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Graviton Challenge で実現するワークロード移行
2021年6月21日より、アプリケーションを AWS Graviton2 に移行して実行する Graviton Challenge への参加募集が始まりました。個人デベロッパーや小規模なチームを対象としたチャレンジは、移行を経験されたお客様の実例に基づいています。アプリケーションを準備、移植、最適化し、 Graviton2 インスタンスにデプロイするために 8 つのチャンク (それぞれ約 4 時間) のフレームワークが提供されます。このチャレンジのメリットは Graviton2 上でアプリケーションを実行できることと、向上した料金パフォーマンスを体験できることだけではありません。チャレンジを完了した方には賞品とプレゼントが贈られます。
AWS Graviton2 は、Arm64 アーキテクチャをベースとする AWS のカスタムビルドプロセッサで、Amazon Linux 2、Red Hat Enterprise Linux、SUSE Linux Enterprise Server、Ubuntu を始めとする一般的な Linux オペレーティングシステムでサポートされています。第 5 世代の x86 ベースの Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2) インスタンスタイプと比べた場合、Graviton2 インスタンスタイプのコストは 20% 低くなります。全体的に、アプリケーションを Graviton2 に移行したお客様では、アプリケーションサーバー、コンテナベースのアプリケーション、マイクロサービス、キャッシュフリート、データ分析、ビデオエンコーディング、電子設計オートメーション、ゲーム、オープンソースデータベースなどの幅広いワークロードで一般的に最大 40% の料金パフォーマンス向上が実現しています。
チャレンジについて詳しく説明する前に、AWS のチーフエバンジェリストである Jeff Barr と EC2 担当バイスプレジデントである Dave Brown による紹介ビデオをご覧ください。Jeff がビデオで言っているように、まったく同じワークロードで同一かより優れたパフォーマンス、そして最大 40% の料金パフォーマンス向上が実現します。
チャレンジを完了したら、導入での経験を発表し、コンテストに参加することができます。#ITookTheGravitonChallenge というハッシュタグを付けてソーシャルメディアに投稿して頂いた方にはオリジナル T シャツをプレゼントいたします。ショートビデオを投稿して頂いた方には、パーカーを差し上げます。
コンテストに参加するには、移行したプロジェクトとアプリケーション、解決する必要があった課題、実現した料金パフォーマンスのメリットについて説明した 5~10 分程度のビデオを作成してください。
すべての有効なエントリーには、500 USD の クレジット (500 件限定) が提供されます。審査員チームがエントリーを評価し、6 つのカテゴリーで追加のアワードが贈られます。すべてのカテゴリーの受賞者には、AWS re: Invent 2021 カンファレンスパス、飛行機のチケット、およびホテルの宿泊 (会社の代表者 1 名様) が贈られ、カンファレンスで Graviton2 チームの上級メンバーと会談することができます。カテゴリごとの追加の賞品は次のとおりです。
- ベスト導入 – エンタープライズ
従業員数が 1000 人以上の企業を対象に、パフォーマンスの向上、総コストの節約、ワークロードを実行するインスタンスの数、およびワークロードの移行に要した時間 (早さ) を基準に評価が行われます。優勝者にはカンファレンスでプレゼンテーションを行う機会も贈られます。 - ベスト導入 – 中小企業
従業員数が 100~1000 人の企業を対象に、パフォーマンスの向上、総コストの節約、ワークロードを実行するインスタンスの数、およびワークロードの移行に要した時間 (早さ) を基準に評価が行われます。優勝者にはカンファレンスでプレゼンテーションを行う機会も贈られます。 - ベスト導入 – スタートアップ
従業員数が 100 人未満の企業を対象に、パフォーマンスの向上、総コストの節約、ワークロードを実行するインスタンスの数、およびワークロードの移行に要した時間 (早さ) を基準に評価が行われます。優勝者にはカンファレンスでプレゼンテーションを行う機会も贈られます。 - ベスト新規ワークロード導入
パフォーマンスの向上、総コストの節約、ワークロードを実行するインスタンスの数、およびワークロードの移行に要した時間 (早さ) に基づいて、EC2 に新しく移行したワークロード (オンプレミスまたは他のクラウドから Graviton2 への移行) を対象に評価が行われます。優勝者にはビデオまたは書面による導入事例に参加するチャンスが贈られます。 - 最もインパクトの高い導入
ワークロード/アプリケーションの動作に基づいて、社会的影響が最も大きいワークロードを対象に評価が行われます。このカテゴリは、サステナビリティ、ヘルスケア、ライフサイエンス、保全、学習/教育、公正/公平などの分野に関連するアプリケーションを対象とします。優勝者にはビデオまたは書面による導入事例に参加するチャンスが贈られます。 - 最も革新的な導入
このカテゴリは、顧客固有の問題の解決や新しいユースケースへの対処に加えて、画期的なアプリケーションを対象とします。このカテゴリでは、ワークロードの説明、料金パフォーマンスの向上、および総コストの節約に基づいて評価が行われます。優勝者にはビデオまたは書面による導入事例に参加するチャンスが贈られます。
コンテストへの応募期間は、6 月 22 日から 8 月 31 日までです。優勝者の発表は 2021 年 10 月 1 日に予定されています。
移行するワークロードの特定
Graviton2 で実現可能なことを理解した後は、チャレンジの一環として取り組むべきワークロードを特定してください。理想的なワークロードは、オープンソースコンポーネントを使用し、Linux 上で既に実行しているワークロードです。つまり、すべてのコンポーネントのソースコードにアクセスでき、必要な変更を簡単に行うことができるワークロードです。完全にオープンソースベースの既存の Linux ワークロードがない場合でも、他のワークロードを移動できます。ISV と AWS のサービスの堅牢なエコシステムは、Graviton2 を既にサポートしています。ただし、Arm64/Graviton2 をサポートしていないベンダーのソフトウェアを使用している場合は、Graviton Challenge Slack チャンネルにサポートを依頼してください。
チャレンジの構成内容
チャレンジには、4 日間にわたって実行される 8 つのステップが含まれます (4 日間連続してチャレンジを行う必要はありません)。Graviton2 のエキスパートの支援が必要な場合は、専用の Slack チャンネルにサインアップして、役に立つヒントやガイダンスを記載したメールを取得できます。Slack でのサポートやサポート E メールに加えて、チャレンジのコストをカバーするために 25 USD の AWS クレジットも利用できます。Graviton2 ベースのバースト可能な T4g インスタンスには 2021 年 12 月 31 日まで利用可能な無料トライアルがあり、ワークロードの認定に使用できます。
Graviton Challenge ページから完全なホワイトペーパーをダウンロードできますが、ここではプロセスの概要を示します。
1 日目: 学習と探索
1 日目は、Graviton2 について学習し、選択したワークロードのアセスメントを行います。最初に 2020 年の AWS re:Invent セッション「Deep dive on AWS Graviton2 processor-powered EC2 instances」をご覧になることをお勧めします。Getting Started with AWS Graviton GitHub リポジトリは、チャレンジを進める際に便利なリファレンスとして利用できます。
アセスメントでは、アプリケーションの依存関係と要件を特定します。すべての準備作業と同様に、この段階で徹底した作業を行うことで成功の確率が高くなります。このタスクは入念に行ってください。
2 日目: プランの作成と移植の開始
2 日目は Graviton2 環境を作成します。EC2 仮想マシンインスタンスは、AWS が提供するイメージで使用するか、独自のカスタムイメージを構築することができます。Amazon Elastic Container Service (Amazon ECS) と Amazon Elastic Kubernetes Service (EKS) は両方とも Graviton2 ベースのインスタンスをサポートするので、コンテナを使用することもできます。
環境を作成したら、アプリケーションをブートストラップします。GitHub の Getting Started ガイドには、言語固有の情報が含まれています。アプリケーションが Java、Python、Node.js、.NET などの高レベル言語を使用している場合は、そのまま実行できます。変更が必要な場合でも、変更は最小限に抑えることができます。C、C++、Go などの言語の場合、64 ビットの Arm アーキテクチャ向けにコンパイルする必要があります。詳細については、GitHub で公開されているガイドを参照してください。
3 日目: デバッグと最適化
アプリケーションが Graviton2 環境で実行するようになったら、その機能をテストして検証します。完全に機能するアプリケーションがある場合、パフォーマンスをテストして x86-64 環境と比較できます。期待されるパフォーマンスが見られない場合は、アカウントチームに連絡するか、 Graviton Challenge Slack チャンネルにサポートを要請してください。潜在的なパフォーマンスギャップを分析し、解決するためのサポートを活用してください。
4 日目: インフラストラクチャの更新とデプロイの開始
いよいよ最終日です。 インフラストラクチャを更新して Graviton2 ベースのインスタンスを追加し、デプロイを開始します。トラフィックの一部が新しい環境にリダイレクトされるように、canary またはブルー/グリーンデプロイを使用することをお勧めします。動作を確認したら、すべてのトラフィックを移行できます。
この時点で、チャレンジは完了です。 #ITookTheGravitonChallenge のハッシュタグを使用してソーシャルメディアに投稿してチャレンジの成功を発表してください。また、コンテストへの参加もご検討ください。コンテストの応募締め切り日は 2021 年 8 月 31 日です。
今すぐチャレンジを始めてください
チャレンジとアワードの詳細を理解したら、移行を開始してください。詳細については、Graviton Challenge のランディングページからホワイトペーパーをダウンロードして確認してください。 皆様のコンテストへのご応募をお待ちしています。
補足情報
AWS の .NET Developer Advocate として、.NET Core または .NET 5 以降を使用する .NET アプリケーションもエントリーできることをお伝えしておきます。 .NET 5 には ARM64 固有の最適化が含まれています。私の同僚が AWS Graviton2 上で実行する .NET アプリケーションで経験したパフォーマンス向上の詳細は、「Powering .NET 5 with AWS Graviton2: Benchmarks」ブログ記事で紹介されています。.NET 5 on Graviton2 のラボもあります。移行の開始に役立つ .NET 用のリソースは aws-graviton-getting-started GitHub リポジトリで公開されています。