Amazon Web Services ブログ

週刊AWS – 2020/6/22週

みなさん、こんにちは。ソリューションアーキテクトの下佐粉です。
今週も週刊AWSをお届けします。

5月末から毎週、データレイクの基礎からAWSでの構築方法を解説するWebセミナーを開催してきたのですが、おかげさまで非常に多くの方にご参加いただけました。自分の専門領域であるデータレイクに興味をお持ちの方が多いということが分かって嬉しく思っています。セミナーに参加できなかった方から、資料だけでも公開して欲しいというご要望をいただいたので、以下で公開しています。よろしければご覧ください。

「AWSではじめるデータレイク」出版記念データレイク解説セミナーの資料公開

それでは、先週の主なアップデートについて振り返っていきましょう。

2020年6月22日週の主要なアップデート

  • 6/22(月)
    • PostgreSQL 13 Beta 1 を、Amazon RDS データベース環境で利用可能に
      PostgreSQLコミュニティが5月21日にリリースしたPostgreSQL 13 Beta 1が、Amazon RDSのデータベースプレビュー環境でご利用いただけるようになりました。今後RDS PostgreSQL 13のご利用を検討されているお客様が早期にテストをしていただくための環境であり、本番用では無い点にご注意ください。RDSのプレビュー環境についてはこちらに情報があります。
    • AWS Solutions Constructs
      AWS Solutions Constructsというライブラリが公開されました。これはAWS Cloud Development Kit (CDK)を拡張するライブラリで、複数AWSサービスを使った、ニーズが多い構成を簡単に構築可能にするものです。例えば、API Gatewayを利用し、そのビジネスロジックをLambdaで書き、ログはCloudWatchに送るという構成の場合、new ApiGatewayToLambda(…)と書くことで環境をすばやく構築できます。こういったアーキテクチャパターンが現在25個用意されています。詳細はこちらのBlogをご覧ください。
    • Amazon DocumentDB (MongoDB 互換) が、$regex インデックス作成と文字列の null 文字のサポート開始
      Amazon DocumentDB(MongoDB互換)で2つの機能追加が行われました。1つは$regexクエリでインデックスを利用可能にする機能、もう一つが文字列でnull文字をサポートする機能です。Amazon DocumentDBでは引き続き改善をすることでMongoDBとの互換性を高めていく予定です。サポートされているMongoDB APIや集約パイプライン機能については、こちらをご覧ください。
  • 6/23(火)
    • Amazon Rekognition Video のメディア分析機能を発表
      Amazon Rekognition Video は機械学習技術を元に、動画を分析するサービスです。機械学習の知識なしで使えるようになっており、例えば人物や物体の動きを簡単に検出することができます。今回これに黒画面のフレーム、エンドクレジット、ショットの変更、カラーバーの検出という 4つの一般的なメディア分析のAPIが追加されました。これにより、例えばシーンのつなぎである黒画面フレームの位置をAPIで素早く検出し、そこに広告を入れるといった作業を高速化することが可能になります。
  • 6/24(水)
    • AWS Elastic Beanstalk が Linux プラットフォームでの .NET Core を発表
      AWS Elastic Beanstalk で .NET Core アプリケーションをAmazon Linux 2上で実行できるようになりました。.NET Core 3.1 および .NET Core 2.1 フレームワークをサポートしています。詳細については、Blog記事、およびリリースノートをご覧ください。
    • Amazon Honeycode の発表
      新しいサービスAmazon HoneycodeがBetaで公開されました。これはプログラミングコードなしで、表計算ソフトのようなデータ入力(ワークブック作成)とビジュアルアプリケーションビルダーを使用して、インタラクティブなWEBアプリ、およびモバイルアプリを構築可能にするサービスです。AWSとはアカウントが別のため、まずはアカウント作成が必要な点にご注意ください。無料でアカウントを作成してログインするとブラウザだけですぐにアプリケーション開発が開始可能です。料金プランでは無料で使えるBASICプランも用意されていますのでぜひお試しください。詳細はこちらのBlogを参照してください。
    • Amazon FSx for Luster が耐久性の高いファイルシステムバックアップの提供を開始
      Amazon FSx for Lusterは、HPC領域等で利用されているLusterファイルシステムを提供するサービスです。今回FSx for Lusterにバックアップ機能が追加されました。簡単にファイルシステム上のデータのバックアップを作成することができます。バックアップはS3に保存され、2回目以降は前回の差分のバックアップが取得されるようになっています。また、毎日自動実行するようにスケジュールすることも可能です。詳細はこちらのドキュメントを参照してください。
    • Amazon Aurora Serverless (MySQL 5.7 互換) の発表
      Amazon Aurora ServerlessでMySQL 5.7互換が選択可能になりました。東京リージョンでもすでに利用可能になっています。Amazon Aurora Serverlessは、サーバーレスで提供されるAuroraです。ユーザの方は利用開始前にサイズを決めてクラスターをプロビジョンする必要はありません。一方でどんなユースケースにも合う万能のサービスではありませんので、用途に合わせて通常のAuroraと使い分けていただく事が重要です。Aurora Serverlessは一般的には、使用頻度が低い用途(例えば1日に数回しかアクセスが無い)や、開発用に向いています。詳しくはこちらのドキュメントに記載されたAurora Serverlessの仕組みを確認してください。
  • 6/25(木)
    • AWS CodeBuild Now Supports Additional Shell Environments
      AWSのビルド自動化サービスであるAWS CodeBuildでCMD.exe(Windows Server)と、Bash(Amazon LinuxもしくはUbuntu)が利用可能になり、既存のシェルスクリプト資産をそのままCodebuildで活かしやすくなりました。
    • Amazon EMR uses real-time capacity insights to provision spot instances to lower cost and interruption
      Amazon EMRでCapacity Optimizedのアロケーション戦略が利用可能になりました。これはEC2 Spotインスタンスでタスク実行用のノードを構築する際に、スペアキャパシティに余裕があるSpotインスタンスタイプを重視して自動的に選択してくれるというものです。これによりSpotの中断(Terminate)が発生しづらい形でタスクを実行可能です。長い実行時間がかかる単一ジョブ等、中断からの復帰にかかるコストが大きい場合に便利です。
  • 6/26(金)
    • Amazon Athena adds support for Partition Projection
      Amazon Athenaでパーティション射影(Partition Projection)が利用可能になりました。これは表のプロパティに、「こういうルールでパーティションが作成される」という定義を追加することにより、パーティションが増えた場合にもADD PARTITIONやMSCK REPAIR TABLE、もしくはGlueクローラーの再実行なしでパーティションを認識可能にするものです。通常であればGlueデータカタログにパーティション情報が保存されているためにクエリ前に問い合わせが発生していますが、パーティション射影では問い合わせが不要になるため、特に大規模なパーティショニングが行われているような表の場合はクエリ速度の改善も見込めます。一方でこれはAthenaからしか見られない定義なので、例えばRedshift Spectrum等他のサービスからは参照出来ないという点にご注意ください。設定方法はこちらのドキュメントを参照してください。

今号の個人的なイチオシは、新サービス「Amazon Honeycode」です。まだBetaではありますが、誰でもWebアプリやモバイルアプリを作れるようになる大きい可能性を秘めたサービスだと思っています。無料で使えるプランもありますので、ぜひ触ってみてください。

それでは、また来週!

ソリューションアーキテクト 下佐粉 昭 (twitter – @simosako)