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From why to wow:空港がデータを活用して旅客体験を向上させる方法

私が空港の技術分野に携わっていることを話すと、多くの人から、最近の空港での遅延や障害は、テクノロジーで解決できるという反応が返ってきます。昨年は空港で問題が発生したにもかかわらず(主に手荷物取り扱いと保安検査のスタッフ不足が原因)、ほとんどの人は、高度なロボット工学や自律機械を必要とする例に飛びつきません。最も多い不満はデータに関する以下のようなものがあります。なぜ航空会社は私の荷物がどこにあるか知らないのか?飛行機が何時間も飛行しているときに、どうして空港は私のフライトの早期到着に備えられなかったのか?今日、追加の旅客がいるということをどうして知らなかったのか?航空会社は空港に伝えなかったのか?

空港と航空会社はデータの有効活用を望んでいる

それは旅行者だけではありません。空港や航空会社のビジネやテクノロジーリーダーも同じことを言っています。彼らは、運営上の問題を解決するためのデータ不足を嘆いており、空港を利用する旅客の好みをもっと知りたいと考えており、ビジネスパートナーと共に空港内のさまざまなシステムの部門と連携したいと考えています。また、外部プロバイダーから入手できる気象情報や交通情報などのデータを活用したいと考えています。

一般にはあまり知られていませんが、空港は、他の空港、航空会社、グランドハンドリングエージェント(チェックイン、手荷物の積み込み、航空機運航管理など、空港内で多くの航空会社にサービスを提供する会社)とデータを共有し、業務プロセスを改善することに大成功しています。例えば、Airport collaborative decision-making (A-CDM) は、空港の遅延を10%削減し、CO2排出量を7.7%削減しました。

空港はこれをさらに進めたいと考えています。Amazon Web Services (AWS) を利用して予防保全や機内食の需要予測を行っている大韓航空やライアンエアーのような航空会社で、データがどのように業界を変革するか、良い例は、ライアンエアーの Panini Predictor です。正確な予測、パーソナライゼーション、すべての関係者間での簡単なデータ共有によって、空港業務と旅客体験が向上することを想像できます。国際空港評議会(ACI)が、最近、「空港データの共有とコラボレーションは、旅客の満足度を向上させる鍵である」と述べたことは驚くべきことではありません。

空港はデータプラットフォームを構築している

フランスのニース・コート・ダジュールをはじめ、多くの空港が最近 AWS 上にデータプラットフォームを構築しています。一般的に複雑なビジネスルールを持つ高度に構造化されたデータベースである空港運用データベース(またはAODB)とは異なり、データプラットフォームは、空港のシステム、航空会社、サードパーティ全体からさまざまな種類の情報、理解、視覚化、予測、共有するためのより柔軟な方法です。

シンシナティ空港は、Enterprise Awareness & Situational Exceptions(EASE)と呼ばれる予測分析と事前通知のためにデータを使用しています。EASE は、Amazon Relational Database Service (Amazon RDS) 、マネージドサービス群、AWS Lambda、イベント駆動型のコンピューティングサービスのような AWS のサービスを使用して、企業内各所から構造化データと非構造化データを収集しています。これにより、かなりバラバラなデータセットであっても、動的な意思決定を改善できます。また、空港は気象や現地の交通状況も監視しているため、運航計画を調整したり、旅客に注意を促すこともできます。

シンガポールのチャンギ空港は、データを活用してコラボレーションとイノベーションを向上させた素晴らしい例です。AWSのトラベル&ホスピタリティ・パートナーであるアクセンチュアと協力し、チャンギ空港は DIVA イノベーション・ラボの基盤としてデータ・プラットフォームを構築しました。その中には、旅客により良い情報を提供する新しいコンシェルジュ・アプリや、Where-To-Clean アプリは、空港内で利用者の多かった場所を優先的に清掃するようにスタッフに伝えます。

空港の手荷物処理システムの世界的リーダーであるシーメンス・ロジスティクスも、あらゆる種類の空港運営データを取り込み、分析し、視覚化するために、AWS 上に航空データハブを構築しました。例えば、同社の Baggage360 システムは、複数の情報ソースを使用して手荷物データを分析し、手荷物の流れを予測します。シーメンス・ロジスティクスの航空データソリューション担当ディレクター Stephan Poser 氏は「手荷物の流れを監視し、手荷物処理時間を予測し、リスクのある乗り継ぎを特定し、手荷物が重要な工程に入るタイミングを予測できます。」「到着ベルトで旅客がいつバックを見つけられるか予測できます。」と語っています。

データプラットフォームをオンプレミスで運用している空港の中には、ニーズが高まるにつれ、拡張性や新サービスの追加に限界があることに気づいているところもあります。例えば、AWSパートナーの Wiproは、最近、トロント・ピアソン国際空港のデータプラットフォームをオンプレミスのシステムからAWSに移行し、拡張性と俊敏性を活用し、人工知能(AI)、機械学習(ML)、ほぼリアルタイムのデータ取り込みなどの新機能を追加しました。Wipro・カナダのゼネラルマネージャー Anudeep Kambhampati 氏は「AWS 上の新しい Databricks レイクハウスプラットフォームは、さまざまなソースからほぼリアルタイムのビジネスインサイトを導き出し、継続的なイノベーションを推進するのに役立ちます。」と語っています。

空港がなぜ最近になってデータプラットフォームの構築に乗り出したのか、私は興味がありました。このテクノロジーは以前から存在していたにもかかわらず、なぜ今なのだろうか?この疑問に答えるため、ヨーロッパで 30 以上の空港でデータによる業務改善を支援してきた Azinq社のマネージング・ディレクター Chris Taylor 氏に話を聞きました。「我々の顧客は、AWSが提供するインフラとデータサービスを活用するために、急速にクラウドベースのデータプラットフォームに移行しています。空港は以前から、旅客やステークホルダーのエンゲージメントを理解し、改善するためのデータの価値を認識していましたが、これまではコストや技術的な障壁のために、空港がデータプラットフォームを構築することは困難でした。AWS 上の私たちの Airport Hive プラットフォームは、空港が運営に関するインサイトを得ることをはるかに容易にし、小さな変化が財政的にも旅客体験にも大きな影響を与えることを可視化します。AWS のスケーラビリティと弾力性により、お客様はオンプレミスの実装にかかるコストや手間を回避し、長期的な成長余力を得ることができます。」

データプラットフォームは、非常に特殊な問題の解決に役立ちます。例えば、米国のある主要空港では、タクシーが一時駐車場で待機しているという問題を抱えており、それは旅客の駐車スペースが減り、空港の収益が減ることを意味します。これを解決するために、空港は AWS パートナーである Slalomと契約し、過去のフライト、天候、タクシー乗客のデータを利用してデータ予測モデルを構築し、前もってタクシーの需要を予測し、必要なときだけタクシーを要請するようにしました。これにより駐車場のスペースが解放され、旅客体験が向上し、空港は運営改善により約 500 万ドルの収益を回収することができました。

データ共有の課題を解決する

空港にとっての課題のひとつは、必要なデータにアクセスすることです。空港は、空港を運営するすべての航空会社や企業から必要なデータを入手するのが難しいと言います。AWSと私たちのパートナーは、空港がこの問題を解決する支援をしています。

AWS re:Invent 2022 では、AWS Clean Rooms を発表しました。AWS Clean Roomsは、基盤となるデータを共有したり公開したりすることなく、お客様とそのパートナーがより簡単かつセキュアにデータセットをマッチング、分析、コラボレーションできるようにします。各コラボレーターは、AWS Clean Rooms で独自のデータクリーンルームを作成し、どのデータセットで誰とコラボレートするかを選択し制限を設定します。コラボレーターは、AWS環境の外にデータのコピーを維持したり、別のプラットフォームにロードする必要はありません。顧客がクエリーを実行する際、AWS Clean Rooms はデータが存在する場所でデータを読み込み、分析ルールを適用するため、共同作業者が共有したいデータのみが共有されます。航空会社が独自のデータクリーンルームを作成し、空港は航空会社が共有したいデータ(搭乗者数など)のみにクエリを実行できます。

AWS は、空港と航空会社のコラボレーションとデータ共有を支援してきました。私たちは、旅客体験を共有することに集中することで、空港と航空会社のコラボレーションを構築する可能性があると考えています。例えば、空港に対して実践的なアプローチをとって、特定の旅客のペインポイントを理解し、その解決に必要なデータの特定を支援し、航空会社のパートナーと協力して、その旅客のペインポイントを解決するためにデータ共有をしています。

サードパーティ企業は、空港業務の改善に特化したデータフィードを提供しています。例えば、Passur はAWS上に構築された API を通じて、フライトポジション、フライト予測、フライトイベントデータを含むほぼリアルタイムのデータフィードを空港に提供しています。Passur の CEO である Brian Cook 氏は、「空港は、資産管理、キャパシティプランニング、航空会社とのコラボレーションを改善するために当社のデータを使用しています。」「当社のデータフィードは、空港に遅延の事前通知を提供し、空港の混乱を防ぐため、事前に運用を調整できます。」「さらに、AWS Data Exchange は、サードパーティのデータが 1 つのデータカタログで簡単に見つけることができ、気象やフライトデータを含む何千ものデータセットがあります。」と語っています。

AWS は、イノベーションに対する独自の文化とアプローチで知られています。この方法論を取り入れ、お客様がデータによってイノベーションを起こし、ビジネス上の問題を解決できるように特別にアレンジしました。これを AWS Data-Driven Everything Program (D2E)と呼んでいます。D2E を使って何百ものお客様を支援してきました。 私たちは、 最近、豊富な人口統計学的属性と行動属性を持つ統一されたビューを構築することが困難であると感じていた旅行業界の顧客のために D2E セッションを実施しました。当社の旅行業界のお客様は、顧客をマイクロセグメント化して、サポートをパーソナライズし、ネットプロモータースコア(NPS)を 20 %以上向上させたいと考えていました。D2E の成果は、顧客を中心とした 360 度のビューに対する野心的なビジョン、Minimum Viable Product(MVP)バージョンの構築計画、統合顧客プロファイル製品の改善を繰り返し提供するファストフォロワー機能でした。

次は何をするのか?

空港はデータプラットフォームの構築と改善に着手できます。AWS コンサルティングパートナーとテクノロジーパートナーは、素早い構築を支援でき、実証済みのソリューションを実装できます。AWS は、安全なデータレイクプラットフォームを構築するための AWS Lake Formation、ML を使用してビジネス成果を簡単かつ正確に予測する Amazon Forecast、ML モデルの構築、トレーニング、デプロイを行う Amazon SageMaker など、さまざまなサービスを提供しています。AWS のすべてのお客様は、アカウントマネージャーに連絡できます。アカウントマネージャーは、導入を支援したり、ソリューションアーキテクトや対象分野の専門家を招いてガイダンスやサポートを提供できます。 また、お客様やパートナーが AWS を利用して望ましいビジネス成果を達成できるよう支援する AWS プロフェッショナルサービスチームもあります。

では、空港とデータの今後はどうなるのでしょうか?新型コロナウイルス感染症のパンデミック、最近の空港の収容能力の制約、最近のテクノロジーの進歩のため、空港がデータを共有し、ャパシティの問題を予測し、それに対処するための計画を立てたり、旅客にパーソナライズされたサービスを提供したり、ビジネスステークホルダーとのより良いコラボレーションを実現したり、データをより有意義な方法で使用することがはるかに容易になると期待しています。

私はこれから出会う人々との会話が、「なぜ空港は知らないのか」ではなく「どうして空港は知っているのか」と問われることを楽しみにしています。空港が知るだけでなく、旅客も知ることになるのは良いことでしょう。

Bob Kwik

Bob Kwik

Bob Kwik は AWS のワールドワイド・エアポート・ヘッドです。 彼の役割は、お客様のクラウド導入の過程をサポートすることです。 彼は空港業界で20年以上の経験を持っています。 AWS に入社する前、Bob は大手航空テクノロジー企業で働き、販売、事業開発、技術設計、製品開発において地域および世界の指導的役割を果たしていました。 彼はヨーロッパとアメリカに住み、働いてきました。また、仕事や娯楽のために広範囲に渡って旅行してきました。 ダブリンのトリニティ・カレッジで工学の修士号を取得しています。