Amazon Web Services ブログ

AWS IoT Device Management のマネージドインテグレーション(プレビュー)の紹介

この記事は、Introducing managed integrations for AWS IoT Device Management (Preview)の翻訳版です。

AWS は中央ヨーロッパ時間の 3 月 3 日、AWS IoT Device Management のマネージドインテグレーション機能のプレビューを発表しました。この機能により、開発者は IoT デバイスのクラウドへのオンボーディングを合理化し、複数のブランドやプロトコルにまたがるデバイス制御を統合できます。IoT テクノロジーは、スマートホームに代表される消費者向けおよび商用アプリケーションで広く使用されていますが、互換性のないデバイス、多様なプロトコル、相互運用性を確保するうえで壁となる複数の制御システムなど、分断から生まれる課題に直面しています。

AWS IoT Device Management は、こうした状況に対応するため、デバイスとの接続のためのクラウドおよびデバイス向けソフトウェア開発キット(SDK)、ZigBee、Z-Wave、Wi-Fi 仕様のプロトコルサポートを含むマネージドインテグレーションを提供します。さらに、80 以上のデバイスデータモデルのテンプレートと、包括的なクラウド間コネクタのカタログも提供します。これらの機能により、センサー、カメラ、家電製品など、多様なタイプのデバイスの統合と制御を簡素化し、開発者は独自デバイス、サードパーティデバイス、クラウドに接続するデバイスなど、複数メーカーの製品を制御する単一のアプリケーションを構築できるようになります。包括的なデバイスデータモデルのライブラリにより、データ統合がさらに簡素化され、エネルギー管理、ホームセキュリティ、高齢者の見守りなどのサービス開発を加速することが可能となります。また、ユーザーがすべてのデバイスで自動化ルーティンを簡単に設定できるアプリケーションやサービスの構築も可能です。

IoT 統合の課題を解決

IoT は、サーモスタットからセキュリティカメラまで、あらゆるものにコネクティビティと自動化をもたらし、家庭やオフィスなどの私たちの身の回りの環境におけるデバイスとの関わり方を変革してきました。しかし、デバイスメーカーが独自の通信プロトコルや個別のオンボーディングプロセスを使用し、それぞれの環境で運用されているため、すべてが分断されています。開発者にとって、これは複数のプロトコルに対応し、デバイスオンボーディングに必要な異なる SDK 実装を管理し、さらにデバイス間通信を可能にする複雑な統合レイヤーを開発することを意味します。

イノベーションの加速と顧客体験の向上

AWS IoT Device Management のマネージドインテグレーション機能は、セキュアなクラウド接続、統一されたデバイス制御レイヤー、無線経由のアップデート機能、デバイスおよびクラウド SDK など、複数の要素を組み合わせることで、IoT ソリューションの開発をシンプルにします。これらの SDK により、開発者は独自およびサードパーティの ZigBee、Z-Wave、Wi-Fi デバイスをローカルで制御するための IoT ハブやゲートウェイを構築することができます。さらに、開発者はクラウド間をつなぐコネクタのカタログを利用して、サードパーティのクラウド接続型デバイスとの安全な通信を確立できます。

また、事前に定義された80 以上のデータモデルテンプレートのライブラリを活用することで、専用の MQTT トピック、IoT ポリシー、ルールを設定せずに、電球や壁のスイッチなどの物理デバイスをクラウド上で定義するプロセスを効率化することができます。開発者はこれらのデータモデルテンプレートを使用して、電球のオン/オフ状態、明るさレベル、色温度などのデバイス属性を記述できます。定義後、マネージドインテグレーション機能は、これらの属性に対してすべてのメッセージを自動的に検証し、カスタムエラー処理の必要性を低減させ、直接通信、ハブ経由、またはクラウド間コネクタを介して関連するデバイスにメッセージをルーティングします。

AWS IoT Device Management のマネージドインテグレーション機能は、バーコードスキャンと、デバイスと直接ペアリングできる機能も備えており、デバイスのオンボーディングと統合の複雑さを軽減する仕組みも提供します。AWS IoT Device Management を使用することで、開発者は個別にインテグレーションを管理することなく、同じ方法で、多様な接続デバイスを全体的にリアルタイムで制御し、デバイスモニタリング、無線経由のアップデート機能(over-the-air)を簡単にサポートできるようになります。

マネージドインテグレーション機能は、AWS IoT のセキュリティ基盤を活用し、AWS および顧客管理キーを使用したデータの暗号化をサポートしています。また、接続されたデバイスのセキュアなデバイス ID を管理し、異なるデバイスタイプ全体で認証、アクセス制御、モニタリング、認証情報の保存を処理します。さらに、AWS IoT Device Management は 200 以上の AWS サービスと統合されています。これらのアドオン統合により、開発者はソリューションを効率的にスケールし、革新的なAIおよび機械学習機能を追加して顧客体験を向上することが可能です。例えば、AWS IoT Device Management と AWS の生成 AI サービス Amazon Bedrock を組み合わせることで、開発者は特定の生成  AI  モデルを選択して新しいアプリケーションを開発することで、カスタマーサポート、デバイスセットアップ、トラブルシューティングプロセスを改善することも可能です。

包括的なオファリング

Arcadyan、 AskeySercomm などの企業は、スマートホームゲートウェイ、ハブ、ルーターなどの様々な製品にこの機能を統合し、ソリューションプロバイダーが製品を活用してソリューション開発を加速しやすいよう支援しています。同様に、クラウド間コネクタのカタログには、NetvueNukiRealtekR SystemsTP-LinkThundersoftXThings など、さまざまな製品ブランドのオファリングが含まれています。これらの事前に構築されたコネクタにより、複雑なプロトコルの実装や個別の開発作業が不要となり、ソリューションプロバイダーは差別化されたユーザーエクスペリエンスの創造に注力することができます。

お客様事例

カスタマーファーストのアプローチと社会的インパクトに向けた取り組みで知られる世界有数の通信テクノロジー企業である TELUS は、SmartHome+ プラットフォームの重要なコンポーネントとしてマネージドインテグレーション機能を使用しています。SmartHome+ はデバイスに依存しないプラットフォームで、エンドユーザーが持つ新規・既存の IoT デバイスと、最新の AI および機械学習を活用して価値ある体験を創出します。SmartHome+ は、世界中の通信サービスプロバイダーにプラグアンドプレイ機能を提供し、各社の中核である通信サービスとともに、革新的なスマートホームサービスを展開し、新たな収益源を開拓できるよう支援します。

AWS の IoT、機械学習、AI サービスを活用することで、マルチテナント 型の SmartHome+ プラットフォームは、通信サービスプロバイダーが特定の市場ニーズに応えるための新しいスマートホームソリューションを開発するのを支援し、堅牢で柔軟性が高く、セキュアでスケーラブルなフレームワークと、消費者向けアプリケーションやハブなどのすぐに利用可能なコンポーネントを提供します。TELUS はカナダで SmartHome+ を活用し、ひと月のエネルギー費用を最大 15% 節約できる SmartEnergy や、消費者が完全に統合されたスマートホームを構築するための低コストなエントリーポイントである HomeView など、新しいスマートホームサービスを展開しています。さらにTELUS は近く、DIY(Do-It-Yourself)と完全監視型のセキュリティプランの両方をサポートできるようにプラットフォーム機能を拡張し、人々が自宅で安全に年を重ねられるようにするという重要な社会的ニーズに対応する予定です。

「TELUS では、SmartHome+ プラットフォームを通じて、スマートホームテクノロジーのグローバルリーダーとしての地位を確固たるものにするための大胆な取り組みを進めています。一般家庭には10個以上のIoTデバイスがあり、私たちはこれらのデバイスが連携して動く方法を変革しています。私たちは単なるハードウェアや限定的なソフトウェアサービスを販売しているのではなく、省エネルギーの実現、自動化の享受、自宅での安全・安心の確保を支援することで、お客様の生活に意味のある価値を提供しています。AWS とのパートナーシップを基礎に、AWS IoT Device Management のマネージドインテグレーション機能を活用することで、TELUS はスマートホームデバイスとサービスをシームレスに統合し、消費者による家事の自動化と制御方法を変革するプラットフォームを開発することができました。Wi-Fi 管理から日常的なデバイスの自動化、セキュリティ、エネルギー管理まで、私たちは 通信サービスプロバイダー が最小限の投資と迅速な市場投入を実現しながら、革新的な製品と強化されたコネクティビティの価値提案を通じて、利益が生まれる、よりスマートなコネクテッドホーム体験を提供できるようにしています」

TELUS 最高製品責任者、Dwayne Benefield

さあ始めましょう

マネージドインテグレーション機能の使用を開始するには

まとめ

AWS IoT Device Management のマネージドインテグレーション機能により、開発者は複雑な統合管理ではなく、革新的なソリューションの構築に注力できます。開発者は独自デバイスとサードパーティデバイスの架け橋となる IoT ハブやゲートウェイを構築し、クラウド間コネクタを活用してクラウド接続型デバイスをアプリケーションに統合することで、スマートソリューションを真に完全なものとし、以下のようなさまざまなメリットを実現できます。

  • シームレスなユーザーエクスペリエンス:1 つのインターフェースから多様な接続デバイスを制御
  • デバイス間の自動化:異なるメーカーやプロトコルを持つデバイス間でルーティンを実行
  • エンドツーエンドのセキュリティ:デバイスタイプ全体でセキュアな接続、暗号化、認証、アクセス制御を管理
  • データ統合の容易さ:サブシステム間のデータを調和させて新しい顧客向けサービスを提供
  • インテリジェントな成果:AI/ML テクノロジーを使用してデバイスのセットアップとトラブルシューティングプロセスを改善

開始するには、ドキュメントページにアクセスし、AWS IoT コンソールにログインしてください。