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Amazon Monitron (産業設備の異常予兆検知) 2023-2024年アップデートのまとめ

はじめに

Amazon Monitron は機械学習を用いて産業機器の異常な状態を検出し、予知保全を可能にするエンドツーエンドのシステムです。簡単に設置できるハードウェアと機械学習の力で、コストのかかる修理を省き、工場やプラントの機器のダウンタイムを防ぎます。Amazon Monitron の特徴は製品紹介をご覧ください。 Amazon Monitron は提供範囲を広げるとともに、お客様からの声を受け止めてたくさんのアップデートを行いました。 このブログでは2023年から2024年初頭までの間に提供された Amazon Monitron のアップデートをまとめて紹介します。

Amazon Monitron デバイスが日本とオーストラリアで販売開始

2023年8月に日本とオーストラリアで Amazon Monitron デバイス (センサー、イーサネットゲートウェイ、Wi-Fi ゲートウェイ) の使用が認定されました。これらのデバイスは、オーストラリアでは Amazon リテール (豪州) 経由で、日本では Amazon.co.jp (日本) および Amazon Business (日本) 経由で購入できるようになりました。現在、Amazon Monitron は、米国、カナダ、英国、ドイツ、スペイン、イタリア、オーストラリア、日本で購入いただけます。最新の購入可能地域はAmazon Monitron のよくある質問をご覧ください。 なお、2024年3月現在、日本の東京リージョン・大阪リージョンでは Amazon Monitron サービスはサポートされていません。 日本国内で Amazon Monitron を利用するには Amazon Monitron をサポートしているリージョンを用いてください。

Amazon Monitron がアジアパシフィック (シドニー) リージョンで利用可能に

2023年8月にAmazon Monitron サービスがアジアパシフィック (シドニー) リージョンでも利用可能になりました。今回のリージョン拡大に伴い、Amazon Monitron は、米国東部 (バージニア北部)、欧州 (アイルランド)、アジアパシフィック (シドニー) の各 AWS リージョンで利用できるようになりました。アジアパシフィックリージョンのお客様は、地理的により近いリージョンで Amazon Monitron サービスを使用できるようになります。このアップデートについての詳細はリリースノートをご覧ください。最新のAmazon Monitron を可能なリージョンはAmazon Monitron のよくある質問をご覧ください。

ソラコム社 が Amazon Monitron と IoT用LTEルーター、通信プランをセットにした「SORACOM セルラーパック for Amazon Monitron」 を販売開始

「SORACOM セルラーパック for Amazon Monitron」(2024年3月現在の名称) は、Amazon MonitronとSORACOM IoT SIM、その他 Amazon Monitron の導入にあたって必要となる部材一式をセットにしており、設置現場の既設ネットワークに干渉せずに、 Amazon Monitron のスムーズな導入を可能にします。このセットには plan-K2 K2-300MB SIM (サイズ:マルチ・データ通信のみ)と、SORACOM サービス利用料 1,000 円分のクーポン(6ヶ月有効)が付属します。このセットの詳細は ソラコム社へお問合せください。

Amazon Monitron が異なるリージョンの IAM Identity Center との連携に対応

2023年11月に Amazon Monitron は異なるリージョンのIAM Identity Center (IIC) との連携に対応しました。Amazon MonitronはMonitronアプリケーションのユーザー管理を行うために IIC を用いる必要があります。 従来、Amazon Monitron はAmazon Monitron を利用するリージョンと同じリージョンで稼働するIICとの連携のみをサポートしていましたが、このアップデートにより、Amazon Monitron が稼働するリージョンと異なるリージョンで稼働する IICと連携することができます。 このアップデートにより、例えば日本のような Amazon Monitron サービスがまだサポートしていないリージョンで既に IIC を利用しているお客様が Amazon Monitron を利用することが容易になりました。 詳細は Amazon Monitron ユーザーガイドをご覧ください。

振動に関するISO 20816規格に基づいた Class 1~4 のデフォルトクラスに加えて、「カスタムクラス」としてしきい値を独自に設定可能に

2023年12月にアセットクラスに「カスタムクラス」が追加されました。従来、振動に関する閾値ベースの判定は ISO 20816規格に基づいた Class 1 – 4 の4段階のアセットクラスから選択いただくことができました。各アセットクラスに応じてしきい値が固定に設定されており、しきい値に応じて Warning やアラームを発生させます。今回カスタムクラスが追加されたことにより、アセットタイプが Amazon Monitron が提供するデフォルトのアセットクラスと一致しない場合には、カスタムクラスを作成することができます。これにより、Warning やアラームを発生させる条件となるしきい値をカスタマイズすることが可能となりました。 詳細は Amazon Monitron のドキュメントをご覧ください。なお、ISO 20816 規格の詳細は、builders.flashの記事「機械振動の測定と評価規格「ISO 20816」とは ?」をご覧ください。

Amazon Monitron が他のAWSサービスと連携するためのデータストリーミング仕様が Ver.2 に更新

2023年4月にAmazon Monitron の Kinesis 2.0 データストリームがリリースされました。これはスキーマを更新したものであり、Monitron センサーとゲートウェイを使用する新しいインサイトを含みます。また、ユーザーによってトリガーされるアセット状態の移行イベントも含みます。この新しいスキーマは、今後追加されるデータタイプを受け取れます。Amazon Monitron が自動的にデータを Kinesis ストリームに追加するように設定すると、そのデータを Amazon S3 や Lambda など、さまざまな宛先に送信できます。
今回のローンチにより、センサーとゲートウェイデバイス、接続ステータス、ユーザークロージャコードを、ライブストリームから収集できるようになりました。Monitron サービスがいずれかのセンサーまたはゲートウェイがオフラインになったことを検出すると、接続ステータスによってお客様は Kinesis の更新情報を受け取れます。ユーザークロージャコードを使用すると、お客様は Monitron の通知に対するユーザーの応答を追跡できます。これにより、障害モードや実行したアクション全体にわたる共通事項のレポートが可能になります。この機能により、自社のエンタープライズ設備管理 (EAM) システムで保守チームの作業指示書を作成することもできます。
この機能の詳細については、こちらのドキュメントを参照してください。

Amazon Monitron、防爆構造の Ex 規格センサーを発売

2023年11月に Ex 規格の Amazon Monitron センサーの発売を発表いたしました。これらの Ex 規格のセンサーは、米国、カナダ、英国、EU での使用が認定されており、Amazon.com (米国)および Amazon Business (米国) で購入できます。 お客様は、これらの Ex 定格のセンサーを設置することで、Monitron を使用して危険な場所 (ガス、クラス 1 / ゾーン 2) にある資産を監視できるようになりました。2024年3月現在、上記以外の国ではEx 規格センサーを購入・利用はできません。詳細はリリースノートデータシートをご覧ください。

Amazon Monitron で、プロジェクトレベルとサイトレベルでのコスト可視化のサポートを開始

2023年12月にAmazon Monitron のお客様が、使い慣れた AWS Cost Explorer コンソールを使用して、プロジェクトレベルおよびサイトレベルでソフトウェアの請求を視覚化する機能をリリースしました。こののリリースにより、センサーの使用コストを、プロジェクトやサイトなど、Monitron の管理する階層内のリソースに正確に割り当てることができます。お客様は、プロジェクトレベルの請求を活用して、組織ごとにコストを配分できるようになりました。また、サイトレベルできめ細かな使用状況をよりよく把握できます。全体として、これらの機能により、組織ごとに Monitron ソフトウェアのコストをさまざまな業務にわたってより適切に最適化し、配分することができます。このアップデートの詳細はリリースノートをご覧ください。

Amazon Monitron でゲートウェイのネットワーク設定に静的 IP が使用可能に

2024年2月に、新たに設定するゲートウェイで静的 IP を使用できるようになりました。これにより、お客様はファイアウォールにきめ細かなルールを設定して、ドメイン名ではなく特定の IP アドレスをフィルタリングできます。これらのアドレス (このドキュメントページを参照) は静的で、Amazon Monitron を使用するリージョンのみに従属するため、ファイアウォールルールで IP アドレスを最大 3 つまで簡単に許可リストに追加できます。
従来、ファイアウォールによる保護を利用しているお客様は、工場に設置されたセンサーと AWS クラウドとの間でこの通信ができるようにするために、amazonaws.com のサブドメイン全体を許可リストに登録する必要がありました。セキュリティ上の理由から、全ドメイン/サブドメインを許可リストに登録したくないお客様やファイアウォールの設定機能に制限があるために難しいと感じるお客様はAmazon Monitronの導入が容易になりました。詳しくはリリースノートをご覧ください。

Amazon Monitron を使い始めるには

これから Amazon Monitron を使い始める日本のお客様のために、日本のソリューションアーキテクトが解説する短いオンラインセミナーを用意しました。このオンラインセミナーを視聴して、お客様の設備での検証を初めてください。

おわりに

Amazon Monitron は機械学習を用いて産業機器の異常な状態を検出し、予知保全を可能にするエンドツーエンドのシステムです。Amazon Monitron は2023年から2024年初頭までの間にお客様からの声を受け止めてたくさんのアップデートを行いました。 このブログでは提供された Amazon Monitron のアップデートをまとめて紹介しました。

このブログは Amazon Web Services Japan のソリューションアーキテクト 吉川晃平 が執筆しました。