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最新の Amazon Q コスト機能による FinOps の変革
最新の Amazon Q コスト機能は、FinOps チームがクラウド支出を管理する方法を変革しています。FinOps チームがコストのかかる設定を発見した時点では、すでに本番環境で稼働していることも少なくありません。その段階での修正はデプロイへの影響が大きくなりがちで、関係者との調整もより難しくなり、得られるコスト削減効果も本来可能だったものより小さくなってしまうことがよくあります。
Amazon Q は、知りたいことへの回答を得て意思決定を行うまでのスピードを加速させています。この 1 年間で、AWS は Amazon Q のコスト関連機能を拡充してきました。自然言語での料金に関する質問への回答から、開発者のワークフロー内で最適化の推奨事項を直接提示する機能まで、その範囲は広がっています。その結果、クラウドコストとの向き合い方が根本的に変わりました。月次のレビュー作業としてではなく、構築や運用の中で継続的に対話しながら取り組むものへと変化しています。
開始方法と前提条件
Amazon Q Developer は、AWS コンソール上で追加のセットアップなしにそのまま利用できます。利用を開始するには、AWS コンソールの左上にある Amazon Q チャットインターフェイスのアイコンを見つけてください。
この記事で取り上げる機能を使用するには、AWS Cost Explorer が有効になっていること、および Amazon Q と請求データの両方に対する AWS Identity and Access Management (IAM) のアクセス許可が必要です。すべての機能を利用するには、AWS Cost Optimization Hub と AWS Budgets も有効にしておくことをお勧めします。AWS のアプリおよびウェブサイト (AWS Management Console、AWS コンソールモバイルアプリケーション、AWS ドキュメントサイトを含む) 上で Amazon Q Developer の機能にアクセスするために必要な IAM ポリシーについては、こちらを確認してください。
Amazon Q Developer には月 50 クエリまでの無料利用枠 (Free Tier) が用意されており、アドホックなコスト調査や定期的なレビューであればほとんどの場合これでカバーできます。より多くの利用が必要なチームは、ユーザーあたり月額 19 ドルの Pro Tier にアップグレードできます。この記事で紹介するすべての機能は、Free と Pro の両方のサブスクリプションに含まれています。詳細については、Amazon Q Developer の料金ページを参照してください。
より速く、よりスマートなコスト分析
この新機能の核となるのは、スピードと分析の深さです。FinOps アナリストは、「先週コンピューティングの支出が増えたのはなぜか?」といった質問に答えるために、複数のデータセットを調査するのに何時間も費やすことがよくあります。Amazon Q は、従来であればダッシュボードやコストデータを手作業で確認しなければ得られなかった回答を、自動的に提供できるようになりました。「過去 3 か月間の EC2 の時間あたりコストはどのように推移していますか?」のような、計算を伴う複雑な質問をすることもできます (図 1 および図 2 を参照)。
Amazon Q に質問を送信すると、複数のソースからきめ細かなデータを取得し、カスタム計算 (コストを使用量で割るなど) を実行して、必要なデータを提供します。ユーザーはデータの所在を自分で探す必要はありません。また、時間単位やリソースレベルの粒度にも対応しているため、スケーリングやその他の動的なアクティビティについても調査が可能です。
各レスポンスには、実行された API 呼び出しの詳細と「View in Cost Explorer」リンクが含まれているため、基となるデータを直接確認することができます (図 3 を参照)。
開発者へのコスト意識の浸透
リソースがデプロイされる前の段階でコスト最適化に取り組むこと (FinOps では「シフトレフト」と呼ばれます) は、支出を管理するうえで最も効果的なアプローチのひとつです。Amazon Q の新しい機能は、実際に作業が行われる場所で力を発揮します。コンソールにログインすれば、事前の設定やセットアップなしに、Amazon Q のネイティブ機能を使って料金の見積もりや想定ワークロードに関する質問をすることができます。たとえば、技術設計ドキュメントの作成中に、Amazon Q に「現在のインフラストラクチャに基づいてコストの見積もりを作成して」と依頼する場面を想像してみてください。Amazon Q は現在のアーキテクチャを読み取り、Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2) や Amazon Simple Storage Service (Amazon S3) などのサービスの料金を取得して、詳細なコスト見積もりを提供します。
図4に示すように、Amazon Q はサービスごとの日次支出内訳を生成することもでき、実際にどこにコストがかかっているかを明確に把握し、見落としがちなパターンを発見するのに役立ちます。さらに詳しく見たい場合は、図 5 に示すように、Amazon Q が Amazon EC2 のコストをインスタンスタイプ別・日別に内訳表示できるため、どのインスタンスファミリーがコンピューティング支出を押し上げているかを時系列で簡単に確認できます。また、この機能を What-if 分析にも活用できます。ワークロードを Graviton やサーバーレスに移行した場合のコストを見積もりたければ、Amazon Q に聞くだけです。
図4 – Amazon Q による 2026 年 2 月のサービス別日次内訳。Amazon EC2 Compute は平日平均 7.88 ドル/日で、週末には顕著な減少が見られる。Amazon CloudWatch の監視コストは 5 ドル/日で安定しており、2 月 24〜25 日には RDS のスパイクが発生している
新しいビジュアル体験:Amazon Q アーティファクト
コストインテリジェンスの改善に加えて、Amazon Q は表やグラフによる可視化で強化されたレスポンスを提供するようになりました。これは Amazon Q アーティファクトと呼ばれます。コンソール全体の体験も刷新されています。
まず、Amazon Q のアイコンが統合ナビゲーションバーに移動し、コンソールのどのページからでもアクセスできるようになりました (図 6 を参照)。
Amazon Q のアイコンをクリックすると、左側にチャットパネルが開きます。ビジュアライゼーションが生成されると、右側にアーティファクトパネルが自動的に開きます (図 7 を参照)。
最後に、Amazon Q のメニューバーに注目してください (図 8 を参照)。
- コストレビューに集中するためのフルスクリーンモード
- レスポンスタイプでフィルタリングできる、厳選プロンプトが用意されたプロンプトライブラリ (右上の本のアイコン)
リソーステーブルにはディープリンク (訳注:特定のページやリソースに直接遷移するリンク) が含まれており、当該リソースのサービスコンソールに直接移動できるため、リソース ID をコピーして手動で画面を遷移する必要がありません。
Amazon Q は複数のデータソースから同時にデータを取得します。
- AWS Cost Explorer – 過去の支出、トレンド、予測
- AWS Cost Optimization Hub – 実行可能なコスト削減の推奨事項
- AWS Compute Optimizer – 過剰にプロビジョニングされたリソースの特定
- Savings Plans とリザーブドインスタンスのデータ – カバレッジと利用率
- AWS Pricing API – すべてのサービスとリージョンにわたるリアルタイムの公開料金
さらに先へ:コストを可視化するさらなる方法
この記事で紹介した例はほんの出発点にすぎません。Amazon Q は幅広いコストの可視化機能に対応しており、何ができるかを知る最良の方法は、まず質問してみることです。支出の急増を調査する場合でも、予算に関する議論の準備をする場合でも、直近の最適化の効果を追跡する場合でも、役立つチャートがきっと見つかるはずです。
FinOps 業務向けのプロンプト例をいくつか紹介します。
予測と予算計画
- 「次の請求期間のコスト予測を表示して」 – 月末を迎える前に、予算に関する議論をサポートするための将来予測を確認できます (図 9)
- 「今後 90 日間の予測総支出額をグラフにして」 – 支出の推移を可視化し、予算超過の可能性を早期に発見できます
コミットメントカバレッジ
- 「過去 3 か月間の Savings Plans カバレッジを青、利用率を赤で折れ線グラフにして」 – コミットメントが期待どおりに機能しているかを追跡し、KPI に色を割り当てることができます (図 10 を参照)
- 「過去 6 か月間のリザーブドインスタンスの利用率をサービス別にグラフにして」 – 有効期限が切れる前に、十分に活用されていないリザーブドインスタンスを特定できます
サービスおよびリソースの詳細分析
- 「過去 6 か月間の RDS コストをインスタンスタイプ別・月別でグラフにして」 – インスタンスファミリー全体にわたるデータベース支出のパターンを把握できます
- 「過去 30 日間の DynamoDB コストをリージョン別・日別でグラフにして」 – リージョンごとの DynamoDB 支出の傾向を把握できます
- 「先月の EC2-Other コストを円グラフにして」 – EBS、データ転送、Elastic IP などの付随的なコンピューティング料金の内訳を確認できます
- 「先月のデータ転送コストを可視化して」 – 集計ビューでは見落とされがちな egress (外向きデータ転送) 料金を発見できます
ゼロから始める必要はありません。Amazon Q パネルの本のアイコンからアクセスできる Amazon Q プロンプトライブラリには、Cloud Financial Management カテゴリに 23 (訳注:2026 年 5 月初旬時点では 26) の厳選されたプロンプトが用意されており、Q&A、Visualization、Workflow のレスポンスタイプをカバーしています。カテゴリでフィルタリングし、プロンプトを選んで、自分の状況に合わせてカスタマイズするだけです。空白のチャットから意味のあるコストインサイトを得るための最も手軽な方法です (図 11 を参照)。
まとめ
これらの新機能の目的はシンプルです。データの管理に費やす時間を減らし、ビジネス価値の創出により多くの時間を充てることです。Amazon Q が AWS コンソールに直接組み込まれたことで、コスト管理は日々のオペレーションのシームレスな一部となります。
EC2 の時間あたりコストの調査、サービス別の日次支出内訳の生成、EC2 コストのインスタンスタイプ別の分類、Graviton への移行で得られるコスト削減の見積もりなど、どのような場面でもAmazon Q は余計な手間をかけずに必要な回答を提供します。
FinOps の本質は、財務データに基づいてより良い意思決定を行うことにあります。Amazon Q はその目的を変えることなく、それをより簡単に、よりアクセスしやすいものにします。データと回答は、質問ひとつで手に入ります。今すぐ Amazon Q を使い始めましょう。
翻訳はテクニカルアカウントマネージャーの堀沢が担当しました。原文はこちらです。









