Amazon Web Services ブログ

【開催報告】アップデート紹介とちょっぴり DiveDeep する AWS の時間 第三十五回 (10/26)

みなさんこんにちは! アマゾンウェブサービスジャパン合同会社 ソリューションアーキテクトの Yuan です。

2023 年 10 月 26 日に「第三十五回 アップデート紹介とちょっぴり DiveDeep する AWS の時間」をオンラインで開催しました。本イベントは、AWS の数あるアップデートの中から「すぐ使える、運用に役立つ、あったらいいなと思ってた、おもしろい、重要」なものをピックアップし、ちょっぴり DiveDeep してカジュアルな雰囲気でお伝えするイベントです。

今回は「Serverless 編」ということで、 実際に AWS の Serverless 関連サービスをご利用いただいているお客様から事例やサービスの機能についてご紹介頂きました。 今回も非常に多くの方にご参加いただきました。ご参加いただいた皆様、誠にありがとうございました。

実施内容

今回はいつもの 5 分間アップデート以外に、ゲストスピーカーの株式会社ゼンリンデータコムの 新谷 亮人様、株式会社 Serverless Operations の 金 仙優 様、Ragate 株式会社 久保 翔太 から AWS の Serverless サービスを用いたサービス構築・運用の事例についてご紹介頂きました。合計 1 時間半の中で盛りだくさんの内容でお送りしました。 本記事の中に資料や動画のリンクを記載しておりますので、ぜひご活用ください!

当日参加したメンバー

アジェンダ

今月のお勧め 5 分間アップデート (5 分)
スピーカー : アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 ソリューションアーキテクト 高橋 佑里子

今月の AWS のサービスアップデートを 5 分でご紹介しました。多くのアップデートの中から以下の 3 つをピックアップしました。

AWS の新着情報については 公式ページ のほか、毎週のアップデート情報をまとめて発信している週刊 AWS を合わせてご覧頂くことがオススメです!

100 台のサーバー運用からの脱却を目指して:初めての AWS サーバレス環境構築の裏側 (15 分)
スピーカー : 株式会社ゼンリンデータコム 新谷 亮人 様

ゼンリンデータコムが長年にわたり提供する月間数億 PV の「店舗案内パッケージ」サービスが、AWS サーバーレスアーキテクチャとマイクロサービス化によりマルチテナント型の SaaS として進化しました。本セッションでは、15 年間で肥大化したモノリシックな環境からマイクロサービス・サーバレス環境への移行について、AWS のサービス選定、疎結合構成のメリット、AWS Lambda リリースや構成管理の課題などを失敗談も含めてご紹介します。サーバレス環境に興味はあるけれど踏み出せない、サーバレス導入を検討している方向けのセッションです。

人気番組の新作配信を安定起動させた、サーバーレスな AWS 分散負荷試験ソリューション「Distributed Load Testing」を使った負荷試験の仕組み (15 分)
スピーカー : 株式会社 Serverless Operations COO 金 仙優 様

サーバーレス構成における「負荷試験」は、アクセススパイク時のパフォーマンス面のみならず、安定性、コストなど様々な面において最適化を行うための手段になります。このセッションでは、某人気番組が配信される度に激しいアクセススパイクに見舞われ、毎回サーバーが落ちていた VOD サービスを完全リニューアル、その番組の新作エピソードを問題なく配信できるまでの対応についてご説明します。特に、負荷試験で利用した AWS の分散負荷試験ソリューション「Distributed Load Testing」に焦点を当てて解説いたします。アクセススパイク以外でも、サーバーレスにおいて負荷試験を行う目的とメリットは多々ありますので、その点も合わせてお伝えしていきます。

【RDB 開発者向け】Amazon DynamoDB 設計ベストプラクティス事例紹介 (15 分)
スピーカー : Ragate 株式会社 開発部プロジェクトマネージャー 久保 翔太 様

Amazon RDS とAmazon DynamoDB はどちらを選択するのが最適なのか。また、Amazon DynamoDB の設計のベストプラクティスに悩んでいる方向けに、自社の事例を交えて解説致します。

AWS マルチアカウント戦略を採用したサーバーレスアプリケーションの管理と運用 (15 分)

スピーカー : 木村情報技術株式会社 システム開発本部 第三開発部 徳山 鐘三 様

AWS Lambda にて Docker ランタイムが利用できるようになったことにより、アプリケーション開発の自由度がより高まりました。またマルチアカウント戦略を取り入れることにより柔軟で管理しやすいアーキテクチャを実現する事ができます。 本セッションではマルチアカウント戦略を取り入れた上での Docker on Lambda を利用したサーバーレスアプリケーションのアーキテクチャや運用方法について、具体的な事例を交えて紹介します。

当日の様子

当日の内容を抜粋してご紹介します。

100 台のサーバー運用からの脱却を目指して:初めての AWS サーバレス環境構築の裏側

[資料動画]

こちらのセッションは株式会社ゼンリンデータコムプロダクト第一開発部シニアエンジニア新谷 亮人様より、15年以上歴史を持つ「店舗案内パッケージ」をサーバーレス構成にリニューアルする道と課題を紹介いただきました。「店舗案内パッケージ」はお客様が持つ店舗情報をホームページ上で案内したり、社内業務に利用したりする可能なサービスで、ビジネスの成長につれて、サーバー台数が100台を超え、パッチ適応などの運用負荷が高くなっていました。そこで、フロントエンドを Angular で SPA 化して、Amazon S3 にホスティングさせ、バックエンドは Amazon API Gateway、AWS Lambda、Amazon DynamoDB 及び Amazon CloudSearch を利用してサーバレス構成にリニューアルしました。そこで得られたメリット及び新たの課題も紹介されました。サーバレス構成を始めたい方には是非おすすめする内容です。

人気番組の新作配信を安定起動させた、サーバーレスな AWS 分散負荷試験ソリューション「Distributed Load Testing」を使った負荷試験の仕組み

[資料動画]

2 つ目のセッションでは、株式会社 Serverless Operations COO 金 仙優様より、サーバーレスな AWS 分散負荷試験ソリューション「Distributed Load Testing」を使った負荷試験の仕組みを紹介いただきました。負荷試験の基本的な考え方、サーバーレスで負荷試験を行うメリットを解説した上、AWS 公式展開しているDistributed Load Testing on AWS ソリューションを活用して、動画配信サービスのサービス品質を安定させた事例を紹介しました。Distributed Load Testing on AWS で負荷試験を実施したことで、スパイクなトラフィックが発生した際の DynamoDB のホットパーティションニング問題を特定して解決しました。サーバーレスで負荷試験を実施したい方はぜひご確認ください。

【RDB 開発者向け】Amazon DynamoDB 設計ベストプラクティス事例紹介

[資料動画]

3 つ目のセッションでは、Ragate 株式会社開発部プロジェクトマネージャー久保 翔太様より、Amazon DynamoDB 設計ベストプラクティスを紹介いただきました。Amazon DynamoDB はサーバーレスの大規模で高速なキーバリューデータベースですが、テーブル設計の考えは従来のリレーショナルデータベースと異なります。こちらのセッションでは RDB 開発者視点から Amazon DynamoDB を扱う際のテクニックと事例を紹介しました。Amazon DynamoDB のインデックスを設計する際の注意事項、実際のサービスにはどうモデリングしたのかの説明など有用な情報も含まれているので、これから Amazon DynamoDB を始めたい方には非常におすすめです。ご興味のある方はぜひご確認ください。

AWS マルチアカウント戦略を採用したサーバーレスアプリケーションの管理と運用 

[資料動画]

最後のセッションでは、木村情報技術株式会社 システム開発本部第三開発部徳山 鐘三様より、AWS マルチアカウント戦略を採用したサーバーレスアプリケーションの管理と運用を紹介いただきました。こちらのセッションでは、木村情報技術株式会社様の Biznar の事例を中心に、実際に Ruby on Rails のアプリケーションを Docker on Lambda でサーバレス化した際の管理・運用、マルチアカウント戦略をとっていた際の経験を紹介しました。事例では、安価に Rails アプリケーションと同じ感覚でサーバーレスアプリケーションを構築できました。また、各テナントに独自の AWS アカウントを用意して、高い隔離性やアカウント別の請求を実現することができ、AWS Control Tower、AWS Config、AWS Security Hub でアカウント統制を行いました。Ruby on Rails のアプリケーションのサーバーレス化、マルチアカウントの運用を検討している方におすすめの内容です。ご興味のある方はぜひご覧いただきたいです。

いただいたご質問とその回答

「5 分間アップデート」について
Q. 東京リージョンの Bedrock で ELYZA (llama2ベースの日本語学習 モデル) は使用できますか?
A. 東京リージョンの Bedrock で ELYZA は現在ご利用いただけません。ロードマップについて詳細はお伝えできませんが、llama 2 は近日公開予定となっております。

次回予告

次回は「Disaster Recovery 編」です。 ゲストスピーカーとして、株式会社マーズフラッグの 佐々木 崇之 様、エムオーテックス株式会社 の 立古 佳大 様、株式会社 Works Human Intelligence の 兒玉 拓也 様、株式会社ブイキューブの 岩上 蘭 様及び 中尾 真夕 様をお招きしまして、AWS での Disaster Recovery (DR) を中心に 4 セッションをご提供します。 次回も多くの方々のご参加を心よりお待ちしております! 『アップデート紹介とちょっぴり DiveDeep する AWS の時間』の視聴申し込みでは複数月分をまとめてご選択頂くことが可能です!また、イベント開催直前にリマインドメールをお送りいたします。下記リンクから参加ご希望月の申し込みをお願いいたします。

第三十六回「アップデート紹介とちょっぴり DiveDeep する AWS の時間」- Disaster Recovery 編-

  • 開催日時:2023 年 11 月 16 日(木)16:00 – 17:30 オンライン開催
    • アジェンダ
      • 16:00 – 16:10 オープニングセッション
      • 16:10 – 16:25 BCP の改善へ向けた可用性向上 ~Amazon RDS 周りを中心に~
        • スピーカー: 株式会社マーズフラッグ サービスプラットフォーム部、シニアエンジニア 佐々木 崇之 氏
      • 16:25 – 16:40 ある日「DR やって?」と言われたら – 開発・運用現場が始める DR の第一歩
        • スピーカー: エムオーテックス株式会社 開発本部 サービス開発1部 サービス開発1課 SREグループ 立古 佳大 氏
      • 16:40 – 16:45 Q&A
      • 16:45 – 17:00 コールドスタンバイによる DR 対策とフェールオーバーやフェールバックの定義について
        • スピーカー: 株式会社 Works Human Intelligence Engineer 兒玉 拓也 氏
      • 17:00 – 17:15 AWS マルチアカウント戦略を採用したサーバーレスアプリケーションの管理と運用
        • スピーカー: 株式会社ブイキューブ 技術本部 新規開発グループ インフラチーム 岩上 蘭 氏
        • スピーカー: 株式会社ブイキューブ 技術本部 新規開発グループ 開発チーム 中尾 真夕 氏
      • 17:15 – 17:20 Q&A
      • 17:20 – 17:30 クロージングセッション

このブログの著者
袁 嘉希 ( Yuan Jiaxi )
ソリューションアーキテクトとして ISV/SaaS 系のお客様の技術支援を行っております。