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【開催報告】メディア向けクラウド活用 最新事例紹介・シーズン II
メディア業界向けAWS セミナーシリーズ 第二弾
|NAB Recap & AWS パートナーの新ユースケースをご紹介
2019年5月28日、AWS目黒オフィスにて、映像メディアに関わる事業者様および企業様を対象としたクラウド活用最新事例紹介イベントを開催しました。
AWSは、メディアの制作から発信するまでのワークロードを、『コンテンツ制作 & ポストプロダクション』『コンテンツ&ワークフロー管理』『コンテンツ配信 & 送出』『機械学習 & データ分析』と、4つのカテゴリーに定義し、各分野においてクラウドを利用したメディアソリューションを提供しています。
4半期毎の開催セミナー第二弾として、今回は4月の世界最大規模放送機器展示会 NAB Show 2019からの最新レポートと、AWS パートナーとエンドユーザ様から最新のユースケースとして、昨今 ロケーションフリーによるコスト削減や働き方改革、コンテンツ集約化によるセキュリティ強化といった視点で大きな注目を集めている『コンテンツ制作 & ポストプロダクション』カテゴリーのサービスをご紹介しました。
約140名のお客様にご来場頂き会場は満員御礼、東京は本会場とサブ会場、大阪にはサテライト会場をご用意しました。
NABアップデート
アマゾン ウェブ サービス ジャパン ソリューションアーキテクト 金目 健二
NAB(National Association of Broadcasters)Showは、全米放送事業者協会が主催する世界最大規模の放送機器展示会です。AWSは今年もブースを出展し、4つのワークロードに沿った新機能紹介とデモを実施しました。『コンテンツ制作 & ポストプロダクション』カテゴリーでは、MediaConvertの最新機能、分散トランスコードにより処理時間を大幅に短縮できる事を紹介しました。また『コンテンツ制作 & ポストプロダクション』に『機械学習 & データ分析』のソリューションを組み合わせることで、人のスケルトンモデルから「腕が上がった」「倒れた」等のイベントを検知し、ハイライトシーンをクリッピングするデモや、『コンテンツ配信 & 送出』に『機械学習 & データ分析』のソリューションを組み合わせた例として MediaTailorとAmazon Personalizeにより、ユーザの視聴履歴やコンテンツからユーザー嗜好に関連する広告を挿入するデモを紹介しました。また『コンテンツ配信 & 送出』カテゴリーではMediaStore、CloudFrontのChunked Transfer対応に伴い大規模な低遅延配信への敷居が低くなった事、及び日本のお客様とのCMAF Ultra Low latency検討状況について紹介しました。NAB Show AWSパートナーの展示については、FPGAが搭載されたEC2(F1インスタンス)を使用することでAV1リアルタイムエンコードなどを紹介しました。AV1は昨今ロイヤリティーフリーのコーデックとして注目を浴びています。AWSは多様なメディアワークロードに対してお客様のニーズに合わせたソリューションを提供しています。また、最後に「海外事例やソリューションベンダーとのコラボレーションで培ったノウハウ」x「日本の営業、ソリューションアーキテクトでのサポート」x「AWS・放送・メディアワークロードに深い知識有したAPNパートナーの紹介」を基にお客様への多面的なご協力が可能である事をお伝えしました。
AWSパートナー社ゲストスピーカーより最新事例
「 “Unleash the Next-Gen Remote Workstation Experience”
次世代リモートワークステーションエクスペリエンスを引き出すTradiciソリューション」
Eliuth Triana 氏 (ストラテジック アライアンス ディレクター)
Kevin Ottomeyer 氏 (シニア ソリューションアーキテクト) – Teradici 社
Teradici 社Triana 氏・Ottomeyer 氏より、働き方改革やコンテンツ制作の加速化に貢献する最新仮想ディスクトップソリューションについて紹介いただきました。リモートワーク環境の提供に当たり、Teradiciは明瞭度の高い映像・テキストの転送やセキュリティ、パケットロスの低減を実現します。最新技術であるPCoIP Ultraにより、さらにクライアントへの4K/UHD映像の送出、CPU負荷軽減、フレームレートの向上が可能になります。導入については、オンプレミスからAWSへの移行に柔軟に対応し、またオンプレミス・AWS・他社クラウドサービスを併用する環境もサポートします。ユースケースとして、Double Negative社のEC2とオンプレミスのハイブリッド構成リモートワークステーションを紹介しました。TeradiciのAMIはAWS Marketplaceで簡単に入手・構築することができます。また、テンプレートから簡単に環境を構築することも可能です。
AWS Marketplace Teradici AMI
新しいクイックスタートを使用して、VFX ワークステーション用 AWS クラウド環境をデプロイする
「 Grabyo: Webブラウザのみでリモートプロダクションを可能にするクラウドソリューション
~ Live配信の制作から、ハイライトの即時ソーシャル配信、ビデオ編集まで ~ 」
Elliot Renton 氏 (APAC担当シニアディレクター) – Grabyo 社
Grabyo 社はグローバルで主にスポーツ事業者とパートナーシップを展開しており、日本での紹介は今回が初めてとなります。グローバルではテレビの視聴率低下が課題となっている一方で、若い視聴者はSNSでスポーツを視聴するなど市場が分割し、コンテンツ消費は拡大しています。その背景には視聴端末のマルチプラットフォーム化があります。Grabyoはクラウドベースのサービスで、マルチプラットフォームへの動画配信を提供し、共同編集やリアルタイム配信機能、ソーシャルメディア(Instagram、Twitter等)とのシームレスな連携を実現します。ソーシャルユーザは動画配信にPollやコメントで参加することができ、ユーザのエンゲージメントを図ることができます。ユースケースとしてはLiveでの広告挿入や標的型マーケティングが紹介されておりました。将来的にはAIを使った広告挿入やOTTに対応する予定であることを紹介いただきました。
エンドユーザー様からの導入事例紹介
「素材の紛失、流出が致命傷になる前に NEPが取り組むクラウド編集トライアル」
株式会社NHKエンタープライズ
グローバル事業本部 事業開発センター デジタル・映像イノベーション チーフ・プロデューサー若狭谷 亜里奈 様
株式会社NHKエンタープライズ 若狭谷様より、クラウド編集のトライアルと結果についてお話し頂きました。クラウド編集を検討される背景として、作業環境の多様化やメディア流出・紛失のリスクなどオフライン作業の課題があり、クラウド化により場所に縛られない作業の実現・リスク低減・コスト削減を図りたいとのことでした。検証においてポイントとなったのは必要スペックとネットワーク要件の確認、画面転送の技術でした。検証の結果さらなる用途として、遠隔地ロケで取材した映像を即時アップロードし先行編集することや、海外/地方ディレクター間の連携など展開の可能性を感じられたとのことでした。今後は、クラウド化により業務フローを変えられることがわかったので、ネットワーク環境の構築、運用ルールの整備など含め、引き続き検討していくとのことです。クラウド編集を検討されているお客様にとって興味深い内容となっていました。
国内パートナー様から事例紹介
「 柔軟なカスタマイズで安価にスモールスタート 映像アセット管理ソリューション: miniMAM on AWS」
「モバイル端末1台で撮影から編集、素材管理、AI解析まで 動画制作&編集アプリ: Mobile Video Creator」
株式会社フォトロン 映像システム事業本部 プロダクト推進部 グループ長補佐 石田 将司 様
株式会社フォトロン 石田様より、AWSを基盤とするコンテンツ制作・管理・分析ソリューション二つをご紹介頂きました。1つ目のソリューションは映像アセット管理ソリューションの「miniMAM on AWS」。オンプレミスでは敷居の高いMAMをスモールスタートで導入でき、お客様の運用フローにあわせたカスタマイズを可能にします。ファイル管理、コメント・アノテーションの挿入、ファイルのアーカイブ機能があり、アーキテクチャとしてはS3にアップロードしたファイルがMediaConvertで変換され、元ファイルはGlacierにアーカイブ、ファイル情報管理はEC2で行っているとのことです。2つ目のソリューションはiPhone/iPadでの動画制作・編集を可能にする「Mobile Video Creator」。4stepで処理を簡単に実施することができ、miniMAMとの連携も可能です。Amazon Polly、Amazon TranslateによりAIテキスト翻訳・読み上げに対応し、多国語対応映像を簡単に制作することができます。今後は街頭インタビュー映像からテキストを書き起こし編集する機能などを検討しているとのことです。2つともクラウドの伸縮自在でスモールスタート可能、機械学習など最新ソリューションとの容易な統合が可能であるメリットを活かしたソリューションとなっていました。
まとめ
今回はNAB Show 2019のレポートと、メディアワークロードの『コンテンツ制作 & ポストプロダクション』についてゲストをお迎えし実例についてお話し頂きました。
メディア向けクラウド活用最新事例紹介は、今後も四半期に一回開催するのでご注目下さい。
6/12-14に開催されるAWS Summit TOKYO2019にて、6/13 11:00-15:00にメディアトラックとしてメディアサービスに関するセッションを多数予定しています。こちらからご登録下さい。
加えて、メディア業界のお客様によって運営されるコミュニティ『Media-JAWS』の第2回が6/12(水)幕張メッセ近くで開催されます。こちらも是非ご参加ください!
ソリューションアーキテクト 門田、安司