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新しいレンズカタログで、AWS Well-Architected Review の範囲を広げる
本稿は、2023年11月27日に AWS Cloud Operations & Migrations Blog で公開された “Expand the depth of Well-Architected Reviews with the new Lens Catalog Feature” を翻訳したものです。
AWS Well-Architected Tool (WA Tool) は、最新の AWS のアーキテクチャのベストプラクティスに基づいてワークロードを定義し、レビューすることを支援します。これにより、ワークロードの強みと改善点を特定することができます。AWS Well-Architected Review では、AWS WA Tool を利用してアーキテクチャを評価するための質問に答え、発見された高リスクまたは中リスクの問題の詳細と、リスクを除去しワークロードを最適化するための対応手順がまとめられた改善計画を受け取ります。
2021 年には、カスタムレンズが AWS WA Tool の新機能として導入されました。カスタムレンズを使えば、業界、業務計画、社内プロセスに応じて、既存の AWS Well-Architected Framework に独自のベストプラクティスを追加できます。カスタムレンズにより、外部のスプレッドシートやサードパーティのシステムに依存することなく、AWS でのワークロードを計測し改善する一貫した方法と、統合されたビューが得られます。
しかし、技術やベストプラクティスは進化し続けるため、お客様はワークロードの改善を進めるうえで、業界や新しい技術に関するベストプラクティスガイダンスを求めるようになってきました。
AWS WA Tool のレンズカタログでは、業界や新しい技術に特化した AWS のベストプラクティス (レンズ) を検索し、ワークロードに適用できます。ビジネスにとって最も重要なトピックに基づいてレビューをカスタマイズできるように、より広範な業界やテクノロジーを提示します。AWS は新しい技術が登場するたびにレンズを追加し続けるので、お客様は常に最新のトレンドに対応できます。
このブログでは、レンズカタログと AWS WA Tool でレンズカタログがどのように動作するのかをご紹介します。
レンズカタログのご紹介
ここから、新しいレンズカタログからレンズをワークロードに適用する方法、レンズを使ってワークロードをレビューする方法、既存のワークロードにレンズを適用する方法について順を追って紹介します。
新しいワークロードにレンズを適用する
1. まず、AWS マネジメントコンソールに移動し、AWS Well-Architected Tool コンソールを開いて「ワークロードの定義」を選択します。
2. ワークロードの定義の手順に従って、ワークロードの必須プロパティを指定し、「次へ」を選択します。
3. プロファイルを利用して、組織の特定の優先事項に基づいて Well-Architected Framework Review (WAFR) をカスタマイズすることができます(任意の手順)が、今回は何も設定せず「次へ」を選択します。
4. レンズを適用ページでは、カスタムレンズとレンズカタログが表示されます。レンズ名で検索したり、カタログを見てレンズを見つけて選択することができます。その後、「ワークロードの定義」を選択します。
レンズカタログで、AWS 公式のレンズのコレクションから、ワークロードに適用できるレンズを探せます。例えば、ヘルスケアサービスを構築する組織は、カタログからヘルスケア業界のレンズを選択して、ワークロードが業界のベストプラクティスに適合しているかレビューすることができます。
5. ワークロードが作成されたら、画面左側のナビゲーションペインでどのレンズが適用されているかを確認できます。また、ワークロード概要ページを下にスクロールすることでも、適用されているレンズを確認できます。
レンズを使ってワークロードをレビューする
1. ワークロードの定義ができた後、ヘルスケア業界のレンズを使ってレビューを開始します。ワークロードページで、「レビューを開始」のドロップダウンリストから「Healthcare Industry Lens」を選択します。
2. ワークロードのレビューを使って、レンズの各柱の質問に答えていきます。
3. ベストプラクティスの横にある「情報」を選択すると、そのベストプラクティスに関する説明文が表示されます。
4. レンズとワークロードを比較し、各質問でワークロードがベストプラクティスに適合しているかチェックすることができます。選択したレンズの質問に答え終えたら、レンズの概要ページに移動して、特定されたリスクを確認できます。
5. レビュー後、Well-Architected Tool から改善計画が生成され、不足しているベストプラクティスの実装方法に関するガイダンスが提供されます。「改善計画」を選択してください。
スクロールダウンすると、リスクレベルや柱でフィルタできる「改善項目」が表示され、改善項目毎に「推奨される改善項目」にリスクを軽減するための手引きが示されます。
既存のワークロードにレンズを適用する
既存のワークロードの場合も、レンズカタログからレンズを適用できます。
1. ワークロードから対象のワークロードを開き、レンズセクションまでスクロールダウンして、「編集」を選択します。
2. レンズを適用ページで、このワークロードにさらに適用したいレンズをレンズカタログから選択します。その後、「保存」を選択してください。
例えば、組織が機械学習を使って金融文書を自動処理するワークロードを持っている場合、Amazon Machine Learning Lens を活用して、そのワークロードが AWS のベストプラクティスに沿っているかを確認できます。
3. 更新が完了すると、選択したすべてのレンズがワークロードに適用されたことを確認できます。
この例では、レンズカタログからのさまざまなレンズを活用することで、業界要件、技術の特性、特定のサービスコンポーネントについて、レビューの範囲を広げることができます。
まとめ
このブログでは、AWS Well-Architected Tool のレンズカタログという新機能について説明しました。レンズカタログには業界固有および技術に特化したレンズが含まれており、お客様が自社のビジネスにとって最も重要なトピックに焦点を当ててレビューをカスタマイズできるようにします。この知識を活用して、AWS Well-Architected Tool のレンズカタログを使い、ワークロードの健全性を評価できます。質問やコメントがあれば、クラウドアーキテクトとテクノロジープロフェッショナルが集まり成長中のコミュニティである、AWS re:Post の一員になりましょう。
著者について
翻訳はソリューションアーキテクトの村田が担当しました。