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AWS MGNのアップデート機能:インベントリのImport/Export、メトリクスダッシュボード、起動後アクションの追加

AWS Application Migration Service (AWS MGN) は、物理、仮想、またはクラウドのインフラストラクチャ上のソースサーバーのAWSへの移行を簡素化し迅速に行うことを可能にします。AWS MGN の概要と開始方法については「リフトアンドシフト移行のために新しい AWS Application Migration Service を使用する方法」という投稿でも紹介されています。

AWS MGN を移行に使用すると、物理、仮想、またはクラウドのインフラストラクチャ上のソースサーバをAWSでネイティブに実行するようにレプリケーションと変換を自動化することで、時間がかかり、エラーが発生しやすい手動プロセスを最小限に抑えることができます。2022 年 11 月に、AWS MGN に新しい移行サーバーのグループ化、アカウントレベルの起動テンプレート、起動後アクションテンプレートなどの機能が追加されました。

そして、2023 年 3 月 27 日に さらに 3 つの主な更新を発表しました。各機能リリースの概要は次のとおりです。

  • インポートとエクスポート – AWS MGN に対して、ソース環境のインベントリリストを CSV ファイルとしてインポートできるようになりました。また、AWS MGN 側のソースサーバのインベントリをエクスポートして、レポートやオフラインレビュー、他サービスとの統合に役立てることもできますし、さらにそのインベントリリストを再度インポートし、設定の一括変更を行うこともできます。
  • サーバー移行ステータスダッシュボード – このダッシュボードを使用すると、ソースサーバの移行ライフサイクルステータスを集約して表示できるため、移行プロジェクト管理を簡素化することができます。
  • 移行後アクションの追加 – 移行する際に利用できる起動後アクションが 8 つ追加されました。アクションは、AWS MGN にて仮想マシンをテスト起動・カットオーバーする際に適用されます。

これらの機能がどのように使えるのか詳しく見ていきましょう。

インポートとエクスポート

インポートとエクスポートの機能について詳しく説明する前に、AWS MGN で定義できる、アプリケーションウェーブという 2 つの概念について説明します。アプリケーションはサーバーのグループを表します。アプリケーションを使用すると、サーバーのグループに対して、モニタリング、タグの指定、テストインスタンスの起動などの一括操作など様々なアクティビティを実行できます。さらに、一緒に移行するサーバーのグループは、ウェーブとしてまとめて管理することができます。

インポート機能により、AWS MGN に対して、ソース環境のインベントリリストを CSV ファイルとしてインポートできるようになりました。これにより、大規模な移行を簡単に管理し、ソースサーバー、アプリケーション、ウェーブやそれらの属性を含めたインベントリを取り込むことができます。

インポート機能を使い始めるには、手動、または検出ツールを使い、移行対象のサーバーやアプリケーションのインベントリを把握する必要があります。その後、コンソールからインポート用のテンプレートファイルをダウンロードして利用できます。

インポート用のテンプレートファイルをダウンロードしたら、ファイルにインベントリ情報をマッピングしていきます。その際にサーバーをアプリケーションやウェーブにグループ化できます。また、起動時に用いる Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2) の起動テンプレート設定を定義したり、ウェーブごとにタグを指定したりするなどの設定を行うこともできます。

インポート用のテンプレートファイルは以下のようなイメージです。

次のステップは、CSV ファイルを Amazon Simple Storage Service (Amazon S3) バケットにアップロードすることです。その後、AWS MGN のコンソールから S3 バケットにアップロードした CSV ファイルを読み込むプロセスを開始できます。

読み込み処理が完了すると、結果の詳細が表示されます。

なお、AWS Replication Agent がインストールされていないサーバーや、エージェントレスレプリケーション(未検出状態)を行なっているサーバーのインベントリもインポートできます。それらのサーバーについてレプリケーションを開始するためには、エージェントのインストールや、エージェントレスレプリケーションを行う必要があります。

これで、AWS MGN のコンソールの、ソースサーバーアプリケーションウェーブのページにてインベントリを見ることができます。ウェーブのページには読み込まれた情報が以下のようなイメージで表示されます。

さらに、エクスポート機能を使用すると、ソースサーバー、アプリケーション、ウェーブ、定義したその他の構成とともに CSV ファイルにエクスポートできます。

これは、レポートやオフラインレビュー、他サービスとの統合に役立てることもできますし、さらにそのインベントリリストを再度インポートし、設定の一括変更する場合に役立ちます。

サーバー移行ステータスダッシュボード

2023 年 3 月 27 日以前も、アプリケーションとウェーブの移行ステータスダッシュボードが利用できましたが、新たにサーバー用の移行ステータスダッシュボードが利用できるようになりました。これにより、AWS MGN のダッシュボードで、ソースサーバの移行プロセスの状況をまとめて表示できます。ダッシュボードには、次の 3 つのトピックが表示されます。

  • アラート – 各ソースサーバーが正常なのかレプリケーションラグが発生しているのかなどを表示します。
  • データレプリケーションのステータス – 初期レプリケーション中や、再スキャン中など、レプリケーションプロセスのライフサイクルステータスの概要を簡単に確認できます。
  • 移行ライフサイクル – テスト準備完了、テスト中、カットオーバー中など、移行ライフサイクルの概要を表示します。

移行後アクションの追加

起動後アクションは、AWS MGN にて仮想マシンをテスト起動・カットオーバーする際に適用されます。
事前に定義されているアクションに加えて、カスタムのアクションも使用できます。

既存の 4 つの起動後アクションに加えて、2023 年 3 月 27 日以降には、新たに 8 つの起動後アクションを利用することができます。これにより、移行時に行える起動後アクションの柔軟性が高まり、移行体験を最大限に高めることができます。

新たに利用することができる定義済みの起動後アクションは次のとおりです。

  • MS-SQL ライセンスの変換 – Windows MS-SQL BYOL を AWS ライセンスに簡単に変換できます。起動プロセスには、SQL エディション (Enterprise、Standard、またはWeb) を確認し、適切な AMI と適切な請求コードを使用することが含まれます。
  • インスタンスからの AMI を作成 – AWS MGN が起動したインスタンスから新しい Amazon Machine Image(AMI) を作成できます。
  • Windows バージョンのアップグレード – 移行したサーバーを Windows Server 2012 R2、2016、2019、または 2022 に簡単にアップグレードできます。利用可能な OS バージョンの全リストはこちらのページで確認できます。
  • EC2 接続チェックの実施 – 事前に定義されたポートとホストのリストに対してネットワーク接続チェックを行うことができます。
  • ボリュームの整合性を検証 – 起動したインスタンスの Amazon Elastic Block Store (Amazon EBS) ボリュームがソースと同じサイズで、EC2 インスタンスに正しくマウントされ、アクセス可能であることを確認できます。
  • プロセスステータスの検証 – インスタンスの起動後にプロセスが実行状態にあることを確認できます。検証したいプロセスと、テストが開始されるまでにサービスが待機する時間を指定したリストを必要とします。この機能により、必要な検証を自動的に行うことができ、手動で行う必要がなくなるため、時間を節約できます。
  • CloudWatch エージェントのインストール – CloudWatch エージェントと、Amazon CloudWatch Application Insightsのインストールと設定を行えます。
  • ディレクトリサービスドメインへの参加 – AWS のドメイン参加プロセスを簡略化できます。このアクションを有効にすると、インスタンスは、オンプレミスではなく AWS Cloud Directory によって管理されます。

知っておきたいポイント

次の点も覚えておいてください。

  • UI/UXの更新 – AWS MGN のコンソールの、アクションリストのユーザーインターフェイスも更新されました。これにより、どの起動後のアクションがユースケースに適しているかを判断できますし、フィルターオプションを追加して、オペレーティングシステム、カテゴリなどから関連するアクションを簡単に見つけられるようになりました。
  • 追加の OS バージョンのサポート – AWS MGN は、CentOS 5.5 以降と Red Hat Enterprise Linux (RHEL) 5.5 以降のオペレーティングシステムをサポートするようになりました。
  • 利用できるリージョン – これらの機能は AWS MGN がサポートされているすべての地域で使用することができます。

今日から始めること

これらの機能の詳細と価格については、AWS MGN サービスのユーザーガイドページをご覧ください。また、「Getting started with AWS Application Migration Service」を参照して、ワークロードの移行を開始する方法の詳細を確認することもできます。

ハッピーな移行が行えますように!

翻訳はソリューションアーキテクト 小宮山 裕樹 が担当しました。原文はこちらです。