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【開催報告】AWS Retail & CPG EXPO 2026 — AI エージェントが変える流通小売・消費財業界の現場を体感


2026年4月20日(月)、AWS は完全招待制イベント「AWS Retail & CPG EXPO 2026 — Build the future with AI」を AWS 東京オフィスにて開催しました。48社・約100名のお客様にご来場いただき、盛況のうちに閉幕しました。AI エージェントのデモを日本向けにローカライズし、「見て、触れて、体感できる」場をご提供しました。18:00からは懇親会も実施し、参加者の皆さま同士の交流の場となりました。ご来場いただけなかったお客様にも、このブログでイベントの内容を振り返りながらご紹介します。

AI エージェントが変える業界の未来

AI の時代は AI エージェントの時代へと移り変わっています。AI エージェントをどれだけ自律的に稼働させ、私たちの業務に適用できるかが問われる時代です。AI エージェントを安全に動かす基盤とともに、流通小売・消費財、飲食業界においてどのように活用していくかが重要なテーマとなっています。一方で、日本では「わかっている、でも進まない」という現状があります。本イベントは、この壁を乗り越えるきっかけとして、AI エージェントの”実物”を体感し、挑戦する企業の事例から自社の次の一歩を見つけていただくことを目的に開催しました。

展示エリア — AI エージェントの”実物”を体感

展示エリアでは、NRF 2026 で発表されたデモを日本向けにローカライズし、流通小売・消費財、飲食業界のワークロードに沿って、製品開発と生産計画・価格戦略、サプライチェーン、店舗・サイトでの顧客体験の流れで4カテゴリ・7ブースをご紹介しました。すべてのデモに共通するのは「マルチエージェント × Human-in-the-Loop」というコンセプトです。AI エージェントが自律的に連携しながらも、重要な判断は人間が行うという設計思想を、実際に動くデモで体感いただきました。各展示の詳細資料は下記の各展示紹介からダウンロードいただけます。気になった展示がございましたら、担当営業まで個別デモをお気軽にご相談ください。

マーチャンダイジング — 製品開発・価格戦略

製品開発や価格戦略は、企業の競争力を左右する重要な領域です。2つのマルチエージェントデモをご紹介しました。

  • Luggage Lab:リサーチャー・デザイナー・プランナーの3つのエージェントが連携し、製品イノベーションを加速するデモをご覧いただきました。(Luggage Lab 詳細資料

Luggage-Lab エージェントの役割図

Luggage-Lab — エージェントの役割図

Luggage-Lab アーキテクチャ

Luggage-Lab — アーキテクチャ
  • Retail Pricing Agent:競合調査・需要分析・価格決定の3つのエージェントが連携し、生成 AI で価格戦略を自動化するデモをご紹介しました。(Retail Pricing Agent 詳細資料

Retail-Pricing-Agents 処理フロー

Retail-Pricing-Agents — 処理フロー

Retail-Pricing-Agents アーキテクチャ

Retail-Pricing-Agents — アーキテクチャ

サプライチェーン — 混乱への自律的対応

サプライチェーンの混乱は、流通小売・消費財、飲食業にとって常に大きなリスクです。複数エージェントが連携して情報を収集・対策案を出し、人が判断するという形を体験いただきました。

  • Agentic Supply Chain:調達・在庫・計画・物流の4つのエージェントが連携し、サプライチェーンの混乱に AI エージェントが自律的に対応するデモを展示しました。(Agentic Supply Chain 詳細資料
Agentic-Supply-Chain 専門エージェントチーム構成
Agentic-Supply-Chain — 専門エージェントチーム構成
Agentic-Supply-Chain アーキテクチャ
Agentic-Supply-Chain — アーキテクチャ

オムニチャネル — 顧客体験の変革

デジタルと実店舗をシームレスにつなぐ顧客体験は、業界の重要なテーマです。3つのデモで、AI が「一人ひとり」に寄り添う新しい顧客体験をご紹介しました。

  • Smart Beauty:画像解析により肌質を16タイプに詳細分類し、改善提案を自動化するデモです。美容部員の知見を AI が再現しています。(Smart Beauty 詳細資料
Smart-Beauty 肌質+パーソナルカラー診断
Smart-Beauty — 肌質+パーソナルカラー診断
Smart-Beauty アーキテクチャ
Smart-Beauty — アーキテクチャ
  • Fix&Fab:写真と説明だけで DIY の修理手順を生成し、ショッピングリストや専門家紹介まで提供するデモをご覧いただきました。(Fix&Fab 詳細資料
Fix-and-Fab 写真1枚でプロジェクト設計
Fix-and-Fab — 写真1枚でプロジェクト設計
Fix-and-Fab アーキテクチャ
Fix-and-Fab — アーキテクチャ
  • リテール AI コンシェルジュ:商品提案から在庫確認、イベント案内、来店プランまで、EC から店舗へのシームレスな動線を実現するデモをご紹介しました。(リテール AI コンシェルジュ 詳細資料
Retail-AI-Concierge 新たな顧客体験
Retail-AI-Concierge — 新たな顧客体験
Retail-AI-Concierge アーキテクチャ
Retail-AI-Concierge — アーキテクチャ

プロダクトイノベーション — 次世代パーソナライズ

返品問題やサイズ選びの課題は、EC・実店舗を問わず業界の大きなテーマです。

  • Bodd:Bodd社の提供する 60秒の非接触ボディスキャンによる精密採寸テクノロジーで、ブランド横断のサイズ提案を実現するデモを展示しました。
Bodd ボディスキャンによる精密採寸
Bodd — ボディスキャンによる精密採寸
Bodd カスタマージャーニー
Bodd — カスタマージャーニー

気になった展示がございましたら、担当営業まで個別デモをお気軽にご相談ください。


セッション — 挑戦する企業に学ぶ

セッションは、AWS によるオープニング(2セッション)、お客様事例(4セッション)、AWS セッション(1セッション)で構成しました。

AWS オープニングセッション

Keanu Nahm / キアヌ ナン — 海外から見えてくる AI 活用成功の共通点と日本小売・消費財業界に示すチャンス

Keanu Nahm / キアヌ ナン(AWS グローバル小売・消費財事業開発 日本ヘッド)は、NRF 2026 や ShopTalk 2026 のトレンドを踏まえ、グローバルの小売・消費財業界が AI の「実験の年」から「実装の年」へ移行している現状を紹介しました。AI が広く深く使われるための3条件として「使いやすさ(摩擦ゼロ)」「安心して任せられる」「習慣になる」を挙げ、日本の小売・消費財業界にとってのチャンスを示しました。(セッション資料はこちらからダウンロードいただけます。)

五十嵐 建平 — AI エージェントが変える小売の現場を体感し、挑戦する企業の事例から自社の次の一歩を見つけよう

五十嵐 建平(AWS インダストリソリューション本部 本部長)からは、AWS から見る AI エージェントの現状、AI エージェントが「道具」から「同僚」へと進化している潮流を紹介し、本イベントの展示・セッションの全体像をご案内しました。(セッション資料はこちらからダウンロードいただけます。)


お客様事例セッション

株式会社コーセー — コーセーが挑む、生成 AI の全社展開 ~現場定着を実現する仕組み作り~

横山 春佳 氏 情報統括部 DX推進課 生成AI推進リーダー
金田 実久 氏 情報統括部 基盤開発課 生成AI推進担当

(株)コーセーからは「いいシステムでも全員が使いこなせるとは限らない」という課題意識から、情報システム部門である情報統括部主導で生成 AI の全社展開に取り組んだ事例を紹介しました。システム構築と活用支援/教育を同時に進める全体構想のもと、社員が迷わず使える UI 設計、直感的なモデル選択、ゲーミフィケーションによる利用促進など、「自発的に使いたくなる」環境づくりを実現。AWS の Prototyping チームの協力で1ヶ月で基盤を構築し、生成 AI が組織の「共通言語」として定着した成果を共有いただきました。


株式会社 asken — Vibe Coding 起点での新機能開発で「あすけん」が乗り越えた壁

伊藤 拓哉 氏 プロダクト開発本部 AX推進部 シニアプロダクトマネージャー
岩間 良浩 氏 プロダクト開発本部 プロダクト開発部 シニアテックリード

食事管理アプリ「あすけん」を提供する asken 社から、PdM とエンジニアの新たな共創プロセスについて発表がありました。PdM が Vibe Coding で「動く PRD(プロトタイプ)」を作り、AWS 上の実験基盤「あすけんラボ」でユーザー検証を回すプロセスを構築。一方で、動く PRD をそのまま本番に流用しようとして開発工数が3倍に膨らんだ「悲劇」も共有。その失敗から、AI によるリバースエンジニアリングを活用したリファインメントプロセスを確立し、PdM とエンジニアがそれぞれの専門性を最大限に発揮できる「順序と境界の設計」に行き着いた経緯をお話しいただきました。


株式会社ゴールドウイン — AI。わかってるのに進まない ― 現場と経営のギャップを超えるには

末光 崇廣 氏 総合企画本部 シニアエキスパート

ゴールドウイン社からは、多くの企業が直面する「AI が検索・要約で止まってしまう」問題について登壇いただきました。AI が実装まで進まない5つの壁(経営の期待の曖昧さ、現場の余裕のなさ、成功指標の不在など)を整理し、経営と現場の間にある「見えない溝」を可視化。突破口として「企画書で説明するより、動くものを見せる」アプローチを提唱し、実際に1日でプロトタイプを形にした事例を紹介しました。「説明して理解を待つフェーズはもう終わった。2026年は AI を業務に埋め込む年にしよう」というメッセージが印象的でした。


株式会社カインズ — 次世代店舗で実現する Fitting Room 体験

菅 武彦 氏 株式会社カインズ 情報システム事業部 CX統括部 統括部長
向井 剛志 氏 アジアクエスト株式会社 デジタルトランスフォーメーション事業部 デジタルエンジニアリング部 Eビジネスエンジニアリング課 マネージャー

カインズ社とアジアクエスト社から、「買う前に試せない」という店内購買の課題に対し、生成 AI を活用した「CAINZ Fitting Room」の取り組みを紹介いただきました。過去にもコーディネートの可視化に挑戦してきたものの、質感の再現が課題でした。生成 AI の進化により、Amazon Bedrock を活用した画像生成でこの課題を解決。部屋の画像に家具やカーテンを仮想配置し、質感や影の映り込みまで再現できるようになりました。現在は店舗のタッチパネルで体験を提供しており、将来的にはお客様自身の部屋の写真での配置確認や、AI によるおすすめコーディネート生成なども構想されています。本取り組みは マイナビ TECH+ でも紹介されています。


AWS セッション

松本 鋼治 — Agentic AI 時代の広告・マーケティングの変革

松本 鋼治(AWS 戦略事業開発本部 プリンシパル事業開発マネジャー)は、リテールメディアの急成長、Agentic AI の台頭、AI 投資と実装のギャップという「3つの地殻変動」を解説。Amazon Ads の Creative Agent や Unified Campaign Manager など、Agentic AI で広告・マーケティングの民主化が進む最新動向と取るべき3つのアクションを紹介しました。(セッション資料はこちらからダウンロードいただけます。)


ご来場ありがとうございました

AWS Retail & CPG EXPO 2026 にご来場いただいた皆さま、誠にありがとうございました。AI エージェントは業務の中核に入り始めています。世界はもう動いています。自社の変革は、今日の「これ使えそう」から始まります。小さく始めて、AWS が伴走いたします。
ご来場いただけなかった皆さまも、ぜひ AWS の担当者までお気軽にご相談ください。皆さまの現場で AI エージェントが動き始めることを楽しみにしています。

イベント情報

名称:AWS Retail & CPG EXPO 2026 — Build the future with AI ~AIで未来を構築する~
形式:完全招待制
会期:2026年4月20日(月)13:00〜18:00
会場:AWS 東京オフィス
参加:48社 約100名
主催:アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社

本ブログは AWS Japan のソリューションアーキテクト 山下 智之 が執筆しました。