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週刊生成AI with AWS – 2026/2/16 週

みなさん、こんにちは。AWS ソリューションアーキテクトの野間です。今週号も盛りだくさんです。開催直前になりますが、2 月 27 日 (金)に「企業でつかうためのCoding Agent「Kiro」 オンライン勉強会」が開催されます。まだ申し込み受付中ですのでAI エージェントを活用した開発プロセスの効率化に関心がある方はぜひ参加ください!また 3 月 26 日(木)には「Amazon Quick Suite で変わる業務の現場 — 活用企業・AWS社員による事例紹介」が開催されます。分析業務や定型業務の効率化に興味がある方はぜひご参加ください!

それでは 2 月 16 日週の生成 AI with AWS界隈のニュースを見ていきましょう。

さまざまなニュース

    • AWS生成AI事例ブログ「BMW Group が AWS 上のエージェンティック検索でペタバイト規模のデータからインサイトを引き出す」を公開
      BMW Group が AWS Professional Services と協力し、Amazon S3 Vectors、Amazon Bedrock、Amazon Bedrock AgentCore を活用したエージェンティック検索ソリューションを構築した事例が紹介されています。20 PB のデータを保有する同社のデータレイクハウスに対し、ハイブリッド検索・網羅的検索・SQL クエリの 3 つのアプローチを AI エージェントが自動的に切り替えることで、技術的な専門知識がなくても自然言語で大規模データからインサイトを引き出せるようになりました。生成 AI を活用してデータ分析の民主化を実現するアーキテクチャの実例として、エージェンティック AI の実装パターンやサーバーレスアーキテクチャによるコスト効率の高い運用方法を学ぶことができます。
    • AWS生成AI国内事例ブログ「『導入しても使われない』を解決する ― 三菱電機 電力ICTセンターが Kiro と GitLab で実現した開発ワークフローの標準化」を公開
      三菱電機 電力ICTセンターが、開発者向けエージェント型 IDE「Kiro」の Steering・Powers・MCP の 3 層構造と GitLab を組み合わせ、「AI に聞けばワークフローに沿った開発ができる」というプラットフォームを構築した事例が紹介されています。Issue 作成からブランチ作成、実装、MR 作成、レビューまでの開発フロー全体を Powers に定義し、さらに Kiro によるコード生成と GitLab Duo によるレビューという AI 同士の協働により、人間のレビュー負担を軽減しながら品質を担保するワークフローを実現しています。生成 AI を活用した開発効率化に取り組むユーザーにとって、ドキュメントを読んでも AI に聞いても同じ結果にたどり着ける仕組みづくりや、AI エージェントの振る舞いを組織のルールに沿って制御する具体的な方法を学ぶことができます。
    • AWS生成AI国内事例ブログ「メック株式会社の事例:Amazon Bedrock AgentCore で研究業務を効率化 – AI エージェントによる情報検索と更新の自動化」を公開
      メック株式会社が Amazon Bedrock AgentCore と Amazon S3 Vectors を活用し、研究業務における情報検索と情報更新を AI エージェントで自動化したソリューションを約 3 週間で構築した事例が紹介されています。情報検索エージェントはユーザーの質問をそのまま検索するのではなく専門知識をもとに最適なクエリを自動生成し、情報更新エージェントは新規情報にコンテキストやメタデータを自動付与することで、経験年数に関わらず高品質な情報アクセスと知的資産の体系的な蓄積を実現しています。生成 AI を活用したエージェント開発に取り組むユーザーにとって、Bedrock AgentCore Runtime のサーバーレスなランタイム環境と Strands Agents を組み合わせた PoC のスモールスタート事例として参考になります。
    • AWS生成AI国内事例ブログ「小売業界の未来を切り拓く:東芝テックが AWS の AI エージェントを活用した店舗運営支援ソリューションを開発」を公開
      東芝テックが Amazon Bedrock と Amazon Bedrock AgentCore、Strands Agents SDK を活用し、POS データや在庫情報、IoT センサーデータを AI エージェントが継続的にモニターして売り場責任者に具体的な推奨アクションを通知する店舗運営支援ソリューションを開発した事例が紹介されています。ベテラン担当者の業務知識を管理画面から自然言語でインプットするだけでノーコードで AI エージェントを開発でき、24 時間 365 日バックグラウンドで稼働することで、経験年数に関わらずデータドリブンな意思決定が可能になります。生成 AI を活用した小売業向けソリューションに取り組むユーザーにとって、AgentCore Runtime によるサーバーレスなエージェント運用や AgentCore Memory による対話の記憶を活かしたパーソナライズなど、実践的なアーキテクチャの参考になります。
    • ブログ記事「AWS で NVIDIA Cosmos world foundation models を実行」を公開
      自律走行車やロボティクス、スマートファクトリーなどのフィジカル AI 開発では、高品質なトレーニングデータの不足が大きな課題となっています。本ブログでは、NVIDIA Cosmos ワールドファウンデーションモデル (WFM) を AWS 上にデプロイし、物理的に妥当性のある合成データを大規模に生成する方法として、Amazon Elastic Kubernetes Service (Amazon EKS) を使ったリアルタイム推論と AWS Batch を使ったバッチ推論の 2 つの本番環境向けアーキテクチャを紹介しています。生成 AI を活用したフィジカル AI の開発に取り組むユーザーにとって、実世界のデータ収集に頼らず合成データで開発サイクルを加速できる具体的な実装パターンを学ぶことができます。
    • ブログ記事「リファクタリングを正しく行う:プログラム解析により AI エージェントの安全性と信頼性を高める方法」を公開
      AI コーディングアシスタントにシンボルの名前変更やファイル移動といったリファクタリングを依頼すると、インポートの破損や参照の欠落が発生しがちですが、本ブログでは開発者向けエージェント型 IDE「Kiro」が IDE の言語サーバーを活用した「セマンティックリネームツール」と「スマートリロケートツール」でこの課題をどう解決するかを解説しています。LLM によるテキストベースの検索置換に頼るのではなく、コードの構造を理解するプログラム解析を組み合わせることで、ワークスペース全体にわたる変更を安全かつ正確に反映でき、リファクタリング後のデバッグ作業を大幅に削減できます。生成 AI を活用した開発に取り組むユーザーにとって、AI エージェントの出力をより信頼できるものにするための「構築による正確性」というアプローチの具体的な実装例として参考になります。
    • ブログ記事「バグ修正と既存アプリの上に構築するための新しい Spec タイプ」を公開
      開発者向けエージェント型 IDE「Kiro」の仕様駆動開発ワークフロー Specs に、「デザインファースト」と「バグ修正」の 2 つの新しい Spec タイプが追加されました。デザインファースト Spec は技術的アプローチがすでに決まっている既存アプリへの機能追加に、バグ修正 Spec は「現在の振る舞い」「期待される振る舞い」「変更されない振る舞い」の 3 セクション構造で外科的な修正を行う場合に適しており、いずれもプロパティベーステストによる検証まで一貫して行えます。生成 AI を活用した開発に取り組むユーザーにとって、新規開発だけでなく既存コードベースの保守・改善においても、AI エージェントと効果的に協働するための実践的なアプローチを学ぶことができます。
    • ブログ記事「Claude Sonnet 4.6 が Kiro で利用可能になりました」を公開
      開発者向けエージェント型 IDE「Kiro」の IDE および CLI で、Anthropic の Claude Sonnet 4.6 が利用可能になりました。Sonnet 4.6 は Sonnet 4.5 からの完全なアップグレードで、Opus 4.6 に匹敵する知能を持ちながらトークン効率が高く、複数ステップのツール呼び出しや長いセッションでのコンテキスト維持など、エージェント作業に特化して構築されています。生成 AI を活用した開発に取り組むユーザーにとって、機能構築やリファクタリング、デバッグなどの反復的な開発ワークフローにおいて、より高速で高品質なタスク完了が期待できるモデルです。
    • ブログ記事「Kiro のエンタープライズ ID 連携と使用状況メトリクス」を公開
      開発者向けエージェント型 IDE「Kiro」が、外部 ID プロバイダー(Okta と Microsoft Entra ID)との連携とユーザーレベルのアクティビティメトリクスをサポートしました。管理者は既存の SSO ポリシーや MFA 適用をそのまま Kiro に適用でき、IDE・CLI・Web アプリ全体でのチーム利用状況をクライアントタイプごとに可視化できるようになります。組織で生成 AI を活用した開発ツールの導入を検討しているユーザーにとって、既存の ID 基盤やコンプライアンス要件を維持しながらチーム全体への展開と利用状況の把握を実現できるエンタープライズ向け機能として注目です。
    • ブログ記事「エージェンティック・クラウドモダナイゼーション: AWS MCP と Kiro によるモダナイゼーションの加速」を公開
      開発者向けエージェント型 IDE「Kiro」と公式の AWS MCP サーバーを統合することで、レガシーシステムのクラウドモダナイゼーションにおける分析・計画・実装の 3 フェーズを自動化し、従来数週間かかっていた評価やアーキテクチャ設計を数日に短縮するアプローチが紹介されています。Kiro が既存コードベースを分析してアーキテクチャ図やドキュメントを自動生成し、AWS Well-Architected Framework に沿ったターゲットアーキテクチャの設計、リアルタイムのコスト見積もり、AWS CloudFormation や AWS CDK 等の Infrastructure as Code の生成まで一貫して行えます。生成 AI を活用したモダナイゼーションに取り組むユーザーにとって、AWS ドキュメント・料金・CDK などの各種 MCP サーバーを組み合わせた具体的なセットアップ方法と実装パターンを学ぶことができます。
    • ブログ記事「AI で強化された脅威アクターによる FortiGate デバイスへの大規模な不正アクセス」を公開
      Amazon Threat Intelligence が、商用生成 AI サービスを活用した脅威アクターが 55 か国以上・600 台超の FortiGate デバイスを侵害したキャンペーンを観測・分析した調査結果が共有されています。技術力の低い脅威アクターでも、AI を活用して攻撃計画の策定やツール開発、認証情報の抽出を大規模に行えるようになった一方、侵害の主因はインターネットに公開された管理インターフェイスと脆弱な認証情報という基本的なセキュリティの欠陥であり、堅実なセキュリティの基本が依然として有効な防御策であることが示されています。AWS を利用するユーザーに対しては、Amazon GuardDuty や Amazon Inspector、AWS Security Hub を活用した脅威検出やセキュリティポスチャの継続的な可視化など、具体的な推奨事項が紹介されています。

サービスアップデート

    • Amazon Bedrock の強化学習ファインチューニングが OpenAI 互換 API でオープンウェイトモデルをサポート
      Amazon Bedrock の強化学習ファインチューニング(RFT)が、qwen.qwen3-32b や openai.gpt-oss-20b などのオープンウェイトモデルに対応し、OpenAI 互換のファインチューニング API が利用可能になりました。大規模なラベル付きデータセットや深い機械学習の専門知識がなくても、少量のプロンプトセットとルールベースの評価関数や AI ベースのジャッジを使ってモデルをカスタマイズでき、ファインチューニング完了後は追加のデプロイ手順なしに Responses API や Chat Completions API でそのまま推論に利用できます。生成 AI を活用するユーザーにとって、小型で高速かつコスト効率の高いモデルを自社の業務要件に合わせて最適化し、フルマネージドかつセキュアな環境で運用できる選択肢が広がるアップデートです。
    • Claude Sonnet 4.6 が Amazon Bedrock で利用可能に
      Amazon Bedrock で Anthropic の Claude Sonnet 4.6 が利用可能になりました。Sonnet 4.5 からの直接アップグレードとして、Opus 4.6 に匹敵する知能を低コストで提供し、コーディング、エージェンティックワークフロー、ブラウザベースの自動化(コンピュータ使用)において高いパフォーマンスを発揮します。生成 AI を活用するユーザーにとって、マルチモデルパイプラインでのリードエージェント・サブエージェント両方の役割を担えるほか、スプレッドシート作成やコンプライアンスレビューなどのエンタープライズ用途にも活用でき、Sonnet 4.5 からの移行も軽微なプロンプト調整のみで対応できます。
    • Kiro が AWS GovCloud (US) リージョンで利用可能に
      開発者向けエージェント型 IDE「Kiro」が、AWS GovCloud (US-East) および AWS GovCloud (US-West) リージョンで利用可能になりました。高いコンプライアンス要件を持つワークロードに対して、スペック駆動開発やドキュメント・ユニットテストの自動生成、ネイティブ MCP サポートによるデータベースや API との連携など、エージェンティック AI 開発の機能が提供されます。AWS IAM Identity Center によるエンタープライズ認証に対応しており、政府機関や規制産業で生成 AI を活用した開発に取り組むユーザーにとって、ミッションクリティカルな開発ワークフローに Kiro を導入できるようになるアップデートです。

今週は以上です。それでは、また来週お会いしましょう!

著者について

Aiichiro Noma

野間 愛一郎 (Aiichiro Noma)

AWS Japan のソリューションアーキテクトとして、製造業のお客様を中心に日々クラウド活用の技術支援を行なっています。データベースやデータ分析など、データを扱う領域が好きです。最近天ぷらを(食べるのではなく)揚げるほうにハマってます。