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Earth Day に考える「AWS のクラウド活用でできるサステナビリティ」

みなさん、こんにちは。AWS で事業開発統括本部 統括本部長 兼 サステナビリティ推進室 室長の佐藤有紀子です。2022 年 4 月 22 日の Earth Day より、これからブログを通して皆さんと一緒にサステナビリティを考えていきたいと思います。

4 月 22 日は Earth Day(別名:地球の日)で、地球環境について考える日です。今回のブログでは、地球規模での課題になっている気候変動対策について、Amazon と AWS の取り組みをご紹介させていただくと同時に、お客様のサスティナビリティー(持続可能性)に、AWS のクラウドサービスがどのように貢献できるのかを紹介したいと思います。

Amazon のコミットメント ~世界の 300 社とともに

2019 年 9 月 19 日、Amazon と地球環境に関するイニシアティブである Global Optimism はパリ協定の目標達成を 10 年早める気候変動対策に関する誓約 ”The Climate Pledge” を共同調印しました。The Climate Pledge は、企業や組織が、世界最大の危機に対して共同でアクションを起こし、未来の世代のために安全で健全な地球を築くために協業するための誓約です。署名企業は、パリ協定の目標を 10 年前倒しし、2040 年までに炭素排出量の実質ゼロ化を達成することを約束します。

Amazon は、この誓約書に最初に署名した企業です。The Climate Pledge には、Verizon、Maersk、PepsiCo、Best Buy、Visa、Microsoft、Twitter、Reckitt Benckiser (RB)、Unilever、JetBlue Airways、Uber、Salesforce、HP、Procter & Gamble をはじめ、世界中の複数の業界にまたがる 300 以上の署名企業が参加しています。現在の署名企業一覧については、ウェブサイトを参照してください。

The Climate Pledge に署名する企業や組織は、3 つの領域における取り組みに同意します。

  1. 温室効果ガス排出量の定期的な計測と報告
  2. 効率改善、再生可能エネルギー、原材料削減、その他の炭素排出量削減戦略など、本質的なビジネス変革やイノベーションを通じ、パリ協定に沿った脱炭素化戦略を実行
  3. 本質的かつ永続的で、定量化ができる社会に有益なオフセットを追加し、残りの炭素排出をカーボンニュートラル化し、2040 年までに年間炭素排出量の実質ゼロ化を実現

The Climate Pledge に参加することで、企業は、自社のサステナビリティへのコミットメントを強化し、アクションの内容を具体的に示すことになります。さらに、The Climate Pledge に署名することで、知識、アイデア、ベストプラクティスを共有する企業のコミュニティに参加することができます。署名企業は、信頼できるパートナーとの勉強会や主要イベントに先立った気候変動の専門家による説明会への参加に加え、The Climate Pledge の媒体で自社の活動を紹介する機会があります。

さらに、2020 年に Amazon は The Climate Pledge Fund を設立し、Amazon や他の企業が The Climate Pledge で定めた目標の達成を可能にする、持続可能な脱炭素化の技術・サービスの開発を支援しています。初期投資額が 20 億米ドル(約 2,500 億円)にもなるこの専用投資プログラムでは、低炭素経済への移行を促進する製品やソリューションを提供する先見性のある企業への投資が行われます。

クラウドは CO2 削減に効く! ~クラウド移行による二酸化炭素排出量削減の実現

調査会社 451 Research が 2021 年に発行した、クラウドの活用についての調査により、オンプレミスにあるシステムをクラウドデータセンター移行すること(クラウドマイグレーション)は脱炭素化社会に向けても大きな効果があることがわかりました。この調査はアジア太平洋地域の 5 か国(オーストラリア、インド、日本、シンガポール、韓国)の多様な業種にわたる民間企業・公共機関 500 社・団体を対象に調査を行いました。日本では企業と団体あわせて 100 の回答を得ました。

この調査では、アジア太平洋地域の企業や公共機関のワークロードをオンプレミスデータセンターからクラウドに移行することで、エネルギー消費量とそれに付随する二酸化炭素排出量を 78% 削減することが可能であることがわかりました。クラウドデータセンターでは、エネルギー効率の高い最新サーバーを使用し、かつ、オンプレミスのデータセンターよりも高い稼働率を実現していることから、エネルギーの効率化が得られていると報告しています。この 2 つの要素から、クラウドデータセンターは、オンプレミスのデータセンターと比べ、エネルギー消費量を 67.4% 削減しています。また、アジア太平洋地域の企業の平均的なサーバー稼働率は 15% 弱である一方、効率性とアプリケーション性能の適切なバランスを見極めているクラウドサービス事業者におけるサーバー稼働率は 50% を大きく上回っています。クラウドデータセンターでは、アジア太平洋地域の企業・公共機関の 5 倍のエネルギー効率でワークロードが実行されています。さらに、クラウドデータセンターでは、高度な配電システムや冷却技術の採用など、施設レベルでのエネルギー効率向上を進めているため、さらに 11.4% のエネルギー削減効果を得ていることもわかりました。

再生可能エネルギーへの大規模な投資はグローバルのカーボンフットプリント削減目標を達成するために極めて重要なステップです。とくにアジア太平洋地域について、451 Research のレポートでは、クラウドプロバイダーが 100% 再生可能エネルギーの目標を達成することが、重要な活動として報告されています。すなわち、再生可能エネルギーの活用によって、二酸化炭素排出量削減をさら進める機会が残されていることが指摘されています。こうしたなか、2021 年 9 月 8 日、Amazon と三菱商事は日本で最大規模となる 22 メガワット (MW) 太陽光発電プロジェクトでの電力購入契約を締結したことを発表しました。また、Amazon は 2021 年世界最大の再生可能エネルギー調達企業になっています。

関連プレスリリース︓Amazon が世界最大の再生可能エネルギー購入企業としての立場を強化

AWS のクラウドができること ~お客様のサステナビリティのための支援

AWS のお客様の視点に立つと、AWS 上で稼働するワークロードからの排出は間接排出として計上され、スコープ 3 排出の一部に含まれます。実際の量はワークロードごとに異なり、使用するAWSサービス、それらのサービスによって消費されるエネルギー、それらが稼働する AWS データセンターに供給する電力網の炭素強度、AWS による再生可能エネルギーの調達などいくつかの要因に依存します。2022 年 3 月より、それまでお客様から問い合わせの多かった、AWS の利用による二酸化炭素の排出量を可視化するツールを提供しています。AWS Customer Carbon Footprint Tool によって、お客様の AWS 利用実績による二酸化炭素排出量のモニタリング、分析、将来予測が可能になります。このツールでは、温室効果ガス排出量を報告するための国際標準である温室効果ガスプロトコルに準拠したデータを使用しています。さらに、米国環境保護庁(Environmental Protection Agency:EPA)によって定義されたスコープ 1 と 2 の排出量が示されます。

AWS Customer Carbon Footprint Tool(例)

大規模なシステムのクラウド移行を検討されるお客様には、対象のインフラ資産に基づき、移行によって二酸化炭素の排出量がどれだけ削減できるかという試算をクラウドエコノミクスのレポートで定量的に提供させていただいています。大規模なクラウドマイグレーションを検討中のお客様は弊社の担当営業にお問い合わせください。

関連ブログ(日本語):チーフエバンジェリスト Jeff Barr が語る Customer Carbon Footprint Tool を発表をご参照下さい。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

クラウドは一見、サステナビリティや地球環境への貢献と関係がないと思われていた方もいらっしゃるかと思います。クラウドを活用いただくことは、エネルギー効率を向上しサステナビリティにもつながるのです。今回ご紹介した内容はほんの一部ですが、AWS はクラウドの提供をはじめとしてますますサステナビリティに貢献したいと思います。

また次回のブログでお会いしましょう


AWS Summit でお待ちしています!

私、佐藤有紀子が、スペシャルなゲストにサステナビリティについてお話をうかがいます。

持続可能な社会に向けて、あらゆる分野で取り組みや再生可能エネルギー最前線などの貴重なお話を、Amazon/AWS のサステナビリティに関する取り組みの最新情報とともにお届けします。ぜひご関心あるセッションにお越しください。お待ちしております!

詳細・お申し込みはこちらから

EX-01 エグゼクティブセッション 
2022 年 5 月 25 日(水)11:45 am – 12:15 pm
持続可能な社会のためのクラウドと再生可能エネルギーの活用
三菱商事株式会社 エネルギーサービス本部 再エネソリューション事業室長 藤井 隆男 氏
アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 事業開発統括本部 統括本部長 佐藤 有紀子
SP-03 スペシャルセッション 
2022 年 5 月 25 日(水)4:15 pm – 5:45 pm
Technologies for Sustainability – AWS で実現するサステナビリティ
東京海洋大学名誉博士/客員教授 さかなクン 他


佐藤 有紀子
アマゾンウエブサービスジャパン合同会社
事業開発統括本部 統括本部長
兼サステナビリティ推進室 室長
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