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株式会社アド・ダイセンが生成 AI で実現した現場主導の業務効率化:非技術者による生成 AI 活用の実践

本ブログは株式会社アド・ダイセン様とアマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社が共同で執筆いたしました。

みなさん、こんにちは。ソリューションアーキテクト 瀬高 拓也です。

株式会社アド・ダイセンの理念は「”顧客”から”個客”へ」。付加価値を追求し、One to One コミュニケーションを具現化することを掲げています。目標を共有する二人三脚の戦略パートナーとして、顧客一人ひとりの「おもてなし」にフォーカスした”個客”戦略を打ち出しています。株式会社アド・ダイセン ロゴ

このような理念を実現するためには、お客様ごとにカスタマイズされたソリューションを提供する必要があり、限られたリソースで多様な要求に応える柔軟性と、個別対応を可能にする技術基盤の構築が重要な課題となっていました。。本ブログでは、アド・ダイセン様が Generative AI Usecases (GenU) を活用し、非技術者が主導して業務効率化を実現した取り組みをご紹介します。

成熟業界で生き残るための現場主導 DX:マニュアルワーカーからナレッジワーカーへ

アド・ダイセン様は、ダイレクトメール(DM)の企画・制作から配送までを一貫して手がける企業です。成熟業界において会社が生き残るために、生産性向上が必須の課題であると捉えていました。

同社が直面していた最大の課題は、「現場レベルの DX は現場の人間にしかできない」という現実でした。お客様ごとのリピートビジネスであることから案件ごとに異なる帳票形式や運用プロセスになっており、業務の個別最適化が自然と発生していました。

このような業務が無数に存在する中で、グループ会社を含めてエンジニアは在籍しているものの、無数にある案件ごとの課題全てにエンジニアを割り当てるのは現実的ではありませんでした。その結果、基幹システムやサブシステムを刷新しても、手元の業務プロセスの効率化までに至らないという状況に陥っていました。

この課題に対し、同社は 3〜4 年前から RPA を導入し、本業に近いところで活用するなど、業務改善に前向きに取り組んでいましたが、さらなる加速が必要であると考えていました。

GenU で始まった現場主導の業務効率化

当初、アド・ダイセン様には明確な AI 活用ビジョンはありませんでしたが、「取り残されないために AI を使わなければ」という危機感がありました。

社内では既に生成 AI をマクロのコーディングやブログ執筆などに利用していましたが、チャットによるテキストベースのやり取りに留まっていました。そこで Amazon Bedrock を活用するイベントをきっかけに、GenU をご紹介させていただき、より実践的な活用を模索され始めました。

Amazon Bedrock が利用料に応じた従量課金である点も、まずは触ってみるという姿勢にマッチしており社内での実践的な検証をすることになりました。

生成 AI チームの発足と初期の取り組み

同社は RPA、社内 Q&A ツール、生成 AI の 3 チームを基礎研究を目的として編成し、生成 AI チームが GenUを前提に活動を開始しました。

GenUの機能や、ビルダーモードという独自にユースケースの作成ができる機能を使い、以下のような取り組みを行いました:
議事録の自動作成: 会議内容の要約と整理
画像判定ツール: DM の封筒加工の向きや面付けチェックの自動化
営業数字の分析ツール: 売上データの可視化と分析

これらは新しい価値を提供できたものの、テキスト出力が中心である点や既存事業の中心である事務業務の効率化には直結していない点から「もっと実務に直結する形で活用できないか」という課題が残っていました。

転機:スケジュール管理ツールの開発に成功

転機となったのは、名古屋のメンバーが「業務効率化のためのツールを Python で作れないか」という課題に挑戦し、GenU で Excel と Python を組み合わせたツールの開発に成功したことです。
学生時代に Python に触れた経験のあるメンバーが、GenU の チャット機能を活用して、スケジュール管理ツールを開発しました。

株式会社アド・ダイセン 資料

機能: 出荷日から逆算して並行する 5〜10 本のプロジェクトのスケジュールを自動生成
連携: Excel への自動転記、VBA で Outlook のカレンダーに自動登録
効果: 2〜3 時間かかっていた作業が 数分で完了

このツールは従来人間が手作業で目視をしながら行う、スケジュール調整と転記作業を自動化し、主要な事務作業の多くに共通する変数取得→情報処理→提出資料への反映というプロセスを自動化することに成功しました。また、業務時間の効率化だけでなく、人的ミスの削減にも大きく寄与し作業自体の品質向上にもつながりました。また、何より重要だったのは、「非技術者でも 生成AI を使えば実務に直結するツールを作れる」という現場レベルのDXにおける成功体験を得たことでした。

次のステップ:Kiro を活用したより複雑な課題への挑戦

GenU を用いた開発による成功を受け、Kiro の活用を進めています。Kiro は統合開発環境(IDE)として、Agentic AI との対話を通じてコードを修正し、指示を出しながら開発を進められるツールです。

GenU で培った経験を基に、生成 AI チームのメンバーが Kiro を試験的に使い始めました。最初に取り組んだのが、配送シミュレーションツールの開発です。

アド・ダイセン様では、民間の配送業者と郵便局を使い分けて DM を配送しています。従来は Microsoft Access で事前シミュレーション用の資産レポートを作成していましたが、数万~多いもので数百万レコードにもなるデータを1件1件、複数ファイルの配送マスターに当ててシミュレーションする作業は非常に負荷が高く、案件によっては丸 2 日かけて行う業務でした。

Kiro での開発と効果

Kiro を使って配送シミュレーションツールの開発に挑戦したところ、大きな改善効果が得られました:
開発時間: わずか 2 時間で基本機能が完成
処理時間: まる 2 日かかっていた作業が約 30 秒に短縮
機能: 約 10 社の宅配会社マスターから選択、ファイルが複数でも、どのようなファイルレイアウトでも一括照合、結果の可視化

Kiro の IDE 機能 + Agentic AI により、コードの編集、デバッグ、実行を一貫して行えたことが、開発スピードの向上につながりました。「このデータをこう処理したい」という業務要件を伝えることで、AI がコードを生成・修正していく対話的な開発プロセスが、非技術者でも高度なツールを作れる環境を提供しています。

今後の展開
現在、配送シミュレーションツールは実業務での社内リリースに向けて調整中です。リリースの判断基準や展開方法を検討しており、しかるべき担当者がツールを開発、検証し、経験者がチェックしてルールを作る体制を整えて全社のDXを促進していきます。

まとめ

今回は株式会社アド・ダイセン様の事例として、非技術者の方が生成 AI を活用して現場主導で業務効率化を実現した事例をご紹介させていただきました。

GenU や Kiro を使った取り組みは、AIを使った業務効率化だけでなく、現場主導のDXにおいて重要な組織のイノベーション文化促進へとつながるアプローチになります。

今回の事例は AWS Startup Loft Tokyo で開催された Amazon Q Developer Meetup #4 にて同社の吉田様に
ご登壇いただいた際にもお話いただきました。会場の皆様から「技術的な専門知識がない中で、どうやって素
晴らしいイノベーションを実現されたのか?」といった質問を多くいただくなど、参加者の方々からも強い関
心を持たれており、多くの業種から注目されるご登壇内容となり、ご好評いただきました。株式会社アド・ダイセン 吉田様

成熟業界において、マニュアルワーカーからナレッジワーカーへのシフトは生き残りの鍵です。エンジニアリソースの制約がある中で、現場の人間が自ら課題を解決できる環境を整えることが、真の DX 推進につながります。生成 AI を活用にご興味がある方は、AWS までお問い合わせください

ソリューションアーキテクト 瀬高 拓也