのガードレールを設定する素晴らしい仕事をしてくれました。これは、ユーザーの信頼を維持するために必要なものです」と Oldknow は述べています。

Happy Sad アプリには、需要の急増に管理オーバーヘッドを大きく増やすことなくシームレスに適応できる、柔軟でスケーラブルなインフラストラクチャが必要でした。それと同時に、AWS のサーバーレスコンピューティングサービスが理想的なソリューションであることが証明されました。サーバーレスコンピューティングプラットフォームである AWS Lambda を使用することで、チームは固定ハードウェアへの高額な資本支出投資を回避しました。代わりに、AWS が提供する事実上無制限のセキュアなコンピューティングリソースのプールに即座にアクセスし、実際に使用したキャパシティに対してのみ支払うことができました。Zhadanovsky が説明するように、このようなサーバーレスアプローチは「過剰なプロビジョニングがないことを保証し、自動スケーリングは、必要なときに必要なキャパシティ・リソースにアクセスできること」を意味します。

Happy Sad アプリの市場投入

Happy Sad アプリは、K6(幼稚園から 6 年生)の児童のメンタルヘルスのための強力な教室リソースとして、急速に採用が広がっています。アプリの使用は、アメリカ全土の教師の間で急速に広がっており、ロサンゼルス統一学区、ヒューストン独立学区、コロンバス(オハイオ州)市学区など、より大規模な学区でも採用されています。教師の間でのリソース利用率は 50 〜 70 % の間で変動し、一方、児童ユーザーの利用率は現在、月平均約 80 % になっています。

「保護者の方々は、このアプリが進む方向性に興奮しています」と Oldknow は述べています。「多くの保護者が、子どもたちのメンタルヘルスについてより深い認識を提供できるツールを求めていました。私たちはそれを提供できることに胸を躍らせています。」

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