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2024.0 のリリースで NICE DCV が Amazon DCV になりました
10 月 1 日から NICE DCV の名前が新しくなります。さようなら NICE DCV、ようこそ Amazon DCV。2024.0 リリース、および機能強化とバグ修正に伴い、NICE DCV は 10 月 1 日 Amazon DCV としてリブランドされました。
この新しい名前は、Amazon AppStream 2.0 や Amazon WorkSpaces などの AWS マネージドサービスで活用される DCV プロトコルの一貫的な参照にも使用されることになります。
Amazon DCV とは
Amazon DCV は高性能リモートディスプレイプロトコルであり、リモートデスクトップやアプリケーションストリーミングを、さまざまなネットワーク条件下で任意のクラウドまたはデータセンターから任意のデバイスにセキュアな方法で配信することができます。Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2) で Amazon DCV を使用することにより、グラフィック集約型のアプリケーションを EC2 インスタンスでリモート実行できます。その後、結果をよりシンプルなクライアントマシンにストリーミングできるため、高価な専用ワークステーションが不要になります。
サーバー側では、Amazon DCV が Linux オペレーティングシステムの主要フレーバーと Windows オペレーティングシステムの両方をサポートすることで、組織のニーズに合わせて選択する柔軟性を提供します。デスクトップとアプリケーションストリーミングを受信するクライアント側は、Windows、Linux、macOS、またはウェブブラウザ用のネイティブ DCV クライアントにすることができます。DCV リモートサーバーと DCV クライアントは、データではなく暗号化されたピクセルのみを転送するため、DCV サーバーから機密データがダウンロードされることはありません。EC2 インスタンスを用いた Amazon Web Services (AWS) での Amazon DCV の使用を選択すると、33 の地理的リージョンにまたがる 108 の AWS アベイラビリティーゾーンと 31 のローカルゾーンを活用できるので、リモートストリーミングサービスを世界的にスケールすることが可能になります。
8 年前に Amazon が NICE を買収して以来、私たちはさまざまなお客様が DCV を導入するのを目の当たりにしてきました。DCV の用途は、ビジネスアプリケーションを視覚化する汎用ユーザーから業界固有の専門家まで、多岐にわたることが実証されています。例えば、アーティストは DCV を使用して、デジタルコンテンツの作成やレンダリングタスクのために強力なクラウドワークステーションにアクセスしています。ヘルスケア部門では、医療画像専門家が患者データのリモートでの視覚化と分析のために DCV を使用しています。地球科学者は DCV を使用して油層シミュレーションの結果を分析し、製造業界のエンジニアは DCV を使用して数値流体力学実験を視覚化しています。教育業界や IT サポート業界は、複数のユーザーが単一のデスクトップを共有できる DCV でのコラボレーションセッションからメリットを得ています。
注目に値するお客様には、Quantic Dream が含まれます。受賞ゲーム開発スタジオである Quantic Dream は、そのアーティストや開発者のための低レイテンシーで高解像度のストリーミングサービスの構築に DCV を役立てています。エンタープライズリソースプランニング (ERP) サービスプロバイダーである Tally Solutions は、何千ものお客様に ERP ソフトウェアをセキュアな方法でストリーミングするために DCV を導入しました。Volkswagen は、DCV を使用して 1,000 人を超える自動車エンジニアが CAE (Computer Aided Engineering) にリモートでアクセスできるようにしています。サービスが十分に行き届いていないコミュニティにブロードバンド接続を提供するイニシアチブである Amazon Kuiper は、複雑なチップを設計するために DCV を使用しました。
AWS 内では、お客様にマネージドソリューションを提供するために、複数のサービスが DCV を取り入れています。例えば、AppStream 2.0 では、セキュアかつスケーラブルで信頼性に優れたアプリケーションストリーミングを提供するために DCV が使用されています。また、2020 年からは、DCV 上に構築され、高パフォーマンスのために最適化された Amazon WorkSpaces Streaming Protocol (WSP) が、Amazon WorkSpaces のお客様に提供されています。今日は、WSP という名前も廃止され、DCV に置き換えられます。今後は、Amazon WorkSpaces におけるプロトコルの主要選択肢として DCV が提供されます。
バージョン 2024.0 の新機能
Amazon DCV 2024.0 には、パフォーマンス、セキュリティ、使いやすさを向上させるためのいくつかの修正と機能強化が導入されています。2024.0 リリースでは最新の Ubuntu 24.04 LTS がサポートされるようになり、最新のセキュリティ更新と、システムメンテナンスを簡素化するための長期的な延長サポートを提供します。Ubuntu 24.04 上の DCV クライアントは Wayland をサポートするように構築されているため、グラフィカルレンダリングの効率性が向上し、アプリケーション分離が強化されます。さらに、DCV 2024.0 では QUIC UDP プロトコルがデフォルトで有効化されるようになったため、クライアントは最適化されたストリーミング体験からメリットを得ることができます。このリリースには、リモートユーザーが接続しているときに Linux のホスト画面をブランクにして、ローカルアクセスやリモートセッションとのやり取りを防ぐ機能も導入されています。
使用開始方法
DCV を試してみる最も簡単な方法は、WorkSpaces コンソールから WorkSpaces インスタンスをスピンアップして、DCV を活用するバンドルのいずれかを選択、または AppStream セッションを作成することです。今回のデモでは、EC2 インスタンスに DCV サーバーをインストールする方法を紹介したいと思います。
Amazon EC2 上で実行されている 2 つのサーバーに DCV サーバーをインストールしました。これらのサーバーの一方は Windows Server 2022、もう一方は Ubuntu 24.04 を実行しています。また、macOS ノートパソコンにもクライアントをインストールしました。クライアントパッケージとサーバーパッケージは、Amazon のウェブサイトでダウンロードできます。どちらのサーバーでも、セキュリティグループが UDP または TCP ポート 8443 (DCV が使用するデフォルトポート) でのインバウンド接続を許可していることを確認してください。
Windows でのインストールは簡単で、msi
ファイルを起動し、各ステップで Next
を選択するだけです。インストールは、この文を書き終えるよりも短い時間で完了しました。
Linux でのインストールにはもう少し注意が必要です。EC2 サーバーの Amazon マシンイメージ (AMI) には、デスクトップコンポーネントやグラフィックコンポーネントが含まれていません。前提条件として、X Window System とウィンドウマネージャをインストールするとともに、ユーザーがサーバーに接続してグラフィカルユーザーインターフェイスセッションを開始できるように X を設定する必要がありました。幸い、これらのステップはすべて詳しく説明されています。以下は、私が使用したコマンドの要約です。
# install desktop packages
$ sudo apt install ubuntu-desktop
# install a desktop manager
$ sudo apt install gdm3
# reboot
$ sudo reboot
再起動後、DCV サーバーパッケージをインストールしました。
# Install the server
$ sudo apt install ./nice-dcv-server_2024.0.17794-1_amd64.ubuntu2404.deb
$ sudo apt install ./nice-xdcv_2024.0.625-1_amd64.ubuntu2404.deb
# (optional) install the DCV web viewer to allow clients to connect from a web browser
$ sudo apt install ./nice-dcv-web-viewer_2024.0.17794-1_amd64.ubuntu2404.deb
サーバーには GPU がなかったため、これらのステップに従って X11 Dummy ドライバーをイントールし、このドライバーを使用するように X11 を設定しました。
次に、サービスを起動しました。
$ sudo systemctl enable dcvserver.service
$ sudo systemctl start dcvserver.service
$ sudo systemctl status dcvserver.service
オペレーティングシステムレベルでユーザーを作成して、パスワードとホームディレクトリを割り当てました。その後、サーバーからの接続を試みる前に、サーバー上のセットアップを確認しました。
$ sudo dcv list-sessions
There are no sessions available.
$ sudo dcv create-session console --type virtual --owner seb
$ sudo dcv list-sessions
Session: 'console' (owner:seb type:virtual)
サーバー設定の準備が完了した時点で、ノートパソコンの DCV クライアントを起動しました。セッションは、サーバーの IP アドレス、およびユーザーのユーザー名とパスワードを入力するだけで開始できました。
ノートパソコンで新しい DCV クライアントウィンドウを開き、もう一方の EC2 サーバーに接続しました。数秒後、クラウドで実行されている Windows と Ubuntu マシンをリモートで操作できるようになりました。
この例では単一の EC2 インスタンスでの Amazon DCV のインストールに着目しましたが、独自のサービスインフラストラクチャを構築するときは、Amazon DCV Session Manager、Amazon DCV Access Console、および Amazon DCV Connection Gateway など、DCV サービスの一部である他のコンポーネントを検討することをお勧めします。
料金と利用可能なリージョン
Amazon DCV を AWS で使用するときに料金は発生しません。EC2 インスタンス、Amazon Workspace デスクトップ、Amazon AppStream 2.0 といった AWS のリソースやサービスの使用に対する料金のみをお支払いいただきます。オンプレミスサーバーで DCV を使用する予定の場合は、こちらのウェブサイトにあるライセンス再販業者のリストをご覧ください。
原文はこちらです。