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AWS Migration Hub Orchestrator – カスタマイズ可能なワークフローテンプレートを使用した新しい移行オーケストレーション
オンプレミス環境から AWS へ、あらゆるワークロードを移行できます。AWS への移行を成功させる鍵を握るのは、よく考え抜かれた計画、有益なツール、以前の移行経験、質の高い実装です。移行の各ステップで AWS の長年の経験を活かすことで、組織的、運用的、技術的な能力を構築し、ビジネス上の利点をより早く得ることができます。
2017 年には、クラウド移行とモダナイゼーションを一元的に行える AWS Migration Hub が導入されました。これにより、AWS での移行を加速し簡素化するために必要なツールがもたらされました。Migration Hub では、オンプレミスサーバーの詳細を検出またはインポートし、適切なサイジングのレコメンデーションに基づいて移行戦略を構築し、シンプルなダッシュボードで複数のツールにわたる移行を追跡し、任意の AWS リージョンで段階的にアプリケーションをリファクタリングできます。
2022 年 4 月 20 日(米国時間)、AWS Migration Hub Orchestrator の一般提供開始を発表します。このサービスでは、あらかじめ定義されたカスタマイズ可能なワークフローテンプレートが用意され、移行タスク、移行ツール、自動化の機会がもたらされ、進捗状況を一元的に追跡できます。
Migration Hub Orchestrator では、大規模なエンタープライズアプリケーションの移行、異なるツール間の依存関係の管理、移行の進捗状況の可視化に伴う多くの手動タスクを排除することで、移行コストと時間を削減できます。また、Migration Hub Orchestrator により、お客様はワークフローのニーズに合わせてテンプレートをカスタマイズし、追加のステップを加えることができます。このローンチでは、Migration Hub Orchestrator は HANA データベースでの SAP NetWeaver ベースのアプリケーションの移行、および AWS Application Migration Service (AWS MGN) を使用したアプリケーションのリホストをサポートします。
AWS Migration Hub Orchestrator – 開始方法
AWS Migration Hub Orchestrator の使用を開始するには、Migration Hub コンソールで [Get started] (使用開始) を選択して新しい移行ワークフローを作成します。
新しいワークフローを作成するには、AWS 検出ツールを使用してオンプレミスのサーバーとアプリケーションからデータソースを追加し、サーバーをアプリケーションとしてグループ化し、環境内でプラグインをダウンロードして設定する必要があります。このプラグインには、ソース環境で 1 回限りのエージェントレス設定が必要です。
AWS が提供する Open Virtualization Archive (OVA) ファイルを使用して、このプラグインを VMware vCenter Server 環境に仮想マシンとしてインストールできます。Migration Hub Orchestrator は、ソースシステムへの AWS MGN エージェントのインストールなどのワークフローを実行しながら、プラグインを使用してソースシステムで移行タスクを自動的に実行します。登録済みのプラグインは [Plugins] (プラグイン) メニューで確認できます。
Migration Hub Orchestrator のセットアップの前提条件が完了したら、[Workflows] (ワークフロー) メニューで [Create workflow] (ワークフローの作成) ボタンをクリックして、選択したテンプレートを使用してワークフローの設定を開始できます。
ワークフローテンプレートを選択し、Amazon EC2 でアプリケーションをリホストするか、または SAP NetWeaver アプリケーションを AWS に移行します。このワークフローテンプレートは、移行ワークフローの仕様のプレイブックで、1) 段階的な移行ワークフローと依存関係、2) 移行手順の自動化に必要な移行サービス、ソリューションやスクリプト、3) 必要な入力パラメータ (ソース仮想マシンやアプリケーション設定、ターゲットシステム設定、レプリケーション設定、移行のカットオーバー要件など) が含まれます。
次のステップで Amazon EC2 でアプリケーションをリホストするようにワークフローを設定するには、ワークフローの名前を入力し、移行するアプリケーションを選択し、ソース環境を設定し、必要に応じて説明とタグを追加します。
SAP アプリケーションを移行するためのワークフローテンプレートを選択するときは、ソース SAP アプリケーション情報を提供します。ワークフローの実行の一環として、サービスは、AWS Launch Wizard を使用してターゲット SAP 環境をデプロイし、新しくデプロイされたスタックからアプリケーション情報を抽出し、HANA System Replication (HSR) などの SAP および HANA データベース固有のレプリケーションメカニズムを使用してアプリケーションを移行する手順を示します。
[Step 3 Configure your workflow] (ステップ 3 ワークフローの設定) で [Review and submit] (確認して送信) を選択します。ワークフローの作成には数分かかります。移行ワークフローの一覧を確認できます。
まだ開始していない移行ワークフローの 1 つを選択し、[Run] (実行) ボタンを選択して、一般的なリホストプロセスの各ステップに従いアプリケーションを移行します。移行が完了するまでに数分かかります。AWS Migration Hub Orchestrator では、ワークフローを一時停止、再開、または削除することもできます。
移行が完了すると、ソース環境の検証から AWS へのカットオーバーの完了まで、各移行ステップのステータスを確認できます。
いずれかのステップを選択すると、各ステップの詳細を隅々まで確認できます。
また、独自のステップ、依存関係、オートメーションを追加してワークフローをカスタマイズし、特定のユースケースのニーズに対応することもできます。[Add] (追加) オプションを使用してステップを追加し、そのステップの一部としてソースサーバーまたはターゲットサーバーで実行するカスタムスクリプトを指定します。
例えば、独自のオートメーションスクリプトを使用して、追加の移行準備チェックを実行したり、ターゲット環境の設定を変更したり、移行後のテストを実行したりできます。必要に応じて、ワークフローの一部として手動ステップを追加することもできます。
SAP アプリケーションの移行の場合、ソースサーバーへの接続性の検証から AWS へのカットオーバーまで、各移行ステップが複数のカテゴリに分類されます。
これでお分かりのように、AWS Migration Orchestrator は、大規模なエンタープライズアプリケーションの移行、異なるツール間の依存関係の管理、一元的な移行の進捗状況の可視化に伴う手動タスクを自動化することで、複数のチームやツールが関わることが多い複雑な移行プロセスを簡素化します。
移行コストと移行完了までの時間を削減するために、移行と最新化のワークフローのサポートを追加する予定です。
Migration Orchestration のトラブルシューティング
AWS Migration Hub Orchestrator は、お客様のアカウントの S3 バケットにステップの出力とログを保存します。これらのログは、問題のトラブルシューティングやステップの出力の調査に使用できます。依存型移行サービスでブロックされているタスクについては、これらのサービスのコンソールにアクセスして追加のトラブルシューティングを行うこともできます。
Migration Hub Orchestrator は AWS CloudTrail と統合されています。AWS CloudTrail は、Migration Hub Orchestrator のすべての API コールをイベントとしてキャプチャするために、ユーザー、ロール、または AWS のサービスが実行したアクションの記録を提供するサービスです。
複数の AWS アカウントをお持ちの場合、Migration Hub Orchestrator の AWS Organizations は、社内の任意のメンバーアカウントまたは組織部門から利用できます。
今すぐご利用いただけます
AWS Migration Hub Orchestrator の一般提供が開始され、AWS Migration Hub が提供されているすべての AWS リージョンでご利用いただけるようになりました。Migration Hub Orchestrator の利用に追加費用は発生せず、移行用にプロビジョニングした AWS リソースに対してのみお支払いいただきます。詳細については、製品ページを参照してください。
クラウド導入をサポートする移行パートナーをお探しの場合は、AWS Migration Hub パートナーページをご覧ください。AWS re:Post for Migration Hub にフィードバックを送信するか、通常の AWS Support 担当者を通じてフィードバックをお寄せください。
– Channy
原文はこちらです。