Amazon Web Services ブログ
月刊AWS製造 2025年12月号
みなさん、こんにちは。ソリューションアーキテクトの田中豊洋です。月刊 AWS 製造の 12 月号をお届けします。先月号はこちらです。本号では、BMW 様、Bayer 様、Rio Tinto 様、三菱電機様の先進的な成功事例をはじめ、製造企業における AWS サービスの活用記事を纏めています。製造企業に有用な AWS サービスのアップデート情報も含め、最新のトレンドをご確認ください。
ピックアップトピック
12/1から5 にかけて、ラスベガスにて AWS re:Invent 2025 が開催されました。本年は、エージェントAIの強化と、様々なユースケースにおける活用例が示されました。EXPOでは生産工程ロボットの監視や問題の分析、AIを使った設計支援から3Dプリンターへの仮想工場といった展示を提供し、日本でのツアーも実施し、数多くのお客様に最新のユースケースをお伝えすることができました。パートナー、AWS からも Physical AIに関連した展示が登場しています。本年は、日本からも複数の展示やセッション登壇を行いました。来月の月刊 AWS製造でより詳細にお届けるする予定ですので、ぜひご期待ください。
re:Invent セッション動画は、こちらの AWS Events の Youtube チャネルから視聴いただけます。
直近で開催予定のイベント
- 01/06 – 09
- CES 2026
世界最大級のテクノロジー見本市である CES がラスベガスで開催されます。CES 2025 で AWS は、NVIDIA や Siemens などのパートナーとともに、自動運転や SDV 、デジタルツインなどのソリューション展示を行いました。AWS は今年も出展し、現地には日本人スタッフも常駐していますので、是非お立ち寄りください。
- CES 2026
- 01/26 – 29
- SCA/HPCAsia2026
HPC ( High Performance Computing ) 関連の国際カンファレンス 「 SCA/HPCAsia2026 」 が日本 ( 大阪 ) で初めて開催されます。AWS もブース出展しますので、大規模な CAE や EDA 環境の改善をご検討中の方や、R&D 部門などで HPC に関わる方、最新動向を掴みたい方は、是非お越しください。12 / 21 までに先行登録すると、参加費が割引になります。
登録ページはこちらです。
- SCA/HPCAsia2026
製造関連ブログのご紹介
- 11/03
- AWS Professional Services and BMW collaborate to optimize petabyte-scale storage costs for automated driving data
このブログは、BMW と AWS Professional Services が自動運転データのペタバイト規模ストレージコストを最適化した事例を紹介しています。自動運転開発では膨大なデータが生成され、1 台のテスト車両が 1 日に数十テラバイトのデータを生成するため、効率的なストレージ管理が課題となっていました。AWS は Amazon S3 の機能 ( S3 Storage Lens、S3 Intelligent-Tiering、S3 Server Access Logging ) を活用し、大幅なコスト削減を実現しました。
- AWS Professional Services and BMW collaborate to optimize petabyte-scale storage costs for automated driving data
- 11/10
- Implement Zero-Training Visual Defect Detection in Manufacturing with Amazon Nova Pro
このブログでは、製造業における品質検査に Amazon Nova Pro を活用し、学習データ不要 ( ゼロトレーニング ) で外観検査を行う方法について紹介しています。AWS サービスと数行のプロンプトを記述する方法により、AI / ML の専門知識を必要とせず、従来型に匹敵する性能を実現しています。 - Modernizing laboratory networks: How Bayer centralizes LIMS on AWS Cloud
このブログは、グローバルに分散した拠点を持つ Bayer が、LIMS ( ラボ情報管理システム ) を AWS クラウド上に集約した事例を紹介しています。Bayer では、オンプレミスの通信ドメインを企業ネットワーク ( IT ) 、工場ネットワーク ( OT ) 、研究所ネットワークの 3 つに分離し、セキュリティとガバナンスに対応しています。そこで Bayer は各種規制要件や運用負担抑制を満たしつつ LIMS の集約に成功しました。
- Implement Zero-Training Visual Defect Detection in Manufacturing with Amazon Nova Pro
- 11/11
- 三菱電機グループエンジニアコミュニティの新たな地平 – MAWS-UG が生み出す実務への好循環と次世代への継承
このブログでは、三菱電機グループの AWS ユーザーコミュニティ「MAWS-UG」が、前回記事公開から1年間で単なる技術交流の場から組織変革を牽引するコミュニティへと進化した成果を紹介しています。社外コミュニティとの連携拡大、他の製造業企業との交流、実際のビジネスプロジェクトでの活用など、2025年1月の三菱電機と AWS の戦略的協業においても重要な役割を担うことになった軌跡を、メンバーの生の声とともに詳しく解説しています。
- 三菱電機グループエンジニアコミュニティの新たな地平 – MAWS-UG が生み出す実務への好循環と次世代への継承
- 11/20
- Transforming Smart Product Companies into Digital Service Leaders: A Data-Driven Marketing Architecture on AWS
このブログは、スマート製品メーカーが AWS を活用してデジタルサービスリーダーへと変革する方法を解説しています。Gartner によると、2027 年までに AI モデルの 80% が業界特化型になると予測されています。AWS のサービスを利用した包括的なデータ駆動型アーキテクチャにより、継続的な顧客接点、予測保守機能、データ駆動型の製品革新サイクルを実現します。Siemens や Stanley Black & Decker などの成功事例も紹介されています。
- Transforming Smart Product Companies into Digital Service Leaders: A Data-Driven Marketing Architecture on AWS
- 11/21
- Managing Sustainability Data for Digital Product Passports with Agentic AI
2024 年に EU で ESPR ( エコデザイン規制 ) が施行されました。これに伴い、2027 年から段階的に Digital Product Passport ( DPP ) の実装が義務化されます。このブログでは、DPP の実現におけるグローバルサプライヤーからのデータ収集・標準化、レガシーシステム統合、データ検証などの課題に対し、AI エージェントによる解決方法を解説しています。
- Managing Sustainability Data for Digital Product Passports with Agentic AI
- 11/25
- Top-performing supply chains: When AI meets energy industry experience
このブログでは、エネルギー業界のサプライチェーンにおいて、AI 活用によって変革するストーリーを紹介しています。製造業に通ずる部分が多く、Amazon SageMaker と Amazon Bedrock を中心とした AWS サービスを利活用することで、需要予測とスペアパーツ在庫の最適化提案、リスクシミュレーション、製品トレース機能によるコスト削減の価値を訴求しています。
- Top-performing supply chains: When AI meets energy industry experience
イベント動画のご紹介
- 11/06
- Reimagining Manufacturing: Clariant’s SAP RISE Journey with AWS
大手化学メーカーの Clariant が SAP with RISE を選んだ理由とその効果、IoT や AI の活用で可視化や予測機能の活用について述べています。
- Reimagining Manufacturing: Clariant’s SAP RISE Journey with AWS
- 11/10
- How to Modernize your Existing GenAI Manufacturing Solutions | How to build like AWS
空調機器製造大手の Carrier のコールセンターで、通話内容の自動要約システムを構築した事例です。オペレーターは手動で要約を書く負担から解放され、生産性が大きく向上しました。
- How to Modernize your Existing GenAI Manufacturing Solutions | How to build like AWS
- 11/13
- Rio Tinto unlocks potential of generative AI
世界的な総合資源企業である Rio Tinto では、バリューチェーン全体で戦略的に AI を実装推進しています。同社の社内では、生成 AI に関する最大のリスクは回答精度の低さであると位置づけました。これに対し、ベクトル DB だけでなく、ドメイン知識を持たせたグラフ DB とのハイブリッド RAG で精度を大幅に向上させました。
- Rio Tinto unlocks potential of generative AI
製造関連の主要なアップデート
- 10/30
- AWS IoT Greengrass のデベロッパー向け AI エージェントコンテキストパックが提供開始
AI エージェントに AWS IoT Greengrass 構築・開発方法を教え込むためのコンテキストパックが提供開始となりました。
- AWS IoT Greengrass のデベロッパー向け AI エージェントコンテキストパックが提供開始
- 11/11
- AWS Parallel Computing Service (PCS) が Slurm CLI Filter プラグインのサポートを開始
一般的なスパコンや AWS PCS のような HPC ( High Performance Computing ) クラスタでは、ジョブスケジューラーとして Slurm が広く使われています。ユーザーは Slurm にジョブ実行を依頼することで、Slurm が計算リソースを確保し、ジョブの優先順位を確定させて処理を流します。今回の Slurm CLI Filter は、ジョブ制御に関する運用負担軽減と俊敏性向上に寄与します。
- AWS Parallel Computing Service (PCS) が Slurm CLI Filter プラグインのサポートを開始
- 11/17
- Deploying an MES in the AWS Cloud and at the edge on Outposts
この記事では、製造実行システム ( MES ) である Siemens Opcenter Execution を AWS クラウドと AWS Outposts の両方に展開する方法を詳細に解説しています。高可用性と低レイテンシーを両立させる構成における考慮事項を説明しています。
- Deploying an MES in the AWS Cloud and at the edge on Outposts
- 11/24
- AWS IoT Core now supports IoT thing registry data retrieval from IoT rules
AWS IoT Core の IoT rule で、デバイス固有の情報を参照できるようになりました。これにより、例えば本番デバイスからの送信データとテストデバイスからの送信データを区別をノンコーディングで実装することが可能となりました。
- AWS IoT Core now supports IoT thing registry data retrieval from IoT rules
- 11/25
- Guidance for Physical AI for Robotics on AWS
フィジカル AI のガイダンスが公開されました。Amazon SageMaker AI で学習した AI モデルをロボット上の AWS IoT Greengrass にデプロイし、エッジ推論を行うとともに、ロボットのセンサーデータを AWS クラウドに収集して AI モデルを再学習するものです。
- Guidance for Physical AI for Robotics on AWS
- 11/26
- Amazon Quick Suite introduces scheduling for Quick Flows
Amazon Quick Suite の Quick Flows にスケジューリング機能が備わりました。様々なデータソースを参照する AI エージェントによるレポート作成等を、定期実行することが可能となりました。 - Amazon Kinesis Video Streams now supports a new cost effective warm storage tier
Amazon Kinesis Video Streams に、コスト効率の高いウォームストレージ層がサポートされました。監視カメラやVSaaS等の録画データを長期間保存する用途において、コスト削減が見込めます。
- Amazon Quick Suite introduces scheduling for Quick Flows
いかがでしたでしょうか。
皆様の情報キャッチアップのご支援になりましたら幸いです。
では、また来月も本ブログにお付き合いください。
著者について
田中 豊洋
AWS Japan のソリューションアーキテクトとして、製造業のお客様の技術支援を担当しています。製造業の IT 部門を計 24 年経験してきたことで、製造業視点で AWS 利活用を考えています。