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AWS Ground Station – 人工衛星を用いたデータの取り込みと処理
現在、地球の周りには数千もの人工衛星があるのをご存知ですか?私は知りませんでした。多くとも数百程度かと考えていました。今日では、CubeSats, PocketQubes, SunCubes などのように高校や大学の生徒がナノサット、ピコサット、果てはフェムトサットと呼ばれるような小型人工衛星を設計、製造し、打ち上げています。 一方ビジネス側でも、どんなサイズの組織でも地表観測、コミュニケーション、メディア配信などの理由で人工衛星を打ち上げている状況です。
それらの人工衛星は全て、大量のデータを収集しています。それがもっと面白いことを実現していきます。現在では低軌道(Low Earth Orbit: LEO)や中軌道(Medium Earch Orbit: MEO)の人工衛星を使用することは比較的安価に、より遠距離の静止軌道(Geostationary Orbit)に関してもわずかな追加コストで実現できますが、取得したデータを地球に持ち帰る部分は同じように簡単ではなく、未だ困難が伴います。大規模な人工衛星運用事業者はしばしば百万ドル以上のコストを掛けて自前の地上局を構築・運用しており、小規模な事業者は既存の地上局を利用するための長期契約に縛られざるを得ない状況です。
これまで紹介した課題の一部は、皆様に IT におけるクラウド以前の時代、自身のデータセンターを用意しなければならなかった時代を思い起こさせたかもしれません。その状況は我々が Amazon EC2 を発表した 2006 年に変革されました。
AWS Ground Station のご紹介
本日、我々は AWS Ground Station をご紹介します。Amazon EC2 は、コンピュートパワーを効率良く、使った分だけのコストで使用できるものに変えました。AWS Ground Station は人工衛星の地上局に対し同じことを実現します。お客様は、自前で地上局を構築したり長期の利用契約を締結することなく、必要な時に使った分だけのコストで AWS Ground Station を利用できます。お客様は厳しい気候や自然災害、スポーツイベントのような特別なイベントに関して対応するために、直ちに地上局へのアクセスを手にすることができます。もしも地表観測やワールドワイドのコンテンツ配信などで定常的に地上局を使用したい場合は、事前にキャパシティを予約することでコストを削減することができます。AWS Ground Station はフルマネージドサービスなので、お客様はアンテナの構築や維持運用などを考える必要はなく、業務や研究に集中することができます。
まずは 2 つの地上局からサービスを開始し、2019 年中旬までには 12 まで拡張するべく取り組んでおります。それぞれの地上局は AWS リージョンに関連づけられます。人工衛星からの生のアナログデータはモデムデジタイザーを介して、VITA 49 baseband または VITA 49 RF over IP として以前から知られている形式のデータストリームへと変換され、バイトストリームに変換するための信号処理を実行する EC2 インスタンスに受け渡されます。
データがデジタル化された後は、様々なストリーミング、処理、分析、ストレージのオプションが提供されます。サービス開始時の選択肢は下記の通りです。
ストリーミング – データストリームを受信、処理、保存するための Amazon Kinesis Data Streams
処理 – 画像解析のための Amazon Rekognition, 機械学習モデルの構築、学習、デプロイのための Amazon SageMaker
分析/レポーティング – 構造化データの保存のための Amazon Redshift, クエリを実行する Amazon Athena, 可視化のための Amazon QuickSight
ストレージ – オブジェクトデータの保存のための Amazon S3, アーカイブ用途の Amazon Glacier
地上局からデータの処理、保存、レポーティング、デリバリーに至る一連のワークフローが、弾力性のあるインフラで使った分だけのコストで実現できます!
AWS Ground Station の利用
私はテスト用の本物の人工衛星を持っていなかったのですが、AWS Ground Station チームは私の AWS アカウントに仮想的なアカウントを作成してくれました!AWS Ground Station を利用開始するには、あなたの人工衛星の NORAD ID と呼ばれる FCC ライセンスに関する情報と、あなたのアカウントに関連づけるための AWS アカウント番号が必要です。
まず Ground Station コンソールを開き、Reserve Contacts now をクリックして開始します。
最初のステップはコンタクトを予約することです。コンタクトとは、私の人工衛星が選択した地上局に対して最適な位置に到達する予定時刻のことです。メニューから地上局を選択します。
コンタクトは、ステータス(Available, Scheduled, Completed)や時間帯でフィルターすることができます。
コンタクトリストを閲覧できますので、私の要件に合ったものを選択し、 Reserve Contact をクリックします。
次のページでコンタクトの内容を確認し、Reserve をクリックします。
それが終わると、フィルターにより予約したコンタクトの一覧を確認できます。
コンタクトが予約できたら、開始時間の 15 分前までに地上局と関連づけられた AWS リージョンで EC2 インスタンスが稼働していることを確認します。信号処理を実施するインスタンスは ENI に接続され、DataDefender により管理された転送により、データをデジタル形式に変換するために qRadio などのソフトウェアモデムに転送します。(この ENI の作成やその他のセットアップ作業を実施する CloudFormation テンプレートを提供する予定です)
その他の重要事項
AWS Ground Station に関しては以下のことを知っておいてください。
アクセス – 本サービスの性質として、セルフサービスのアクセスはできません。お客様は自身の人工衛星を登録するために AWS チームとコミュニケーションする必要があります。
地上局 – 上でも述べた通り、サービス開始当初は 2 局、2019 年中に 12 局に拡大するべく取り組んでおります。AWS は使用状況と需要をモニタリングし、必要に応じてさらなる地上局やアンテナの追加を実施していきます。
料金 – 料金は分単位のダウンリンク時間に基づきます。また事前予約のオプションを提供します。
翻訳は SA 岡本が担当しました。原文はこちら