Amazon Web Services ブログ

AI と一緒に進める AWS Well-Architected Framework レビュー のすすめ

「セキュリティは大丈夫だろうか」
「障害が起きたときに復旧できるだろうか」
「このアーキテクチャはベストプラクティスに沿っているだろうか」

AWS 上にシステムを構築・運用する中で、このような漠然とした不安を感じたことはないでしょうか。

例えばよくある Web 3 層構成 のアーキテクチャにおいて、アーキテクチャ図は一見問題ないように見えても、実運用に入ると以下のような問題が顕在化するケースが考えられます。

  • 運用者全員で管理者権限の IAM ユーザーを使い回しており、意図しない操作/変更が行われる
  • 操作・変更履歴を取得しておらず、障害時に原因追跡ができない
  • アプリケーションのデプロイの失敗時、切り戻しを考慮しておらずサービス復旧に時間がかかる
  • データベースの認証情報がハードコーディングされている
  • 退職者の IAM アカウントが放置され、不正利用される
  • サーバーやデータベースの性能不足によりサービス影響が発生する


図1 : Web 3 層構成をもとにしたリスク例

こうした潜在的リスクを体系的に炙り出し、改善していくためのフレームワークとして有用なのが AWS Well-Architected Framework です。
6 つの柱(運用上の優秀性、セキュリティ、信頼性、パフォーマンス効率性、コスト最適化、サステナビリティ)に基づくベストプラクティスに沿ったレビューを実施することで、ワークロードの品質を継続的に向上できます。
AWS Well-Architected Frameworkの概要については「AWS Well-Architected Framework 入門編【AWS Black Belt】」をご参照ください。

しかし、Well-Architected Framework レビュー(WAFR) の実施には「フレームワークの内容を理解するのが難しい」「いつでも気軽に相談できるアドバイザーが欲しい」「時間がなくてレビューを実施できない」という悩みの声を耳にします。

そこで本記事では、AI を活用して WAFR を加速する 3 つのアプローチを紹介します。
2026 年 6 月に開催された AWS Summit Japan 2026 の Well-Architected ブースで展示した内容です。
(配布資料ダウンロードリンク)

3 つの AI レビューアプローチ

ニーズに応じた 3 つの方法をご紹介します。


図2 : 3 つの AI レビューアプローチ

1. Well-Architected Quick Advisor — チャットで気軽に Well-Architected について相談

Amazon Quick のチャットエージェント機能を活用して構築する Well-Architected の専門性を持ったアドバイザーです。
技術レベルを問わず誰でも AWS Well-Architected Framework に関する質問を気軽に行えます。


図3 : Amazon Quick チャットエージェントで WAFR を AI に手助けしてもらう例

チャットエージェントの作成方法

エージェント作成時のプロンプト例:
AWS Well-Architected Framework について、なんでも相談できる AI エージェントを作ってほしいです。質問者のレベルに合わせて相談にのってあげてください。レビューの支援を求められたら支援してください。最新情報は AWS Knowledge MCP Server を利用してください。

AWS Knowledge MCP Server と連携することで、常に最新のベストプラクティス情報を参照できます。
また、ブラウザ拡張機能として利用すれば、AWS Well-Architected Framework ホワイトペーパーを読みながら不明点をその場で質問することも可能です。


図4 : Amazon Quick ブラウザ拡張でホワイトペーパーの理解を AI に手助けしてもらう例

2. Well-Architected Skills & Steering — コーディングエージェントに Well-Architected の能力を付与する

Well-Architected Framework の知識をコーディングエージェント(IDE)に組み込むサンプルスキル・ステアリング集です。
開発フローの中で自然に WAFR を実施できます。
GitHub: https://github.com/aws-samples/sample-well-architected-skills-and-steering

対応コーディングエージェント (2026/7/15 ブログ執筆時点)

  • Kiro
  • Kiro Power (recommended for Kiro users)
  • Claude Code
  • Cursor
  • Codex (OpenAI)
  • Windsurf
  • GitHub Copilot
  • Gemini CLI
  • Antigravity
  • Junie (JetBrains)
  • Amp
  • OpenClaw
  • Cline
  • AWS DevOps Agent

インストール

1 コマンドでインストールできます。使用中の AI ツールを自動判別します。
npx skills add aws-samples/sample-well-architected-skills-and-steering

出力例

例えば、あるゲームアプリケーションに対してレビューを実施すると、以下のようなスコアカードや改善計画が出力されます。


図5 : 各柱のスコア 1-5とハイリスクレポートの出力例

3. Well-Architected IaC Analyzer — 生成 AI による自動レビュー

生成 AI を使用して Infrastructure as Code(IaC)ファイルや設計書を AWS Well-Architected Framework のベストプラクティスに照らして自動レビューする Web アプリケーションです。
GitHub: https://github.com/aws-samples/well-architected-iac-analyzer


図6 : Well-Architected IaC Analyzer 画面

使い方

Step 1: ドキュメントをアップロード

  • 単一または複数の IaC ファイル
  • IaC プロジェクト(zip)
  • アーキテクチャ図(PNG/JPEG)や設計書(PDF)

Step 2: レビュー対象の柱を選択

Step 3: レンズを選択(オプション)
例:Generative AI Lens、Financial Services Industry Lens など

Step 4: レビューを開始

分析結果の活用

① ベストプラクティス準拠状況の一覧
準拠していない観点とその理由が一覧表示されます。
各項目には優先度(Priority)・重大度(Severity)・複雑度(Complexity)の 3 段階スコアが付与され、判定理由も確認できます。


図7 : Well-Architected IaC Analyzer 分析結果の出力例

② 優先順位付けマトリクス
リスクの重大度(影響の大きさ)と実装の労力(複雑さ)の 2 軸で 4 象限に分類し、アクション優先順位を可視化します。
「クイックウィン」(高影響 × 低労力)に分類された項目から優先的に対応することで、効率的にセキュリティや信頼性を向上できます。


図8 : 優先順位付けマトリクス

③ アナライザーアシスタント
各ベストプラクティスの詳細画面から「アナライザーアシスタントに質問」ボタンをクリックすると、具体的な実装ステップや修正コード例まで確認できます。


図9 : アナライザーアシスタント

Well-Architected IaC Analyzer アーキテクチャ


図10 : Well-Architected IaC Analyzer アーキテクチャ図

Amazon Cognito によるユーザー認証、Amazon ECS / AWS Fargate によるアプリケーション実行、Amazon Bedrock による生成 AI 分析、そして Amazon Bedrock Knowledge Bases を活用した RAG(Retrieval Augmented Generation)構成により、常に最新の Well-Architected ベストプラクティスに基づいたレビューを提供します。

まとめ

Well-Architected Framework レビュー(WAFR)は、クラウドワークロードの品質を継続的に高めるための重要な活動です。
AI を活用することで、従来のレビューに対するハードルを大幅に下げ、より多くのチームが日常的にベストプラクティスに沿った開発・運用を実践できるようになります。

まずは気軽に Well-Architected Quick Advisor で相談するところから始め、開発チームには Well-Architected Skills & Steering を導入し、定期的なレビューには Well-Architected IaC Analyzer を活用する——といった形で、ご自身のチームに合ったツールから活用頂ければ幸いです。
AI と共に Well-Architected な開発・運用を目指しましょう。

参考資料 :