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Amazon Connect を利用したコンタクトセンターチームの変革

コンタクトセンタープラットフォームを変革するという企業の決断には、技術的な改善の観点だけでなく、人的な観点も必要です。

Amazon Connect は、コンタクトセンター業務を変革したいと考えているあらゆる企業向けの、業界をリードするソリューションです。アメリカの技術調査およびコンサルティング企業である Gartner は、2023 Gartner Magic Quadrant for Contact Center as a Service (CCaaS) を発表しました。AWS は、AI を活用した柔軟性の高いクラウドコンタクトセンターである Amazon Connect を 2017 年に発表して以来、初めてリーダーに選ばれました。お客様が Amazon Connect を選択する理由は、迅速な製品・機能の開発、コンタクトセンターの変革とテクノロジーの専門家の数、サードパーティのサービスパートナーや統合パートナーとの関係性が挙げられます。これらにより Amazon Connect はコンタクトセンターの移行とサービス統合に最適なソリューションとなっています。 Amazon Connect 製品はコンタクトセンターの技術基盤とデータ基盤を変革できますが、その活用には人的レベルの変革も必要です。

私は AWS プロフェッショナルサービスのエンゲージメントリーダーとして、小規模のお客様からフォーチュン 150 のお客様まで、様々なお客様を対象に Amazon Connect の導入を主導してきました。私の経験では、企業は導入後の運用サポートについて十分な優先順位を付けていません。プロフェッショナルサービスや AWS パートナーネットワークの認定企業が、お客様のビジネス価値の期待に応える、または期待を上回るソリューションを設計、開発、テスト、そして本番環境に導入したら、次は何をすべきでしょうか。彼らの組織が引き続き、オンプレミスのコールセンターシステムを使用した運営方法に則っている場合、その企業はどのように今後規模を拡大し、最適化するのでしょうか。これこそが、エンゲージメントリーダーとお客様のリーダーが早い段階で足並みを揃え、頻繁に再検討しなければならない、導入の次のフェーズの考え方です。

AWS プロフェッショナルサービスの Amazon Connect プリンシパルコンサルタントである Naomi Hall は、2022 年 11 月の re:Invent で、コンタクトセンターの変更管理の重要性について講演しました。Naomi はステージに上がり、意図しない変更によってもたらされる、顧客体験のレジリエンシーに影響を与えるリスクの軽減のために、変更管理がいかに重要であるかについて話しました。 Naomi は、Amazon Connect に移行するビジネスリーダーが以下の分野を最優先に考えることを推奨しました。

  • 開発プロセスの定義と文書化
  • AWS Lambda 関数と Amazon Lex ボットのエイリアスの利用
  • 実稼働前の開発環境でのテストとデバッグ
  • 独立した実稼働前環境でのユーザー受入テスト (UAT) 実施
  • 自動化による不注意での変更リスクの低減
  • 特に運用環境における最小権限アクセスの遵守
  • ソリューションの運用と拡張、エスカレーション手順に必要な役割と責任を持ち、運用の知識を集約する Center of Excellence (CoE) の確立

AWS ホワイトペーパー「人工知能、機械学習、および生成 AI のための AWS クラウド導入フレームワーク」では、コンタクトセンターのチーム変革の概念についてさらに詳しく説明しています。このホワイトペーパーの中では AI/ML ファーストの考え方ではなく「人」という視点の必要性を説明しています。Amazon Connect の使用が単なる技術的変革ではないことを理解することが、ユーザーに採用され、開発者や保守担当者がオーナーシップを発揮するための鍵となります。

Contact Center of Excellence (CCoE) として、以下の項目を検討することをお勧めします。順不同です。

変革をリードするチャンピオンの配置

Amazon Connect の導入には、多くのチームや業務が関わっています。チームには開発者、品質管理エンジニア、プロダクトオーナー、ビジネスアナリストが含まれ、業務の変革ではなく、まず導入に集中します。そして本番運用後の変革に焦点を当てる責任者を 1 人置くことが重要です。多くの場合、お客様はテクニカルデリバリーマネージャーまたはプロダクトオーナーを任命し、変革を彼らに委ねます。大規模なチームの取り組みをまとめた経験のある人を探すことを考えてみてください。開発とデプロイの期間、すべてのチームと連携し、障害を取り除き、意思決定者がいない場合は意思決定を行うことができる人が必要です。つまり、問題は起こりうり、リスクは存在するが、それでも変革が必要であることを理解している人でなければなりません。

ビジョンとすり合わせる

チームには意思決定の根拠となる何かが必要です。例えば「完了」「技術面の準備ができた」とは何を指すのか。「成功」の定義は何か。

総合的な人材の発見とレビューの実施

この取り組みを最初から最後までサポートできる適切な人材はいますか。その人材は開発だけでなく、サポートに必要なスキルを持っていますか。

組織の管理変更に必要な指示

オンプレミス運用から Amazon Connect、あるいはハイブリッドモデルへの移行は、さまざまなレベルで、程度の差こそあれ、変化をもたらすでしょう。以前は必要なかった役割で、今必要なのはどのようなものですか。ビジネスを合理化するために、どこにリソースを割り当てるか、あるいは職務をなくせばよいでしょうか。変化が起こる前に対処すべき法務上および労働管理上の考慮事項はありますか。組織に、計画を実行するための指導やテンプレートを提供してくれる、認定された管理変更の専門家がいるかどうかを確認してください。

リーダーシップの役割と責任

各チームにプロダクトオーナーとテクニカルデリバリーリーダーを配置することをお勧めします。プロダクトオーナーは、ビジネスの視点を代表し、どのような価値を提供すべきかを理解しているビジネスサイドのメンバーです。テクニカルデリバリーリーダーは、開発がどのようなものであるべきかを理解しているメンバーです。

製品ロードマップの決定

製品ロードマップはありますか ? 製品ロードマップのイテレーションが UAT の完了時で終了していた場合、ロードマップは十分ではありません。また、テクノロジーだけにとどまってはいけません。Amazon Connect を使い始めてから 3 日、3 か月、3 年経った時、組織の人材、プロセス、手順はどのようになっているか定義します。

結論

コンタクトセンターの変革を決定では、ほとんどの企業が、どのプラットフォームを使用するかを決定するために時間と費用を費やしています。Amazon では、変革を行う最初のステップとして、コンタクトセンターに関するリソース、お客様の事例、AWS プロフェッショナルサービスを豊富に提供しています。Amazon Connect は業界をリードするコンタクトセンタープラットフォームです。そして、Amazon Connect を特別なものにしているのは、実装、運用、使用に関わる人々です。彼らは皆さんのクラウドジャーニーを支えてくれるでしょう。

著者について

Corey Miller

Corey Miller は、AWS プロフェッショナルサービスのシニアエンゲージメントマネージャーです。彼の職務は、お客様向けの導入プランを策定し、AWS、AWS パートナー、お客様チーム間の相乗効果を生み出すことです。Corey は 2 年ほど前に AWS に入社し、それ以前は米空軍に 28 年間勤務していました。Corey は旅行、ゴルフ、そして妻と 2 人の娘と過ごす時間を楽しんでいます。

 

 

翻訳はテクニカルアカウントマネージャー高橋が担当しました。原文はこちらです。