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Amazon EVS と FSx for ONTAP における Oracle Database のデプロイステップ
本稿は、2026 年 10 月 2 日に公開された “Deploy Oracle Database step by step on Amazon EVS with FSx for ONTAP” を翻訳したものです。
この記事では、NFS データストアストレージとして Amazon FSx for NetApp ONTAP を使用して、Amazon Elastic VMware Service (Amazon EVS) 上に Oracle Database をデプロイするためのステップバイステップの手順を紹介します。ストレージボリュームのプロビジョニング、NFS データストアのマウント、Oracle のインストール、そしてクロスリージョンディザスタリカバリのための SnapMirror レプリケーションの設定を行います。
VMware 上で Oracle データベースを稼働させている企業は、再設計や再教育を行うことなく既存の運用ワークフローを維持できる AWS への移行パスを求めています。関連記事「Amazon EVS と FSx for ONTAP 上で高可用性の Oracle Database を設計する」では、Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2) ベアメタルインスタンスの選択、VM のサイジング、vSAN と FSx for ONTAP 間でのストレージの分割、クロスリージョン DR のための SnapMirror レプリケーションの計画など、環境を設計する方法を説明しました。
この記事は、アーキテクチャ編の続きです。Oracle VM のプロビジョニングと FSx for ONTAP ボリュームの作成から、NFS データストアのマウント、Oracle 19c のインストール、SnapMirror と SnapCenter の設定まで、スタック全体をデプロイするためのステップバイステップの手順を紹介します。また、既存のオンプレミス Oracle ワークロードを Amazon EVS に移行するための 4 つの移行パスと、スナップショットバックアップ、ポイントインタイムリカバリ、データベースクローニングを含む Day 2 運用についても説明します。
アーキテクチャの決定、インスタンスタイプの選択、ストレージ設計の根拠、高可用性の計画については、関連記事「Amazon EVS と FSx for ONTAP 上で高可用性の Oracle Database を設計する」を参照してください。
ステップバイステップのデプロイメント手順
このセクションでは、Oracle VM のプロビジョニング、FSx for ONTAP ストレージボリュームの作成、vSphere での NFS データストアのマウント、Oracle 19c のインストール、クロスリージョン DR のための SnapMirror の設定まで、エンドツーエンドのデプロイメントワークフローを説明します。まず前提条件を完了してから、ステップ 1 から 8 を順番に実行してください。
前提条件
- Amazon EVS 環境がデプロイ済み (VCF 9.1、ESXi 9.1。VCF 9.x では、Amazon EVS がベアメタルインフラストラクチャと VLAN をプロビジョニングし、お客様が Broadcom の VCF Installer を使用して VCF をデプロイします)。
- クラスターあたり最低 4 ホスト。Oracle には専用の DB クラスターを推奨。
- Amazon VPC Route Server エンドポイント、AWS Transit Gateway、AWS Direct Connect が設定された Amazon Virtual Private Cloud (Amazon VPC)。
- FSx for ONTAP プロビジョニングのための AWS Identity and Access Management (IAM) 権限。
- VCF ライセンスエンタイトルメント (Broadcom からの BYOL)。
ステップ 1: Amazon EVS 上に Oracle VM をデプロイする
- Amazon EVS の vCenter に接続された vSphere Client にログインします。
- 本番 DB クラスターに新しい仮想マシンを作成します。
- ゲスト OS: Red Hat Enterprise Linux 8 (64 ビット) または Oracle Linux 8
- vCPU: Oracle ワークロードに応じてサイジング (一般的に 8〜32 vCPU)
- メモリ: SGA/PGA 要件に基づいて 32〜256 GiB
- ディスク: vSAN データストア上に 100 GiB (OS + Oracle Home + スワップ + 一時表領域)
- ネットワーク: prod-trusted Tier-1 ゲートウェイ上の DB セグメントに接続
- VM の電源を入れ、ゲスト OS を設定します。
HA/DR については、DR クラスターに別途ライセンスを取得したインスタンスを維持するのではなく、Oracle VM 全体をレプリケートすることを検討してください (関連記事「Amazon EVS と FSx for ONTAP 上で高可用性の Oracle Database を設計する」の「DR に関する Oracle ライセンスの考慮事項」を参照)。
Oracle ライセンスに関する考慮事項: インスタンスタイプの選択は Oracle のライセンスコストに影響します。これは考慮すべき重要な要素です。さらなるガイドラインについては、AWS Optimization and Licensing Assessment (AWS OLA) のリクエストをお勧めします。
ステップ 2: FSx for ONTAP をプロビジョニングする
- Amazon FSx コンソールを開き、[ファイルシステムの作成] を選択し、[Amazon FSx for NetApp ONTAP] を選択します。
- [標準作成] を選択して設定します。
| 設定 | 値 |
|---|---|
| デプロイメントタイプ | シングルアベイラビリティーゾーン (AZ)。Amazon EVS では必須 |
| SSD ストレージ容量 | Oracle データ + ログ + 20% の余裕に合わせたサイズ |
| スループット容量 | 512〜2,048 MB/s (書き込みワークロードに合わせたサイズ。非対称性の注記を参照) |
| IOPS | 自動 (3/GiB) またはユーザープロビジョニング (最大 80,000) |
| VPC | Amazon EVS 環境と同じ VPC |
| サブネット | Amazon EVS サービスアクセスサブネット、DB クラスターと同じ AZ |
| セキュリティグループ | Amazon EVS マネジメント VLAN からの NFS (TCP 2049、111、635) を許可 |
fsxadminパスワードを設定します (ONTAP CLI 自動化に必須)。vsadminパスワードで SVM (Storage Virtual Machine) を作成します。- 自動日次バックアップを無効にします。代わりに Oracle 対応のスケジューリングには SnapCenter を使用します。
- 作成後、[SVM] を選択し、[エンドポイント] を選択して、NFS DNS 名をコピーします。
ステップ 3: Oracle データベースボリュームを作成する
SSH (ssh fsxadmin@management-endpoint) を使用して FSx for ONTAP クラスターに接続し、ボリュームを作成します。
すべてのデータを SSD 階層に固定するために -tiering-policy none を設定します。ログボリュームは 24 時間分のアーカイブログに合わせてサイジングします。
ステップ 4: vSphere で FSx for ONTAP を NFS データストアとしてマウントする
- vSphere Client で、[DB クラスター] を選択し、[設定] > [ストレージ] > [新しいデータストア] を選択します。
- [NFS] を選択し、[NFS 3] を選択します。
- 以下を入力します。
- サーバー:
svm-id.fs-id.fsx.region.amazonaws.com - フォルダー:
/oradb1data - データストア名:
fsx-ora-db1-data
- サーバー:
- バイナリ (
/oradb1bin) およびログ (/oradb1log) ボリュームについても繰り返します。 - 3 つすべてのデータストアがクラスターストレージビューで正しい容量を表示していることを確認します。
ステップ 5: FSx for ONTAP データストア上に Oracle VMDK を作成する
NFS データストアを ESXi ホストレベルでマウントした状態で (ステップ 4)、これらのデータストア上に Oracle 用の仮想ディスクを作成します。
- vSphere Client で、Oracle VM を選択し、[設定の編集] を選択してから、[新しいデバイスを追加] > [ハードディスク] を選択します。
- 以下の VMDK を作成します。
| VMDK | データストア | サイズ | ゲストマウント | 用途 |
|---|---|---|---|---|
| Hard Disk 2 | fsx-ora-db1-data |
500 GiB | /u02 |
Oracle データファイル |
| Hard Disk 3 | fsx-ora-db1-log |
250 GiB | /u03 |
Oracle REDO + アーカイブログ |
| Hard Disk 4 | fsx-ora-db1-bin |
50 GiB | /u01 |
Oracle Home バイナリ |
- データおよびログ VMDK には Thick Provision, Eager Zeroed を選択します (Oracle でベストなパフォーマンスを得るため)。
Oracle Database は Oracle ASM またはファイルシステム (ローカル/NFS) 上に作成できます。この手順では、ローカル XFS ファイルシステム上に Oracle データベースを作成します。
Oracle VM ゲスト OS 内で、新しいディスクをパーティション分割してマウントします。
重要なポイント: Oracle VM は /u02 と /u03 にローカル XFS ブロックデバイスとしてアクセスします。基盤となるストレージが FSx for ONTAP 上の NFS データストアであることを認識していません。すべての NFS 通信は ESXi ホストレベルで行われ、各ホストは FSx for ONTAP へ個別のネットワークパスを使用します。
ステップ 6: Oracle 19c をインストールして設定する
データを /u02 に、ログを /u03 に配置してデータベースを作成します。
Oracle は /u02 と /u03 にローカル XFS ファイルシステムとしてアクセスします。標準の Oracle ASM またはファイルシステムベースのストレージ管理が適用されます。NFS レイヤーは ESXi ハイパーバイザーによって抽象化されているため、NFS 固有の Oracle 設定は必要ありません。
ステップ 7: クロスリージョン DR のために SnapMirror をセットアップする
クラスターをピアリングします (本番 → DR)。
SVM をピアリングします。
DR 側の FSx for ONTAP 上に DP ボリュームを作成します。
SnapMirror を作成して初期化します。
重要: DR 戦略を計画する際は、Oracle のライセンス要件を考慮してください。代替案として、NetApp SnapMirror を通じて Oracle VM を本番環境から DR にレプリケートする方法があります。Oracle の二重ライセンスを回避するため、フェイルオーバーイベントが宣言されるまで、DR のレプリケートされたボリュームを DR ホスト上で NFS データストアとしてマウントせず、データ保護 (DP) ボリュームとして保持してください。その時点ではじめて、SnapMirror を解除し、DR ホスト上で NFS データストアをマウントし、VM の電源を入れます。SnapMirror ボリュームを (VM の電源が入っていなくても) データストアとして事前にマウントすることは、それらのホスト上で Oracle バイナリがアクセス可能になることを意味し、Oracle はこれを DR クラスター全体でライセンスを必要とする「インストール」とみなす可能性があります。さらなるガイドラインについては、AWS Optimization and Licensing Assessment (AWS OLA) のリクエストをお勧めします。
ステップ 8: SnapCenter バックアップを設定する
- SnapCenter Server をデプロイします (または SnapCenter SaaS を使用)。
- クラスター管理 IP を使用して FSx for ONTAP ストレージシステムを追加します。
- 各 Oracle VM に SnapCenter Plugin for Oracle をインストールします。
- バックアップポリシーを作成します。
| ポリシー | スコープ | 頻度 | SnapMirror 更新 |
|---|---|---|---|
| フル DB バックアップ | データ + 制御ファイル + アーカイブログ | 4〜6 時間ごと | はい |
| アーカイブログ | アーカイブログのみ | 10〜15 分ごと | はい |
- リソースグループを作成し、ポリシーを割り当て、スケジュールを設定します。
オンプレミス VMware から Amazon EVS へのデータベース移行
オプション 1: VMware HCX ライブマイグレーション
既存のオンプレミス VMware を持つ企業向け:
- オンプレミスに HCX Connector を、Amazon EVS に HCX Cloud Manager をデプロイします。
- サイトペアリングとネットワーク拡張 (L2 ストレッチ) を作成します。
- HCX vMotion (ゼロダウンタイム) または Bulk Migration を使用して Oracle VM を移行します。
- 移行後: スナップショット/レプリケーション機能のために、Oracle VMDK を vSAN から FSx for ONTAP NFS データストアへストレージ vMotion します。
オプション 2: SnapMirror ONTAP-to-ONTAP
オンプレミスの Oracle が既に NetApp ONTAP ストレージを使用している場合:
- オンプレミス ONTAP と FSx for ONTAP 間で SnapMirror を確立します。
- 切り替えまで増分でレプリケートします。
- 切り替え時: Oracle を休止し、アーカイブログをフラッシュし、最終 SnapMirror 同期を行い、ミラーを解除します。
- Amazon EVS 上の Oracle VM に FSx for ONTAP ボリュームをマウントし、データベースをリカバリし、サービスを開始します。
オプション 3: Oracle PDB リロケーション (マルチテナント)
Oracle データベースが既に PDB/CDB マルチテナントモデルにある場合:
- FSx for ONTAP ストレージを使用して Amazon EVS 上にターゲット CDB を作成します。
- PDB ホットクローンを使用して、オンプレミス CDB から AWS 上の CDB へ PDB をリロケートします。
- サービス中断は最小限です。最終切り替えのみ短時間の停止が必要です。
オプション 4: RMAN バックアップ/リストア (非 ONTAP オンプレミス)
Oracle がオンプレミスで非 ONTAP ストレージ上で稼働している場合:
- RMAN バックアップを作成し、AWS DataSync または AWS Direct Connect を使用して Amazon Simple Storage Service (Amazon S3) に一時保管します。
- Amazon EVS 上に Oracle VM をプロビジョニングし、FSx for ONTAP ボリュームをマウントします。
- RMAN バックアップからリストアし、アーカイブログを適用します。
- データベースを開始し、アプリケーションをリダイレクトします。
Day 2 運用
スナップショットバックアップ
SnapCenter は、フルデータベーススナップショットをストレージレイヤーの操作として管理し、効率的なバックアップ機能を提供します。
ポイントインタイムリカバリ
SnapCenter で、SCN またはタイムスタンプを選択し、ログスナップショットをマウントし、データスナップショットをリストアし、アーカイブログを適用し、RESETLOGS で開きます。
データベースクローニング
SnapCenter FlexClone は、スペース効率の良いデータベースコピーを作成します。クローンは変更されていないブロックをソースと共有し、差分に対してのみストレージを消費します。開発/テスト、パッチ検証、レポーティングに使用します。
HA フェイルオーバー手順
- DR ボリューム上の SnapMirror を解除します。
- SnapMirror ボリュームを DR ESXi ホスト上に NFS データストアとしてマウントし、Oracle VM の電源を入れます。
- 利用可能な最後のアーカイブログまでリカバリします。
- データベースを開きます。DNS/接続先を更新します。
クリーンアップ
このデプロイメントのテスト後に料金が発生しないようにするには、以下のリソースをこの順序で削除します。
- Oracle VM — Oracle データベース VM を停止し、vSphere インベントリから削除します。
- NFS データストア — vSphere で ESXi ホストから FSx for ONTAP データストアをアンマウントします。
- SnapMirror 関係 — DR 側の FSx for ONTAP ファイルシステム上の SnapMirror 関係と DP ボリュームを削除します。
- FSx for ONTAP ファイルシステム — Amazon FSx コンソールから本番および DR の両方のファイルシステムを削除します。この操作により、それらのファイルシステム上のすべてのボリュームとデータが削除されます。
- Amazon EVS 環境 — Amazon EVS コンソールから Amazon EVS 環境を削除します。これにより、基盤となる EC2 ベアメタルインスタンスが終了します。
- ネットワーキング — このデプロイメントのためだけに作成された場合は、Transit Gateway アタッチメント、VPC Route Server 設定、Direct Connect 接続を削除します。
重要: FSx for ONTAP ファイルシステムを削除すると、すべてのデータが完全に削除されます。続行する前に、必要なデータをバックアップ済みであることを確認してください。
まとめ
この記事では、NFS データストアストレージとして FSx for ONTAP を使用して、Amazon Elastic VMware Service (Amazon EVS) 上に Oracle Database をデプロイする手順を説明しました。Oracle VM をプロビジョニングし、FSx for ONTAP ボリュームを作成し、vSphere で NFS データストアをマウントし、Oracle 19c をインストールし、クロスリージョンディザスタリカバリのための SnapMirror と Oracle 対応バックアップのための SnapCenter を設定しました。また、既存のオンプレミス Oracle ワークロードのための 4 つの移行パスと、バックアップ、ポイントインタイムリカバリ、クローニングのための Day 2 運用についても説明しました。
始めるには、Amazon EVS ユーザーガイドと「FSx for ONTAP で Amazon Elastic VMware Service を使用します」を確認してから、Amazon EVS 上に最初の Oracle VM をデプロイしてください。このデプロイメントの背後にあるアーキテクチャの決定については、関連記事「Amazon EVS と FSx for ONTAP 上で高可用性の Oracle Database を設計する」を参照してください。フィードバックやご質問はコメント欄でお寄せください。
その他のリソース
- Amazon EVS ユーザーガイド
- Amazon EVS がサポートする VCF バージョンとインスタンスタイプ
- FSx for ONTAP で Amazon Elastic VMware Service を使用します
- Amazon EVS の料金
- Amazon EVS の紹介 — AWS Blog
著者について
翻訳はソリューションアーキテクト 齋藤が担当しました。原文はこちらです。