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Amazon Connect アップデート まとめ – 2025年9月
こんにちは、Amazon Connect ソリューションアーキテクトの坂田です。ようやく過ごしやすい季節になってきましたね!秋の味覚もいろいろですが、皆さんは何がお好きですか?わたしはなんでも好きなので、食べ過ぎ注意です。。
さて、2025年8月のアップデートまとめ はご覧いただけましたか?前回はなんといっても、Amazon Connect に組み込まれたAI 機能のバッジプログラムに注目でした。今回ももちろん、AI 関連のアップデートがありましたよ。それでは9月のアップデートを確認していきましょう!
1. 注目のアップデートについて
Amazon Lex が新たに 8 つの言語で生成 AI ベースの強化された自然言語理解を提供
- Amazon Lex が日本語でも、大規模言語モデル(LLM)を利用したアシストつきNLU(Assisted NLU)をサポートするようになりました。Assisted NLU を使うと、顧客が例えば「えーっと、明日が結婚記念日でして、私と妻と子供で食事をしたいんですが予約をお願いできますか?」と言うと、Bot は 予約の日付は 2025−10-06 で、人数は 3名 だと解決することができるようになります。Assisted NLU を有効にすることで、Bot は冗長で複雑な発話から必要な情報を抽出することができます。
- 日本語のインテントで Assisted NLU を有効にするには、対象のボットで Japanese(JP) ロケールを選択し、Assisted NLU の設定を有効にします。有効にした後は Bot をビルド (構築) します。
- Assisted NLU を有効にする場合、インテント名やスロット名はその目的やアクションを端的に示す名前をつけてください (例: BookTable)。また、インテント名とスロット名にプレフィックス、サフィックス、または不要な単語を追加しないでください。「Dev」や「Test」などの追加の要素は LLM を混乱させ、目的をより不明確にする可能性があります。さらに、インテントとスロットごとに、簡潔で有益な説明を含めます。これにより、特定の用途とコンテキストを説明し、人間と LLM の両方がその目的を理解しやすくなります。
- 詳細については、Amazon Lex のドキュメントをご覧ください。
2. 2025年9月のアップデート&リリース一覧
- Amazon Connect ダッシュボードが任意の時間範囲でのメトリクスのフィルタリングと比較をサポート – 2025/09/29
- Amazon Connect ダッシュボードで、任意の時間範囲を指定してメトリクスを比較できるようになりました。最大で過去3ヶ月、35日分の範囲を指定することができます。
- 管理者ガイド
- Amazon Connect でコンタクトの特定のセグメントに属性を保存できるようになった – 2025/09/23
- Amazon Connect でコンタクトを転送したりすると、転送後のコンタクトには新たなコンタクトIDが付与されます。この時、このコンタクトは転送前後の二つのコンタクトセグメントで構成されています。今回のアップデートにより、特定のコンタクトセグメントだけに属性(問い合わせセグメント属性)を記録することができるようになりました。
- 例えば、サポート部門で受電したコンタクトをセールス部門に転送したとき、転送前のコンタクトセグメントだけに”Support”というセグメント属性を記録し、転送後のコンタクトセグメントにだけ”Sales”というコンタクトセグメント属性を記録することができます。これにより、コンタクトセンターの管理者はより効率的に特定のコンタクトセグメントを検索することができるようになります。
- コンタクトセグメント属性を利用するには、まず Amazon Connect で事前定義されたコンタクト属性を作成する必要があります。事前定義されたコンタクト属性はコンタクトフローの「コンタクト属性の設定」ブロックもしくは UpdateContact API を使って対象のコンタクトセグメントにアタッチすることができます。
- 記録されたコンタクトセグメント属性は例えばコンタクトの検索で利用することができます。
- 管理者ガイド – 問い合わせセグメント属性を使用する
- Amazon Connect Contact Lens が新たに7つの言語で機密データの秘匿化に対応 – 2025/09/23
- フランス語 (フランス、カナダ)、ポルトガル語 (ポルトガル、ブラジル)、イタリア語、ドイツ語、スペイン語 (スペイン)をサポートするようになりました。
- 管理者ガイド – 機密データの秘匿化を有効にする
- サポートする言語の詳細はこちらをご確認ください。
- Amazon Connect のフローデザイナーで分析モードをサポート – 2025/09/23
- Amazon Connect フローデザイナー上で、各ブランチを通ったコンタクトの割合や数を分析できるようになりました。これにより、顧客の行動パターンを特定したりエラーが発生している場所を特定したりすることができ、データ駆動型のフローの最適化が可能になります。
- この分析モードを利用するには、対象のインスタンスで次世代 Amazon Connect を有効にする必要があります。
- 詳細については、管理者ガイド – フローデザイナー分析モードでメトリクスを使用してフローパフォーマンスをモニタリングする を参照してください。
- Amazon Connect フローデザイナー上で、各ブランチを通ったコンタクトの割合や数を分析できるようになりました。これにより、顧客の行動パターンを特定したりエラーが発生している場所を特定したりすることができ、データ駆動型のフローの最適化が可能になります。
- サービスレベルの計算式のカスタマイズが可能に – 2025/09/22
- Amazon Connect ダッシュボードにおいてサービスレベル(X秒以内に何%のコンタクトに応答できたか)を計算する際に、コールバック、放棄、または転送されたコンタクトを含めるかどうかを選択できるようになりました。これにより、それぞれのコンタクトセンターの要求に合わせてサービスレベルの計算をカスタマイズできます。
- Amazon Lex の組み込みの Confirmation スロットと Currency スロットのサポートを新たに 10 言語に拡大 – 2025/09/18
- Amazon Lex の組み込みスロットタイプの Confirmation スロットタイプと Currency スロットタイプが新たにポルトガル語、カタルーニャ語、フランス語、イタリア語、ドイツ語、スペイン語、標準中国語、広東語、日本語、韓国語の 10 言語でサポートされるようになりました。
- Confirmation スロットタイプはユーザによる”確認”のさまざまな表現を取得するために使用し、ユーザーの発言をYes/No/Maybe/Don’t know のいずれかの値に解決します。
- Currency スロットタイプは通貨を認識するために役に立ちます。例えば顧客が「100円」と発話した場合は ”JPY 100.00” と解決され、「100ドル」と発話した場合は “USD 100.00” と解決されます。
- Amazon Lex の組み込みスロットタイプ
- Amazon Connect にエージェント階層フィルターを使用したコンタクト検索機能を導入 – 2025/09/18
- コンタクトの検索でエージェント階層フィルターを使えるようになりました。
- 管理者ガイド
- コンタクトの検索でエージェント階層フィルターを使えるようになりました。
- Amazon Lex が新たに 8 つの言語で生成 AI ベースの強化された自然言語理解を提供 – 2025/09/17
- 詳しくは 注目のアップデート をご覧ください。
- Amazon Connect Cases がケースリストビューで日付範囲フィルターのサポートを開始 – 2025/09/16
- Amazon Connect Cases のケースリストビューで日付範囲によるフィルタリングがサポートされるようになりました。
- 例えば、ユーザーは、過去 30 日間に作成されたケースをフィルタリングして月次レポートを作成したり、過去 24 時間に変更されたケースを表示して直近のアクティビティをモニタリングしたり、今後 2 日以内に SLA 違反の可能性があるケースを表示して違反を防止したりできます。
- 管理者ガイド
- Amazon Q in Connect の Connect ウェブ UI で直接 LLM を選択可能に – 2025/09/09
- エージェントアシストと顧客向けセルフサービスの両方で使える、生成 AI 搭載アシスタントである Amazon Q in Connect では、コンタクトセンターの管理者が Amazon Connect ウェブ UI からさまざまな大規模言語モデル (LLM) を直接選択できるようになりました(従来は API や CLI から行う必要がありました)。このノーコードアプローチにより、管理者は AI プロンプトの設定でさまざまなビジネス要件に適した、異なる LLM モデルファミリーを簡単に選択できます。例えば、応答時間を短縮するには Amazon Nova Lite を、複雑な推論タスクには Anthropic Claude Sonnet を選択したりできます。
- AI プロンプトの種類ごとに利用可能なモデルの一覧は「システム/カスタムプロンプトでサポートされているモデル」をご確認ください。
- エージェントアシストと顧客向けセルフサービスの両方で使える、生成 AI 搭載アシスタントである Amazon Q in Connect では、コンタクトセンターの管理者が Amazon Connect ウェブ UI からさまざまな大規模言語モデル (LLM) を直接選択できるようになりました(従来は API や CLI から行う必要がありました)。このノーコードアプローチにより、管理者は AI プロンプトの設定でさまざまなビジネス要件に適した、異なる LLM モデルファミリーを簡単に選択できます。例えば、応答時間を短縮するには Amazon Nova Lite を、複雑な推論タスクには Anthropic Claude Sonnet を選択したりできます。
- Amazon Connect が、通話のトラブルシューティングを改善するための詳細な切断理由の項目を追加 – 2025/09/04
- アウトバウンドコールが顧客に接続できなかった理由をよりよく理解できるように、切断理由の項目を拡充しました。拡張版の切断理由は、標準的な通信エラーコードに基づいており、より詳細な通話分析情報を提供し、迅速なトラブルシューティングを可能にします。
- 追加された接続失敗の理由(DisconnectReason)は TELECOM_BUSY、TELECOM_UNANSWERED、TELECOM_PROBLEM などです。各通話における DisconnectReason は ContactTraceRecord – ContactDetails 内に記録されます。
- Amazon Connect でエージェントが、タスク、E メール、チャットを自分に手動で割り当て可能に – 2025/09/03
- エージェントは、キュー内の次の重要なタスク、電子メール、またはチャットを手動で優先順位付けできるようになりました。例えば、顧客が以前に提出した返金リクエストについて問い合わせの電話をかけてきた場合、エージェントはそのケースに関連する保留中のチケットを検索し、自分自身に割り当て、すぐに解決することができます。エージェントは Amazon Connect Agent Workspace の Worklist アプリを使ってキュー内の特定のコンタクト(チャット、Email、タスク)に手動で優先順位をつけてピックアップすることができます。
- AssociateContactWithUser と ListRoutingProfileManualAssignmentQueues の 2つの API を使うことで、これと同等の機能を実現することができます。
3. AWS Contact Center Blog のご紹介
- IVR による電話注文から Amazon Pay 決済へ – Amazon Connect で実現する新しい注文導線の構築アイデア (日本語記事)
- AWS の Amazon Connect と Amazon Lex は、AI と音声技術を活用し、従来の無機質な IVR を自然で温かみのあるインタラクションに変革します。さらに、Amazon Pay と統合することで、電話注文から Web 決済までのシームレスな顧客体験を提供することが可能になります。この記事では、これらのサービスを活用して電話注文においてクレジットカード番号の伝達や複雑な入力プロセスを排除し、購入の途中離脱を防ぐ革新的なアプローチを実現する方法を示します。
- コンタクトセンター運用を最適化する Amazon Connect の予測、キャパシティプランニング、スケジューリング機能 (日本語翻訳)
- コンタクトセンターの成功には効果的なワークフォースマネジメントが不可欠です。この記事では、Amazon Connect の予測、キャパシティプランニング、スケジューリング機能について紹介します。AI を活用したこの機能により、問い合わせ量の正確な予測、最適な人員配置、エージェントスケジュールの最適化が可能になります。この機能はクリック一つで有効化でき、内部運用の効率化、サービス目標の達成、エージェントと顧客満足度の向上に貢献します。
- Amazon Connect の予測、キャパシティプランニング、スケジューリング機能 (2025 年第 2 四半期) (日本語翻訳)
- この記事では、Amazon Connect の予測、キャパシティプランニング、スケジューリング機能について、特に 2025 年第 2 四半期に発表された、スケジュールの管理に役立つ、予測の編集やアクティビティの管理機能について説明します。
- Automate agent onboarding with Amazon Connect using PingOne : Amazon Connect と PingOne を使用したエージェントのオンボーディングの自動化 (英語記事)
- 労働力の変動が頻繁な現代のコンタクトセンター環境では、効率的なオンボーディングプロセスが不可欠です。この記事では PingOne イベントフックと Amazon Connect の統合により、エージェントのプロビジョニングを自動化し、運用エラーの削減、データセキュリティの強化、展開時間の短縮を実現する方法について説明しています。また、このシステムは一貫したロールベースのアクセス制御を提供し、退職者の認証情報の即時削除や、統合された監査証跡とリアルタイムのアクセス監視による規制遵守の確保を可能にします。これにより、コンタクトセンターの運用効率が大幅に向上し、セキュリティリスクも軽減されます。
- Streamline employee support with Amazon Connect and Microsoft Teams integration : Amazon Connect とMicrosoft Teams の統合による従業員サポートの効率化 (英語記事)
- この記事では、大規模な国際金融サービス組織における IT サポート改革の事例を説明しています。この組織は、運用資産 1.46兆ドル、従業員数2万人以上を抱え、従来の IT サービスデスクは基本的な問い合わせで圧迫され、効率的なサポート提供に苦心していました。この問題を解決するため、組織は Amazon Connect を活用した AI 搭載チャットボットを導入し、Microsoft Teams との統合を図りました。この新システムは、一般的な IT 問い合わせの自動応答、ナレッジベースへの直接アクセス、必要に応じた人間のエージェントへのエスカレーション機能を提供しています。特に注目すべき点は、従業員が Teams 環境を離れることなくサポートを受けられる統合されたユーザー体験の実現です。このソリューションにより、従業員のセルフサービスアクセスが改善され、より効率的な IT サポート体制が確立されました。
- Visualize and optimize your Amazon Connect costs with the Cost Insight Dashboard : コストインサイトダッシュボードによる Amazon Connect のコストの可視化と最適化 (英語記事)
- 本記事で紹介する Amazon Connect 用のコストインサイトダッシュボードは、コンタクトセンターのリーダーが求めていた詳細なコスト分析機能を提供し、生の請求データを実用的な洞察へと変換します。具体的には、月次支出傾向の追跡、サービスコンポーネント別のコスト分析、国や通話方向による通信費用の分析、チャネルコストの比較、地域別支出の分析、そしてコンタクトあたりのコストなどの重要な効率性指標を提供します。この包括的な分析ツールにより、マネージャーはサービス品質を維持しながら効率化の機会を特定し、より適切な運用上の意思決定を行うことが可能になります。
- Unified customer story: Unlock a single source of truth for customer issues with Amazon Connect Cases and Tasks : 統合された顧客ストーリー:Amazon Connectのケースとタスクによる顧客課題の単一の情報源の実現(英語記事)
- この記事では、Amazon Connect のケースとタスク の導入・活用について具体的なお客様 (Arbonne社やOrbit Irrigation社)の事例を紹介していきます。
- AWS recognized as a Leader in the 2025 Gartner Magic Quadrant for Contact Center as a Service (CCaaS) with Amazon Connect : AWS が Amazon Connect で、 Gartner 社 の Magic Quadrant 2025年版 Contact Center as a Service (CCaaS) 部門でリーダーとして認定
- AWS は AI 駆動型のクラウドネイティブな顧客体験ソリューションである Amazon Connect によって 3 年連続で Gartner 社の Magic Quadrant Contact Center as a Service 部門のリーダーに選出されました。Amazon Connect は、Amazon.com 自身のカスタマーサービス運営で使用されているテクノロジーを基盤とし、クラウドファーストで AI ネイティブな設計を特徴としています。このソリューションは、AI を顧客体験全体に組み込み、柔軟な従量課金モデルを通じて企業の運用コスト最適化とサービス品質向上を支援しています。このリーダー認定は、Amazon Connect が効率的でパーソナライズされた顧客サービスの新基準を確立し、企業の顧客エンゲージメントを革新していることを示しています。
4. AWS Black Belt オンラインセミナー (Amazon Connect 関連)
- Amazon Connect アウトバウンドキャンペーン詳説
- Amazon Connect のアウトバウンドキャンペーン機能は、コンタクトセンターから顧客への能動的なアプローチを効率的に実施するためのソリューションです。ダイヤラー機能を活用した自動発信や、事前設定したキャンペーンに基づく発信スケジューリング、キャンペーン進捗の詳細な分析など、アウトバウンド業務に必要な機能を包括的に提供します。コンタクトセンターのアウトバウンド業務の生産性向上とコスト効率化をお考えの方は、ぜひご視聴ください。
- 資料(PDF) | 動画(YouTube)
今月のお知らせは以上です。皆さんのコンタクトセンター改革のヒントになりそうな内容はありましたでしょうか?ぜひ、実際にお試しいただき、フィードバックをお聞かせ頂けますと幸いです。
シニア Amazon Connect ソリューションアーキテクト 坂田 陽一郎