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AWS Snowball Edge Compute Optimized デバイスでの Amazon S3 互換ストレージの一般提供を開始
弊社はこれまでに、2016 年には Snowball Edge、2020 年には Snowcone など、専用サービスのコレクションをお客様のために AWS Snow ファミリーに追加してきました。これらのサービスは、コンピューティングを多用するワークロードを実行し、ネットワーク接続が拒否もしくは中断され、断続的であり、または制限されている状態でエッジロケーションにデータを保存し、オンプレミス、および過酷な環境やモバイル環境から大量のデータを転送します。
新しい各サービスは、スペースや重量の制約がある環境に対応し、携帯性を高め、柔軟なネットワークオプションを実現するために最適化されています。例えば、Snowball Edge デバイスには 3 つのデバイス設定オプションがあります。AWS Snowball Edge Compute Optimized は、お客様がコンピューティングアプリケーションを実行するために過酷で戦術的なエッジロケーションにデプロイできる、スーツケースサイズの安全で頑丈なデバイスを提供します。お客様は、Amazon Simple Storage Service (Amazon S3) などの AWS コンピューティングサービスやストレージサービスを使用してクラウド内のエッジアプリケーションをモダナイズしてから、これらのアプリケーションをエッジの Snow デバイスにデプロイします。
また、エンドユーザートランザクションの処理を目的として、5G モバイルコアやリアルタイムデータ分析などのアプリケーションをエッジで実行するために、ローカルオブジェクトストアにアクセスする必要もあり、これらの環境ではストレージインフラストラクチャの可用性が限られているとの声もお客様から寄せられました。Amazon S3 Adapter for Snowball では、Snow デバイスにおけるオブジェクトの基本的な保存と取得が可能ですが、お客様は、大規模な柔軟性、ローカルバケット管理、オブジェクトのタグ付け、S3 イベント通知など、より幅広い一連の Amazon S3 API へのアクセスを希望していました。
本日、Snowball Edge Compute Optimized デバイス向けに Snow での Amazon S3 互換ストレージの一般提供の開始を発表します。これにより、エッジでの低レイテンシー処理を必要とするローカル S3 バケットでデータを保存したり、アプリケーションを実行したりすることが簡単になります。
Snow での Amazon S3 互換ストレージを使用すると、Amazon S3 API の拡張セットを使用して AWS でアプリケーションを簡単に構築し、Snowball Edge Compute Optimized デバイスにデプロイできます。これにより、デプロイのたびにアプリケーションを再構築する必要がなくなります。クラウド、オンプレミス、およびインターネットに接続されている環境や切断されている環境のエッジにおいて、Amazon S3 互換のストレージを必要とするアプリケーションを一貫したエクスペリエンスで管理できます。
さらに、グラフィカルユーザーインターフェイスである AWS OpsHub を使用して、Snow ファミリーサービスと Amazon S3 互換ストレージをエッジのデバイス上で管理することも、リモートで一元管理することもできます。また、AWS リージョンで実行する場合と同様に、Amazon S3 SDK または AWS コマンドラインインターフェイス (AWS CLI) を使用して S3 バケットを作成および管理したり、MQTT を使用して S3 イベント通知を取得したり、SMTP を使用してローカルサービス通知を取得したりすることもできます。
Snow での Amazon S3 互換ストレージを使用することにより、制限のあるネットワーク環境でさまざまなユースケースに対応できるようになり、安全で耐久性のあるローカルオブジェクトストレージをお客様に提供できるようになりました。例えば、インテリジェンスコミュニティや産業用 IoT のお客様は、過酷な、またはモバイルのエッジロケーションで、動画分析などのアプリケーションをデプロイしています。
Snowball Edge Compute Optimized での S3 互換ストレージの開始方法
新しい Amazon S3 対応の Snowball Edge デバイスを注文するには、AWS Snow ファミリーコンソールでジョブを作成します。既存の Snow デバイスまたはクラスターを、S3 互換ストレージをサポートする新しい代替デバイスと交換できます。
[Step 1 – Job type] (ステップ1 – ジョブタイプ) で、ジョブ名を入力し、[Local compute and storage only] (ローカルコンピューティングとストレージのみ) を選択します。[Step 2 – Compute and storage] (ステップ 2 – コンピューティングとストレージ) で、任意の Snowball Edge Compute Optimized デバイスを選択します。
S3 互換ストレージの新しいオプションである [Amazon S3 compatible storage] (Amazon S3 互換ストレージ) を選択します。現在の S3 Adapter ソリューションは非推奨となる予定であるため、Snow での Amazon S3 互換ストレージを使用するようにワークロードを移行することをお勧めします。
[Amazon S3 compatible storage] (Amazon S3 互換ストレージ) を選択すると、単一デバイスまたはクラスターのために Amazon S3 互換ストレージキャパシティを設定できます。Amazon S3 ストレージキャパシティは、Snowball Edge デバイスの数量とタイプによって異なります。
- 単一デバイスのデプロイでは、Snowball Edge Compute Optimized デバイスで最大 31 TB のきめ細かい Amazon S3 キャパシティをプロビジョニングできます。
- クラスター設定では、デバイス上のすべてのストレージキャパシティが Snow での Amazon S3 互換ストレージに割り当てられます。Snowball Edge Compute Optimized デバイスの 16 個のノードのクラスターで、最大 500 TB をプロビジョニングできます。
必要なジョブの詳細をすべて入力してジョブを作成すると、ジョブステータスのセクションでデバイスの配送状況を確認できます。
OpsHub を使用して Snow での S3 互換ストレージを管理する
デバイスがサイトに到着したら、電源を入れてネットワークに接続します。デバイスを管理するには、ノートパソコンで OpsHub アプリケーションをダウンロードしてインストールし、起動します。インストールすると、デバイスのロックを解除して、そのデバイスを管理したり、サポートされている AWS のサービスをローカルで使用したりできるようになります。
OpsHub には、ストレージキャパシティやデバイス上のアクティブなインスタンスなど、主要なメトリクスの概要を確認できるダッシュボードが用意されています。また、Snow ファミリーデバイスでサポートされているさまざまな AWS のサービスも提供しています。
OpsHub にログインし、[Manage Storage] (ストレージを管理) を選択します。これにより、Snow のランディングページで Amazon S3 互換ストレージが表示されます。
ネットワークが Dynamic Host Configuration Protocol (DHCP) を使用している場合は、[Start service setup] (サービスの設定を開始) で [Simple] (シンプル) を選択します。このオプションでは、サービスを開始すると、仮想ネットワークインターフェイスカード (VNIC) が各デバイスで自動的に作成されます。ネットワークが静的 IP アドレスを使用している場合は、デバイスごとに VNIC を手動で作成する必要があるため、[Advanced] (詳細設定) オプションを選択します。
サービスが開始されると、そのステータスがアクティブであることと、エンドポイントのリストが表示されます。次の例は、1 つのデバイスでアクティブ化されたサービスを示しています。
デバイスで新しい S3 バケットが必要な場合は、[Create bucket] (バケットの作成) を選択します。それ以外の場合は、選択したバケットにファイルをアップロードできます。新しくアップロードされたオブジェクトには、s3-snow://test123/test_file
などの宛先 URL があります (デバイスまたはクラスター内で一意のバケット名が含まれます)。
また、バケットライフサイクルルールを使用して、作成後に経過した期間や日付に基づいてオブジェクトの削除をトリガーするタイミングを定義することもできます。[Management] (管理) タブの [Create lifecycle rule] (ライフサイクルルールを作成) を選択し、新しいライフサイクルルールを追加します。
ルールアクションとして、[Delete objects] (オブジェクトを削除) または [Delete incomplete multipart uploads] (不完全なマルチパートアップロードを削除) を選択できます。特定の日付またはオブジェクトの作成後に経過した時間に基づいて削除をスケジュールするルールトリガーを設定します。この例では、オブジェクトがアップロードされてから 2 日後に削除されるように設定しました。
S3 for Snowball Edge がサポートするすべての API オペレーションに Amazon S3 SDK/CLI を使用することもできます。詳細については、AWS ドキュメントの「API Operations Supported on Amazon S3 for Snowball Edge」(Amazon S3 for Snowball Edge でサポートされる API オペレーション) を参照してください。
留意点
Snow での Amazon S3 互換ストレージを使用する場合の追加機能と考慮事項については、次の点に留意してください。
- キャパシティ: デバイスまたはクラスターで Amazon S3 のキャパシティを完全に活用すると、書き込み (
PUT
) リクエストはキャパシティ不足エラーを返します。読み取り (GET
) オペレーションは引き続き正常に機能します。Amazon S3 の使用可能なキャパシティをモニタリングするには、Snow ページで OpsHub S3 を使用するか、describe-service
CLI コマンドを使用します。Snow デバイスまたはクラスターでキャパシティが不足していることが検出された場合、データを削除するか、リージョン内の S3 バケットまたは別のオンプレミスデバイスにデータを転送して領域を解放する必要があります。 - 回復性: Snow での Amazon S3 互換ストレージは、各 Snow デバイスの複数のディスクとクラスター内の複数のデバイスにデータを冗長的に格納します。また、相互に関連するハードウェア障害に対する保護機能が組み込まれています。クォーラム範囲内でディスクまたはデバイスに障害が発生した場合、Snow での Amazon S3 互換ストレージはハードウェアが交換されるまで引き続き動作します。さらに、Snow での Amazon S3 互換ストレージは、デバイス上のデータを継続的にスクラブしてデータの完全性を確認し、破損しているデータを復旧します。ローカルストレージを必要とするワークロードでは、データをバックアップして Snow デバイスに保存されているデータをさらに保護するのがベストプラクティスです。
- 通知: Snow での Amazon S3 互換ストレージは、デバイスまたはクラスターのヘルスステータスを継続的にモニタリングします。バックグラウンドプロセスは、データの不整合や一時的な障害に対応してデータを修復および復旧し、回復性を確保します。復旧不能なハードウェア障害が発生した場合であっても、Snow での Amazon S3 互換ストレージは動作を継続することができ、E メールでのプロアクティブな通知を送信して、障害が発生したデバイスを交換するために AWS と連携するようユーザーに促します。インターネットに接続されているデバイスでは、「リモートモニタリング」機能を有効にできます。これにより、AWS はサービスの状態をオンラインでモニタリングし、サービスの問題があればユーザーにプロアクティブに通知できます。
- セキュリティ: Snow での Amazon S3 互換ストレージは、Amazon S3 マネージド暗号化キー (SSE-S3) またはお客様が用意したキー (SSE-C) を使用したサーバー側の暗号化による暗号化と、Snow IAM アクション名前空間 (
s3:*
) を使用した認証と認可をサポートしているため、Snow デバイスに保存されているデータを個別に制御できます。Snow での Amazon S3 互換ストレージは、オブジェクトレベルのアクセスコントロールリストとバケットポリシーをサポートしていません。Snow での Amazon S3 互換ストレージは、バケット所有者がバケット内のオブジェクトを管理できるように、[Bucket Owner is Object Owner] (バケット所有者はオブジェクト所有者です) にデフォルトで設定されています。
今すぐ利用可能
Snow での Amazon S3 互換ストレージは、AWS Snow が利用可能なすべての AWS 商用リージョンと GovCloud リージョンにある AWS Snowball Edge Compute Optimized デバイスで一般提供が開始されました。
詳細については、「AWS Snowball Edge デベロッパーガイド」を参照してください。また、AWS re:Post for AWS Snowball 宛てに、または AWS サポートの通常の連絡先担当者を通じて、フィードバックをお寄せください。
– Channy
原文はこちらです。