Migros One が AWS を利用してシームレスにスケールし、10 倍のトラフィックの処理が可能に

Migros One は、トルコの先駆的なスーパーマーケットチェーンである Migros の複数のオンラインチャネルを統合しています。また、Migros Sanal Market、Migros Hemen、Migros Yemek、Tazedirekt、Macroonline、Migros Ekstra、Mion を擁する Migros One は、Migros ビジネスにおいて、すべての子会社の力を統合して活用しています。同社は、毎月 100 万超の顧客に、食料品、食品、オーガニック栄養食品、パーソナルケア製品、テクノロジー製品を提供しています。

事業を拡大し、オペレーションを最適化する中で、Migros One は、小規模なエンジニアリングチームが、オペレーションではなく、イノベーションの加速と顧客価値のより迅速な提供に注力できるようにしたいと考えました。同社は、オンプレミス環境を制約していた官僚的なプロセスを最小限に抑えるため、スケーリングの迅速化、新しいテクノロジーの導入、サービスのデプロイの可能性を模索しました。「当社は、アプリケーションの即時スケールとデプロイを簡単に行うことがえきるクラウドへの移行を望んでいました」と Migros One の Head of DevOps である Mehmet Başal 氏は述べています。

Migros One は、さまざまなクラウドソリューションを検討した結果、AWS が適切に統合されており、ドキュメントが充実していて、実装が簡単であることに気付きました。「AWS では、DevOps に詳しくない同僚のオンボーディングもはるかに簡単でした」と Migros One の Head of B2B Software Development である Nurettin Yilmaz 氏は述べています。2018 年、Migros One は、オンプレミスから AWS への移行を目的とした Cloud Transformation Project を実施しました。

AWS の利用経験が皆無だったにもかかわらず、Migros One チームは独自の専門知識と AWS ドキュメントを活用し、AWS 上で機能する最初のバージョンのモノリシックアプリケーションを 3～4 週間で開発しました。規制によってクラウドへのデータ移行が許可されていない場面では、Migros One は AWS Direct Connect を利用しました。これは、組織が AWS への専用ネットワーク接続を作成するために利用するサービスです。移行においてさまざまなボリュームと多様なデータタイプを管理するという課題に対処するため、同社は、ほぼあらゆる規模ですべてのデータを検出、準備、統合できる AWS Glue を利用しました。

さらに、Migros One は 2022 年から、包括的で実績のあるクラウド移行プログラムである AWS Migration Acceleration Program (AWS MAP) を新しいワークロードのために利用しています。

移行後、Migros One はマイクロサービスを利用してアーキテクチャをモダナイズしました。Migros One のマイクロサービスアーキテクチャは、フルマネージド Kubernetes サービスである Amazon Elastic Kubernetes Service (Amazon EKS) 上にデプロイされています。マイクロサービス、分散システム、サーバーレスアプリケーション向けのフルマネージドメッセージキューイングサービスである Amazon Simple Queue Service (Amazon SQS) を使用しています。データベースについては、Migros One は、総保有コストを念頭において最適化された管理しやすいリレーショナルデータベースを提供する Amazon Relational Database Service (Amazon RDS) を利用しています。同社はまた、ストレージ、ネットワーキング、アプリケーションのロードバランシングのために、他の AWS サービスも実装しました。

AWS を利用することでサーバーや運用上の問題を心配する必要がなくなったため、Migros One では、イノベーションの加速、市場投入までの時間短縮、デプロイの迅速化が実現されました。マイクロサービスアーキテクチャへの移行も、Migros One がより短い期間でより多くのサービスを開発するのに役立ちました。「自動化されたテストと検証を使用することで、以前は 2 週間かかっていたサービスのデプロイサイクルを数分に短縮できました」と Başal 氏は述べています。「Migros One は現在、ダウンタイムやユーザーエクスペリエンスへの影響を実質ゼロに抑えて、オンデマンドでサービスをデプロイしています」。 迅速なデプロイは、新型コロナウィルスのパンデミック時に感染リスクがより高い高齢の顧客を優先するための機能をリリースしたときに特に役立ちました。

同社はマネージドサービスとオートメーションを通じて運用効率を高めました。これにより、運用チームの 60% が解放され、中核的なビジネス目標と製品開発に注力できるようになりました。そして、さらにコストを削減するため、Migros One は Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2) スポットインスタンスを使用して、フォールトトレラントなワークロードを最大 90% 低いコストで実行しています。これらの取り組みは、コストを 20% 削減するのに役立ちました。

Migros One の革新的なサービスには現在、Amazon Bedrock 上に構築された複数のボットが含まれています。Amazon Bedrock を利用することで、基盤モデルを使用して生成 AI アプリケーションをシンプルに構築およびスケールできます。これらのボットは、アプリケーションのデプロイやインシデント管理の支援に使用されています。また、質問応答アシスタントを開発するために、エンジニアリングチームは Amazon Bedrock のナレッジベースを使用しました。組織はこれを使用して、独自のドキュメントを生成 AI アプリケーションに組み込むことで、より関連性が高く、正確でカスタマイズされた回答を提供できます。「当社のチームは新しいテクノロジーに取り組む機会を得ています」と Başal 氏は述べています。「さらに、機械学習やモデルトレーニングなど、大規模なコンピューティングキャパシティを AWS でより迅速に得ることができます」。

イノベーションを加速することで、Migros One は顧客ニーズにより良く対応できるようになりました。同社は最近、機械学習モデルを構築、トレーニング、デプロイできる Amazon SageMaker を利用して「What should I cook?」という機能を開発しました。この機能を使用すると、顧客は料理名やレシピ名を入力して、その材料を入手し、ショッピングカートに追加できます。

Migros One は、標準化されたアーキテクチャを使用してサービスを開発し、新しい分野に参入することで、AWS 上で成長を続けていく予定です。例えば、同社は 2024 年 7 月から、包括的なリソーススイートを提供する AWS エンタープライズサポートを利用しています。「AWS アカウントチームからの包括的なサポートにより、真のコラボレーションが促進されました」と Başal 氏は述べています。「さらに、AWS エンタープライズサポートを導入して以来、広範なトレーニングを受けたエンジニアリングチームによる専門的なガイダンス、ベストプラクティス、運用サポートは、まさに画期的なものでした。当社の AWS クラウド運用の専任アーキテクトが、カスタマイズされたエンゲージメントを提供することで、クラウドジャーニーを最大限に活用できるよう尽力しています」。

Migros One の 2025 年の成長目標には、M1 Grocery Solutions が含まれています。これは、独自のオンラインチャネルを立ち上げたいと考えている小売業者向けに AWS 上で開発中の SaaS (Software as a Service) ソリューションです。このソリューションの一環として、Migros One は、ウェブサイト、モバイルアプリ、最終顧客への製品のピックアップと配送のための物流など、あらゆるサービスを提供する予定です。M1 Grocery Solutions は、Migros One にとって B2B 分野への進出を示すものであり、同社はこのソリューションを通じて、アジア、中東、北アフリカの小売業者とともに成長し、協業していくことを目指しています。