Amazon Web Services ブログ
都市規模のイベントを守る:AWS re:Invent における物理セキュリティと論理セキュリティの統合アプローチ
本ブログは 2025 年 1 月 9 日に公開された AWS Blog “Securing a city-sized event: How Amazon integrates physical and logical security at re:Invent” を翻訳したものです。
Amazon Web Services の年次カンファレンスである AWS re:Invent のような大規模イベントのセキュリティ確保は、決して簡単なことではありません。2024 年 12 月に開催された AWS re:Invent 2024 は、ラスベガス・ストリップ (ラスベガス中心部の大通り) にわたって 12 マイル (約 19 km)、約 700 万平方フィート (約 65 万平方メートル、東京ドームのグラウンド約 50 個分) に及び、7 つの会場で展開され、小さな都市に匹敵する規模で運営されました。
6 万人の現地参加者、40 万人のオンライン参加者、そしてそのデータすべてを安全に保つには、物理セキュリティと論理セキュリティの高度な組み合わせが必要です。Amazon は、両者を統合したセキュリティ戦略により、この課題に対処してきました。ドローン、K9 ユニット (警備犬)、ネットワークセキュリティチームなど、あらゆるリソースを活用して、イベントに参加するすべての人々とそのデータを保護しています。
図 1: re:Invent のコマンドポスト (統制本部)
セキュリティはチームスポーツ
Amazon では、物理セキュリティチームと情報セキュリティ (論理セキュリティ) チームが協力して、多様なビジネス全体で、お客様、従業員、インフラストラクチャを幅広い脅威から大規模に保護しています。re:Invent のような大規模イベントでは、この統合アプローチにより、参加者から現地のコンピュータやサーバー、Wi-Fi ネットワークとそのユーザーまで、イベントの多くの側面を可能な限り包括的に保護できます。
Amazon は単独で活動しているわけではありません。イベントセキュリティチームは、Las Vegas Metropolitan Police や、テロ対策、爆発物処理班、救急隊員を含む 40 以上の異なる機関と連携しています。
図 2: K9 ユニット – 現地セキュリティチームの重要なメンバー
これらのチームは、セキュリティオペレーションの中枢であるコマンドポスト (統制本部) に配置されています。ここでは、物理セキュリティと論理セキュリティが融合し、セキュリティ体制のほぼすべての要素が集まり、リアルタイムでイベントの脅威を監視しています。これには、イベントセキュリティ管理チーム、インテリジェンスチーム、監視カメラオペレーターが含まれ、地元の警察や緊急対応機関と連携しています。さらなる保護層として、メインのコマンドポストと緊密に連携して、ワイヤレスセキュリティオペレーションセンター (WiSOC) も運営しており、これはワイヤレスおよびサイバーセキュリティチームの主要なハブとして機能しています。
re:Invent を効果的に保護するためには、オープンな対話と情報共有を促進することが重要です。脅威の状況が進化し続ける中、組織は物理セキュリティと論理セキュリティの間のギャップを埋めることを優先する必要があります。この統合アプローチは、re:Invent のような都市規模のイベントを効果的に保護する鍵であるだけでなく、毎日お客様、従業員、会社を保護するのにも役立っています。
都市規模のセキュリティ
Amazon は re:Invent で、物理的資産とデジタル資産を保護するために、多数の統合セキュリティ対策を展開しています。物理セキュリティに関しての最優先事項はもちろん人命です。re:Invent では、警備員、K9 ユニット、救急隊員を含む数千人のセキュリティ要員を配置し、急病やけが、火災、盗難、混雑などの問題に対応し、支援しています。混雑エリアに監視カメラを設置し、入口でのゲート型金属探知機や堅牢な認証システムを含む厳格な入場管理を実施して、参加者にとって安全で安心な環境を作り出しています。
ドローンの支援もあります。自動化された高高度飛行体は、Las Vegas Festival Grounds で開催される最終コンサート re:Play で鳥瞰図を提供し、問題への対応を調整するのに役立ちます。AWS クラウドソリューションを使用して、ライブ映像が現地のセキュリティチームに直接ストリーミングされ、人の流れを監視しています。
図 3: re:Play の保護に使用されるドローンを紹介するセキュリティチームメンバー
Amazon はネットワークのセキュリティにも注力しており、それによってユーザー、つまり参加者を保護しています。ワイヤレスおよびサイバーセキュリティチームは、ネットワーク全体で異常なアクティビティを特定するために活動しています。これには、スプーフィング (なりすまし) の兆候も含まれます。スプーフィングとは、攻撃者が似たような Wi-Fi ネットワークを設定し、参加者を自分たちのネットワークに接続させようとする手法です。
Amazon は、re:Invent のクラウドコンピューティングと AI の専門家、エグゼクティブ、エンジニアによるプレゼンテーションのセキュリティも確保しています。講演者が自信を持って知見を共有するには、世界中の数十万人の視聴者に安全で中断のないチャネルでストリーミングされることを知る必要があります。re:Invent モバイルアプリもセキュリティを念頭に置いて構築されているため、参加者はイベントやカンファレンス内のニーズを安全に管理できます。
統合されたセキュリティアプローチは、AWS クラウドによって実現されています。AWS クラウドは、セキュリティオペレーションのさまざまなコンポーネントをサポートし、重要な情報を迅速に共有するのに役立ちます。論理セキュリティの脅威、物理セキュリティの懸念、医療的な緊急事態のいずれに直面している場合でも、成功の鍵は対応時間にあります。AWS クラウドでオペレーションを実行することで、迅速に行動できます。
Amazon は、脅威の種類に関係なく、チームが一貫した統一された対応を取れるように、統合アプローチへの投資と強化を続けていきます。Amazon はこの分野のリーダーであることを誇りに思っており、私たちの知見が、大規模イベントの運営時においても日常業務においても、他の企業や組織のセキュリティレジリエンス強化に役立つことを願っています。