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Amazon FSx for NetApp ONTAP のシングルアベイラビリティーゾーン デプロイメント利用による VMware Cloud on AWS のストレージコストの削減

AWS で Sr. Partner Solutions Architect を務める Kiran Reid、Sr. Specialist Solutions Architect を務める Siegfried Eigler、Sr. Product Manager を務める Pat Brandel による記事です。

Amazon FSx for NetApp ONTAP は、お客様がフルマネージド型の ONTAP ファイルシステムをクラウドで起動し実行できるようにするストレージサービスです。 NetAppAWS ストレージコンピテンシーパートナーであり、ONTAP は広く採用されているデータアクセスとデータ管理機能のセットを提供する NetApp のファイルシステムテクノロジーです。

VMware Explore 2022 にて アマゾン ウェブ サービス(AWS)と VMware は、VMware Cloud on AWS と Amazon FSx for NetApp ONTAP の統合の一般提供を発表しました。

VMware Cloud on AWS を利用することで、お客様はオンプレミスのデータセンターを拡張し、マシンイメージのフォーマット変換や、リプラットフォーム プロセスを必要とせずにワークロードを容易に移行できます。

本稿では、Amazon FSx for NetApp ONTAP のシングルアベイラビリティーゾーン (AZ) デプロイメントの利点と、それらが最も適しているワークロードを確認します。 シングル AZ ファイルシステムは、マルチ AZ ファイルシステムのデータ耐障害性モデルを必要としないユースケース向けに、同じデータ管理機能と機能をすべて備えながら、低コストのストレージオプションを提供します。

インテグレーション概要

Amazon FSx for NetApp ONTAP でプロビジョニングしたストレージを、 VMware Cloud on AWS の Software Defined Data Center(SDDC)にデータストアとしてマウントできるようにするには、2 つのアカウント接続オプションがあります。 どちらのオプションも、FSx ファイルシステム用の 2 つの アベイラビリティーゾーン にまたがる専用の Amazon Virtual Private Cloud (Amazon VPC) を使用します。

最初のオプションは、VMware 所有の VPC に接続しているのと同じ AWS アカウントで、AZ にサブネットを持つ新しい Amazon VPC を作成し、VMware Transit Connect を使用して接続する方法です。

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図 1 — 同じ AWS 接続アカウント配下のストレージ

2 つ目のオプションは、新規の AWS アカウントを作成することです。このアカウントには、デフォルトで、そのリージョンの Amazon VPC が付属しています。 最初のオプションと同様に、2 つの AZ にそれぞれ 1 つのサブネットが必要で、かつこの新しい VPC が VMware 所有の VPC に接続するために VMware Transit Connect が必要となります。

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図 2 — 新規の AWS アカウントでストレージを有効にする

このソリューションを利用しているお客様は、Network File System (NFS) プロトコルを介して、お客様が管理するデータストアを既存の SDDC に柔軟に追加できるため、増大するワークロードのニーズに対応する柔軟なストレージソリューションが得られます。

What’s New?

AWS と VMware は、シングル AZ ファイルシステムが VMware Cloud on AWS で利用可能になったことを今回発表しました。 詳細については、VMware Tech Zone と VMware Cloud on AWS の構成ドキュメントをご覧ください。

マルチ AZ デプロイメントの場合と同様に、Connected VPC に FSx for ONTAP のサブネットを配備することはできません。 お客様は SDDC と同じ AZ に少なくとも 1 つのサブネットを持つ新しい VPC を作成します。 FSx for ONTAP をその VPC にデプロイし、VMware Transit Connect 経由で SDDC に接続します。

シングル AZ の利点

シングル AZ ファイルシステムは、アベイラビリティーゾーン全体でのデータ耐性を必要としない環境向けです。 ユースケースの中には、開発環境の実行、ワークロードのテスト、データのセカンダリコピーの保存などがあります。シングル AZ ファイルシステムは、これらのユースケースに対して、同じデータ管理能力と機能を備えながら、より低コストのストレージオプションを提供します。

本番環境のワークロードには、通常、複数の AZ にわたる高可用性と耐久性が必要です。 Amazon FSx for ONTAP マルチ AZ ファイルシステムでは、AZ 間でのレプリケーションが組み込まれたストレージを提供することで、これらのワークロードにシンプルなソリューションを提供します。 ただし、一部のワークロードでは、すでに別の場所にデータのコピーが保存されている場合があり(たとえば、オンプレミスから AWS への災害復旧や AWS リージョン間の災害復旧)、この場合、FSx ファイルシステムにマルチ AZ の耐障害性を持たせる必要がない場合があります。

開発やテストなどの非本番ワークロードでも、AZ 全体での高可用性が常に必要というわけではありません。 シングル AZ ファイルシステムは、アベイラビリティーゾーン内にのみデータを複製することで、このようなユースケースに対してコスト最適化されたソリューションを提供します。マルチ AZ ファイルシステムと同様に、シングル AZ ファイルシステムでも自動バックアップが提供され、複数の AZ に保存されるので高い耐久性が得られます。

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図 3 — Amazon FSx for NetApp ONTAP シングル AZ デプロイメント

シングル AZ ファイルシステムには、お客様の SDDC と同じサービスレベルアグリーメント (SLA) が適用され、最大 50% のコスト削減が可能です。また、統合構成時にフローティング IP を使用する必要がありません。

マルチ AZ ファイルシステムはいつ使う?

アプリケーションが同じ AWS リージョン内の AZ 間で可用性と耐久性の高いストレージを必要とする場合は、マルチアベイラビリティーゾーンのファイルシステムを使用する必要があります。

シングル AZ ファイルシステムは、開発やテストのワークロード、すでにオンプレミスや他の AWS リージョンに保存されているデータのセカンダリコピーの保存など、1 つの AZ 内でストレージを複製する必要があるが AZ 間の耐障害性は必要ないユースケース向けに構築されています。

シングル AZ ファイルシステムは、AZ 内のみにデータを複製することで、このようなユースケースのコストを最適化しています。

料金

料金は、マルチ AZ デプロイメントタイプと同じ料金体系に基づいています。詳細については、Amazon FSx for NetApp ONTAP の料金ページをご覧ください。

このデプロイメントオプションの詳細については、FSx for NetApp ONTAP のドキュメント、FSx for NetApp ONTAP の製品ページ、および AWS News Blog のアナウンスメントをご覧ください。

翻訳は Partner SA 豊田が担当しました。原文はこちらです。